本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.1は下記よりどうぞ。
<目次>
- 社員の力を100%引き出す人事制度とは?
- これからの時代に求められるマネジメント観点
- 次代の人づくりに求められること
- 組織と人の可能性にフォーカスするコミュニケーションのステップ
- No.2はトップの考えをかみ砕き、翻訳して布教する
社員の力を100%引き出す人事制度とは?
社員の力を100%引き出すための手法として、まず思い浮かぶのは人事制度ではないでしょうか。
人事制度には「こうあるべきだ」という正解はありません。ただ1つ言えるのは、全社員が納得して満足する人事制度というのは、存在し得ないということです。
人事制度は、高く評価される人がいる一方で、あまり評価されない人がいます。どうしても組織内で差が生まれるものです。
従って、人事制度の精度は大切ですが、人事制度ですべてが解決するわけではなく、トップNO.2を始めとしたマネジメント層、管理職のメンバーへの関わり方こそが重要です。
トップやNO.2は、いま事業をどうするかを考えることも大切ですが、それ以上に、トップやNO.2が引退した後も、組織が継続して発展していけるように、次世代を見据えた組織作りと人づくりに取り組んでいくことが大切です。
これからの時代に求められるマネジメント観点
環境の変化に応じてマネジメント体系も変わっていく必要があります。
目の前の仕事をやりきり、頑張れば成果が上がった時代というのは、上図の左に掲載している「従来パターン」です。上司が正解を持っていて、指導=教えるという時代です。組織はピラミッド型となり、マネジメントは、トップダウンで指示を出して、メンバーに動いてもらう形です。
しかし、今は、全てにおいて正解がわからない時代です。そのため、上述したような、管理統制型でトップダウン型のマネジメントというのは合っていないかもしれません。図の右側に掲載していますが、「これからのパターン」というのは、ピラミッドの頂点にトップや上司がいるのではなく、円の中心にトップや上司がいることが大切です。
今の時代、上司が正解を持っているわけではないので、やり方を教えるというより、一緒に考える姿勢が求められます。メンバーたちから情報を吸い上げて、一緒に動いて考えていくマネジメント体系に変えていく必要性があります。
Z世代、ミレニアム世代の若者達が、どんどん組織の中核となっていきます。その中で、どんな組織マネジメントをしていくべきかを、今から検討・対応しておくことが大切です。
次代の人づくりに求められること
組織作りに取り組むうえでは、我々が次代に残したい価値観やあり方とはどんなものなのかを明確化していくことが大切です。育成に携わる人の価値観やあり方は、部下に色濃く反映されます。
経済の停滞が続く中で思い切ったチャレンジができない組織になってしまっていないかも考えなければいけません。
石橋を叩いて渡ることも大事ですが、それによって、業績が下降線をたどらないようにしなければなりません。
コンプライアンスに縛られすぎていないか、ということも考えていかなければなりません。
ハラスメントになることを恐れて何にも言えなくなってしまうような人もいるかもしれません。ハラスメントについて1つだけ言えるのは、誰が言うかによって、ハラスメントになるか、ならないか、は変わるということです。
本当の意味での信頼関係が構築できている場合、基本を守っていれば、大概においてハラスメントにはなりません。
人事制度の話と同じで、コンプライアンスやハラスメント対策ですべてがうまくいくわけではなく、組織の中で信頼関係を築けているかが大切です。
育成のポイント
今までの人材育成は、語弊を恐れずに言えば、組織に都合が良い状態にメンバーを育てていくために既存の価値観を植え付けるようなことも多かったと思います。個性よりも、組織での協調性や同調性を重視して育成してきたということです。
しかし、今後は、組織のニーズに沿って人材の個性を育てる育成が求められていると感じます。
もちろん、ルールや規則は大切ですので、守ってもらう必要があります。しかし、ルールに縛られるだけではなくて、新たな成長を描けるような個性を重視した育成をしていくことが必要です。
個性を重視する観点が育成する側にないと、「自分の言うことを聞く人材」を育てようとしてしまい、結果的に自分の考えをしっかり持った優秀層から離職していってしまいます。
