新卒採用の最新動向と内定率の推移、今後に向けた対策を紹介

更新:2023/01/23

作成:2022/11/27

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

新卒採用の最新動向と内定率の推移、今後に向けた対策を紹介

中期的な採用戦略や採用計画を考える際には、求人倍率や内定率など、新卒採用におけるさまざまな市場数字に目を向け、最新動向や推移を知っておくことも必要です。

記事では、厚生労働省などのデータを見ながら、就職内定率や大卒求人倍率の推移、採用スケジュールの変化、2023年卒の内定辞退状況、大卒人数の推移などを紹介します。

また、これらの就職動向を踏まえて今後の企業に求められる対策も解説しますのでご覧ください。

<目次>

就職内定率の推移

就職内定率は、厚生労働省と文部科学省が共同でとりまとめた「令和4年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を見るとよくわかります。

なお、この資料では、就職内定率を「就職率」という言葉であらわしており、大学4年生の秋以降の実績をとらえた情報を集計しています。

出典:令和4年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します(厚生労働省)

就職内定率の最新状況

まず、令和4年3月(2022年3月)に卒業した大卒などの就職内定率の概要は、以下のとおりです。

  • 大学(学部):95.8%(前年同期差▲0.2 ポイント)
  • 短期大学:97.8%(前年同期差+1.5 ポイント)
  • 全体:96.1%(前年同期差▲0.2 ポイント)

なお、大学等に専修学校(専門課程)を含めると 96.0%(前年同期差+0.2 ポイント)になります。

近年における就職内定率の推移

「令和4年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」内のグラフを見ると、近年における就職内定率の推移もよくわかります。

就職内定率の推移

出典:令和4年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します(厚生労働省)

厚生労働省の上記データ(グラフ)によると、過去最低を記録した平成23年3月卒~令和2年3月卒までは、ほぼ右肩上がりで大卒の就職内定率が上昇し続けていました。

しかし、リーマンショックの影響で、平成22年3月卒~23年3月卒にかけて就職内定率は一気に下落します。

平成24年3月卒以降は順調に上昇していた就職内定率ですが、令和3年3月卒に一気に下がります。

そして、令和4年3月卒から再び復調の兆しに向かうようになりました。

近年起きているこちらの下落は、コロナ禍の影響によるものです。コロナ禍はリーマンショックとは異なり、すべての業界がダメージを被ったわけではありません。

採用人数が多い小売や接客、運輸や観光関連などの業界で新卒採用を手控えたことで内定率が下落していますが、影響は限定的といえるでしょう。

なお、直近3か年の月次推移をまとめた表が以下のとおりです。

新卒採用率の3か年の推移
2021年卒(2020年3月に採用広報が解禁された年度)は、2020年4月からの緊急事態宣言等の影響で採用活動を一時停止した企業も多く、10月や12月時点の就職率は前年対比で大きく落ち込みました。

しかし、最終的な4月1日時点の数値はそこまで大きな影響となっていないことも分かります。

また、コロナ禍が想定以上に長引いた影響もあり、2022年卒などでも、2020年対比と比べると採用は戻り切っていないことが伺えます。

大卒求人倍率の推移

大卒求人倍率の推移は、リクルートワークス研究所による以下のグラフを見るとよくわかります。

大卒求人倍率の推移
出典:第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)(リクルートワークス研究所)

こちらも求人倍率の推移を見ると、リーマンショック時(2010年卒や2011卒に影響)の下落状況や、コロナ禍(2021年卒や2022年卒に影響)の影響が見てとれます。

また、コロナ禍の影響も、2023年卒ではかなり回復傾向に入ってきたことも分かります。

ただし、2023年卒の数字でも、コロナ禍前の水準(1.6倍以上)までは戻っていません。

なお、グラフで民間企業就職希望者数を見ると、じつは大卒の就職希望者は1987年対比で増加、この20年ほどは横ばいになっていることが分かります。

これは少子化の一方で、大卒進学率が上昇し続けている影響です。

ただし、大卒進学率もそろそろ頭打ちになっており、ここからの20~30年で大卒人数は一気に減少すると考えられています。

採用スケジュールの変化

平成30年10月に経団連の中西会長が、「経団連主導の採用ルールを廃止する」と宣言したことで、この数年、あらためて採用活動の早期化が進んでいます。

キャリタスリサーチが令和4年に行なった「キャリタス就活2023 学生モニター調査結果」によると、3月1日時点の内定率は28.6%となっており、前年同期実績を7.5ポイントも上回っています。

この数字からも、採用活動の早期化が進んでいると考えてよいでしょう。

また、キャリタスリサーチによる調査結果では、3月1日時点の内定企業の7割強が、インターンシップを実施した企業であることもわかっています。

出典:キャリタス就活2023 2023年卒 Vol.05 3月1日時点の就職活動調査〈速報〉

2023年卒(令和5年卒)の内定辞退は増加傾向

内定辞退
経団連主導の採用ルールを廃止したことによる影響は、新卒採用の早期化につながり、また、長期化や複雑化なども生じさせています。

その中で増加しているのが、内定辞退者の増加です。

株式会社ディスコによる調査結果では、内定辞退者が2022年度(令和4年度)と比べて増えたとする企業が32.9%、減ったとする企業が17.0%であることがわかっています。

なお、7月の調査時点では、大手企業の内定辞退が多い傾向がある一方で、大企業と比べて内定出しが遅い中堅中小企業の場合、これから辞退者が増える可能性があるとされています。

