勤怠管理の基本と実施方法5選|組織規模や状況によるメリット・デメリットを解説

更新:2023/02/02

作成:2022/08/19

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

勤怠管理の基本と実施方法5選|組織規模や状況によるメリット・デメリットを解説

 勤怠管理は、メンバーの労働状況を把握、給与の計算等をするうえで非常に重要です。特に労働安全衛生法も改正され、組織にはより厳正な労働時間の把握が求められています。記事では、勤怠管理の基本と実施方法の種類、組織規模や状況によるメリット・デメリットを解説します。

<目次>

勤怠管理とは

勤怠管理とは
 勤怠管理とは、出勤や退勤の就業状況を把握して管理することです。長時間労働やサービス残業に対する社会の価値観も大きく変わり、2019年4月1日には労働安全衛生法も改正されました。

客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
出典:厚生労働省「改正労働安全衛生法のポイント」

 当たり前の話ではありますが、すべての企業は「客観的な方法」で勤怠管理をすることが義務付けられています。勤怠管理と、勤怠管理システムを導入して管理することが一般的です。本章では改めて勤怠管理の目的と対象を確認します。

勤怠管理の目的

 勤怠管理の目的のひとつは過重労働の管理です。組織には労働基準法に収まった時間内でメンバーが働くよう管理することが求められています。また、正確な賃金の支払いや年次有給休暇・振替休暇の付与、取得状況などを正確に管理するうえでも勤怠管理が必要です。

勤怠管理する対象

 勤怠管理が必要な対象は、基本的に企業が雇用契約を結ぶメンバーすべてです。具体的には、次のように定義されています。

労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除くすべての労働者
出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

 労働基準法第41条に定める者とは、おもに事業の責任者を指します。繰り返しになりますが、勤怠管理の対象は正規雇用の人だけでなく、アルバイトやパートなど原則として雇用契約を結んでいるすべての従業員です。

勤怠管理で必要となる4つの管理項目

 勤怠管理に際して管理するべき項目は、おもに以下の4つです。

 □ 始業時刻・終業時刻・就業時間・休憩時間
 □ 時間外労働・深夜労働・休日労働
 □ 出勤・欠勤・休日
 □ 有給取得と残日数

不適切な勤怠管理はトラブルの元

 勤怠管理を怠ると、さまざまなトラブルのもとになります。代表的なトラブルは以下3点です。

  • 労働基準法の違反
  • 時間外労働での不正行為
  • 過度な労働によるメンバーの不調

労働基準法の違反

 労働基準法には、たとえば「時間外労働の上限」「年間5日以上の有給取得の義務化」などがあり、抵触してしまうと罰則や企業のイメージダウンにつながりかねません。

 特に最近は、勤怠管理に関するコンプライアンス違反は「ブラック企業」として大きく報道される傾向にあります。故意または過失で残業代の未払い等が生じていた場合、遡っての未払い残業代の支払い等が生じると経営にも大きな影響を与えてしまいます。

時間外労働での不正行為

 正確な勤怠管理が行なわれていないと、適切な給与を支払うことが難しくなります。出退勤時刻を改ざんされて、時間外労働として給与を不正受給されてしまうようなケースも起こりかねません。

過度な労働によるメンバーの不調

 勤怠管理がずさんだとメンバーに過度な労働を強いることになり、心身の不調をきたす場合もあるでしょう。特にリモートワークなどの場合、きちんと勤怠管理を実施しないと就業状況がわかりませんし、メンバーの不調などもつかみづらくなります。最悪の場合、過労死などの重大な労災を招くリスクも懸念しなければなりません。

【徹底解説】勤怠管理の主な方法

 勤怠管理を実施するには、おもに以下5つの方法があります。自社の規模や勤務体系に応じて適切な方法を導入しましょう。

  • 出勤簿
  • タイムカード
  • Excel等
  • 社内システム
  • 勤怠管理システム

出勤簿

 紙の用紙にフォーマットを作成し、勤怠情報を書き込むやり方です。

メリットデメリット
・1枚の用紙で勤怠情報すべてを管理できる・不正申告(時間外労働の水増し、サービス残業の発生など)が生じやすく、厚生労働省が定義している「適正な労働時間の把握」も難しくなる
・対象者が増えれば集計に膨大な工数がかかるしミスも生じやすい

 以上のことからデメリットのほうが多く、あまりおすすめできません。

ExcelやGoogleスプレッドシートなど

 ExcelやGoogleスプレッドシート等を使用して打刻、集計を行う方法です。

メリットデメリット
・インターネット上にテンプレートがあり、無料ですぐ導入可能
・自社に合わせたフォーマットに項目を変更できる
・オンラインであれば数式等を利用して、メンバーが出退勤の時刻を入力するだけで自動集計できる
・紙と同じくメンバーによる入力ミスや不正申告を防げない
・固定のパソコンで管理する場合は、出勤時に混雑してしまったりテレワークなどで打刻が難しかったりするケースもある
・社内に複数の勤務形態の人が発生すると運用が困難になる

