「PDCAサイクル」は、さまざまなビジネスシーンで活用できる便利なフレームワークです。しかし、人材育成では、どのように使えば良いか分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、PDCAサイクルを使った人材育成の具体例についてご紹介します。
<目次>
PDCAサイクルとは
エドワーズ・デミングらによって提唱されたPDCAサイクルは、製造業の品質管理などでよく使われています。
P(計画)D(実行)C(評価)A(改善)を繰り返して、品質の維持・向上を図るという手法です。
PDCAサイクルを人材育成に活用する場合であっても、基本となる流れは変わりません。ここでは、新卒社員の育成にPDCAサイクルを当てはめてみましょう。
PDCAサイクルを活用した人材育成
Plan:育成計画の立案
人材育成をどのように行うのか、まずはそのプランを立てていきます。具体的には以下の手順で行います。
【1】仕事内容と必要スキルの洗い出し
現在、会社にどのような仕事があるのかを一度書き出します。そして、その達成に必要なスキルをリストアップしましょう。
【2】目標の設定
前段でリストアップしたスキルを細分化します。
調整力を身に付けさせたい場合には、部内調整を任せることから始め、その後、他部門を含めた調整、最終的に社外調整を実施させる、といった具合です。
最初から社外調整といったハードルの高いものにチャレンジさせることは控えましょう。
【3】教育手順の設定
前項で示した通り、初めから難易度の高い業務を任せると、新人だけでなく、教育担当の負担も大きくなります。そのため、どのような順番で仕事を教えるかは重要です。
具体的には、入社当初はコミュニケーションやマナー、チームワークといった対人スキルを身に付けてもらうように心掛けましょう。
専門スキルは、その後じっくりと時間をかけて覚えてもらえば問題ありません。
【4】5W1Hのチェック
ここまででリストアップした項目を、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)に落とし込みます。
いつまでに、何をどこまでできるようになってほしいかを明確にすることで、目標設定ができるようになります。
Do:計画の実施
Planで立てた育成計画を実行するフェーズです。
ここで参考にしたいものが、山本五十六(いそろく)が残した名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」です。
説明だけですぐに技術を習得できる社員はなかなかいません。そのため、教育担当者が手本を見せ、その後で説明をしてください。
次に、より理解を深めるために新人にその作業をさせてみましょう。慣れないうちはぎこちないかもしれませんが、とにかく手を動かしてもらうことが何よりも重要です。
褒めるところは褒め、間違っているところは指摘します。
そのほか、質問を投げかけるということも、自ら考える習慣を付けさせるのに役立ちます。
教育担当者は、単に間違いを指摘するのではなく、質問を通してなぜ間違ったのかを自分で考えさせることが重要です。
Check:評価
実行した計画がきちんと進んでいるかどうかを定期的に確認します。
上司がフィードバックを与えるだけではなく、自分自身に何が足りていないかを新人に考えさせることは、新人の主体性を育む良い機会になります。
Action:改善
最後はDoとCheckを踏まえ、身に付いていない能力の再教育を行います。この際、Doをただ繰り返していては同じ結果しか得られません。
なぜ身に付いていないのかという原因を追究し、改善を図るようにします。
例えば、十分なパフォーマンスが発揮できない原因が知識不足であれば、座学で知識を補う、経験が不足していれば実践の機会を増やす、などのような方法が有効です。
おわりに
今回は、PDCAサイクルを使った人材育成の具体例についてご紹介しました。
PDCAサイクルが正常に回れば人材育成がスムーズに進み、新人の成長スピードが速くなるだけでなく、教育担当者の負担軽減も期待できます。
今回ご紹介した具体例を参考に、人材育成にPDCAサイクルを取り入れてみてはいかがでしょうか。