採用活動で求人広告を掲載する際、「求人広告代理店」に依頼する方法と、媒体社に「直販」で依頼する方法の2通りあります。媒体社に直接依頼もできるのに、求人広告代理店に依頼することはどんなメリットがあるでしょうか。
記事では、求人広告代理店と(媒体社)直販の違い、それぞれのメリット・デメリット、どちらを利用するかを決める判断基準、求人広告代理店の選び方などについて解説します。
<目次>
- 求人広告代理店とは?
- 求人広告における代理店と直販の違いは?
- 求人広告代理店を利用するメリットとデメリット
- 直販を利用するメリットとデメリット
- 求人広告代理店と直販、どちらを利用するか?
- 求人広告代理店を選ぶ際のポイント
- まとめ
求人広告代理店とは?
求人広告代理店とは、リクナビ、リクナビNEXT、マイナビ、マイナビ転職、doda、indeedなどの求人メディアの広告枠を「販売代理店」として扱っている会社を指します。
代理店によって、リクルート系やマイナビ系など、どの会社のメディアの取り扱いが多いといった特徴があります。リクルート系しか扱っていないという専属の代理店もありますが、複数企業のメディアを扱っている代理店も多くあります。
これら代理店に対して、直販とは、求人メディアの運営元企業と直接取引することを指します。例えば「リクナビ」「リクナビNEXT」なら株式会社リクルート、「マイナビ転職」「マイナビバイト」なら株式会社マイナビ、「doda」「an」であればパーソルキャリア株式会社といった運営企業から直接契約するのが直販です。
求人広告における代理店と直販の違いは?
採用活動における求人広告代理店と直販には次のような違いがあります。
①取扱メディア
求人広告代理店と直販では、取り扱う求人メディアの数が異なります。直販が自社の運営する求人メディアしか取り扱わないのに対し、求人広告代理店の大半は複数の求人メディアを取り扱っており、取扱メディア数が多いことがほとんどです。
②得意な提案内容
求人広告代理店は複数の求人メディアを取り扱っているため、それぞれの長所・短所を比較検討した上で、ケースバイケースでどれが効果的か、職種毎に相性の良いメディアはどれかなど、顧客の採用課題を俯瞰した上での総合的な提案を得意としています。
対する直販は、新卒向け・キャリア向け・バイト向けと広範に扱う企業や、女性向け・エンジニア向けなどカテゴリー毎に強みを持つ企業、ハイクラス向け・若手向けなどキャリア毎に特化した企業などがあり、それぞれ自社メディアへの深い知見を持っています。
そのためメディア特性を踏まえた機能やオプションの案内、最適な効果の出し方といった提案が得意です。
③利用可能なエリアや規模
直販は東京、大阪、名古屋などの都市部にしか拠点がなく、その他のエリアでは求人広告代理店に販売を委託しているケースもあります。
また、直販での取引は大手クライアントのみとして、それ以外の契約は求人代理店に委託しているケースもあります。そのため会社の所在地や規模によっては、選択肢が求人広告代理店しかない場合もあります。
求人広告代理店を利用するメリットとデメリット
求人広告代理店と直販には、それぞれにメリット・デメリットがあります。貴重な予算を使って求人広告を出稿するからには、冷静に比較して判断することが重要です。まずは、求人広告代理店を利用する場合のメリットを紹介します。
◆求人広告代理店を利用するメリット
①採用ニーズに合わせた求人メディアを選べる
特定のメディアを専属で扱っている代理店もありますが、前述の通り、複数のメディアを取り扱っている求人広告代理店が大半です。
そのため広告を出稿する側から見れば、求人広告代理店に問い合わせた方が、提案してもらえる求人メディアの選択肢が広がり、自社の採用課題の状況やニーズに合わせた求人メディアが選びやすくなります。
②メディアミックスを提案してもらえる
大量募集や採用難易度の高い職種での募集などの場合は、一つのメディアだけに掲載するのではなく、特性の異なる複数のメディアを組合せることもポイントになります。
その場合、1社で複数のメディアを組み合わせたメディアミックスを提案できる求人広告代理店の方が、効果を発揮しやすいでしょう。
