学生の興味や関心を刺激する採用キャッチコピーは、新卒採用における優秀な母集団の形成に役立ちます。記事では、自社の魅力がターゲットに伝わるキャッチコピーの作り方や自社やターゲットのタイプに合わせた「刺さる」キャッチコピー例32選を紹介します。
<目次>
- 魅力的なキャッチコピーを作る目的
- 効果的なキャッチコピーの作り方
- メッセージ性のあるキャッチコピーにする3つの方法
- 採用キャッチコピーの注意点
- 採用キャッチコピーを広める
- 新卒に刺さる!キャッチコピーの例12選
- ペルソナ別新卒採用キャッチコピー20選
- まとめ
魅力的なキャッチコピーを作る目的
新卒採用でキャッチコピーが重要だとされるのはなぜなのでしょうか。まずは、採用におけるキャッチコピーの役割を確認しておきましょう。
キャッチコピーとは?
キャッチコピーとは、商品やサービスの魅力を一言で伝えるフレーズです。国語辞典では、キャッチコピーは「消費者の心を強く捉える効果をねらった印象的な宣伝文句*」と記載されています。つまり、キャッチコピーは商品やサービスに興味を持つ最初のきっかけになる言葉です。長さは1フレーズが目安でしょう。
少子化に伴う売り手市場の加速等を反映して、近年、新卒採用でもキャッチコピーの重要性は増しています。採用におけるキャッチコピーは、自社の魅力やビジョン、理念をターゲットの学生に伝えて、興味を持ってもらうためのフレーズです。
*引用:『大辞林』(第三版)
多くの応募者を集める
学生が求人情報をチェックする際には、大きな文字で書かれているキャッチコピーは最初に目に入る文章です。採用活動におけるキャッチコピーは、学生が企業を知る最初の情報であり、企業とのファーストコンタクトなのです。
キャッチコピーが魅力であれば、学生たちが求人詳細や応募条件をはじめとした他の情報に目を通す確率も高まります。結果として応募者を増やし、新卒採用の母集団形成に役立つのです。
企業ブランディング
「このキャッチコピーはあの会社」と、キャッチコピーを見るだけで会社が分かる経験は誰もがあると思います。キャッチコピーのインパクトはそれほど強く、キャッチコピー一つでイメージや事業内容を思い浮かべさせることが出来ます。キャッチコピーとは、自社の独自性や魅力、事業について周知させる「ブランディング」にも有効です。
ブランディングの視点を考えると、学生にアピールするキャッチコピーは「一貫性」が重要です。毎年毎年キャッチコピーの方向性が変わるようでは、求職者に自社のイメージが定着しづらくなります。自社の魅力やイメージを端的に伝えるキャッチコピーを一貫して使い続けることで、より求職者の印象に残りやすくなります。
魅力的なキャッチコピーは就活生だけでなく、取引相手や消費者などにも、企業を認知してもらえる手段になり得ます。
効果的なキャッチコピーの作り方
魅力的なキャッチコピーは自社のブランディング向上や採用者の増加などの効果をもたらします。しかし、簡単に作成できるものではありません。効果的なキャッチコピーを作成するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
ペルソナを設定する
ペルソナとは、キャッチコピーの対象となる人物像のことです。人物像は定量的な情報だけでなく、日常の生活や行動などまで、かなり細かく考えることが大切です。
「名前」「年齢」「性別」「住まい」「勤務先」「年収」「価値観」「普段見る雑誌やWebサイト」など、対象となる人物の内面まで設定することで、より相手にインパクトするフレーズにつなげるのが、ペルソナを設定する目的です。
ペルソナを設定することで、学生が「仕事に求めるもの」「共感しやすい理念や価値観」「どのようなキーワードで企業を探しているのか」といった点を想定しやすくなり、効果的なキャッチコピーを作りやすくなります。
自社の働き方や事業内容をまとめる
魅力的なキャッチコピーを作るには、自社の独自性や他社との差別化ポイントを知る必要があります。そのために、自社の働き方や事業内容はもちろん、企業理念や価値観などもまとめましょう。
その後、外部に対して伝えたい自社の強みや、もっとも伝えたいメッセージについてピックアップします。キャッチコピーの文章はそれほど長くはありません。伝えたいことをあらかじめ整理しておくことが大切です。
競合他社のキャッチコピーを確認する
キャッチコピーを作る前に、競合他社のキャッチコピーのリサーチも行いましょう。 同業だけでなく、採用競合という視点でリストアップして求人ページやサイトを確認しましょう。
確認するときは、他社のキャッチコピーに対して「自分やチームメンバーはどう思ったのか」といった感想とともに他社の事業内容や企業理念などをまとめていきましょう。そうすることで、キャッチコピーのペルソナや狙い、実際にそれがうまくいっているかが見えてくるはずです。自社のキャッチコピーを作成する際の大きな参考材料になります。
