所得と幸福感には、どんな関係があると思われますか?
ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。
先月末は、久しぶりに出張しました。
飛行機で移動したのですが、1回はJAL、もう1回はANAを利用しました。
混み具合が関係するのかもしれませんが、共に、空席を設けるわけではなく
隣席にも乗客を入れていました。
チェックインの際にお願いすると、隣が空いている席に変更してもらえましたが。
飛行機内では、電車内以上に話す人がいないので、そこまで気にする必要は
ないのかもしれません。
また、機内誌の取り扱いが両社で異なりました。
JALは、これまで通り座席のポケットに機内誌が入れてあります。
ANAは、機内誌が置かれていなくて、欲しい場合には、CAさんに
お願いして、持ってきてもらいます。
どちらが良い悪いと言うつもりはありません。
どちらかというと、両社が違っていて頼もしく感じます。
〇〇が××しているので、うちも××しようという思考放棄をしていない感じが
プラスに感じさせるのでしょうか。
さて、9月の頭に、ICCというイベントに参加しました。
ベンチャー企業がプレゼンを行い、大手企業や投資家と出会う場となっています。
その中のイベントのひとつに、「組織のWell-Beingとは何か?」というテーマがありました。
スピーカーは、
石川 善樹氏 株式会社Campus for H 共同創業者
出雲 充氏 株式会社ユーグレナ 代表取締役
伊藤 羊一氏 ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア学長
佐藤 光紀氏 株式会社セプテーニ・ホールディングス 代表取締役
の4名
75分の中で、刺激的なお話がたくさんあったのですが
その中から、ひとつご紹介させていただきます。
まずは、「Well-Being」を理解するためのお話。
Well-Beingとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態
にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも
多い言葉です。
1800年、人類全体の平均寿命29歳だったのが、2016年には72歳へ。
寿命は圧倒的に伸びているが、人類の暮らしは
実感としてよくなっているのかを調べたのが
アメリカ・ミシガン大学のロナルド・イングルハート教授で
世界価値観調査を行います。
日本人の一人当たりGDPと生活満足度の有名なグラフがあります。
1978年から2008年にかけて、一人当たりGDPは、ほぼ倍増しますが
生活満足度は低下傾向にあります。
「幸福のパラドックス」
と呼ばれています。
更に、石川氏より以下の説明がありました。
主観的なWell-Beingへと至る道は、2つあると言われています。
ひとつは、現世への期待を下げ、来世への期待を高める。
苦悩は必然と思い込み、来世の幸福に向けて、今をいきる。
もうひとつが、近代化。
近代化とは、「経済発展」「民主化」「高い社会的寛容度」
この3つが揃うと、生き方の選択肢が増え、自己決定できる。
その結果として、幸せ・満足が増す。
(私見)企業・組織においてのWell-Beingもこれが類推適用できるように
思います。
「経済発展」・・・業績的な成長、所得の向上
「民主化」・・・決定への参画、合議での決定
「高い社会的寛容度」・・・多様な価値観の受入れ、ダイバーシティ
が、進むと企業・組織においてのWell-Beingが高まると推察できます。
また、コロナ禍で、Well-Beingはどうなっているのか?
イギリスは、毎週1回、無作為抽出の国民2000人からアンケートを取り
Well-Beingの推移をみています。
それによると、コロナの感染が広がり、ずっと落ちていたWell-Beingが
ロックダウンで上がります。
それはなぜか、現時点では明確な理由はわかっていません。
ただ、国民全体のWell-Beingが落ちると、政治的混乱が起きると
されています。
(私見)ということは、企業・組織においても
社員全体のWell-Beingが落ちると、組織的な混乱が起きる可能性が
高まるのではないでしょうか?
Well-Beingについて、学会では既に長年研究されていますが、これから
ビジネスの世界でもどんどん適用されるように感じています。
お薦めのお店は、京都にある居酒屋「富久家」
創業80年。女将さんがひとりでやっている、落ち着いたお店です。