③採用コストが下がる可能性が高い
求人広告代理店は多様な求人メディアの相場や最低価格を把握しているので、常に低価格での提案が可能となります。
また、メディアへの基本的な掲載料金は代理店、直販ともに変わりませんが、代理店は複数メディアを同時に扱うため、セット割引などを適用できる場合があります。
④やり取りが一元化できるので手間が少ない
求人広告を検討する際には複数社から個別に情報を聞くことになります。しかし、複数メディアを取り扱う代理店に発注すれば打合せが一度で済むため、人事担当者の時間コストが削減できます。また、別のメディアに乗り換える際にも説明不要なので、人事の負担が軽くなります。
◆求人広告代理店を利用する場合のデメリット
①直販より対応が遅れる可能性がある
何かの確認や調整をしたいといった際、直販であれば営業窓口から該当部署に直接依頼もできますが、代理店の場合、一旦直販内の代理店対応窓口に依頼することになり、実際の対応までの仲介部署が多くなる分、直販より対応が遅れるといったこともあり得ます。
②営業担当によっては商材知識に不足や偏りがある場合がある
代理店の場合は、提供する商材が多岐にわたるため、直販以上の商材知識を身につけることは難しくなります。
ひとつの商材に関する事例やノウハウはやはり直販の方が広く持っています。また、代理店の営業担当が全商材の特徴を深く把握しているとは限らず、担当によっては知識に不足や偏りがある可能性も否めません。
③サービスや提案の質が会社によって変わる
求人広告代理店は大小様々な会社があり、サービスの質や提案内容、制作体制が異なるため、正しく選ばなければ質の良くない代理店に当たってしまう可能性もあります。
直販を利用するメリットとデメリット
直販を利用するに際して次のようなメリットやデメリットがあります。
直販を利用するメリット
①直販が持つ情報やノウハウが得られる
直販は求人メディアの品質を向上しなければならないため、市場調査、アンケート、販促などに費用を投じ各種データを収集しています。
これらは代理店にも展開されますが、中には直販にしか共有されていない情報やノウハウ等もあり、こうした情報やノウハウが得られる可能性があります。
②自社メディアについてどこよりも詳しい
直販は自社メディアしか扱えない分、商材に対する知識は深く、細かい設定やオプション、裏ワザ的なノウハウを知っていることもあるので、メディアの仕様を最大限活かした掲載が可能となります。
また、サイトリニューアルや新しいキャンペーン情報等も、代理店より早期に得られる可能性が高いです。
③大手企業が多いので安心感がある
求人メディアの運営企業は大手が多く、営業・制作・事務スタッフが豊富なため、大規模な求人募集にも問題なく対応できます。
また、大手ならではの充実した研修・教育を受けた社員が多く、一定以上のパフォーマンスの人材が揃っているため、提案資料などの質も高いです。
④代理店より対応スピードが早い可能性がある
直販の場合は、枠数の決まったオプションの発注作業や原稿の修正対応など、掲載開始から終了までの各種やりとりが社内で完結するため、代理店より迅速に対応できるケースが多くなります。
直販を利用するデメリット
①複数メディアに掲載する場合、メディア毎に窓口が異なる
複数の求人メディアに掲載したい場合、各メディアの営業担当と個別に相談することになりますが、複数メディアの担当者を同時に呼んで話す状況は考えにくいため、採用担当者の工数は大きくなります。
②自社メディア以外の情報をあまり持っていない可能性がある
直販は自社の求人メディアの情報に関しては詳しい一方、競合メディアの情報についてはそこまで詳しくない場合が多いです。
また、そもそも販売の選択肢が自社メディアしかありませんので、「どのメディアに掲載するのがベストか?」などは客観的な意見は得られにくい可能性が高くなります。
③融通や小回りがききにくく、対応が画一的になりがち
直販は企業規模が大きい分、販売や対応に際してきちんとルールが設定され、対応が画一的になることもあります。些細な要望事項でも断られたり制限されたりすることも多々あるようです。
求人広告代理店と直販、どちらを利用するか?
