内定者フォローが重要視される理由と内定承諾後の辞退を防ぐ5つの具体策を解説

更新:2022/08/21

作成:2022/08/21

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

内定者フォローが重要視される理由と内定承諾後の辞退を防ぐ5つの具体策を解説

 採用活動で忘れてはならない活動のひとつが内定者フォローです。内定辞退をされてしまうと、それまでの母集団形成や選考に費やした苦労は水の泡となってしまいます。また、時期やタイミングによっては辞退者分を補填できず、入社人数が狂ったり、事業計画を実現できなくなったりもしてきます。

 記事では内定者フォローが重要な理由を確認したうえで、内定承諾後の辞退を防ぐ5つの具体策を紹介します。

<目次>

内定者フォローが重要な理由とは?

内定者フォローが重要な理由とは?
 内定者フォローは、内定辞退者が出ないようにするさまざまな施策のことを指します。内定者が辞退すると、それまでのコストや手間が無駄に無駄になりかねません。苦労を無駄にしないためにもしっかりと内定者をフォローし、無事に入社につなげることが大切です。

 なお内定者フォローには「内定~内定承諾までのフォロー」と「内定承諾~入社までのフォロー」の2つがあります。本記事では「内定承諾~入社」まで、いわゆる内定承諾後の辞退を防ぎ、良い状態で入社してもらうための内定者フォローを解説します。

内定者フォローの3つの目的

 内定者フォローには大きくわけて3つの目的があります。

  • 内定辞退の防止
  • 良い状態での入社実現
  • 早期退職の防止

内定辞退の防止

 前述の通り、内定者に内定辞退されると、採用プロセスに要した時間・コストが無駄になります。特に内定承諾後に辞退が発生すると、時期的にも補填の採用ができないケースが多く、費やしたコストが無駄になり、かつ人員計画も想定どおりにいかなくなる危険性が高まります。

 計画どおりに社員を採用できなければ、事業計画にも狂いが生じかねません。内定承諾してくれた学生と定期的に接点を持って、きちんとフォローすることは非常に重要です。

良い状態での入社実現

 内定者フォローには良い状態での入社を実現して、新入社員が早期に活躍できるようにする目的もあります。

 例えば高いモチベーションで入社してもらうなどマインド面のフォロー、能力面ではeラーニング等を通じた研修実施、また、内定者同士の人間関係を形成するといった取り組みが挙げられます。また、入社後のリアリティギャップを和らげる、ギャップに対応する心構えをつけるような取り組みも有効です。

早期退職の防止

 大卒の新入社員が入社3年で3割が退職するというのはよく知られた数字です。2021年10月に発表された厚生労働省の『新規学卒就職者の離職状況』では、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は31.2%(2021年10月時点)となっています。3年で3割という数字は、過去数十年、数ポイントの増減はあっても大きな変化はありません。
※厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況を公表します

 3年以内離職の原因はさまざまですが、大きな要因のひとつが「入社前の期待や想像と現実のギャップ(リアリティギャップ)」です。採用活動において、内定承諾前は承諾してもらうための魅了付けの情報提供が中心となりがちです。さらに新卒の場合には、働いた経験がありませんので、その意味でもバラ色の入社後を描きがちで、入社後にギャップが生じやすくなります。

 だからこそ、内定承諾後から入社までの内定者フォローでは、辞退防止に向けたモチベーションの維持・アップと同時に、入社後のリアリティギャップ解消、リアリティギャップに対する心構えの形成も含めた対応が求められるのです。

内定者フォローの具体策

内定者フォローの具体策
 本章では内定者フォローの具体策を紹介します。

  • 定期連絡と情報提供
  • 既存社員との座談会
  • 内定者同士のワークショップや懇談会
  • 研修やワークショップ
  • 内定者向けのブラザー・シスター制度やメンター制度の実施
  • 内定者フォローツール

定期連絡と情報提供

 内定者フォローで最も基本となるのは定期連絡と情報提供です。

 前提として、最近の新卒採用において人事は内定承諾者が出揃ってくる頃には、翌年度の採用活動、インターンシップがスタートすることが多くなっています。また、採用目標に人数が届かなければ、採用活動にさらに時間を費やさなくてはなりません。

 そのなかで、選考中や内定承諾するまでは連絡が多かったのに、内定承諾したらコミュニケーション頻度が落ちるということが生じると、いわゆる「“釣った魚には餌をやらない”感じか。入社後も丁寧には扱ってもらえないのでは……」と内定者の不安が募ってしまいます。したがって、定期連絡は非常に重要となります。

 定期連絡は双方向でのコミュニケーションだけでなく、SNS等を使って気軽に企業の話題を発信することも有効です。また、双方向・個別のコミュニケーション部分は採用人数が増えると人事の手が回らなくなる部分でもあるので、後述する内定者向けのブラザー・シスター制度などを実施することもおススメです。

既存社員との座談会

 内定者と既存社員でフランクに喋ることができる機会を設けることも内定者フォローの定番です。

 座談会は、既存社員との対話を通じて入社の動機を再確認する、また、入社後のキャリアをイメージしてもらうことで入社意欲の向上につながります。また、生の情報を提供することでリアリティギャップをなくすことにも役立ちます。