また、競合のキャッチコピー確認は、自社のキャッチコピーを他社と被らせない意味でも重要な作業です。後発のキャッチコピーが重複してしまうと、ブランディングの効果は薄れてしまいます。独自性のあるキャッチコピーを作るためにも、まずは調査を行うとよいでしょう。
短くシンプルなキャッチコピーを作成する
キャッチコピーは「短くわかりやすく」がポイントです。言いたいことを全部詰め込もうとすると、それはただの説明文になってしまいます。キャッチコピーでは他者への伝播のしやすさも重要です。簡単に記憶できて、かつ印象に残るものを作るようにしましょう。
日本でも有数の規模を誇るYahoo!ニュースのトピックスは、見出しを13.5文字(13文字と半角スペース1つ)に設定しています。13.5文字というのが一目で内容を把握でき、スマホで見るのにちょうどよい文字数だからです。
SNSなどで拡散するうえでも、短いキャッチコピーの方が効果的です。短く、曲解されないシンプルなキャッチコピーに仕上げましょう。
メッセージ性のあるキャッチコピーにする3つの方法
内容が魅力的であっても、文章が単調であったり印象に残りにくかったりするキャッチコピーは効果的ではありません。印象に残るキャッチコピーにするために、3つのポイントを意識してみましょう。
1 句読点を巧みに使う
古くは俳句のような5・7・5のリズム、近年ではラップのような韻を踏んだリズムなど、日本語において「リズム」は、メッセージを発信するうえで大切です。キャッチコピーを作成する際にも、リズムを意識してみましょう。
リズムを作るためには、言葉と選びと共に句読点の使い方が非常に重要です。句読点をうまく使うことで、リズムのよい文章を作れます。
- 「セブンイレブン、いい気分」(セブン-イレブン)
- 「ココロも満タンに、コスモ石油」(コスモ石油)
- 「玄関開けたら、2分でごはん」(サトウのごはん)
上記のように句読点を使ってリズミカルなキャッチコピーに仕上げる手法は、よく使われています。
2 まるで話しかけられているように
まるで友人に気軽に話しかけるように、口語的でわかりやすいキャッチコピーを作っている会社も多くあります。その中でもとくに使いやすいのが「疑問形」のパターンです。
- きれいなお姉さんは好きですか?(ナショナル美容用品)
また、友人に話しかけるような話し言葉のキャッチコピーも、人の印象に残りやすいでしょう。
- いいことあるぞ〜(ミスタードーナッツ)
このように話しかけられるかのようなキャッチコピーは、人の心にすとんと落ちてきます。また、人は尋ねられるとその答えを自然と探してしまいます。 電車の広告で問題文や疑問文の広告が多いのは、電車内という暇になりやすい時間に広告の内容についてより考えてもらうためです。
3 思わず「なぜ?」と聞きたくなるように
- 「やめられない、とまらない」(カルビーかっぱえびせん)
- 「お、ねだん以上。」(ニトリ)
上記は有名なキャッチコピーですが、聞いたときに「なぜ?」と問い返したくはなりませんか?「『やめられない、とまらない』は何がとまらないのだろう…?」「何が値段以上なのだろう?」
先ほどの疑問形とも重なる部分がありますが、このように「なぜ?」と聞き返したくなるようなフレーズは頭の中に残りやすいものです。キャッチコピーを耳にした人が「どういう意味なんだろう」と調べるような行動を起こせば、大成功です。
採用キャッチコピーの注意点
採用キャッチコピーは作り方を間違えると、学生の警戒感を生んでしまいます。キャッチコピーのせいで採用希望者が減ってしまうような事態もあり得ます。そうならないためには、採用キャッチコピーの注意点も把握することが大切です。
奇抜だからよいわけではない
競合他社との差別化や学生に強いインパクトを残す目的で奇抜なキャッチコピーをつけたがる採用者もいます。しかし、奇抜さが必ずしも良い方向に働くわけではありません。
もっとも良くないのが、企業理念や事業内容と反するパターンです。キャッチコピーとは、突き詰めれば自社を一言で表したフレーズです。見た目の刺激だけを重視して、自社とあまり紐づかないフレーズにすると、後々になって採用希望者が自社を調べたときに、キャッチコピーとの違いに違和感が生じます。
目を引く奇抜さより、自社が望んでいる人物像や企業文化を盛り込み、企業にマッチする人材が応募してくるキャッチコピーを作成しましょう。
ブラック企業に見えるキャッチコピーがある
採用人数を集めたいからといって、極端にハードルを下げたキャッチコピーを見かけることがあります。
- 「書類選考なし」
