最近、中途採用の採用手法も多様化していますが、従来からある求人媒体は、いまも中途採用のメインとなる手法の一つです。ただ、求人媒体も昔と比べると種類も豊富になり、それぞれ特徴や強み、得意分野などが異なります。採用を成功させるためには、自社の採用ターゲットに適した媒体を選ぶことが重要です。
記事では、求人媒体を選ぶ際に必要な準備、中途採用向けの求人媒体の比較ポイントの基本を紹介します。おすすめの求人媒体も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
*本記事では、「求人サイト」を広義に捉えて、通常の求人広告掲載型の求人サイトに加えて、ダイレクトリクルーティング、求人検索エンジンも求人サイトの類型として紹介しています。ご了承ください。
<目次>
求人媒体(求人サイト)を比較する前に設定しておくこと
さまざまな求人媒体の提案を漫然と聞いていて、自社にあったものは選べません。採用媒体の提案を受ける、比較するうえでは、以下のポイントを明確にしておくとよいでしょう。
採用人数と採用ターゲット
中途向けの求人媒体にもさまざまな種類があり、媒体によって強みや得意分野が異なります。したがって、自社に合った媒体を選ぶためには、未経験者、即戦力人材、管理職、部署、職種など、採用したいターゲット層を明確にしておくことが重要です。
たとえば、管理職や高い専門スキルを持った人材がターゲットなら、ハイクラス求人に強い媒体を選ぶことで理想の人材を採用しやすくなります。登録者数が多い総合型の求人媒体だけが良いわけではなく、自社の業界や採用したい職種、ターゲットを踏まえて求人媒体を検討することが大切です。
採用ペルソナ
採用ペルソナとは、採用ターゲットに性格や価値観、ライフスタイルなどの定性的な側面を肉付けした架空の人物像のことです。
採用ターゲットは「合否基準」という意味合いが強く、おもに定量的な側面や能力面で設定されます。これに対して、採用ペルソナは、経歴、ライフスタイル、仕事への価値観、プライベート、転職理由、仕事に求めるものなど、合否に関係ない人物的な部分を設定します。
ペルソナを設定することで、採用活動で発信するメッセージが明確になり、また共有しやすくなります。また、転職活動において利用している媒体も想像しすくなります。
採用予算と単価目標
中途採用のメイン手法を大きく分けると「求人媒体」と「人材紹介」の2種類があり、費用体系が異なります。
求人媒体の場合は、掲載課金型が一般的で、採用できたかどうかではなく、求人を掲載するだけで料金が発生します。求人媒体によって料金は異なりますが、30~60万円ぐらいが相場です。
一方で、人材紹介は、採用できた場合にだけ料金が発生する成果報酬型が一般的です。費用は理論年収の30~35%が相場となっており、たとえば、年収400万円の人を採用すれば、120~140万円かかることになります。
このように、採用手法によって費用の発生の仕方、期待できる採用単価も変わります。本当に求人媒体を使うことが良いのかを、採用人数やターゲット、採用ペルソナ、そして、採用予算と単価目標を併せて検討することが大切です。
求人媒体(求人サイト)を比較する際のポイント
求人媒体を比較する際は、以下のポイントをバランスよく比較することがおすすめです。
媒体のコンセプト、特色の確認
繰り返しになりますが、求人媒体にもさまざまな種類があり、それぞれ特徴や強みが異なります。
したがって、比較する際にはまず各求人媒体の特徴や強みを確認することが大切です。
知名度や料金だけで媒体を選んでしまうと、思ったより応募が集まらなかったり、求める人材を採用できなかったりする可能性があります。
採用したい人材像を明確にしたうえで、その人材の採用につながる要素や強みを持っている媒体に絞って比較・検討しましょう。
エリア特性の確認
求人媒体の知名度や評価はエリアによって異なります。たとえば、東京では大手求人媒体を利用する求職者が多いですが、関西や中京でそれぞれ強みを持っている媒体もありますし、地方での利用率が高い媒体もあります。したがって、自社の採用エリアに強い媒体であるかどうかも重要な比較ポイントです。
採用ターゲットの想定人数
重要なのは、その求人媒体に自社の採用ターゲットがどれぐらいいるか?ということです。会員数の総数だけではなく、アクティブ数や登録属性などを踏まえて、自社の採用ターゲットがどれぐらいいるかをしっかり検討することが大切です。
料金プランの確認
先述したように、求人媒体にかかるコストは媒体によって異なります。料金体系には掲載課金型の他、成果報酬型の媒体もあります。料金プランや料率も媒体によってさまざまです。エリアや掲載期間によっても費用は変わってくるため、確認が必要です。
ユーザー目線でのUIや競合チェック
