「もう、最後の手段しかないんです」【知見メール73号】

2009/02/25

「もう、最後の手段しかないんです」

皆様、こんにちは。ジェイックの知見寺でございます。

 

 

先日、10年以上お付き合いをさせていただいている目黒区のH社長から

連絡をいただき、食事をしました。

 

H社長は、自動車関連の部品メーカーを営んでいらっしゃいます。

これまで順調に業容を拡大してこられたのですが、先月の受注額は

前年対比で、70%減だったそうです。

 

想像を絶する数字です。

 

ここまで落ち込むと、原価削減とか、経費圧縮とかではどうにもならない。

また、これからいつ上向きに転じるのか、見通しが立たない。

既に、派遣や請負の削減は着手されたそうですが、このままでは、正社員にも

何らかの手を打たざるを得ない、と仰っていました。

 

しかし、一方では会社の成長のために一緒にやってきた社員には、

できれば手をつけたくないんだ!と強くお話しされていました。

 

どうすべきか?本当に悩んでいるとのことでした。

 

経営者の悩みは重いです。

私が、H社長の判断について意見をすることもできるはずはないのですが、

ただ、情報提供はさせていただきました。

 

私は前職で、早期に退職した方の再就職支援をする会社で役員を

していました。業務上の必要から、雇用調整を行う場合の

経営サイドへの情報提供も行っていました。

 

それで、H社長は私に声をかけられた次第です。

 

いろいろとご説明をしたのですが、その中で良く聞かれる

質問がありますので、ひとつご紹介をしておきます。

 

通常は、いきなり指名解雇(法的には整理解雇といいます)をすることは

できません。整理解雇とは、個人名を指定して、解雇をすることです。

 

整理解雇には、過去の判例から4要件が必要とされています。

詳しく書きますと紙面が足りなくなりますので、簡単にご説明しますが、

4要件とは、1)人員整理の必要性、2)解雇回避努力義務の履行、

3)被解雇者選定の合理性、4)手続きの妥当性になります。

 

一言で言うと、簡単にはできない、ということです。

 

いきなり、指名解雇を行いますと、2)に抵触することになります。

 

社員からしますと、自分の生活がどうなるかということですから、

必死になりますし、感情的なこじれを生みやすくなります。

 

その結果、労基署に駆け込まれたり、ユニオンに相談に行かれたりします。

事態の収拾にさらに時間と労力が必要になってしまいます。

 

従いまして、苦渋の決断でやむを得ず社員の雇用に手をつけられる場合には、

関連法規や社員への対応の仕方を充分に理解した上で、行うことを

お薦めいたします。

 

また、指名解雇は簡単にはできない、すぐにすることはできないことから、

あらかじめ最悪のシミュレーションを行い、今からどんな手立てを打っておく

必要があるのかをご検討されると良いと思います。

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役

知見寺 直樹

大手コンサルティング会社を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海支店立ち上げも経験し、現在は本社HRおよび事業開発を担当する。

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