ミッションステートメントとは?企業と個人が作成するメリットや作り方、実例を解説?

更新:2021/09/17

作成:2020/11/24

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

ミッションステートメントとは?企業と個人が作成するメリットや作り方、実例を解説

目まぐるしく変化する環境のなかで組織や個人が確実な成長を遂げるためには、“ミッションステートメント”が有効です。ミッションステートメントは、外部環境が変化するなかで、組織や個人にとってぶれない軸、方向性を指し示してくれる羅針盤となるものです。

記事では、組織や個人がミッションステートメントを作成する意味や具体的な作り方を実例と併せてご紹介します。

<目次>

ミッションステートメントとは

ミッションステートメントは、組織の存在意義や個人の使命を文章に表したものです。企業にとっても、個人にとっても、ミッションステートメントは「存在意義」「生きる目的」と言い表せる大切なもので、行動や選択、決断を行なうときの前提となる判断基準や原則としての役割があります。

 

ミッションステートメントに類似する言葉として、「経営理念」「行動規範」「ミッション」「ビジョン」「バリュー」等があります。これらの言葉は人や状況によって捉え方はさまざまです。

 

HRドクターでは、大枠としては以下のような概念として、経営理念や行動規範、ミッション、ビジョン、バリューを定義しています。

 

  • ミッション(経営理念):何のために生きるか?何のために組織があるか?
  • ビジョン:ミッションを実現してどんな世界を実現したいのか?
  • バリュー(行動規範):ミッション、ビジョンを成し遂げるうえで譲れない、大切にしたい価値観は何か?

 

ミッションステートメントを作るうえでは、ミッション(経営理念)、ビジョン、バリュー(行動規範)の3つが織り交ざりやすいものです。それで良いのですが、上記の構造を意識して、自分がいまどの層の話を考えているかと意識すると、整理されたミッションステートメントが作りやすいでしょう。

企業と個人がミッションステートメントを作成する意味

握りこぶしを作ってこちらを見つめる男性

ミッションステートメントは企業と個人それぞれに、作成する意味があります。

 

 

企業と個人に共通するミッションステートメントの意味

ミッションステートメントは、組織が存在する目的、個人が生きる意義を表明する文章です。「なぜここにいるのか」「なぜそれをやるのか」という存在意義や使命、目的を明確にすることは、働くモチベーションとぶれない判断基準を生み出します。

 

 

企業におけるミッションステートメント作成の意味

企業のミッションステートメントは、その組織が何のために存在するのかを示すものです。もともと赤の他人同士が集まっている「企業」や「組織」において、我々は何のために集まったのかを表すのがミッションステートメントです。

 

「我々は何のために存在するのか」「我々は何を実現したいのか」という共通目的が組織に浸透している状態は、各個人が同じ方向性に向かって努力できる状態です。社員のモチベーションも高く維持され、組織内での相乗効果も生まれやすいでしょう。

 

また、経営陣にとっては意思決定を助ける軸となりますし、採用においても有効なフィルターとなります。明確なミッションステートメントがあることで、表面的な待遇や仕事内容ではなく、「何のために」というもう一段深い目的意識に共感する人材を採用することができます。

 

更に、企業のミッションステートメントが明確にされ、メンバーのミッションステートメントと一致したり、重なるところが明確になったりすると、組織と仕事に対する強いエンゲージメントも生まれます。

 

 

企業のミッションが明確でないことで生じる問題

企業や組織のミッションステートメントがない状態は、「何のために集まっているのか?」という共通認識がない状態です。

 

この状態では、組織内のエンゲージメントも弱くなりますし、短期的な収益や外部環境に意思決定が左右されやすくなります。

 

また、表面的な待遇や仕事内容、将来性といった即物的なもので結びついた組織は苦境に弱くなります。好調なときは良くても、不況や環境の激変時に、社員の退職やロイヤリティの低下という形で、脆さが露呈しやすいでしょう。

 

 

個人におけるミッションステートメント作成の意味

個人のミッションステートメントは、組織のミッションステートメントと同じように、個人の生きる目的、「何のために生きるか」を示したものです。自分が生きたい世界や成し遂げたい人格、価値観などを表すものであり、自己実現の指標となるものです。

 

ミッションが明確になっている個人は、人生や仕事に意味や意義を見出しやすく、主体的に行動するようになります。

 

個人が生きるうえで、人生は意思決定の連続です。そのときに、短期的なメリットやデメリット、好き嫌いではなく、「自分がどうありたいか?」という軸に沿って決断することで、一貫した決断をして、自分が生きたい方向性に向かえる可能性は高まるでしょう。

 

働くうえでも、自分のミッションステートメントと組織のミッションがどう一致するかを見出せれば、自分がその会社で働くい意味を見出し、モチベーション高く働くことができるはずです。

 

 

ミッションステートメントの意義

ミッションを明確にする意義は、サンタクロースのミッションをイメージすると分かりやすいかもしれません。

 

クリスマスに活躍するサンタクロースですが、彼のミッションはいったい何でしょうか。「プレゼントを配ること」でしょうか?