大切なのは、メンバーの可能性をはばたかせていくことです。
そのためには、メンバーの強みを知っておく必要がありますし、成果が出てない要因や課題を抽出しておかなければいけません。
対話を通じて、個性が発揮できる組織作りをしていくことが大事です。信頼関係がきちんと構築されて、メンバーが協力したいと思っている状態ができていないと育成になりません。
組織と人の可能性にフォーカスするコミュニケーションのステップ
勉強させるような指示命令ではなく、本人が自ら勉強しにいく状態にならないと、本当の意味での「育成」にはなりません。
育成する側の上司をメンバーが「助けたい」と思ってくれているような状態になっていると、本来の意味で、効果的な育成することができるでしょう。
そのためには、強みを活かす文化の醸成が大切です。自分の強みを自覚して自信につなげるためには、褒めてあげることが大切です。強みが活かされ、褒める文化が醸成されると、自信を持って仕事に取り組むメンバーが増えていきます。
キャリアコンサルタントが管理職に仕事やマネジメントの悩みをヒアリングして分析したところ、一番目についたのは「自分に自信がない管理職が多い」ということでした。管理職が「どうやって接したらいいのかわからない」「自信がない」と思いながらメンバーと接していたら、うまくいきません。
管理職自身が、自分の強みを見出し、強みを生かして成果を出し、自信を持つことが大切です。その上で、各々の対話力を高めることで組織エンゲージメントが醸成されていきます。
No.2はトップの考えをかみ砕き、翻訳して布教する
NO.2は組織や人づくりを進めつつ、社員を組織が向かう方向へ導いていく必要があります。
経営理念やミッション、ビジョン、バリューを浸透させていくこともNO.2の大事な役割です。
トップである社長のメッセージがうまく社内に伝わっていないことはないでしょうか。そんな時、トップの考えを噛み砕き、翻訳して普及するのが社長の右腕であるNO.2の重要な役割です。
魔法の伝え方「マジック・フォーミュラ」
ここで1つ、効果的に伝えるためのポイントを共有させていただきます。マジック・フォーミュラという伝え方です。
相手に行動を促すとき、マジック・フォーミュラの形式で伝えていくと、相手に納得感を持って動いてもらいやすいでしょう。
マジック・フォーミュラのポイントは、結論から伝えないことです。
私達は、新入社員の頃から、ビジネスのコミュニケーションは「結論から伝える」ことが大事だと刷り込まれています。
もちろん結論ファーストは大切です。ただ、上司に結論を先に言われたら、もうその時点で指示命令になってしまいます。これでは共感して動いてもらうことはできません。
マジック・フォーミュラでは、出来事や事例から話していきます。
例えば話をする時間が2分だとすると、そのうちの90%、1分50秒は、出来事や事例を話します。その上で、残りの10秒で促したい行動、そこから得られる利益を伝えていきましょう。
この伝え方をしていくと、相手は集中力を持って話を聞くことができます。
事例を話すことで、相手に自分が感じたことを、追体験をしてもらうことができます。そのうえで行動を伝えると、相手に腹落ち感を持って行動していってもらえるようになります。話し方や伝え方を工夫するだけでできることなので、ぜひ実施していきましょう。
一方的に伝えるのではなくNo.2も対話が重要
トップの考えを翻訳して布教すると同時に、各メンバーが安心して意見を言える環境作りをしていくのもNO.2の役割です。この環境を実現していくためには、NO.2が考え方や伝え方を工夫していかなければなりません。
トップダウンの伝え方で説得することに偏ると、今は受け入れられません。NO.2に求められるのが、対話を通じて伝えていくということです。
NO.2が率先してリーダーシップのリスキリング、対話力の向上を図っていきましょう。そうすれば、これからの組織作りや人づくりを加速させることができるでしょう。それこそが今、NO.2、経営幹部に求められていることだと思います。一緒によりよい組織作りを目指して頑張っていきましょう。
リーダーシップのリスキリングをはかることで、
これからの組織作り、人づくりを
加速させましょう
それこそが、今、われわれNo.2に
求められていることです!
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