第2領域の活動で生産性を高める~『7つの習慣』第3の習慣実践ノウハウ~

第2領域の活動で生産性を高める~『7つの習慣』第3の習慣実践ノウハウ~

日本では「働き方改革」という言葉の浸透に併せて、「生産性を高めよう」という言葉をよく聞くようになりました。生産性とは「投資に対してどれだけの成果を出せたのか」を表す指標であり、働き方改革というキーワードに紐づいて使うときは、「労働時間」を投資する資源として指すことが大半です。

 

働き方改革とは単に残業を減らそうとか、業務を効率化しようという話ではありません。仕事の生産性を高めようという話です。仕事の生産性を高める、人生の効果性を高めるということを考えるうえで、非常に役に立つのが世界的ベストセラー『7つの習慣』第3の習慣に登場する「第2領域」というキーワードです。

 

記事では、第2領域とは何か、そして、第2領域という考え方をどのように取り入れて生産性を高めるのかを紹介します。

 

<目次>

第2領域とは?

第2領域とは、書籍『7つの習慣』の「第3の習慣 最優先事項を優先する」に登場するキーワードです。『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士は、第3の習慣で「私たちの時間の過ごし方は、4つの領域に分けることができる」と述べています。

 

本章では、第2領域を理解するうえで前提となる4つの領域を表す「時間管理のマトリックス」、そして第2領域とは何かを解説します。

 

 

時間管理のマトリックスとは

私たちの活動を緊急性・重要性という2つの軸によって、4つの領域に分類するものが「時間管理のマトリックス」です。

 

<時間管理のマトリックス>

 

時間管理のマトリックスは、私たちの活動を4つに分類します。

 

  • 第1領域(別名「必須の領域」)

「緊急かつ重要」な活動が第1領域です。第1領域には、緊急に対応する必要があり、なおかつ重要な事柄(例:締め切りのある大事な仕事、クレーム対応など)が入ります。「必須の領域」という名のとおり、第1領域に入るものは必ずやる必要がある活動です。

 

  • 第2領域(別名「効果性の領域」)

第2領域には「緊急ではないが重要」な活動が入ります。「緊急ではない」は「納期がない」と言い換えても良かもしれません。第2領域に入るのは例えば、新規事業の立案、事業戦略の構想、会議や訪問の事前準備、家族や友人との時間、人間関係づくり、運動、心身のメンテナンスなどです。

 

  • 第3領域(別名「錯覚の領域」)

第3領域は「緊急だが重要ではない」活動です。第3領域に入るのは無意味な会議、大量のメール処理、不必要な報連相、突然の営業電話や飛び込みへの対応などです。別名「錯覚の領域」というとおり、第3領域の活動は緊急度が高い、納期や期日があったり、急いで対応する必要があったりするため、「重要であり、やらなければいけないこと」だと我々は錯覚してしまいがちです。

 

  • 第4領域(別名「浪費・過剰の領域」)

無意味な電話やメール、SNSやYouTubeの見過ぎ、休憩のし過ぎ、ゲームのやりすぎなど、時間を浪費する活動が第4領域です。また、「過剰」とあるとおり、適切な休憩やSNS、ゲームなどは、気分観点や生産性を上げるうえで大切な活動です。しかし、やり過ぎると「浪費」の領域に入ってしまいます。

 

別名を見てわかるとおり、4つの領域で最も重要な活動が「第2領域」、別名「効果性の領域」です。第2領域にしっかりと時間を使うことで、生産性が上がり、長期的・継続的に望むものを得ることができるのです。事業戦略や計画、会議や訪問の準備、大切な人との豊かな時間、心身のメンテナンス等にしっかりと時間を使えていれば、生活や仕事の質、生産性が上がることがイメージできるでしょう。

 

 

第2領域の目的と重要性

くり返しになりますが、第2領域の活動は生活や仕事の質、仕事の生産性に大きく影響します。第2領域に入る活動の多くは「今すぐやらなくても困らない(緊急ではない)」ことが多いでしょう。

