オヤカクとは?学生の内定辞退を防ぐために企業が行なうべき対策のポイント

更新:2023/01/23

作成:2022/12/07

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

オヤカクとは?学生の内定辞退を防ぐために企業が行うべき対策のポイント

近年では、新卒採用が早期化・長期化するなかで、学生の内定辞退も起こりやすくなっています。

内定辞退や承諾を左右する要因のひとつが、「オヤカク」などとも呼ばれる両親の影響です。

記事では、オヤカクという概念とオヤカクという言葉が出てきた背景を確認します。

そのうえで、中堅中小企業やベンチャー企業、BtoB企業、特定の業界などで、オヤカクの必要性が高い理由と、そうした企業におすすめのオヤカク対策を紹介します。

<目次>

オヤカクとは?

親ブロック
オヤカクとは、「親に確認」の略語です。

具体的には、企業が内定を出す学生、内定承諾した学生などに対して、「自社への入社について親から承諾は得ているか?を確認すること」を指します。

採用現場において、オヤカクは「この学生、オヤカクは済んでいるの?」などと使われます。

「ご両親の承諾は得ているか?」というと少し堅苦しいですが、「親に話しているか?」という意味合いで、内定者だけでなく選考中の学生にもオヤカクという考え方や言葉を使うこともあります。

オヤカクという言葉が出てきた背景

オヤカクという概念の登場は2014~2015年とされています。まず、オヤカクとよく似た概念である「親ハードル」「親ブロック」という概念に触れておきましょう。

2014~2015年頃の日本では、リーマン・ショックで落ち込んでいた景気が回復。

リーマン・ショックで一度は急激に冷え込んだベンチャー企業やスタートアップの資金調達額も急回復を遂げていました。

当時、経済の好調にあと押しされるかのように、学生の就職活動も、就職難から売り手市場の時代に入っていました。

リーマン・ショックのような不況であれば、買い手市場への認識も揃いますし、学生も安定志向が強くなります。

しかし、2014~2015年頃になるとベンチャー企業の勢いも加速していることから、「ベンチャー企業で自分の力を試してみたいかも!」という選択をする学生が増えていました。

経済全般的にもWebサービスが主流となるなかで、親が聞いたことがない企業・業界に就職しようとする学生も増えるようになりました。

一方で、両親は「いまは景気も良いし、そんな名前も知らない企業なんて大丈夫なの?もっと大手企業に行けるんじゃないの?」と子供の幸せを願うが故に大手志向・安定志向になりがちです。

こうした親子のベクトル、認識のズレに加えて、親が過干渉気味である場合に、いわゆる「親ハードル」「親ブロック」と呼ばれる「本人の志望度は高いが親が反対している(反対しそう)」という状態が生まれることになります。

これが「親ハードル」「親ブロック」と呼ばれるものです。

オヤカクが注目を集める理由

近年、オヤカクの重要性は、さらに高まっている側面もあります。

まず、経団連が2018年10月に就活ルールの廃止を発表したことで通年採用が普及し、結果的に企業の採用活動(学生の就職活動)は早期化・長期化しています。

新卒市場が早期化・長期化すると、学生は時間をかけてじっくり企業選びができるようになります。

じっくり企業選びができるとは、たとえば、大学3年生の冬に獲得した内定に親ブロックがあれば、内定を辞退して、大学4年生の春から就職活動を再開できることを意味します。

昔のような教授推薦、リクルーター制度なども薄れ、内定辞退や内定承諾の法的効力などに関する理解も進んでいるなかで、近年では、内定辞退することも一般的になっています。

内定辞退、内定承諾後の辞退が増加傾向にあるなかで、オヤカク・親ブロックを防ぐ対策を意識する企業も増えるようになりました。

オヤカクの必要性が高い中堅中小企業、ベンチャー企業、BtoB企業

多くの親は子供の幸せを考えるからこそ、強い安定志向・大手志向を持っています。

2021年にマイナビが行なった調査結果によると、子どもが入社する企業の特徴として「経営が安定している」を望む親が半数以上いることがわかっています。

出典:2021年度 就職活動に対する保護者の意識調査(株式会社 マイナビ)

特に自分自身が大手企業や公的機関に勤務する両親、また、いまの就職市場やビジネス状況に疎くなりがちな専業主婦(主夫)などは、その傾向が高くなりがちです。

結果として、「社名を知らない」「従業員数が少ない」「ビジネスモデルが理解しにくい」、また、「あまり良いイメージがない業界」といった場合に反対されやすくなります。

具体的には、知名度が低かったり、事業内容をイメージしにくかったりする中堅中小企業、ベンチャー企業、BtoB企業など、また、あまり印象が良くない人もいる飲食やサービス業などです。

こうした企業は親ブロックでの内定辞退などが生じないよう、オヤカクへの対策を準備しておくことも大切です。

具体的なオヤカク対策

家族イメージ
株式会社ネオキャリアの調査結果によると、2018年時点では、人事担当者の約6割が「オヤカク」という言葉を知り、36.6%はオヤカクの内容を理解しています。

