中小企業における新卒採用の課題とは?採用活動を成功させるポイントも解説!

中小企業における新卒採用の課題とは?採用活動を成功させるポイントも解説!

旧来から、中小企業の求人倍率は、大手企業とは大きな格差があり、新卒採用に苦労する中小企業も多い傾向がありました。

 

これまで大卒新卒の人数は、少子化による人口減と大学進学率の上昇が釣り合うことで、増加・横ばいでしたが、いよいよ2022年付近からは大学進学率が頭打ちとなり、大卒新卒の減少が始まります。

 

こうしたなかで、中小企業の新卒採用は、これまでよりも難しくなっていくことが予想されます。

 

記事では、まず中小企業の新卒採用における課題を整理します。そのうえで、中小企業が新卒採用を成功させるためのポイントと中小企業の新卒採用におすすめのサービスを紹介します。

<目次>

中小企業の新卒採用における課題

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まずは、中小企業における新卒採用の課題を確認しましょう。

 

求人倍率のGAP

冒頭で言及したとおり、大企業と中小企業では、そもそも求人倍率が大きく違います。

 

2021年の小規模企業白書(中小企業庁)によると、従業員数300人以上の企業では、2021年卒において求人倍率が1倍を下回る状態であることがわかっています。

 

一方で従業員数299人以下の企業の場合、2021年卒の求人倍率は3.4倍だったものの、その前年はなんと8.6倍でした。
この状態は、300人以上の企業では、1人の新卒に対して1件以下の求人しかなく、数字だけの極論でいえば、すべての求人枠が充足する状態。

 

一方で、299人以下の企業は、8.6社で1人の新卒を取り合っており、8.6社のうちの1社しか採用できない状態です。

 

上記は極論ですが、データだけを見ても、企業規模によって採用難易度が大きく変わることがわかるでしょう。

 

参考:2021年度 小規模企業白書(中小企業庁)

 

知名度や認知度の低さ

求人倍率の違いとも紐づくところですが、知名度や認知度の低さも中小企業の採用を難しいものとしています。

 

そもそも人は、名前を聞いたことがあるものに親しみを持つ傾向があります。

 

したがって、マイナビやリクナビなどの求人サイトに登録した学生が、社名を耳にしたことやメディア露出などの多い大企業に、以下のようなポジティブなイメージを持つのは、自然な心理ともいえます。

  • 安定してそう
  • 自分の夢や目標を叶えられそう
  • おもしろい仕事ができそう

なお、近年は、現実には大手企業でも倒産や買収なども起こりうる時代です。

 

しかし、学生が、コロナ禍やウクライナ侵攻などで経済・雇用情勢が不安定になるさまを直視した場合、やはり安定志向が強まり、大手企業に注目する傾向は従来と変わりません。

 

待遇面のギャップなど

厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別の月収(男性)に以下のような開きがあります。

  • 大企業:38万7,000円
  • 中企業:32万1,500円
  • :29万2,000円

出典:平成30年賃金構造基本統計調査

 

もちろん近年では、優秀な人材に高い賃金を支払ったり、賃金・報酬以外に福利厚生の充実などに力を入れたりする中小企業も増えています。

 

しかしそれでも、現状ではやはり「大企業のほうが待遇は良く、中小企業はあまり良くない」というイメージが企業の採用活動に影響している点は否めません。

 

採用予算やノウハウの不足

ここまで紹介したような企業自体の知名度や待遇の違いなどに加えて、採用ノウハウの不足も、中小企業が新卒の採用に苦労する要因です。

 

大手であれば、採用人数が多いからこそ、採用専属で部署があり、かつ新卒採用と中途採用で異なる担当チームを設けることも当たり前です。

 

しかし、中小企業の場合、専任の新卒採用担当がいないケースが多いでしょう。

 

新卒採用と中途採用が兼務であるぐらいならまだ良いほうで、教育研修や人事評価なども含めて人事全体を担当、場合によっては総務と兼務といった場合もあるでしょう。

 

そうすると、情報収集や新しい施策のトライアルに割ける工数もそう簡単には確保できません。採用人数が少ないことで、人材の見極め力や口説く力などのノウハウも蓄積しづらくなります。

 

また、求人広告代理店からの情報提供でも、資金力の高い大企業と中小企業では差がつきやすいです。

 