多くの応募を集めるためには、ユーザー(求職者)にとって使いやすい求人媒体であることも重要です。たとえば、求人の絞り込みがしやすかったり、担当者とコミュニケーションが取りやすかったりすると、ユーザーが増え、母集団形成がしやすくなります。
媒体側からの提案をもらうだけでなく、実際に自分が求職者側で登録してみたり、検索したりすることも大切です。
採用ペルソナとのマッチ度
採用を成功させるためには、ターゲット層に自社の求人を見てもらう必要があります。したがって求人媒体も、ペルソナが使っていそうな媒体を選ぶようにしましょう。
ペルソナが使っていそうな媒体を選ぶためには、ペルソナがどのような媒体を使っているのか、どのように情報収集をしているのかなどを、事前に考えておくことが大切です。
オプション機能の確認
求人媒体は、求人を掲載する以外にもさまざまなオプション機能が搭載されています。
上位表示やメルマガでの告知オプション、また、企業側からアプローチできるスカウトメールの送信機能などが、多くの求人媒体で用意されています。
求人広告型の求人サイト
中途採用における求人広告型の求人サイトは、いわゆる転職情報サイトです。求人広告型の場合、企業は自社の求人広告を出稿し、求職者からのエントリーを待つ形となります。
求人広告型は、全業界・全職種を対象とした総合型と、求人を特定の業界や職種に限定したり、登録者を特定の属性に絞り込んだりした特化型に分類できます。
総合型の場合、幅広く多くの求職者が登録する反面、広告出稿している企業数も非常に多くなります。そのため、中堅・中小企業よりも、認知度が高く、また採用人数が多い分だけ多くの費用をかけられる大手企業のほうが有利になりがちです。
特化型の場合、登録している会員数は総合型よりも少なくなりますが、自社のターゲットのみにアプローチしやすいという魅力があります。また、企業の知名度が低くても、仕事内容の面白さを打ち出しやすいといった点も魅力です。
以下では、代表的な求人広告型のサービスをご紹介します。
リクナビNEXT
日本最大級の登録者数を誇る大手求人媒体で、幅広い求職者へアプローチすることが可能です。料金プランは「基本料金+有料オプション」という形になり、基本料金は掲載する情報量などによって変動します。
>>公式サイトはこちら
マイナビ転職
登録者の65%が35歳以下の若手で、大都市圏とエリア採用の両方を強みとしている求人媒体です。スカウトやDM、コンタクトメールなど、マッチングを高める機能が充実しています。マイナビは、もともと出版業の会社であるため、求人原稿の作成が得意な特徴があります。
>>公式サイトはこちら
doda
業界最大級のサービスラインナップを誇っており、幅広いネットワークから最適な人材を探すことが可能です。求人掲載だけでなく、採用戦略から振り返り、次の提案までを一貫してサポートしてくれます。dodaはITものづくり系エンジニアや営業・企画職の採用に強く、総合型求人×人材紹介の連動も魅力です。
公式サイトはこちら
エン転職
利用者満足度が5年連続No.1の大手求人媒体です。若手採用に強く、求人を掲載する企業に対してもサポートが徹底されているため、求人媒体を初めて利用する場合も安心です。
type
中小企業のエンジニア採用を得意としている求人媒体です。業界初のAIマッチング機能を採用しているほか、成功率90%以上のダイレクトリクルーティングプランも利用でき、ハイスキル人材を採用しやすい仕組みになっています。
Re就活
登録者の92.5%が20代で、第二新卒や初めて転職する人材の採用に最適です。基本属性や経験、志向性などから人材を検索できるほか、スカウトメールの自動配信機能もあり、採用活動を効率的に行なえます。
GREEN
登録者の60%以上がIT人材となっており、若手からベテランまで数多く在籍しています。料金は一律60~120万円の成功報酬型で、求人の掲載数や掲載期間、求職者へのアプローチも無制限に行なうことが可能です。
女の転職type
女性に特化した求人媒体で、正社員や契約社員を希望する20~30代の採用を得意としています。女性視点での原稿作成をはじめ、充実したレジュメや応募数アップ・面接ドタキャン防止機能などがある点も魅力です。
FINDJOB!(ファインドジョブ)
IT・Web業界特化型の求人媒体です。求める人材の条件と求職者のマッチング状況が数値化されるため、専門知識がなくても選考しやすい仕組みとなっています。登録者は20~30代のデザイナー・クリエイター人材が多めで、企業アカウントを登録すると求職者を自由に検索できるようになります。
>>公式サイトはこちら
jobda
