二人の経営者のセミナーから参考になったこと
皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。
上海は、今週の月曜日、7月7日に梅雨明けしました。
日本と比較すると雨が少ないように感じたのですが、地元の方にお聞きすると今年は雨が少ないとのことでした。本来、上海の梅雨はもっと降るようです。
日本は、これから台風が直撃するようですので、ご注意ください。
先週は、日本に帰国していました。
その際、上海の方をご紹介いただきましたFさんに、御礼を兼ねてお会いしました。
そのFさんから、参考になる話しをお聞きしました。
社員からアイディアや企画が生まれる風土・仕組みを作ろうとして、ある制度を導入しました。
社員同士で、いろいろな商品を企画して、制度事務局に申請をすると、商品化のために最大で500万円まで支出してもらえます。
その申請には、上司の承認は必要ありません。また、事務局には担当者が一人いるだけで、その人の決裁で全て進んでいきます。ですから、役員もどんな商品の企画があるのか、年1回の発表会があるまで知りません。
但し、この商品の企画・開発は、業務時間外でやる前提となっています。
実際に、この制度発で、商品がいくつも発売されたそうです。
Fさんは、この制度のポイントは、上司の承認も必要なく、上司を通す必要もないこと、と仰っていました。
社員の自発性を高め、組織の活性化に繋がる面白い制度だと思いました。
さて、今回は、上海で開催した、お二人の経営者のセミナーから参考になったことをご紹介します。
お一人目は、上海丸協運輸の神並総経理です。
神並さんは、1995年から中国に赴任され、20年近く中国でビジネスを行っていらっしゃいます。
2001年より、転職され現職に着任されました。
着任早々、8割の売上を占めて顧客との取引がなくなる事態に直面します。
中国人従業員は、会社が倒産するのではないかと動揺していました。
その時、神並さんは、
「心配するな。私は黒字にする方法を知っている。そして、その方法は2つある。
すぐに黒字にする方法と、3年で黒字にする方法だ。
すぐに黒字を出す場合には、仲間が減る、トラックも減る。
3年で黒字にする場合には、仲間は減らないが、給与は上がらないし、賞与も3年間はでない。
どちらにするのか、みんなで決めてくれ。」
と、中国人社員に選ばせました。
中国人社員は、3年後に黒字にする道を選び、給与は上がらない、賞与ゼロの中で頑張り続け、見事黒字を実現します。その後の業績は、右肩あがりです。
神並さんは、
「期待に応えようとする力は、日本人より中国人の方が大きい。
本気で期待すると本気で返ってくる。」
と断言していました。
また、質疑応答で、
「上手く行かないことやトラブルが続いたときなど、どうモチベーションを維持していますか?」
との質問には、
「モチベーションを落としている間がないです。
事業計画以外に夢を社員と共有しています。
その夢は、『上海のもの、日本のものを中国全土に届ける』というものです。
沿海部は良いですが、まだまだ、中国には物流網が整備されていないところがたくさんあります。
上海のよいもの、日本のよいものを、中国のどこにでも届けられるようにしよう、と大きな夢を社員に約束しています。その社員との約束を果たすために、考えること、やることは次々と出てきます。
悩んだり、落ち込んでいられないです。」
とお答えになりました。
まさに、ミッション経営をすね。
お二人目は、しんせん館を経営している石橋CEO。
しんせん館は、中国全土で日系スーパーを70店舗超、展開する食品製造・販売をしている会社です。
上海にいる日本人で、しんせん館を知らない人はいないと思います。
石橋さんは、単身、中国に1999年に乗り込んで事業をスタートしました。
質疑応答で、
「現在の日中関係は大変な逆風だと思うのですが、今後の中国でのビジネスをどうお考えですか?」
と質問がありました。
石橋さんの回答は、
「中国に来てから、サーズ、鳥インフルエンザ、反日デモなど、逆風なことはいろいろとありました。
まず、ひとつ言えるのは、うちは中国で始めた会社ですので、日本に戻るところがありません。
撤退するという選択肢がそもそもないので、中国で頑張ってやり続けるしかないんです。
また、実は、逆風なことがあっても数字が落ちることがなく、むしろその時期に伸ばしています。
競合が減るもしくは撤退すると、良い場所の物件に入りやすくなったり、家賃が安くなるので、チャンスです。ですから、うちは世間が悪いと言われている時に店舗数を増やしています。」
懇親会では、石橋さんは次のことも仰っていました。
「日本は、白と黒の間のグレーが狭いが、中国は、白と黒があって、その間のグレーが一番大きい。そのグレーをどううまく使うか、楽しむくらいだと事業が上手く行く。
例えば、食品を製造する許可のカテゴリーに「鮨」はない。もし、「鮨」で許可を取ろうとすると延々時間が掛かって、いつ取れるかわからない。だから、しんせん館では、「鮨」は、ご飯と切り身からできるので、お弁当やおにぎりのライセンスと刺身のライセンスを取って、「鮨」を出している。
また、グレーが広いからこそ、中小企業が成長発展できる余地がある。日本で、大手資本に勝つためにはよほどの何かが必要だが、中国だと大手企業は、コンプライアンスの関係でグレーのところには入ってこられない。そこで中小企業は勝負すれば良いと思う。」
覚悟をもって経営に取り組まれた方のお話しは、いつも刺激になります。
お薦めのお店は、「品川」 上海市桃江路×鳥魯木斉中路にある四川料理 美味しいです


