『7つの習慣』第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」とは?セルフリーダーシップと生産性UPの習慣

『7つの習慣』第2の習慣「終わりを思い描くことから始まる」とは?セルフリーダーシップと生産性UPの習慣

はじめに

 スティーブン・R・コヴィー博士が著した『7つの習慣』は、全世界で4000万部、日本国内でも240万部を売り上げる大ベストセラーとなっています(数字は2021年時点)。

 書籍『7つの習慣』の前半、私たちを精神的な自立へと導く習慣が第1の習慣「主体的である」、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」、第3の習慣「最優先事項を優先する」の3つです。記事では、第2の習慣「終わりを思い描くことから始まる」の概要と本質、実践のポイントを紹介します。

<目次>

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」とは?

 私たちは誰しも自分の人生を成功させたいと願っています。何を成功とするかは人それぞれです。ただ、自分の人生を成功させたい、そのために物事をうまく運びたい、実現させたいと願うのであれば、「何が成功なのか」「何を実現したいのか」を明確にする必要があります。

 本章では、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」と、第2の習慣の本質「すべての物は2度作られる」の意味を解説します。

原則「すべての物は2度作られる」

”すべてのものは、まず頭の中で創造され、次に実際にかたちあるものとして創造される。第一の創造は知的創造、そして第二の創造は物的創造である”
(スティーヴン・R・コヴィー 『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』)

 第2の習慣は「すべての物は2度作られる」という原則に基づいた習慣です。

 家を建てること想像してみてください。家を建てるとき、始めにやることは、どのような家にしたいか考え、プランを練り、予算や間取りに応じて設計図を描くことです。設計図ができあがって、ようやく実際の家づくりに着手できます。つまり、家を建てるために基礎を作る、一本目の釘を打つときには、すでに「どういう家が完成するのか」は決まっているわけです。

 家を建てるにあたって頭の中、そして設計図の上に完成図をつくるステップが第一の創造、知的創造です。そして、描いた頭の中や設計図上に描いた完成形を、基礎を固めて釘を打って実際の形あるものにするプロセスが第二の創業、物的想像です。

 もし家を建てるときに第一の創造を疎かにする、つまり、「どのような家を建てるのか?」というゴールイメージが曖昧で、設計図もないままに、建築作業をスタートしたらどうなるでしょうか。

 行き当たりばったりで作業を進めるなか、作業工程のいたるところで修正、やり直しが生じるかもしれません。誰も完成図がわかりませんので、それぞれの職人が自分のイメージで仕事を進めれば喧嘩やトラブルは起こりやすいでしょう。費用ばかりがどんどん増えていき、完成したものは満足いく家にならないことも予想できます。

 ゴールや目的をしっかり定めずに物事を始めることは、いわば設計図を作らずに家を建てようとすることと同じです。物事をうまく進めたい、事を成し遂げたいのであれば、第一の創造「知的創造」が大切です。

 第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」が意味しているのは、第一の創造の実践です。何かを実施する際には、第一の創造「知的創造」で、頭の中や紙面に目指す目的地やありたい姿を描いて綿密な計画を立てる。そして、「第2の創造(物的創造)」で思い描いたゴールイメージ・構想をもとにして実際の行動に取りかかることが大切なのです。

リーダーシップとマネジメント

 第2の習慣は、“リーダーシップ”の習慣であるといえます。ビジネスや組織マネジメントの世界でよく「リーダーシップとマネジメントの違い」というテーマが取り上げられます。組織が向かう方向を定めるのが「リーダーシップ」、定められた方向に向かって効率よく業務を遂行するのが「マネジメント」です。

 第2の習慣に当てはめて考えると、リーダーシップは「第一の創造」、マネジメントは「第二の創造」ということができます。まず「終わりを思い描く」「ゴールを決める」リーダーシップを発揮する、そのうえで、描いたゴールに向けて実行をマネジメントするのです。

マネジメントは揃っているけれども効率的なリーダーシップのない状態は、ある人の言葉を借りれば「沈みゆくタイタニック号の甲板に椅子をきちんと並べるようなもの」である。マネジメントが完璧でもリーダーシップの欠如を補うことはできない。ところが、私たちはしばしばマネジメントのパラダイムにとらわれてしまうため、リーダーシップを発揮するのが難しくなってしまうのだ。
(スティーヴン・R・コヴィー 『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』)

 組織、事業活動を行なううえで、リーダーシップとマネジメントはいずれも欠かせない要素です。しかし、コヴィー博士の言葉にあるように、マネジメントを完璧に行なおうとするあまり、リーダーシップがないがしろになってしまうケースも起こりがちです。

 多くの組織で、「目的に沿って効率的に目標に到達する戦略を考え実行する」というマネジメントに重点を置いて事業活動が行なわれています。しかし、「何のために組織が存在するのか?」「我々はどこを目指すのか?」といったリーダーシップが最初になければ、どんなに精緻なマネジメントに取り組んでも望む成果を出すことはできないのです。