jobdaは、HR担当者の工数を大幅に削減し、効果的な求人情報掲載を実現することが可能です。フィード機能を活用することで、複数の貴社の求人情報を一括して掲載・連携することができます。またjobdaは、SEO対策を得意とするグリーグループが運営する求人サイトで、登録者の流入経路はSEO(WEB検索)が中心になるため、就職意欲の高いユーザーにアプローチすることができます。
https://jobda.jp/
Forkwell Jobs
Greenと同じくIT/Webエンジニアに特化した転職サイト。たとえば、Slerやアジャイル開発など、特化しているからこその詳細条件で検索可能です。
公式サイト:https://recruiting.forkwell.com/
しゅふJOB
株式会社ビースタイルメディアが運営する「しゅふJOB」は、年間991万人のしゅふが集まり、導入企業様数2.8万社以上のしゅふ層の集客を得意とする求人サイトです。ユーザーの約80%が正社員経験者であり、事務職・接客・販売など、様々な業界のスキルを持つ人材が集まっているのが強みです。
主婦の仕事探しの傾向(人気のある時給・勤務時間など)の分析や、現役しゅふによる無料での求人原稿代行サービスもあり、初めての求人掲載でも安心して採用活動を進めていくことができます。職種、募集人数など状況に合わせて、掲載課金、応募課金、採用課金とプランを選択できるのもしゅふJOBの強みとなっています。パート・アルバイト採用が強みですが、正社員、派遣、委託・請負の求人も掲載も可能です。
公式サイト:https://part.shufu-job.jp/business/
ジョブズゴー
ジョブズゴーは、長野県・新潟県・富山県にフォーカスした求人サイトです。
公式サイト:https://www.jobs-go.jp/
ダイレクトリクルーティング型の求人サイト
先述の求人広告型は求職者からのエントリーを“待つ”のに対して、ダイレクトリクルーティングは企業側から求職者に対してアプローチをする“攻め”の手法です。
ダイレクトリクルーティングを利用する場合、採用企業は、サービスに登録した人材の匿名レジュメを検索し、自社で面接したい人材にスカウトメッセージを送信できます。人材がエントリーしてくれると、求職者の詳しい個人情報が公開され、面接・面談などに進んでいける仕組みです。
ダイレクトリクルーティングの場合、送るメッセージを工夫することで、認知度が低い中堅中小企業やベンチャー企業でも優秀な人材を獲得しやすくなります。また、事前に検索条件で絞り込んで、職歴や自己PRなどを見たうえでメッセージを送りますので、エントリー者が基本的にはすべて採用ターゲットとなることで採用の生産性を高めることが出来ます。
ただし、ダイレクトリクルーティングを成功させるには、スカウトメッセージの工夫や日々検索してメッセージを送信する工数が必要です。ダイレクトリクルーティングサービスの仕組みや費用などは、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
以下では、中途採用で代表的なダイレクトリクルーティングサービスをご紹介します。
BIZREACH
CMなどでもお馴染みの国内最大級の即戦力人材データベースを持つダイレクトリクルーティングサービスです。日本におけるダイレクトリクルーティングの元祖といってもいいでしょう。経営幹部やCXO、管理職・専門職などのキャリア層がメインターゲットになります。
ミイダス
ストレス耐性や内面的特徴などの詳細な検索項目(全1,733種類)から、自社にフィットした人材を検索できるダイレクトリクルーティングサービスです。料金は定額制で、何人採用しても追加料金はかかりません。
リクルートダイレクトスカウト
リクルートが運営するサービスです。ハイクラス・エグゼクティブ向けのダイレクトリクルーティングとなっており、登録している求職者の約7割が年収600万円以上。アクティブに活動している求職者が多いため、即戦力人材に素早く出会うことが可能です。
doda Recruiters
日本最大級約263万人の人材データベースから、自社に合う人材を探せるダイレクトリクルーティングサービスです。最短1日で面接を設定できます。プレミアムオファーもあるため、スカウトメールの開封率は77%と非常に高いです。
Wantedly
ミレニアル世代を中心とする優秀な若手層やWeb領域の採用に強いサービスです。新卒・アルバイト・インターン採用でも活用可能です。Wantedly では、3つのプラン(ライト・スタンダード・プレミアム)が用意されています。
公式サイト:https://www.wantedly.com/about/list
paiza転職