 

もしそうであれば、寒くて暗い冬の夜に、あれほど忙しいスケジュールのなか、笑顔で働くことはできないでしょう。もしかすると、配達料金をとるようになるかもしれません。

 

しかし実際には、サンタクロースは配達料金を受け取ることもなく、高いモチベーションで働いています。それは、「子どもたちを笑顔にすること」というぶれないミッションを持つからです。

 

アメリカの製薬会社であるイーライ・リリー社の創業も、創業者イーライ・リリー氏の持つミッションの力に支えられています。

 

リリー氏が同社の前身となる薬局を開いて間もなく、小さな女の子が薬局を訪れ、「ミラクル(奇跡)をちょうだい」と頼んできました。彼女は、医師に「もう、ミラクル(奇跡)でも起こらない限りは助からない」といわれた末期がんの母親を助けるために、わずかばかりの小遣いを握りしめて薬局に訪れたのです。

 

このときからリリー氏は「いつか本当にミラクル(奇跡)を起こせるような薬を作りたい」というミッションを抱くようになります。そしてこのミッションのもとで創業したのが、いまではグローバルな製薬会社であり、世界でも指折りの研究開発力を持つイーライ・リリー社です。

ミッションステートメントの作り方

腕を組んで神妙な面持ちをする男性

ミッションステートメントの作成は、自分自身に対して「自分が何を本当に大事にしたいか?」を問いかけるプロセスです。

 

答えはその時々の状況によってぶれることもあるかもしれません。また、作った後に人生を過ごすうちに「本当の気持ちではなかった」と気づくこともあるかもしれません。一回作って終わりではなく、何度も自分に問いかけるプロセスを通じて、自分自身のミッションステートメントを完成させてください。

 

 

ミッションステートメントの基本要素

ミッションステートメントは、以下のような要素を考えると作りやすいでしょう。

 

  • 生み出したい価値、為したい貢献
  • 作り出したい世界
  • 大切にしたい価値観

 

まずはこれらの要素において、思い浮かぶキーワードを書き出してみます。“生み出したい価値”“為したい貢献”“作り出したい世界”といわれても、なかなか思い浮かばないかもしれません。

 

そこで、まずは過去を振り返ってみることから始めると良いでしょう。

 

  • これまでの人生で達成感や充実感があったこと
  • 自分が尊敬する人、憧れる人(誰のどんなところを?)
  • 好きな名言、歴史上や映画・漫画のキャラクター、場面
  • 大切にしたい価値観、キーワード

 

これらを書き出して、眺めて、どんな共通項があるかを考えてみましょう。自分自身の価値観が表れているはずです。

 

そのなかでも、特に大切にしたい価値観、作り出したい世界観、自分が価値を感じることを抜き出して、文章として繋げていくことがおすすめです。

 

 

組織がミッションステートメントを考える際に参考になる6つの切り口

組織がミッションステートメントを作る際には、下記のような視点が参考になるでしょう。
 

<ミッション、ビジョン、バリュー>

  • いまあるとしたら、どんな思いが込められているのか?
  • 心から共感し、更に突き詰めたいものは? それはなぜか?
  • 納得がいっていない文言、表現はないか? それはなぜか?

 

<顧客・市場>

  • 誰に貢献したいのか? 誰に価値を届けたいのか?
  • 誰の問題、どんな問題を解決したいのか?

 

<製品、サービス>

  • 自社製品・サービスは、誰に喜ばれているのか?
  • 何が評価されているのか? なぜ購入されているのか?
  • どんな製品・サービスを使って価値を届けるのか?

 

<技術(テクノロジー)>

  • どんな技術(テクノロジー)に価値があると信じているのか?
  • ミッションステートメントを実現するうえでどんな技術が必要なのか?

 

<強み>

  • いま、どんな強みがあるか?それはどこから来るのか?
  • どんな強みを築きたいのか?

 

<組織への考え方>

  • どんな組織を作りたいか?どんな価値観や行動規範を持つ組織でありたいか?
  • 社員をどう扱いたいか?彼らのキャリアや生活にどう貢献したいか?

 

ミッションステートメントの実例

最後に、企業のミッションステートメントの実例をいくつか引用してご紹介します。自社や個人のミッションステートメントを考えるうえで参考になれば幸いです。

 

 

ファーストリテイリング

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」

 

 

パタゴニア

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」

 

 

スターバックス

「人々の心を豊かで活力あるものにするために――ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

 

 

中外製薬

「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します」

 

 

湘南ベルマーレ

「夢づくり 人づくり――世代と地域を繋ぐ総合型地域スポーツクラブとして、チャレンジする人の成長を支え、夢と感動を提供する」

 

 

ジェイック(HRドクター運営企業)

「企業のホームドクター、人材のメンターとなり、人と組織の限りない可能性に貢献し続ける」

 

まとめ

ミッションステートメントとは、企業の存在意義や個人の生きる目的を文章で表したもので、行動や選択、決断を行なうときの指針となるものです。

 

企業において、ミッションステートメントが浸透すると、組織の方向性が明確となることで、社員の方向性を揃えて相乗効果を発揮しやすくなったり、判断基準がぶれなくなったりします。また、「共通目的」が明確となることで、組織へのエンゲージメントが強くなると共に、採用にも良いフィルター効果を発揮します。

 

個人においても、ミッションステートメントが明確になると、人生におけるさまざまな意思決定に際して、自分の生きたい人生・価値観に照らし合わせて、後悔しない決断を下すことができるでしょう。

 

自分のミッションステートメントを明確にすることで、所属する組織で働く意味も明確になります。

 

ぜひ組織や個人のミッションステートメント作りに取り組み、ぶれない指針を作りましょう。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

1974年生まれ 鹿児島県種子島出身。1997年筑波大学第一学群社会学類を卒業。新卒でハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。専門分野は新人と若手育成、モチベーション・エンゲージメント改善、女性活躍等

【著書、登壇セミナー】
・新入社員の特徴と育成ポイント
・ニューノーマルで迎える21卒に備える! 明暗分かれた20卒育成の成功/失敗談~
・コロナ禍で就職を決めた21卒の受け入れ&育成ポイント
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