たとえば、求人サイトの代理店に支払う採用単価が仮に40万円だとします。そこで、大企業の採用人数が50人、中小企業が5人とした場合、代理店に支払う金額は以下のようになります。

  • 大企業:40万円×50人→2,000万円
  • 中小企業:40万円×5人→200万円

上記は極端な計算ですが、採用人数が多い大手企業ほど使う採用費は多くなるものです。

 

求人サイトの代理店側でも、たくさんのお金を払う企業をエース社員や優秀クリエイターに担当させ、情報提供やコンサルティングも本腰を入れて行なうことになるのはやむを得ません。

 

さらに、年間1~2人しか採用しない中小企業の場合、年間50人を採用する大企業のように自社の採用サイトやSNSアカウント立ち上げ、それらの運用に工数・コストを使うことも難しくなります。

 

このようにノウハウという点に着目しても、やはり大手企業と中小企業では、大きなギャップが生じてしまいます。

中小企業が新卒採用を成功させるポイント

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中小企業が新卒採用を成功させるには、以下5つのポイントを大切にする必要があります。

 

採用ターゲットを明確にする

採用ターゲットとは、「自社が欲しいのはどのような人か?」「どういった人を採用するか?」という人物像のことです。

 

中小企業の場合、大企業のようにネームバリューでたやすく母集団形成ができるわけではありません。だからこそ、採用ターゲットを明確化したうえで、集中して活動することが大事になります。

 

ただし、自社の採用力とかけ離れたところで採用ターゲットを明確化しても、採用成功にはつながりません。
“現実的に採用できるターゲット”を設定することが大切です。採用ターゲットを考えるうえでは、欲しい人材の要件を洗い出したうえで“必須条件”と“希望条件”を区分けしてみるのがおすすめです。

 

応募のハードルを下げる

業界では誰もが知っている大手企業や“新入社員でも年収1,000万円が可能”などの話題性の高い求人であれば、「エントリーシートに志望理由と自己PRを記載して提出」といった条件をつけても、高待遇やネームバリューに惹かれた学生が集まる可能性が高いでしょう。

 

一方で、中小企業の場合、学生からすれば大企業を超える魅力がわからない状態であり、応募に際してハードルがあると、応募する気が失せてしまいます。

 

たとえば、新潟県でせんべいなどの製造販売を行なう三幸製菓では、業界トップ企業である亀田製菓と同じ県内で採用活動をするなかで、以下の2ステップでエントリーできる「日本一短いES(エントリーシート)」という独自の採用方法を行なっています。

  • 1.採用ホームページで「おせんべいが好き?」「新潟で働ける?」の2質問に答える
  • 2.メールアドレスを入力し、エントリー完了

三幸製菓はかなり極端な例ですが、母集団形成がうまくいっていない場合は、上記のようなイメージで応募のハードルを下げることも有効です。

 

なお、ある企業では、「新卒媒体で応募時にエントリーシートに記入させることをやめただけで、応募数が2割増えた」といいます。
ほかの中小企業でも「企業説明会に履歴書を持参させることを廃止したところ、説明会への参加率が上がった」という話もあります。

 

母集団を増やしたいのであれば、“応募時点では志望度が上がっていない求職者が多い”という前提に立って、応募のハードルを下げることが有効です。

 

採用ターゲットをズラす

中小企業が大企業と同じフィールドで戦っても成果が上がりづらいというのは前述したとおりです。

 

中小企業が採用活動を成功させるには、採用ターゲットをズラすという戦略も有効です。たとえば新卒採用であれば、大手企業の選考がひと段落した秋採用にチャレンジしてみるのも一つです。

 

また、地方の優秀な高卒を狙うといった手もありますし、逆に新卒ではなく既卒や第二新卒、中退者を狙うといった方法もあるでしょう。

 

首都圏の企業が採用活動をするうえで、たとえば、引越し代を支給する形で地方学生をターゲットにするといった方法もあります。

 

中小企業の場合、このように大手企業と採用のターゲット、市場、時期、エリアなどをズラすことも有効な手段です。

 

戦いやすい採用手法を使う

マイナビ・リクナビ・キャリタスなどの総合型の求人サイト(求人媒体)では、ネームバリューや露出の高い大手企業のほうが有利になります。

 

こうした環境で中小企業が頑張っても、得られる成果には限界があります。

 

中小企業の場合、接近戦や1対1で戦えるようなフィールドで活動することがおすすめです。

 

