
行動規範やバリューを定めること自体は、それほど難しくなく、時間もかかりません。一方で、作成後の浸透こそが非常に重要であり、難易度も高い取り組みです。
以下では、行動規範の作成と浸透、それぞれのポイントを解説します。
行動規範を作成するポイント
行動規範を作るときには、以下の点を意識すると良いでしょう。
行動規範とミッション・ビジョンを連動させる
行動規範(バリュー)は、組織内で大切にする価値観であり、ミッションやビジョンを実現するための考え方や行動を示すものでもあります。したがって、組織のミッションやビジョンと紐づくものであることから、ミッション・ビジョンとの連動を考えることは重要です。
3つのアプローチで考える
上記を踏まえて、行動規範を言語化するときには、以下3つのアプローチで考えることがおススメです。
- 自分たちが「何を大切にする組織でありたいか」を言語化する
- 「ミッションやビジョンを実現するうえでどんな行動・意思決定が大切であるか」を言語化する
- 組織でいま実践されている「良い習慣・行動規範」を確認する
社員を巻き込む
行動規範の決定は、組織のマネジメントそのものであり、経営陣が検討・意思決定すべきものです。ただし、作成の過程では、メンバーを巻き込んだプロジェクトやメンバーへのアンケートなども行ない、多くの人を巻き込むことが浸透を図るうえで有効になります。
5~7個程度に絞り、簡潔な表現で表す
多くの会社の行動規範は5~7個の範囲に収まっています。
また、浸透のしやすさという点では、一つひとつの言葉はなるべく簡潔なものを選び、簡易な表現にすることが重要です。なお、簡潔に表現するうえでは、自社独自の言葉等を使うことも組織文化を作るうえで有効です。
行動規範を浸透させるためのポイント
行動規範を浸透させるうえでは、以下のポイントが大切です。
長い期間をかけて浸透させていく
行動規範を半年や1の期間を覚悟し、経営陣が主体となって取り組むことが大切です。
そして、行動規範を浸透させるためには、朝礼や研修、ミーティング、経営層からのメッセージなど、ありとあらゆる場面で行動規範を伝え続けることが大切です。組織には、新入社員や中途社員など、新たに加わるメンバーも存在します。したがって、行動規範を浸透させる取り組みが終わることはありません。
実際の仕事と結びつかせる
行動規範を浸透させるうえでは、まずは全メンバーが行動規範を覚えている(暗記している)状態を作ることが第一歩です。
そして、「覚えている」から「実践している」につなげるためには、行動規範が自分の仕事にどう結びつくのか、どう行動すればいいのかを、ケーススタディーなども使いながら考えてもらい、浸透させていくことが大切です。
行動規範(クレド)の浸透で有名なリッツ・カールトンホテルでは、毎朝の朝礼でクレドの一つを取り上げてディスカッションすることで、約40,000の全メンバーに行動規範を浸透させています。
行動規範(クレド)は価値観の表現となるため抽象的な表現になることが大半です。自分の仕事においては具体的にどういう行動や意思決定が行動規範(クレドの)実践になるのか、今日の仕事を何を意識するのかを意識させる取り組みです。
あらゆる箇所に行動規範を組み込む
作成した行動規範と仕事とを結びつかせ、メンバーに実践してもらうようにするには、以下のようなあらゆる箇所に行動規範を組み込むことが大切です。
- 朝礼
- 全体会議
- チームミーティング
- 表彰制度やインセンティブ
- 1on1ミーティング
- 人事評価
- 経営層からのメッセージ など
マネジメント層の実践
マネジメント層の行動や意思決定は、常にメンバーから見られています。メンバーはマネジメント層の行動や意思決定が、行動規範に沿っているかを注視しています。
マネジメント層が行動規範に反する行動をすれば、社員への浸透を大きく阻害することになるでしょう。マネジメント層こそ、最も行動規範の実践を意識する必要があります。
行動規範に反する行動への対処
行動規範と反する行動を放置することは、「行動規範は形だけのものだ」「守る必要はない」という経営陣からのメッセージになってしまいます。
したがって、行動規範に反する行動が行なわれた場合には、しっかりと是正・対応することが求められます。行動規範に反する行動にどう対処するかは、行動規範を浸透させるうえでの試金石となるでしょう。
特に、短期的な業績や達成と、行動規範が矛盾する場合、マネジメント層がどう判断するか、行動規範に反する行動を是とするのかは、メンバーに注視されています。