【2022年10月~】アルバイト・パートの社会保険加入条件の変更|適用範囲と変更点を確認

更新:2023/01/20

作成:2023/01/10

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

【2022年10月~】アルバイト・パートの社会保険加入条件の変更|適用範囲と変更点を確認

2022年10月から、年金制度の改正によってパートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者に対する社会保険加入の義務付け範囲が拡大しました。

記事では、今回の制度改正で新たに社会保険加入の対象になった人の条件、また、適用対象企業の範囲、社会保険の適用範囲拡大が必要となった背景を解説します。

そのうえで、社内で必要な準備や対応のポイントと、企業が活用できる各種支援や補助金・助成金を紹介しますので、参考になれば幸いです。

<目次>

【2022年10月】アルバイト・パート社員の社会保険加入義務付け範囲が拡大

年金手帳を持つ女性の上半身
まずは、年金制度の改正によって、2022年10月から義務付けとなった社会保険加入の対象範囲と要件を確認しましょう。

適用対象となる企業

まず、社会保険の適用範囲は、以下のように段階的に引き上げられます。

適用対象となる企業の表
段階的な引き上げによって、2024年10月1日以降には、労使合意に基づく“任意の適用”ができるのは、「従業員数50人以下の企業のみ」となります。

社会保険の加入対象者の要件

新たな加入対象者は、以下のすべてに該当するパートタイマーとアルバイトです。

①週の所定労働時間20時間以上30時間未満

  • ⇒週の所定労働時間が40時間である企業の場合、週の所定労働20時間以上のパートタイマー、アルバイトが対象になります。
    本要件は、契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。

ただし、契約上は20時間に満たない場合でも、実労働時間が2ヵ月連続で週20時間以上となり、今後も同じ状態が続くと見込まれる場合には、3ヵ月目から保険加入が必要となります。

②月額賃金8.8万円以上

  • 月額賃金とは、基本給および諸手当の合計です。ただし、残業代や賞与、臨時的な賃金は含まれません。

③2ヵ月を超える雇用見込みがある

④学生ではない

  • ただし、休学中や夜間学生は、社会保険の加入対象となります。

より詳しい要件は、厚生労働省が公開する「社会保険適用拡大ガイドブック」を確認してください。

社会保険の適用範囲拡大の背景

日本では、無期雇用の正社員ではなく、短時間のアルバイトやパートタイマー、契約社員などの短時間労働や有期雇用などの働き方を選ぶ人が多くなっています。

一方で、従来の年金制度では、「雇用期間が1年以上見込まれること」という要件があったため、たとえば、11月~4月まで、冬季だけの短期リゾートバイトなどをする人は、社会保険に加入できませんでした。

極端な事例をいえば、11月~4月はスキー場、5月~10月はプールでリゾートバイトをする人は、1年を通じて仕事に就いているにも関わらず厚生年金に加入できません。

こうした問題を防ぐために、国では、厚生年金の適用拡大を進め、報酬比例の給付を含めた社会保障の充実を図ろうとしています。

なお、日本年金機構では、「どうして被用者保険の適用拡大を進める必要があるのですか?」という質問に答える形で、適用拡大の意義を解説しています。

詳しい背景が知りたい人は、以下の情報も確認するとよいでしょう。

参考:どうして被用者保険の適用拡大を進める必要があるのですか。(日本年金機構)
参考:年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大(厚生労働省)

必要な社内準備・対応

オフィスで悩むビジネスマン
厚生労働省では、社会保険における適用範囲の拡大にあたり、加入対象者のいる従業員数101人以上の企業に必要な準備や制度内容を、以下のサイトにまとめています。

出典:従業員数500人以下の事業主のみなさま(社会保険適用拡大 特設サイト)

本章では、上記も踏まえて企業が実際に行なうべき準備や対応のポイントを詳しく解説します。

加入対象者の把握

まず前章で紹介した通り、今回の改正で社会保険の加入対象となるパートタイマー・アルバイトを把握します。

<以下の全要件を満たすパートタイマー・アルバイト>

  • 週の所定労働時間20時間以上30時間未満
  • 月額賃金8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない

なお、上記の要件には、たとえば、週の所定労働時間20時間以上30時間未満に対して「契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含まない」などの注意点もあります。