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」の実践とミッションステーメントの作成

 前章では、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」と原則「すべての物は2度作られる」を紹介しました。本章では、第2の習慣の実践と、書籍『7つの習慣』で、コヴィー博士が第2の習慣の実践として紹介しているミッションステートメントの作成について解説します。

第2の習慣を実践する

 私たちは日々さまざまなものを作り出し、成し遂げようとしています。「すべての物は2度作られる」の原則は、日常生活のあらゆるところに当てはめることができます。したがって、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」も日常生活のなかで実践して身に付けていくことができます。

 社内の打ち合わせ、顧客との商談、プロジェクトの準備、何かの作業など、すべてにおいて「終わり」を思い描きましょう。何がゴールなのか、どのような状態を望むか、そのためにどう進めるのか、頭の中でゴールや進め方のイメージがリアルになればなるほど、「第二の創造」、すなわち実行はスムーズかつ効率的になります。

 文字になっていると「めんどくさい」と思うかもしれません。しかし、多くの人は無意識のうちに第2の習慣を実行しています。何かをするとき、「何のために」「何をゴールに」を考えています。意識して頭の中で描くイメージを明確にしていきましょう。

ミッションステートメントの作成

 コヴィー博士は『7つの習慣』の中で、第2の習慣の実践としてミッションステートメントの作成について触れています。ミッションステートメントとは、自分の人生の目的、ありたい姿を記したものを指します。私たちが作り出す最も大きな創作物は、「自分の人生」です。自分の人生に関して第一の創造をすることがミッションステートメントを作成する意味です。

 私たちはそれぞれ、例えば「自分が関わった人を笑顔にしたい」「行動できずにいる人を後押ししたい」など、こうしたい、こうありたいといった自分の理想とする価値観ややりがいのイメージを持っています。自分が目指したい姿、なし遂げたいこと、到達したい場所を思い描き、明確にすることが、人生の知的創造です。自分が思い描いたイメージを、言葉・文書にしたためたものが「7つの習慣®」における「ミッションステートメント」です。

 ミッションステートメントは、自分の人生において何を大切にするのか、どこを目指すのか、何のために生きるのかを示す指針です。最も大きな創作物である人生の方向性が明確になれば、人生のなかで取り組むさまざまな出来事に対する判断や意思決定もぶれがなくなります。

 ミッションステートメントを作成することが、自分の判断や意思決定のぶれをなくし、自分の人生を望む姿に近づけることに役立ちます。ミッションステートメントは、日々の行動を具体的に決め、取り組み、有意義な人生を過ごす羅針盤となる重要な存在なのです。

自分自身の価値観を明確にする

 コヴィー博士は、ミッションステートメントを作成するに際して、最初に「自分の葬儀の場面を想像する」ことを勧めています。

 人はいつか必ず死を迎えます。自分の命が終わっとき、自分の葬儀に集まった親族や友人、職場の人たちから、どのような言葉をかけて欲しいと思いますか。「どのような人であった」、「どんなことを成し遂げた」、「どのようなものを与えてくれた」と言われたいでしょうか。思い浮かんだ言葉は人生で成し遂げたい貢献や価値観、目的地に深くつながっているはずです。

 自分の葬式、人生の終わりの場面を想像することは、自分の価値観や人生で成し遂げたいことを明確にします。人生の目的地が明確になれば、目的地から逆算して、今日の生き方、明日の生き方、来月、来年……の生き方を、自分の価値観に沿って計画できるようになります。自ずと理想のゴールへも近づきます。

自分の果たす役割を考え、ミッションステートメントを作成する

 自分の葬式の場面を想像する際、まず葬儀に参加してくれた人たちに対して自分が果たしている役割を書き出してみましょう。私たちは人生のなかで多くの役割を担います。「夫(妻)」、「子ども」、「友人」、「上司(部下)」……などの役割があります。

 多くの役割のなかで自分にとって大切だと思う5~7個の役割、役割を果たす相手を明確にしましょう。そして、役割ごとにどのような言葉をかけて欲しいかを考えてみましょう。大切な人にどのような役割を果たすのかを明文化することで、「自分がどのような人間になりたいのか」、「どのような貢献をしたいのか」がより明確になります。

 自分自身と向き合って作成するミッションステートメントは、いわば「自分自身の憲法」ともいえます。「自分が目指したい姿は何か」、「なりたい自分は何か」、「到達したい場所はどこなのか」、納得いくまで時間をかけて作成することが大切です。できあがったミッションステートメントは、自分が望む人生にとってかけがえのない道標となるでしょう。

まとめ

 記事では、書籍『7つの習慣』における第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」をテーマに、「すべての物は2度作られる」という原則および第2の習慣の実践であるミッションステートメントの作成について解説しました。

 普段の生活で、「自分の人生の目的」や「何を成し遂げたいか」を考える機会はほとんどないかもしれません。しかし、私たちの最も大きな創作物である自分の人生に関して、第一の創造を成し遂げることで、日々の活動における判断や意思決定は一貫したものとなります。

 第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、自分の中に眠る価値観や使命に気付き、効果的な人生を歩むためのリーダーシップの習慣です。記事の内容が効果的な人生を歩むためのヒントに少しでもつながればうれしく思います。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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