具体的には、以下のような採用チャネルの場合、メッセージを工夫したり功徳力が強いメンバーを投入したりすることで戦いやすくなります。

  • ダイレクトリクルーティング
  • マッチングイベント
  • 新卒紹介
  • 大学就職課
  • リファラル採用 など

 

経営陣が採用に携わる

中小企業がもつ魅力の一つが、経営陣との距離が近いということです。また、経営陣は事業のビジョンや経営戦略なども、自分の言葉で語って求職者を引き付けることもできます。

 

したがって、中小企業の採用活動においては、経営陣が携わる、要所要所で経営陣が登場することが非常に大切です。

 

たとえば、ダイレクトリクルーティングでも、経営陣の名前でメッセージを送ったほうが返信率は高くなりますし、マッチングイベントでも経営陣が登場するインパクトは大きいです。

 

多忙な経営陣ではありますが、経営陣がはじめから採用活動に携わったほうが採用活動もうまくいきますし、結果的に効率的であることも多いです。

中小企業の新卒採用におすすめのサービス

HRドクターの運営会社である株式会社ジェイックでは、中小企業の新卒採用で活用できるサービスを運営中です。この章では、特におすすめの3サービスの特徴を紹介します。

 

採用カレッジ

既卒や第二新卒など、中途のポテンシャル採用を対象とする、イベント融合型の人材紹介サービスです。

 

採用カレッジを利用すると、Web研修をやりきった変化対応型の人材をまとめて無料で面接できます。

 

以下の代行もセットになっているため、極端にいえば「面接をして合否を決めるだけ」でよくなります。

  • 求人票の作成
  • 企業紹介
  • 面接調整
  • クロージング など

 

新卒カレッジ

関東、中京、関西で100以上の大学と連携する、大学連携型の人材紹介サービスです。中期~後期の新卒採用、中堅中小企業の新卒採用に最適なサービスとなっています。

 

新卒カレッジでも、採用カレッジと同様に、求人票の作成から魅了付け、内定承諾のあと押しまで、一貫したサポートがセットになっています。

 

また、大学の採用イベントに参加することで、大学とのつながりができる点も大きな特徴です。

 

FutureFinder

新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスです。

 

FutureFinderには、通常は自社で運用、もしくは採用代行会社などに有償で依頼しないといけない、スカウトメールの運用代行などが標準でついています。

 

また、AIと心理統計学を用いて独自の活躍人財モデルを作成できるため、自社の採用ターゲットに合う人材を母集団形成時点から見極めて集めることができます。

まとめ

中小企業の新卒採用には、もともと大企業と比べて希望者数が少ないうえに、待遇面のギャップや知名度・認知度の低さ、ノウハウ不足などによる難しさがあります。

 

したがって、中小企業が新卒採用を成功させるには、以下のポイントを大切にしましょう。

  • 採用ターゲットを明確にする
  • 応募のハードルを下げる
  • 採用ターゲットをズラす
  • 戦いやすい採用手法を使う
  • 経営陣が採用に携わる

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、以下のような中小企業に有効な新卒・若手の採用支援サービスを提供しています。ご興味あれば、資料をダウンロードしてみてください。

著者情報

稲本 太郎

株式会社ジェイック|シニアマネージャー

稲本 太郎

新卒で入社してから一貫して、新卒・中途の採用コンサルティング、キャリアカウンセリング、マネジメントを経験。計15年以上に渡って、採用支援の第一線で活躍している、社内でも有数の経験豊富な現役採用コンサルタントでありながら、自社採用の面接官も兼任。新人賞、トップセールス賞、MVT、社長賞、特別賞、ベストプラクティス最多ノミネートなど数々の受賞実績有り。

著書、登壇セミナー

・「厳選採用時代」にターゲットから選ばれるブランディングとは? ・明日から役立つ!「WEB面接での見極め精度を高めるポイント」 ・【23卒の採用戦略】新卒採用プロの20人から学んだ60時間を1時間に短縮】 ・インターン経由の採用を成功させるコツを徹底討論 ・ハイブリット採用が当たり前になる中でHR Techはどのように進化するのか?どう活用して新卒採用を進化させるべきなのか? ・成功企業がやっている!辞退を防ぐ採用プロセス ・学生から敬遠されがちな業界や小規模企業の採用成功事例から学ぶ新卒採用を成功させるポイント

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