詳しくは、厚生労働省の以下資料も確認しておきましょう。

出典:社会保険適用拡大ガイドブック

社内周知

社会保険が適用拡大すると、パートタイマーやアルバイトに以下のような人が出てくる可能性があります。

  • 「配偶者の扶養から外れたくないため、週の所定労働時間を20時間未満に減らしたい……」
  • 「社会保険加入で手取りが減らないように、もっと勤務時間を増やしたい……」 など

このようなメンバーが出てくると、現場のシフトに支障が出る可能性もあります。

したがって、自社において適用範囲となる人の確認、各対象者の意向を確認したうえで、現場で問題が起きないように周知や準備を進める必要があります。

対象者への説明・面談

対象者には個人面談、また、対象者が多い場合には説明会などを行なってもよいでしょう。個人面談では、以下3つのポイントを大切にする必要があります。

  • 社会保険の新たな加入対象者になったことを伝える
  • 社会保険の加入メリットを伝える
  • 今後の労働時間などに関してすり合わせる

制度内容を詳しく理解してもらうために、以下のガイドブックを配布することも有効です。

参考:社会保険適用拡大ガイドブック

書類作成・届出

日本年金機構から適用拡大の対象になる通知書類が届くので、被保険者資格取得届を作成して、オンラインで届け出ます。

被保険者資格取得届の手続き内容や、オンライン申請の詳細は、以下サイトを参照ください。

参考:【事業主の皆さまへ】新たに健康保険・厚生年金の被保険者となる従業員の手続きに関するご案内
参考:電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)

企業が活用できる各種支援や補助金

社会保険の適用拡大によって、従業員数101人~500人の企業には、さまざまな準備や調整が必要となります。

また、社会保険の加入者が一気に増えれば、費用面の負担も拡大しやすくなるでしょう。

社会保険の適用拡大にともなうさまざまな課題に対応するには、以下のような支援制度や補助金・助成金などを活用するのもおすすめです。

本章では、各特徴を紹介しましょう。

出典:社会保険適用拡大ガイドブック

専門家活用支援事業

年金事務所を通じて、適用拡大に詳しい社会保険労務士を無料派遣するものです。

適用拡大への対応方針やメンバーへの説明サポート、手続き面のアドバイスなども受けられます。

出典:社会保険適用拡大 専門家活用支援事業

よろず支援拠点

中小企業や小規模事業者をサポートするために、国が全国に設置した無料のワンストップ相談窓口です。

社会保険適用拡大のほかに、経営改善や売上拡大などの相談も可能となります。

出典:よろず支援拠点とは

中小企業生産性革命推進事業

中小企業は、社会保険の適用拡大のほかにも、賃上げやインボイス導入などの相次ぐ制度変更への対応が必要です。

中小企業生産性革命推進事業とは、複数年にわたって中小企業の生産性向上を継続的に支援する目的で創設された補助金になります。

ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金の3種類があります。

出典:中小企業生産性革命推進事業について(経済産業省)

キャリアアップ助成金

パートタイマーやアルバイトのなかには、保険料負担を回避するために、働く時間の調整をする人もいます。

厚生労働省では、こうした就業調整を防ぎ、社会保険の適用拡大を円滑に進める観点から、以下のような人材確保に意欲的な事業主に対して、キャリアアップ助成金を用意しています。

  • パートタイマーやアルバイトの賃上げなどを行なう
  • 本人の希望を踏まえて働く時間を延ばす など

出典:キャリアアップ助成金のご案内

まとめ

2022年10月から、従業員数101人~500人の企業で働き、以下の全要件に該当するパートタイマー・アルバイトは社会保険の加入対象になります。

  • 週の所定労働時間20時間以上30時間未満
  • 月額賃金8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない

社会保険の加入対象が拡大するにあたり、企業では加入対象者の把握、社内周知、対象者への説明・面談、書類作成・届出といった社内準備や対応が必要になります。

パートタイマーやアルバイトの多くが社会保険の加入対象になる場合、企業では、各種手続きや人件費の増大、シフトの調整といった多くの問題が生じるかもしれません。

そんなときには、行政が提供する支援の利用や、補助金・助成金の活用も考えてみるとよいでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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