タイムカード

 紙の打刻シートをタイムレコーダーに差し込んで打刻する方法です。

メリットデメリット
・端末購入後は用紙を補充するだけなのでコストを抑えられる
・簡単に操作できる
・出勤・退勤などをその場で打刻するため、不正が起こりにくい
・多くの場合、出退勤の時刻しか管理できない
・社内にタイムレコーダーの設置が必要で、テレワークなど社外勤務の場合に打刻できない
・拠点の分散や直行直帰などがあると運用が難しい
・打刻機能のみのタイムレコーダーの場合、集計作業を行なう必要があり、転記ミスなどのリスクもある
・勤怠システムと連携していない場合は、紙の出欠簿と同じく集計工数の発生、ミスが生じるリスクがある

社内システム

 主に大企業で実施されてきた勤怠管理方法です。自社の運用に合わせて独自の勤怠管理システムを構築するケースが多いです。

メリットデメリット
・自社に合わせて自由にカスタマイズできる
・複雑な勤務形態のメンバーも管理しやすい
・導入時の金銭コストが高く、維持費用も発生する(サーバー費用、システム変更費など)
・システム導入までに時間がかかる

勤怠管理システム

 タイムレコーダーやスマートフォン、パソコンなどと連携して、打刻から集計をすべてシステムで管理する方法です。この10数年でクラウドサービスも充実しており、ICカードや指紋認証、GPSなど打刻手段も豊富になっています。

メリットデメリット
・集計の手間が減らせる
・給与システムと連携することで、ミスなく給与計算できる
・サービスに応じて、さまざまな雇用形態の人を管理するためのテンプレートや過重労働や残業時間に対するアラート設定などもできる
・システム導入、運用コストが発生する

 ほかの方法に比べてメリットが多く、勤怠管理の方法として最もおすすめです。

テレワーク下での勤怠管理

勤怠管理とは
 テレワークでは、勤怠管理は自己申告に頼らざるを得ないケースがほとんどです。したがって、企業側がメンバーの正確な勤務時間を把握することは簡単ではありません。メンバーへの負担を抑えつつ、正確な勤務時間を把握できる仕組みが必要になります。

勤怠管理の方法

 テレワークでの勤怠管理には、勤務時間と在席状況という管理項目があります。勤務時間と在席状況を管理する方法は以下の2つです。

  • 申告による確認
  • 勤怠管理システム

 申告による確認とは、電話やメール、ビジネスチャットなどを使って勤務開始等を申告してもらう方法です。

 特に、ビジネスチャットを使っての申告はテレワーク実施企業でよく利用されています。勤怠管理の記録というよりは、コミュニケーションの一つとして実施されるケースが一般的です。在籍管理もビジネスチャットやバーチャルオフィスなどで実施することも珍しくありません。

 勤怠管理システムは慣れるまでには多少時間がかかるものの、システム上で勤怠情報をすべて管理できます。特に、大人数の社員を管理したい場合に有効です。クラウド型のシステムを導入すれば、インターネットを使用できる環境であれば打刻できるため、テレワークでも活用しやすいというメリットがあります。

勤怠管理を検討するポイント

 勤怠管理は以下2つのポイントをしっかり押さえるのが大事です。

 □ 労働時間の実態を把握する
 □ 将来的な汎用性を見越して検討する

 通常の出社勤務の場合、メンバーの出退勤や休憩しているかを視認できるため、勤怠状況を把握しやすく不正も生じにくいでしょう。一方で、テレワークでは実際の把握が難しいため、きちんと管理することが大切です。

 過度の監視や報告を強いることはメンバーの負担になりますが、労働時間の実態把握は企業の義務です。例えばシステム上は退勤の打刻をしただけで、実際はメンバーが勝手に働いていた場合、企業側が管理責任を問われることが多いのです。労働時間の実態把握と適切な管理は企業の義務となることを押さえておく必要があります。

 組織が拡大すると勤怠管理は複雑化しがちです。例を挙げると、時短勤務、メンバーによって異なる有給の付与日数、時間外や休日労働の振り替え、時間有給やフレックスタイムの導入などです。メンバーが働きやすい環境を作ろうとすると、どうしても複雑化しやすいのが勤怠管理です。

 紙やエクセル管理は手間がかかる反面、融通を効かせやすいというメリットがあります。一方でシステムを導入すると、イレギュラー対応が困難になりかねません。システム導入時には将来的な汎用性を見越した検討が大切です。

勤怠管理に関するよくある質問

 勤怠管理で疑問に感じやすい点を解説します。

勤怠管理と就業管理の違いは?

 勤怠管理は数字的な情報のみ、就業管理はより詳細にメンバーの現状を把握するものです。勤怠管理に、在席状況や業務の進捗状況把握などを加えたものが就業管理というイメージです。

勤怠管理システムを導入しないと法律違反?

 きちんとした勤怠管理が行なわれていればシステム等を導入する必要はありません。しかし、「労働基準法で定められた上限を超えて労働させていた」「有給の取得日数が足りないメンバーがいる」「必要な休憩時間を取得していなかった」などはすべて法律違反となります。そのため、一定の規模を超えると、きちんと勤怠管理するためにシステム導入はある程度必須といえます。

まとめ

 勤怠管理はすべての企業が実施する必要がある義務です。勤怠管理の不備による労働問題が起こった場合、企業にはさまざまな悪影響が生じます。

 勤怠管理の方法はさまざまですが、自社の業務や規模、雇用形態、就業時間と照らし合わせて検討することが大事です。勤怠管理を徹底して、すべてのメンバーが気持ちよく働ける職場を目指しましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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