- 「すぐに月収○○万円達成」
- 「将来のために役立つ」
などです。
上記は一見人が集まりやすいように見えるものの、「そこまでハードルを下げなければ社員が集まらない会社」だと思われてしまい、優秀な人材ほど敬遠してしまうことがあります。
他にも「すぐに稼げる!」「ただ○○すればいいだけ!」といった非現実的なキャッチコピーも、優秀な人材ほど応募を見送ってしまう可能性が高いでしょう。学生たちのなかでブラック企業とささやかれてしまうリスクもあります。応募のハードルを下げる場合は会社側が行っている具体的な施策について触れることがポイントです。
採用キャッチコピーを広める
採用キャッチコピーを作ったら、それを拡散し、より多くの学生や求職者に届けることが重要です。キャッチコピーを広める手段を紹介します。
採用サイトや説明会で活用する
まずは採用サイトや説明会の資料にキャッチコピーを掲載しましょう。採用活動を行うにあたって、採用サイトを作成することは大切です。採用サイトは、企業サイトとは違って求職者のみをターゲットにしたサイトです。応募者の目線に合ったサイトを作成すれば、採用に大きく貢献するでしょう。
とくに昨今では、求職者は必ず求人サイト等の情報と併せて、自社のHPを確認します。その時に応募者目線で見やすい採用サイトを準備しておくことは必須です。
加えて、説明会の資料や求職者向けの資料にキャッチコピーを記載するのも有効です。自社の採用チャネルでキャッチコピーをどんどん拡散していきましょう。その際、フォントや画像の方向性なども、自社のイメージや雰囲気と合うように工夫することが重要です。キャッチコピーは文言だけでなく、フォントやカラーによっても伝わり方ががらりと変わります。
SNSや動画で拡散を狙う
最近では採用活動の一環として、自社の説明や求人情報をSNSや動画で発信している企業も増えています。SNSや動画の中でキャッチコピーを紹介するのも有効な方法です。
動画を使った手法は、情報発信者の姿が直接見えることに利点があります。学生が憧れるような社員や社長が自ら情報を発信できるほか、テキストと比べて多くの情報を伝えられること、オフィスの雰囲気など言葉以外の情報を発信できるのもメリットといえるでしょう。
SNSでの発信も、宣伝費がかかりにくく、拡散されやすいといった特性があります。SNSから動画へ誘導することも可能です。SNSや動画など、新卒世代が馴染む深いツールを使って、キャッチコピーをはじめとした会社情報を拡散することも検討しましょう。
新卒に刺さる!キャッチコピーの例12選
ここからはキャッチコピーを厳選して紹介します。まずは新卒をターゲットにしたキャッチコピー12選です。自社のキャッチコピーを考えるうえでの参考にしましょう。
働く意欲をかき立てるキャッチコピー
働く意欲をかき立てるキャッチコピーは、チャレンジングな社風、意欲的な社員が多いことを新卒に意識づけます。
- 「やってみなはれ」(サントリー)
- 「楽しくなければ仕事じゃない」(アステックペイントグループ)
- 「はじめの、一粒」(株式会社サカタのタネ)
- 「想像できるすべてのことを、ともにつくろう」(GMOアドパートナーズ株式会社)
- 「「 」、ツケテいこうぜ。」(大和ライフネクスト株式会社)
新人でもどんどん仕事を任せる、挑戦させてくれる会社は、新卒学生にとって魅力的な会社と映ります。上昇志向の強い学生や、さまざまな仕事に取り組む意欲の高い学生を引きつけるでしょう。
働く姿をイメージできるキャッチコピー
社会人未経験である学生にとっては、自分が働く姿は遠い存在の思ってしまいがちです。そうした求職者には、実際に働く姿や目標を想像しやすいキャッチコピーは魅力的に見えるでしょう。
- 「最高のコンテンツを作る会社」(株式会社Cygames)
- 「あなたの仕事は文化になる」(松竹株式会社)
- 「一生を、照らす人」(九州電力株式会社)
- 「地図に残る仕事」(大成建設株式会社)
学生に実際に働いている姿や仕事のやりがいを想像させることも、キャッチコピーの有効なパターンです。会社に入って何がしたいのかをあらかじめ想像させることができれば、キャリアや目標設定がしっかりした学生の採用につながるでしょう。
「自分のことだ」と感じるキャッチコピー
あたかも自分のことを言っているかのようなキャッチコピーは、学生の心に強く刺さります。
- 「「面白がり」、求む」(株式会社ディー・エヌ・エー)
- 「いい子になるな、いい個になれ」(株式会社三井住友銀行)
- 「きみはおもちゃが好きか?」(株式会社タカラトミー)
上記に挙げたキャッチコピーは「面白がれる人」「自立した人」「おもちゃが好きな人」と、求人対象を具体的に挙げています。当てはまる学生は「自分のような人材を求めているのだ」と思い、企業に関心を持ちやすいでしょう。
