会社にとって部下の育成は重要ですが、その理由を理解していない方も多いのではないでしょうか。会社の将来にとって重要な理由がいくつかあります。
また部下の育成は漫然と行っていても効果を上げることはできません。計画の立て方や注意すべき点、育成のコツなどがあります。
これからご紹介する5つのポイントを押さえて育成に取り組むことが重要です。
<目次>
なぜ部下育成が必要なのか?
部下の育成が必要な理由を説明できる方は少ないのではないでしょうか。部下の育成は、部下と上司それぞれにメリットがあります。ここでは、部下の育成が必要な理由を解説していきます。
①将来の戦力を育てるため
上司といえども、一人でできることには限界があります。ある程度大きなサイズの仕事をするためには自らの片腕となって動く人が必要です。このため、将来の戦力となる部下の育成が必要です。
また組織が発展するためには、良い人材が必要です。
最初から自社に都合の良い人材はなかなかいませんが、入社後育成することによって、普通の人でも現場の第一線で動ける優秀な社員に育てることができます。
②上司自身の能力や評価を高めるため
部下を育成することによって、部下へ任せられる仕事が増えてきます。上司自身もさらに上を目指すことが必要ですから、仕事を部下へ任せることによって新たにできる仕事が増えてきます。
これは上司自身の能力上に役立ち、会社のためにもなります。また部下の育成は、現場管理職である課長の職務の一つです。
部下の育成を適切に行うことは業績向上にもつながりますから、課長自身の能力と評価を高めることにもつながるでしょう。そのため、部下の育成は上司の育成でもあります。
- 部下の育成は、より大きく、より多くの仕事をするために必要です。業績向上のためには欠かせません
- 部下の育成は上司の能力を高めることにもつながります
部下育成の計画3つのポイント
ここまで説明した通り、優秀な部下を持つためには、きちんとした育成が必要です。部下育成の計画を立てるためには、いくつかのポイントがあります。順に説明していきましょう。
①何を育成するのか、項目をはっきりと
部下の育成計画は、会社の事業方針とリンクするものです。そのため上司は、どの部下にどのような能力を育成する方針なのか、項目と達成すべき目標をリストアップしておく必要があります。
どの能力をどこまで育成するかということがあいまいだと、評価も何となくということになってしまいます。充実した部下の育成をするためには、育成項目と目標が明確であることが必須です。
②内容は部下とよく話し合って決めよう
部下の育成内容は、部下自身にとっても大きな関心事です。それは、これから重点的に能力開発をすべき項目が育成計画の内容によって変わってくるからです。
部下自身にも、能力開発をしたい項目があります。もしかすると、それは上司自身も知らない、新しいスキルかもしれません。場合によっては、育成計画を変更する必要もあるでしょう。
このため部下の育成内容は上司が一方的に決めるのではなく、必ず部下と話し合い、納得の上で決めましょう。
このようにすることで、部下自身も「自分で決めた目標」という意識を持つようになり、モチベーションも上がります。
③定性的な項目も面倒がらず、評価項目に含める
評価する際は、定量的な項目ばかりにしておいた方が楽なものです。売上や利益率、顧客対応数などがあげられるでしょう。
しかし定量的な項目だけで評価するのであれば、コンピュータにさせておけば良いことにもなります。せっかく上司が評価するのですから、定性的な項目も評価に含めたいものです。
また、人を伸ばす評価項目は定性的な項目の方に多く含まれています。そのため、業務知識や創意工夫、積極性といった項目も評価の対象に含めると良いでしょう。
- 育成目標を立てる際には、何をどこまで育成するか、はっきりしておきましょう
- 目標については、部下とよく話し合うことが大切です
- 定量的な項目だけでなく、定性的な目標も立てましょう
部下育成の5つのポイント
組織に貢献する部下を育成するためには、いくつかのコツがあります。働くだけの部下から組織に貢献する部下を育てるために、必要なポイントをみていきましょう。
①指示待ちではなく、自ら考える部下を育成する
仕事には必ずしも明確な答えがありません。上司も完璧ではありませんから、部下の方が良いアイデアを持っているという場合もあります。
このため組織が発展するためには、部下の能力を引き出すことが重要です。そのためには、できるだけ部下に考えさせるようにしましょう。
部下がわからなければ、ヒントを与えることも有効といえます。
②部下が成長できる仕事を与える
部下を育てるためには、仕事の仕分けも重要です。上司には部下の成長に資する仕事を与えることが求められます。
仕事を与える際には、部下に任せる理由と、達成すべき基準を示しましょう。部下ができる仕事が増えるたびに、上司の仕事は楽になり、より上位の仕事にチャレンジできるようになります。
③失敗事例は組織知として共有する
最短距離で部下を育成するためには、無駄な失敗はさせないことが大切です。
そのために、失敗事例を組織知として共有しておきましょう。組織知として共有することで、部下は自らが失敗することなくして失敗から学ぶことができ、能力向上につながります。
また、組織として同じ失敗を繰り返さなくて済むこともメリットといえます。
④チェックやフォローアップは万全に
ここまで説明した通り、部下に任せた仕事は部下が主体となって行うようにすることで、成長を促すことができます。上司が気を付けるべきことは、放置しないことです。
定期的に報告させることによって、間違った方向に進んでいないかチェックする必要ができます。もし失敗に向かっているような場合は、上司が介入しなければなりません。
そのためにも、チェックは万全に行いましょう。
⑤失敗した時こそ、部下が伸びるチャンス
部下が失敗した時は、部下が伸びるチャンスです。部下の失敗に上司がどう対応するかにより、部下は伸びることも委縮することもあります。
ポイントは失敗理由を考えさせ、次に同じことを起こさないようにすることです。何がいけなかったのか、また失敗した理由を部下が理解できるまで説明することが大切です。
部下が失敗の理由を理解していないと同じ失敗を繰り返しますから、このプロセスをおざなりにしてはいけません。
そして、どのようにしたら成功できるのか、その方法を部下に考えさせると良いでしょう。このようにすると、次のチャンスではきっと成功を収めることができるはずです。
- 組織の発展のためにも。自ら考える部下を育成することが必要です
- できるだけ部下が成長できる仕事を割り当てましょう
- 無駄な失敗体験は不要です。かわりに組織知として蓄積されている失敗事例から学ばせることが必要です
- 部下が間違った方向に進まないよう、定期的にチェックすることが大切です
- 失敗した時は、次に同じ失敗をしないよう、理解できるまで説明しましょう
おわりに
採用当日から即戦力になれるような優秀な部下であれば、育成はかなり楽になるでしょう。しかしそのようなことはほとんどなく、何らかの能力開発を必要とする場合が多いことが考えられます。
優れた部下の育成ができる会社は、普通の人も優秀な社員に変身させることができ、企業間競争をより有利に戦うことができます。のみならず、部下の育成は上司自身の能力開発にもつながります。
部下の育成を行うためには、きちんとした計画、部下の同意を得ること、そして適切なチェックやフォローアップを行うことが重要です。
また組織知の活用により、余計な失敗をさせないことも必要です。そのため部下の育成は人事計画の中でも重要な課題として取り組みましょう。