 なお、座談会は参加メンバーに丸投げするのではなく、事前準備をしっかり依頼しましょう。参加メンバー座談会の意図を共有し、よくある質問に対して自分自身の喋る内容(例えば、入社理由や仕事のやりがい、大変なこと等)を事前に整理しておいてもらうことがお勧めです。

内定者同士のワークショップや懇談会

 内定者同士のワークショップや懇談会を通じて、チームビルディングをしていくこともおススメです。内定者にとって同期の存在は、入社後に壁を乗り越えたり目標に取り組んだりするうえで精神的な励みになります。

 同時に、内定者間の関係性をつくることで内定辞退防止にもつながります。形式張ったものではなく、ワークショップ+懇親会のような形で内定者同士が仲を深められる場を提供するのが望ましいでしょう。

研修やワークショップ

 上述したように内定者のモチベーション向上、チームビルディング、入社後の早期戦力化などを目指した研修やワークショップも定番です。例えばパーソルキャリア株式会社では、内定者の1年後の目標設定を既存社員が一緒になって設定する”内定者×タニモク”を実施しています。また、ニトリホールディングスでは”エンプロイー・ジャーニーマップ ”というツールを使って定年までの期間を10年単位に分け、どのような仕事をしたいか・どのようなスキルを身につけたいかを具体的に描き出すことを実施しています。

 上記のように入社を前提にして、入社動機を再確認したり、入社後の目標設定やキャリアプランを考えたりすることは辞退防止にもモチベーションUPにも有効です。

 こういった内定者のモチベーション向上やチームビルディングにつながる研修を実施する企業は増えています。HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、”強み活用”に着目した内定者研修、”レゴ”を使った内定者研修などを提供していますので、ご興味あればお問い合わせください。

内定者向けのブラザー・シスター制度やメンター制度の実施

 本来のブラザー・シスター制度は、新入社員一人ひとりに相談相手となる先輩社員をつける制度です。新入社員と年齢が近く、OJT指導者などでもない(上下関係がない)若手社員が企業に馴染むうえでのサポート役になります。

 これを内定承諾者向けに実施するのが内定者向けのブラザー・シスター制度/メンター制度です。新卒採用が中規模(10〜30名ぐらいの採用)になってくると、人事担当者だけで内定者を個別にフォローするのは容易ではありません。

 だからこそ、採用が中規模以上になったときは内定者向けのブラザー・シスター制度やメンター制度を検討することも有効です。ブラザー・シスターとなる既存社員には「定期的に連絡してコミュニケーションする」ことを依頼します。

内定者フォローツール

 前述のように内定者をマンパワーで手厚くサポートしようとすると、社内の人的リソースを消費しかねません。人的リソースを当てたくない場合は内定者フォローツールの活用も一つの手段です。

 前述したSNSでの情報発信などはLINEグループなどを使っても実施できますが、もう少し機能等を充実させたい場合には、内定者フォロー専用のITツールの活用もおすすめです。

 内定者フォローツールでは、SNSや掲示板などの機能で企業と内定者をつないだり、社内の様子・雰囲気をオンラインで伝えられたりします。情報を限られた範囲で共有でき、内定者間のやり取りなどをある程度コントロールできる点が魅力です。

 例えばサイボウズ株式会社では、自社ツール「サイボウズLive 」を活用して、SNSのような感覚で近況や写真を投稿できる状態にしています。

内定者フォローを行なうときの注意点

 内定者フォローを行なう際、以下の点に注意しましょう。

 □ 内定者フォローする側の人選に注意する
 □ 参加の無理強いをしない

内定者フォローする側の人選に注意する

 内定者と社員が関わりを持つ場合、参加する社員は慎重に選ぶべきです。当たり前の話ですが、内定者にとってロールモデルになるような社員や組織へのエンゲージメントが高い社員をアテンドすることが大切です。

 また、ブラザー・シスター制度などを実施する際には、内定者の性格や価値観も踏まえて社員の人選をできるとベストです。

参加の無理強いをしない

 企業の都合で大きな時間を強制的に使うようなことになると、内定者の負担になりかねません。とくに新卒の場合、内定者は卒業論文や卒業研究などに追われている場合もあります。また、強制になると給与や労務管理などの点もきちんと検討する必要があります。

 内定者イベント等に関しても、なるべく参加してもらいたいもの、自由参加のものなどを区分し、スケジュールにゆとりを持って内定承諾時点で提示できるようにしておくことが大切です。

内定者フォローの重要性

 内定者フォローは採用活動をするうえで手を抜いてはいけない部分の一つです。内定者は内定承諾から入社までの期間、「選択肢が失われていく」といった心理から“マリッジブルー”と類似する“内定ブルー”に陥りやすくなります。内定者に辞退されてしまうと、そこまでにかけた工数や費用は水の泡になってしまいます。

 だからこそ、しっかりと内定者フォローして、きちんとモチベーション高い状態で入社してもらえるように取り組みましょう。内定者フォローのやり方はさまざまですが、記事で紹介した主要な手法を参考にしてください。

 社内での工数や質向上の視点から内定者研修を外注したい場合には、HRドクターを運営する研修会社ジェイックも、強み活用やレゴブロックを使ったものなど、いくつかの内定者研修を提供していますので、お気軽にお声がけください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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