ITエンジニアに特化した国内最大級の就職・転職・学習プラットフォームです。プログラミングスキルチェックなどの仕組みもあるため、エンジニアが作成したコードなども確認できます。料金は、初期費用0円、成果報酬25%~です。成功報酬は、内定者のランクによって変動します。
公式サイト:https://paiza.jp/pages/recruiters/career/service
SCOPE
専門性の高いプロフェッショナル人材と「実現したい未来」という価値観への共感でつながれるユニークなコンセプトのダイレクトリクルーティングサービスです。求人広告は無料掲載可能ですが、ダイレクトリクルーティングは有料になります。
公式サイト:https://career-scope.jp/company
SYNCA
SYNCA(シンカ)は管理部門・バックオフィス業務に特化した転職スカウトサービスです。 経理・総務・法務・情シス・労務など、バックオフィスの各職種に特化しています。
公式サイト:https://candidate.synca.net/
求人検索エンジン型の求人サイト
求人検索エンジンは、求人情報だけを検索できる検索エンジンのことです。リクルートグループが運営するIndeedを筆頭に、この数年で伸びているサービスです。
求人検索エンジンの場合、Web上で公開されている求人広告型のサイトの掲載情報、各企業の採用ホームページの情報までを含めて、網羅的に検索、整理して表示します。「求人情報に特化したGoogle」のようなものとも言えるでしょう。したがって、個々の求人サイトよりも圧倒的に表示求人数が多くなり、ユーザーを集めています。
求人検索エンジンに自社の求人を登録することで、会員ユーザーの検索結果に表示することが出来ます。多くの場合、無料プランと有料プランがあり、有料にすると求人が検索結果の上位に表示されやすくなります。料金形態は「クリック課金」を取っていることが多く、自社の求人が1回クリックされるたびに費用が発生する仕組みです。そのため、求人広告よりも安価に利用できることは魅力のひとつです。「職種×エリア」で検索されやすいことが特徴で、地域密着型で募集したい場合などにはおススメです。
Indeed
Indeedは国内で月間1,000万人以上のユーザーを誇り、大手転職サイトの2倍以上のアクティブユーザー数を誇る求人検索エンジンの代表的サービスです。Indeedを使う場合、求人広告サイトのような細かい書類や手続きは不要です。アカウント開設・求人掲載も、簡単に行なえます。掲載費用は無料(別途、有料オプションあり)で、長期掲載費用や成功報酬も不要。
求人ボックス
求人ボックスは、株式会社カカクコムが設立・運営しています。アメリカで創設されグローバル展開が前提となっているIndeedとは異なり、日本国内を強く意識したサービスです。求人ボックスの掲載は、無料で半永久的に可能です。有料プランもクリック型課金となるため、求人出稿だけで多くの料金がかかる求人広告サイトよりコストを抑えやすいです。
Googleしごと検索
Googleしごと検索は、Web上の求人情報をGoogle検索結果に表示してくれます。自社のホームページや採用サイトに求人情報を掲載している場合、HTMLを編集することで求人情報をGoogle検索上に表示可能です。あるいは、Googleしごと検索に対応している求人広告サイトに出稿すれば、Googleしごと検索に自動的に求人情報が掲載されます。Googleしごと検索の場合、東京×営業などの地域で検索したあと、2km・10km・25km……などの範囲で求人を絞り込める特徴があります。
まとめ
求人媒体は、いまも中途採用の定番手法ですが、昔よりも種類が多様化しています。それぞれ特徴や強み、料金体系、オプション機能などが異なります。したがって、自社の採用計画に合わせて媒体を選ぶことが大切です。
自社に合った求人媒体を選ぶ比較ポイントは以下です。
- 媒体のコンセプト、特色の確認
- エリア特性の確認
- 採用ターゲットの想定人数
- 料金プランの確認
- ユーザー目線でのUIや競合チェック
- 採用ペルソナとのマッチ度
- オプション機能の確認
採用の予算が限られている企業はどうしてもコスト重視になりがちですが、効率的かつ効果的な採用を行なうためにも、ぜひ上記のポイントを意識して求人媒体を選んでみてください。
なお、採用媒体は掲載課金型であることが多く、1回の掲載で採用できれば採用単価は安くなりますが、採用できなくても費用がかかってしまいます。無駄な費用を使いたくないという企業は、完全成功報酬制となる人材紹介を検討するのもひとつです。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、20代の未経験者に特化した人材紹介サービスを提供しています。「未経験で良いので若手を採用したい」というニーズがあれば、ぜひ資料をご覧ください。