ペルソナ別新卒採用キャッチコピー20選
続いてはターゲットのタイプ別に、秀逸な新卒採用キャッチコピーを20個選んで紹介します。他社のキャッチコピーを見ることも、自社のキャッチコピーを考える参考になるでしょう。
好奇心旺盛な学生に刺さるキャッチコピー
インパクトの強い採用キャッチコピーはSNSで話題になることも多いですし、記憶に残る効果が強く、母集団形成やブランディングに役立ちます。
- 「ようこそ、ブラックな企業へ」(トゥモローランド株式会社)
- 「持ってくるのは興味と疑問だけでOK」(株式会社Delight)
- 「社長は泣いています」(株式会社浅野)
- 「総理大臣のように働き、殿様のように遊べ」(ヴィクセス株式会社)
上に挙げたキャッチコピーはどれも意外性を持っており、学生に「どういうこと?」と思わせる効果があります。好奇心から求人広告やメッセージを見るうちに、企業への興味関心がさらに高まり、エントリーに至るケースも多いでしょう。
成長意欲の高い学生に刺さるキャッチコピー
続いては、仕事を通じて自己実現を図ろうと考える、成長意欲の高い学生に刺さる採用キャッチコピーです。
- 「知名度だけが一流の会社で働くより 知名度だけが二流の会社で働きたい」(リクナビ)
- 「世界一やりたいことができる会社とは?」(株式会社オアシスライフスタイルグループ)
- 「働くことに本気(マジ)になれてますか?」(株式会社ピアズ)
- 「どうせ無理」という言葉がない社会を作ろう(株式会社ジェイック)
これらのコピーは、「この企業ならキャリアを高められそう」「仕事を通じて成長できそう」という印象を学生に与えます。上昇志向の強い学生や、将来自社を引っ張っていくような人材が採りたい場合に効果的でしょう。
仕事の内容を重視する学生用のキャッチコピー
業務内容をキャッチコピーでうまく表現している企業もあります。
- 「動画マーケティングで課題解決!急成長中のベンチャー採用説明会」(株式会社プルークス)
- 「働くほどに地球を救う仕事」(株式会社 斎藤英次商店)
- 「世界中の海底を探る」(株式会社日本海洋事業)
- 「原石諸君、非鉄はどうだろう」(株式会社住友金属鉱山)
- 「グローバル人になりたい人、募集」(サウザンドクレイン)
キャッチコピーで仕事内容ややりがいを端的に表現することで、事業分野に興味を持っている学生、専門分野で学んでいる学生に訴求する効果が期待できます。
求める人材を強調したキャッチコピー
続いて、自社が求めるタイプを強くアピールしたキャッチコピーを紹介します。
- 「とんがり人間 集まれ!」(株式会社講談社)
- 「来たれ 前のめり人間。」(株式会社プラン・ドゥ)
- 「5倍速で成長したい人、来たれ!!」(LiB CONSULTING)
- 「一度くらい日本一になってみないか?」(株式会社GMOアドパートナーズ)
こうしたキャッチコピーを設定すると、「自分はとんがり人間だ」と思っている学生や、「日本一を目指したい」と考えている学生を引き付けることができます。ターゲット層をぐっと絞り込んで、アピールできるキャッチコピーです。
安心感を強調したキャッチコピー
知名度の低い中小企業の場合は、学生から魅力を感じてもらいづらいケースも多いです。とくにBtoBの事業や一般的な認知度が低い商品を扱っている場合にはなおさらです。その場合には、実績や福利厚生等を前に出して、目を引いたり、安心感をアピールしたりすることもおすすめです。
- 「【梅田勤務!転勤なし!!】社員平均年齢27歳!年功序列なし!社員定着率、脅威の「95%」(株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング)
- 「国内制覇のNEXT STAGE【世界1】へ!驚異の95.2%を誇るその実力とは?」(デジタルデータソリューション株式会社)
- 「離職率0%/ホワイト企業大賞2年連続受賞/日本一福利厚生の“厚い”ベンチャーへ」(iYell株式会社)
数字を織り込むことで、「インパクト」と同時に、「実績」によって“安心できる企業”としての印象を与えることができます。3C分析を通じて、自社がアピールできるポイントを探してみましょう。
まとめ
新卒採用において、採用キャッチコピーは、母集団形成においても、学生の記憶に留まり続けるためにも、いまや欠かせないものです。効果的なキャッチコピーを作るためには、「誰に伝えたいのか」というターゲットを明確に定めることが必要です。
そのうえで、自社や採用競合の分析をおこなって、ターゲットの視点から魅力を表現する効果的なフレーズを考えるのがポイントです。記事を参考にして、ぜひ自社の新卒採用で役立つ効果的なキャッチコピーを作ってください。