出典:新卒採用に関する企業調査(2022 年 7 月調査)株式会社ディスコ

大卒人数の推移

大卒求人倍率のグラフでもコメントしたとおり、少子化といわれて数十年経ちますが、大卒人口は実のところ、2018年(平成30年)までずっと上昇が続いていました。

大学進学率が右肩上がりであり、少子化を補って余りある上昇をしてきたためです。

しかし、大学進学率もある程度頭打ちとなりつつあり、今後はいよいよ減少局面に突入し、20~30年で一気に少子化が進むと見られています。

大卒の求人件数自体が減るという見方もありますが、求人件数の減少はある程度の中長期的であり、しばらく慢性的な売り手市場化になると考えられています。

出典:大学への進学者数の将来推計について(経済産業省)

就職動向を踏まえた今後の対策

書類を眺めるビジネ                スパーソン
コロナショックで一時的に下がった大卒の就職内定率と求人倍率は、2023年卒(令和5年卒)から復調傾向にあります。

しかし、新卒採用の早期化・長期化・複雑化と内定辞退数の増加、大卒人口の減少にともない、ネームバリューなどが低い中堅中小企業、ベンチャー企業では慢性的な新卒の採用難が続く可能性が高いでしょう。

こうしたなかで、優秀な新卒を獲得するには、以下のような対策を実践していく必要があります。

新たなチャネルやトレンドへの対応

新卒採用におけるマス媒体の効果性は徐々に下がっていくと考えられており、これからの新卒採用では、ダイレクトリクルーティングなどへの対応、また、中長期的に効果がある以下のような打ち手を実施していくことが大切になります。

  • リファラル採用
  • オウンドメディアリクルーティング
  • SNS採用 など

また、確率論による採用活動から、長期インターンやマッチングイベントなどを使って1対1で口説くような採用力をつけていく必要もあるでしょう。

オンライン・対面のハイブリッド

コロナ禍で一気に浸透したオンライン採用ですが、今後もオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型採用が続くと考えられます。

母集団形成のフェーズでは、オンラインで実施することで、遠方在住であったり、研究などが忙しく多くの説明会に行けなかったりする学生、また志望度が上がりきっていない学生を取り込む。

同時に、選抜型インターンシップや絞り込んだ座談会など魅力付けをするためのイベントは対面で開催して、学生の心をぐっと引き付けるような活動が大切になります。

内定辞退への対処

新卒採用が長期化・早期化するなかで、学生も自分に合う企業の見極めに時間をかけるようになりました。

そのため、たとえば、3月などの早い時期に内定を出しても、魅力的な競合が出てくれば、内定辞退される可能性も高まります。

内定者に入社してもらうには、採用活動の各ステップに採用CXの考え方に基づいて、“応募体験”を磨いていく必要があるでしょう。

魅力付け・動機付け

内定承諾した学生は、入社が近づくにつれて“選択肢がなくなっていく”ことで、いわゆる「内定ブルー」の状態に陥りやすくなります。

内定承諾後の辞退を防ぐには、魅了付けや動機付けで、内定ブルーによる「この企業に入って大丈夫だろうか?」などの不安や迷いを解消していくことが大切です。

接触頻度を高めたうえで、情報提供や内定者イベント、交流会、座談会などを通じて、不安を解消する、また、自分が仕事をする姿をイメージしてもらい、入社動機を再確認してもらうことが重要になります。

育成やマネジメントの整備、正規雇用に依存しない体制づくり

どれだけ手を打っても、少子化にともなって優秀な日本人大卒を確保する難易度は上昇していきます。

中長期的な取り組みになりますが、これからの時代に組織づくりを進めていくには、個人の優秀さに依存し過ぎない育成やマネジメント体制の整備、あるいは、正規雇用に依存し過ぎない体制をつくっていくようなことも必要になってくるでしょう。

まとめ

中期的な新卒採用の取り組みを考えるうえでは、就職内定率、大卒求人倍率、民間企業就職希望者などのマクロ数字がどうなっているかということを押さえておくことも大切です。

それぞれ、2022年10月時点では以下のような状況になっています。

  • 就職内定率:2022年3月卒の4月1日時点就職内定率は95.8%。2021年3月卒に一気に減少したが、2022年3月卒から復調傾向。
  • 大卒求人倍率:2023年3月卒が1.58倍。2021年卒で10年ぶりに0.3ポイント以上の低下をしたものの、こちらも2023年卒では回復傾向。
  • 採用スケジュール:経団連の採用方針の撤廃によりコロナ禍の陰で早期化が進む。2023卒では、3月1日時点での内定率は28.6%まで上昇。
  • 内定辞退数:2023年卒では32.9%の企業が前年度よりも「増加傾向」と回答
  • 大卒人数:18歳人口の減少にともない、2022年卒以降は減少局面に突入していく

コロナショックによる影響は、復調の兆しがあります。

また、大卒の少子化によって、中堅中小企業、ベンチャー企業の採用難が今後も続く、また加速するものと考えられます。

こうした時代に優秀な人材を獲得し、定着させていくには、自社の状況を鑑みて以下のような施策を実施していくことが大切です。

  • 新たなチャネルやトレンドへの対応
  • オンライン・対面のハイブリッド
  • 内定辞退への対処
  • 魅力付け・動機付け
  • 育成やマネジメントの整備、正規雇用に依存しない体制づくり

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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