内定が決まった人材を招いて行う内定式。内定式後の辞退もあり得る内定者フォローの段階なので、企業にとって気の抜けないフェーズです。
本稿では、内定式を執り行う意味やメリット、式典の司会進行役が気をつけておきたいポイントを解説します。
<目次>
- 内定式とは
- 内定式を行う意味
- 内定式を行うべき時期はいつなのか
- 内定式で行われるスケジュールの順番、司会進行のセリフ例文
- 内定式を行うメリット3つ
- 内定式で司会進行役が気をつける3つのポイント
- 内定式の準備を入念に行い、内定者に入社したいと再認識してもらいましょう
内定式とは
内定式とは、企業が出した内定に対して承諾をした入社前の人材と、経営者や役員などの社内関係者が集い、紹介や顔合わせをするセレモニー(式典)です。
採用活動において内定者フォローは重要なプロセスの一つ。内定式を開催することは、その内定者フォローの一環として、大きな効力を持つ取り組みといえるでしょう。
内定式を行う意味
内定式を行う意味は主に次の3つが挙げられます。
- 理念や方針を伝える
- 社会人としての自覚を促す
- 不安を払拭しモチベーションを喚起する
理念や方針を伝える
自社の企業理念や方針を、経営者や役員から内定者に直接伝えることのできる機会です。直接の伝達なので、ホームページなどよりも伝わりやすいです。
その点を最大限に活かして、入社に対する心構えを整えてもらいましょう。
社会人としての自覚を促す
内定者に企業の社員とコミュニケーションをとってもらうことで、社会人になる実感を与えるチャンスが生まれます。
内定者にとって、特に新卒者によって、内定式は特別感のあるイベント。式典に出席すること自体が、自分が社会人として足を踏み出したと感じるきっかけになるでしょう。
不安を払拭しモチベーションを喚起する
入社前の人材は、少なからず不安を持っているものです。内定式では、不安のもととなっている、さまざまなことについて再確認してもらえます。
不安を払拭すれば、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。
内定式を行うべき時期はいつなのか
内定式は何度も開催するものではありません。ですので、今後の採用予定や内定者の都合を考えて、できるだけ多くの内定者が参加できる時期を選びましょう。
それを考えると、内定式を行うのに最適な時期は企業の状況によってさまざま。ただ、例年多くの企業は、10月頃に内定式を開催しているようです。
内定式で行われるスケジュールの順番、司会進行のセリフ例文
次は内定式当日のこと、式の一般的なスケジュールの流れを見ていきましょう。流れの各項目のポイントとともに、司会進行役のセリフの例文をご紹介します。
実際には、企業規模や内定者人数などに合わせて進めるべきものなので、あくまで一般的な内容として参考にしてください。
- 1.開会
- 2.社長・役員紹介と挨拶
- 3.部門長の紹介と挨拶
- 4.内定証書授与・内定者の答辞
- 5.閉会
また、内定式の日は、懇親会や書類の手続きの時間もとられることが多いですが、セレモニー自体の長さは、おおまかに一時間程度の企業が多いです。
1.開会
開会に先立ち、まずは司会進行役自身の名前を名乗りましょう。そして、厳粛にはっきりと開会を宣言します。
- 「進行を務めさせていただきます、○○と申します。よろしくお願いいたします」
- 「皆様、ご起立願います。ただ今より株式会社○○の内定式を執り行います」
2.社長・役員紹介と挨拶
社長や役員の紹介では肩書きと名前を呼びます。名前を呼ばれたら、起立して一礼するのが一般的です。紹介の順番など、内定者の前で挨拶する人とはしっかり打ち合わせしておきましょう。
- 「専務 〇〇です。」「常務 〇〇です」
- 「社長訓示、代表取締役社長、お願いいたします」
3.部門長の紹介と挨拶
各部門長レベルの社員が出席していれば紹介をします。その中での代表挨拶は人事部長が行うところも多いです。
- 「各部門の責任者をご紹介します」
- 「~本部長 〇〇です」「~部門 部長 〇〇です」
- 「代表いたしまして〇〇部門 〇〇部長 お願いいたします」
4.内定証書授与・内定者の答辞
内定証書を受け取る流れは、当日事前に説明しましょう。内定者が多い場合は、内定証書の授与は内定者から、一人代表者を指名しておきます。