 

例えば、「事業戦略を考える」「家族と過ごす時間をつくる」、どちらも、今週やらなかったからといって来週に困ることはありません。しかし、1年間放置していたらどうなるでしょうか……。きっと望まない結果を迎えるのではないでしょうか。

 

私たちは緊急な用件、納期がある用事に目を奪われがちですが、重要なことに目を向けてしっかりと時間を使っていくことは、未来に望む結果を得るための投資です。

 

第2領域の活動をスケジューリングして仕事の生産性を高めるポイント

以下では、自らの生産性を高めるために、第2領域の活動を優先すべき理由、第2領域の活動をスケジューリングするために必要なこと、そして第2領域をスケジューリングする実践のコツを解説します。

 

 

第2領域の活動を優先すべき理由

HRドクターを運営する研修会社ジェイックは、おもに法人企業に向けて「7つの習慣🄬」研修を提供しています。ジェイックの講師が研修で第2領域や時間管理のマトリックスを解説したときに、受講生からよく聞かれる質問があります。「第1領域と第2領域の活動は、どちらが大事なのですか?」という質問です。講師の答えは、「どちらの活動も重要です。しかし、より大事なのは第2領域の活動です」というものです。

 

なぜ、第1領域よりも第2領域の活動のほうが大事だといえるのでしょう。理由は「第2領域の活動は、第1領域の活動を減らすことにつながる」からです。例を挙げて説明します。もし、第2領域の活動として、周囲と良い人間関係づくりができていれば、第1領域で何か対応が必要なことが発生した場合でも、誰かに協力をお願いすることができます。

 

また、事前にリスクを洗い出して対策を考えておけば、アクシデントが発生しても慌てずに対処できます。危機や災害への対処は、第1領域の活動です。そして、危機や災害が発生しないよう対策を立てたり、発生した場合に被害を最小限にする準備をしたり、といったことは第2領域の活動にあたります。

 

リスクへの対応ということだけではありません。打ち合わせの事前準備をしっかりすることで、打ち合わせは効率よく進み、短時間で終わったり回数を減らしたりすることもできるでしょう。人材育成に時間を割くことでメンバーが育てば、組織の成長が加速したり、自分の仕事をどんどん引き継いでもらったりすることもできるでしょう。

 

第2領域の活動に時間を割くことは、第1領域の活動を減らすことにつながるのです。したがって、第1領域と第2領域、どちらの活動も大事なのですが、第2領域の活動がより大事といえるのです。もちろん、第1領域の活動を完全になくすことは難しいでしょう。しかし、第2領域の活動に時間を割くことで、第1領域の活動を減らせれば、結果的に時間に追われることなく、最良のコンディションで物事に取り組めるようになるのです。

 

 

第2領域に時間を割くための条件

第3の習慣「最優先事項を優先する」を実践する、第2領域に時間を割くためには何が必要でしょうか。実は大きく2つの条件を満たす必要があります。

 

 

第一に「何が重要か」を決める基準です。自分にとって何が大事か、自分の役割が何かを明確にする必要があります。重要性の軸を決めるのはじつは第2の習慣です。大は自分自身の人生から小は日常の活動まで、「終わり(望む結果)を思い描くことから始める」を実践するからこそ、重要性を判断する基準が決まります。

 

次に「重要事項を優先する」という意思決定です。重要事項を優先するという意思決定は、第1の選択「主体的である」そのものです。外から津波のように押し寄せてくるさまざまなタスクのなかで、「第2領域に時間を割く」ということを選択する必要があります。

 

第3の習慣は、7つの習慣の前半部、自立と私的成功を実現する実践ステップです。だからこそ、第3の習慣を実践するためには、じつは第1の習慣と第2の習慣を身に付けている必要があるのです。逆にいえば、「第2領域に時間を割けていないな」と思うときは、2つの習慣を実践できているかどうかを振り返ってみることが有効です。

 