一方で、66%の企業は、内定者の親に対する対策を何も実施していません。

出典:就職活動における「企業」と「親」に関する調査 ~2019年「オヤカク」最新動向を公開~(株式会社ネオキャリア)

先述のとおり、これからの新卒採用は、通年採用による早期化・長期化、また少子化による売り手市場の加速によって、特に中堅中小企業やベンチャー企業、不人気業界の採用難が生じやすくなります。

こうした時代に、学生の内定辞退を防ぎ、採用活動を成功させていくには、子どもの就職活動に影響を与える親に対して、以下のような対応を検討することも必要です。

保護者向け資料の郵送

株式会社ネオキャリアの調査によると、「企業情報資料の送付」が、親がいちばん希望するとともに、企業側も最も必要と考える施策です。

保護者向け資料で大切にすべきポイントは、学生向け資料とは少し変わってきます。

たとえば、株式会社マイナビの調査結果では、子どもが入社する企業の特徴として望むことの上位は以下の項目です。

  • 1位:経営が安定している
  • 2位:本人の希望や意志に沿っている
  • 3位:社風や雰囲気が良い
  • 4位:企業の成長性が見込める
  • 5位:福利厚生が充実している

保護者向け資料を作成するなら、上記のニーズ×自社の魅力の交わるところで、テーマやコンテンツを考えるとよいでしょう。

出典:就職活動における「企業」と「親」に関する調査 ~2019年「オヤカク」最新動向を公開~(株式会社ネオキャリア)
出典:2021年度 就職活動に対する保護者の意識調査(株式会社 マイナビ)

保護者向け説明会の実施

保護者向けの説明会では、親のニーズに応じた以下のようなプログラムを盛り込めば、親の不安・疑問・違和感を解消しやすくなります。

  • 本当に安定しているのか?⇒自社の成長性や安定性の説明
  • 我が子はどのような企業で働くのか?⇒オフィス見学
  • 我が子をお願いできそうな経営陣か?気になることを直接聞いてみたい! ⇒経営陣との交流会・座談会 など

いまの時代であれば、オンラインでの説明会や録画動画の提供を検討してもよいでしょう。

親向けの内定理由通知書の送付

内定を出した理由を以下のように具体的に伝えることで、「この企業では我が子をきちんと評価してくれている」と感じてもらいやすくなります。

  • 弊社ではダイバーシティ経営に力を入れているため、Aさんの高い語学力や留学経験、多様性への高い意識に惹かれました……
  • Bさんが情報システム工学科で身につけられたデータサイエンスの知見は、弊社の新規事業やDX推進に不可欠なもの…… など

内定理由通知のなかで「ぜひ弊社にご子息をおまかせください」や「必ず良いエンジニアに育て上げます」などと記載することも、親に安心感を与えられることにつながるでしょう。

内定式・入社式への招待

内定承諾後の話になってきますが、内定式や入社式に招待することも親に安心してもらうためには有効です。

たとえば、広島県広島市のオタフクソースでは、40年ほど前から入社式に家族を招待してきました。

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでも、新卒採用をはじめた初期は、家族を入社式へと招待していました。

本社に足を運び、社内や社員の顔を知ってもらうことで、親は安心できるようになります。

本社まで来られない親のために、内定式や入社式をオンライン配信することも一つでしょう。

個別訪問

個別訪問とは、資料などを持って、人事担当者や経営層が自宅に挨拶に行くものです。

ただし、コロナ禍のように人と人との接触が難しい状況で無理に個別訪問を続けると、逆にネガティブなイメージを持たれる可能性もあります。

もちろん個別訪問をオンラインで実施することも可能ですが、学生によっては親との関係が悪く、企業と親の接触を望まないケースもあります。

そのため、個別訪問などをするときには、学生の意向を確認することも大切でしょう。

まとめ

オヤカクとは、企業が学生に対して、「自社への入社(内定承諾)について、親から承諾を得ているか?」を確認することです。

親に過去の就活や経済知識しかなかったり、自身が公的機関や大手企業に勤めていたりすると、子供の幸せを考えるが故に安定志向、大手志向になりがちな側面があります。

したがって、一般的な認知度が低くなりがちな中堅中小企業、ベンチャー企業、BtoB企業、また、業界への印象が良くない場合などは、オヤカクへの対応が大切です。

オヤカクを必要とするような親には、以下の対策を実施するとよいしょう。

  • 保護者向け資料の郵送
  • 保護者向け説明会の実施
  • 親向けの内定理由通知書の送付
  • 内定式・入社式への招待
  • 個別訪問 など

多くの親は子供の幸せを願うが故に安定志向、大手志向であることが多いものです。

企業は、親の気持ちに配慮したうえで、子供の選択を支援してもらえるよう対応していくとよいでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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