授与される人、答辞を述べる人には、当日より前のできるだけ早いうちに伝え、当日もしっかり打ち合わせをします。
- 「内定証書を授与します。名前を呼ばれた方は前にお進みください」
- 「内定証書を授与します。代表して、〇〇さん、お受け取りください」
- 「内定者を代表し、〇〇さん、答辞をお願いいたします」
- 答辞終了後「〇〇さん、ありがとうございました」
5.閉会
閉会後に計画されていることがあればその説明をして閉会を宣言します。スケジュールに合わせてスムーズに誘導しましょう。
- 「以上を持ちまして、内定式を閉会いたします」
- 「このあと、懇親会を予定しておりますので、そのままお待ち下さい」
- 「引き続きまして、懇親会を行いますので、○室へ移動をお願いいたします」
内定式を行うメリット3つ
内定式を行うメリットは主に次の3つが挙げられます。
- 内定フォローができる
- 同期・既存社員が交流できる
- 社内も活性化する
内定者フォローができる
冒頭でもお伝えした通り、内定式を行う時点でも、内定辞退の可能性はゼロではありません。
内定式は内定者をフォローする機会の一つとして、内定者にあらためて入社意識を高めてもらうことができます。
同期・既存社員が交流できる
複数の内定者がいれば、内定式で一同に集まることになります。また、内定式の日に既存社員との交流の場を設ける企業も多いです。
内定者にとっては、入社後に関わる人たちとの得難いコミュニケーションの機会となります。
入社前に同期や既存社員と知り合うことができれば、入社前の不安も和らぎ、入社後もより安心して働けるでしょう。辞退回避とともに早期離職の防止にもつながるのです。
社内も活性化する
内定式は、社内が活性化され、既存社員の意欲を高める効果も期待できます。
組織が新たに人材を受け入れるために開催する内定式。そのための準備から当日まで、社内にはいつもと異なる活気が生まれます。
どのような人材が入社してくるのかに興味を持ったり、自分の新卒時代を回顧したりする社員もいるでしょう。
内定式で司会進行役が気をつける3つのポイント
内定式は、良くも悪くも内定者にとって印象深いものとなります。
内定式を滞りなく、かつ内定者にとって印象の良いものにするために、司会進行が気をつけておきたいポイントを3つ解説します。
- 時間を意識する
- 司会として目立ち過ぎない
- 社内で相談してやることを決める
時間を意識する
司会進行には、予定の時間が押してしまわないよう柔軟な調整が求められます。内定式で行う催しの一つ一つに、細かく始まりと終わりの時刻を設定しておくと時間のズレを把握しやすくなるでしょう。
予定時間にいくらかのズレが生じても、できるだけ予定通りに終わるように努めてください。
どうしても長引きそうな(早く終わりそうな)場合は、後に行う項目を縮めたり、伸ばしたりするための手配をしましょう。
準備するスタッフやスピーチをお願いしていた人に、早めに調整を依頼することが大切です。
司会として目立ち過ぎない
司会進行役は、式典の最中は常に耳を傾けられる存在です。
気の利いたことを言わなければならない、リラックスさせるためにジョークを飛ばそうなどと考える人もいるかもしれません。
しかし、当日の主役はあくまで内定者です。司会進行が目立つ必要はありません。予定通りに進めることに集中して、無闇に目立ち過ぎないように注意しましょう。
社内で相談してやることを決める
内定式では、場の雰囲気を良くするためのファシリテーションが必要とされる場面はあるかもしれません。しかし、場を盛り上げようと独断で何かをやってしまうのはリスクが大きいです。
確かに印象を良くするための企画が功を奏すこともありますが、内定式は社内の風土に合わせなければなりません。方針や進行は社内で事前に相談し、決められたことに沿って進めるのが適切です。
内定式の準備を入念に行い、内定者に入社したいと再認識してもらいましょう
内定式は、内定者に社会人としての自覚や入社意欲を強めてもらう重要な機会です。
開催にあたっては、内定者に企業のことを知ってもらいたい、内定式を盛り上げたいと思う気持ちもあるでしょう。しかし、何より大切なのは、内定者を歓迎する気持ちではないでしょうか。
スケジュールと時間管理、事前の打ち合わせなどの準備を入念にしておけば、内定式はスムーズに進められるはずです。ぜひ、内定者に好印象を与える内定式を実現させてください。