第2領域の活動をスケジューリングするコツ

これまでの人生で「今年は健康のために運動を始めよう!」と思ったことがある人は多いと思います。しかし、「年始の目標に掲げたものの結局やらなかった」「やり始めたけど三日坊主で終わってしまった」という経験がある人も同じように多いのではないでしょうか。

 

運動は多くの場合、典型的な第2領域の活動です。運動に限らず、第2領域の活動が始められない/続かない理由の多くは、「いつ時間をとって行なうか」を明確にしないまま、何となく決意することが原因です。

 

第2領域の活動をスケジュールする実践のコツをコヴィー博士は下記のように言っています。

 

来週の計画を立てる。まず、来週の自分の役割と目標を書き、それらの目標の具体的な行動計画を定める。一週間が終わったところで、計画を実践してみて、自分の価値観と目的を日常生活に反映できていたか、価値観と目的に対して自分が誠実であったかどうか評価する。

出典:『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

 

ポイントは「1週間単位のスケジューリング」、そして「自分の役割と目標」です。スケジュールを考える際には、まず自分の役割を考えます。上司・部下、〇〇部のメンバー、夫・妻、母親・父親、PTAの会長……など、私たちはいくつかの役割を持っています。

 

スケジュールを考える際には、自分が持つ大切な役割を明確にしたうえで、各役割において1週間のなかで達成したい重要な成果を考えるのです。例えば、プライベートであれば、夫として妻と食事に行く、仕事であれば、リーダーとして部下との面談を行なう、といったように考えていくのです。

 

役割にしたがって行動を決めるときに大事になるのが、第2領域の活動です。例えば「妻と食事に行く」と行動を設定するだけでは、どこに行ったらいいのか、何を食べに行くのかなどは決められません。仮に「夫として妻と食事に行く」という行動の目的が、「夫婦関係を円満に保つため」だったとします。であれば、「妻の好みや食べたいものを聞くために、妻と話す時間を確保する」ということが第2領域の活動になるでしょう。

 

同様に、部下との面談を行なうということであれば、「前回の面談で話したことを事前に見直しておく」が第2領域の活動になるでしょう。得たい結果に対して、効果のある活動が何なのかを考えて、第2領域をスケジューリングすることが重要です。

 

また、第2領域の活動は第1領域の活動よりも優先して設定することもポイントです。なぜなら、実際に週が始まると私たちの予定にはさまざまなスケジュールやタスクが飛び込んできます。突発的なアクシデント、急な頼まれごともあるでしょう。「スケジュールが空いたら第2領域の活動を実践する」では、いつまでたっても第2領域に時間を割くことはできません。

 

第1領域の活動よりも優先してスケジュールする、そして例えば、飛び込んでくる仕事がまだ少ないうち、1週間なら月曜日や火曜日、1日なら午前中にスケジュールすることも実践のコツです。

 

おわりに

今回の記事では、『7つの習慣』の第3の習慣「最重要事項を優先する」のキーワードである第2領域について解説しました。

 

私たちの活動を緊急性と重要性という2つの軸で4つに分類したとき、第2領域は「重要だが緊急ではない」活動です。第2領域に入るのは、例えば、新規事業の立案、事業戦略の構想、会議や訪問の事前準備、家族や友人との時間、人間関係づくり、運動、心身のメンテナンスといった活動です。

 

第2領域に時間を投資することは生産性を高めたり、人生で望む結果を得たりするために大事なポイントです。しかし、第2領域の活動は「緊急ではない」からこそ、自ら主体的に時間を割いて取り組む必要があります。

 

第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」で重要事項を明確にする、そして、第1の習慣「主体性を発揮する」を実践して自分の時間を第2領域に割くことを選択しましょう。

 

計画、準備、人間関係づくり、運動、リラックス……などの第2領域の活動を習慣にできれば、仕事の生産性や生活の質の向上など、人生にも大きな恩恵を得ることができます。記事で紹介したスケジューリングのやり方を参考にして、ぜひ1日に10分でもいいので第2領域の時間を取ることをおススメします。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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