求人広告代理店と直販にはそれぞれ長所と短所があります。そのため折々の自社のニーズや状況に合わせて、どちらを選択すべきかを検討することが必要です。
◆求人広告代理店の利用が向いているケース
下記のようなニーズがある場合は、求人広告代理店の利用が向いているでしょう。
・客観的に見てどのメディアが自社に適しているのか提案が欲しい
・忙しいので時間的なコストを削減するためにも丸投げしたい
・複数の窓口と個別に対応するのが面倒である
・時期に合わせてメディアを使い分けたい
◆直販の利用が向いている場合
一方で、下記のようなニーズがある場合は直販の利用が向いています。
・時間がかかっても構わないので各社から話を聞き、各メディアの詳細まで含めて比較検討したい
・大きなプランを発注するので、レベルの高いクリエイティブ制作が必要である
・掲載する求人メディアは絞っているので、パフォーマンスを最大限高めたい
求人広告代理店を選ぶ際のポイント
求人広告代理店と直販との違いが分かったところで、頼りになる求人広告代理店の見分け方についてご紹介します。提案内容やクリエイティブなど、求人広告代理店次第で成果が左右されますので、自社の採用課題にマッチした求人広告代理店を選ぶことが大切です。
ポイント①企業として信頼できるのか
求人広告代理店選びでまず重要なことは、そもそも企業として信頼に足るかどうかです。企業としての信頼性を見極めるためには、以下のポイントを確認すると良いでしょう。
・会社規模
求人広告代理店には、法人代理店の他に、個人代理店がある場合もあります。経験豊富な個人が独立して、小規模でやっているケースもありますが、初めて求人広告代理店を利用するのであれば、テキある程度規模が大きく、信頼できる法人代理店の方が安心でしょう。
・事業継続年数
一般的に代理店の設立年数は、そのまま経験年数にリンクします。設立年数を確認し、あまりに短い場合は注意しましょう。
・特徴
1つのメディアに特化して一部他のメディアを扱っているのか、多様な求人メディアを扱っているのか、メイン事業が他にあって付随事業として求人広告を扱っているのかなども重要な判断基準となります。
ポイント②人材採用に対する知識やスキル、実績がどの程度あるか
求人広告代理店選びで最も重要な「人材採用に関するスキル」については、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
・求人広告代理業がメイン事業か?
求人広告代理店の中には、求人広告をメインの事業にしている会社もあれば、他の事業の傍らで求人広告を取り扱っている会社もあります。当然ながら求人広告をメイン事業にしている会社の方が、ノウハウやスキルを持っている可能性は高くなります。
・対応可能なエリアは?
求人広告で効果を上げるには、出稿するエリア特有の傾向や文化などについても理解が必要です。例えば求人予定エリアが東京都内であれば、都内をメインエリアとして扱っている代理店がベストでしょう。代理店を選ぶ際は、求人を出すエリアに関する知見がありそうかどうかも確認しましょう。
・採用手段が年々進化している中で新しい商材の取り扱いがあるか?
求人の手法やツールは年々進化しており、従来型のサービスだけではなく、新しい商材を取り扱っている企業の方が、最新のスキルやノウハウに敏感な可能性があります。新しい手法も積極的に取り入れたい企業は、こうした代理店を選ぶのも一つの方法です。
ポイント③制作物の品質は問題ないか
制作する求人広告の品質も、求人広告代理店を選ぶポイントとして挙げられます。制作物の品質を判断する際は、以下のようなポイントに注目しましょう。
・他社の制作実績や成果を確認できるか?
打ち合わせや商談の際に、検討中の案件と類似した過去の実績を見せてもらうよう打診してみましょう。実績があれば特別な事情がない限り確認できるはずです。
・営業担当が制作を兼任するのではなく専任のクリエイターや制作担当者がいるか?
求人広告代理店には、営業担当が自ら原稿を制作する場合と、専任の制作担当者が原稿制作を行う場合があります。原稿のクォリティという点では、専任担当者がいる代理店の方がレベルは高くなるでしょう(大規模な出稿ではない場合、営業担当が求人を作成するケースも多くあります)
ポイント④営業担当の質・レベルはどうか
打ち合わせのために訪れる営業担当の質とレベルも、求人広告代理店を選ぶ際の重要な判断基準となります。
・質問に対して的確な回答ができるか?
こちらの質問に的確に答えられるかどうかはとても重要です。何にでも即答できるという意味ではなく、わからないことは「わからない」と言えるか、「帰社次第すぐに調べてご連絡します」などの適切な受け答えができるかどうかを確認しましょう。
・連絡のレスポンスは良いか?
求人広告は、タイミングがズレると効果が変わります。また業種によっては、一刻も早く欠員を埋めないと事業が回らないケースもあります。連絡しても返事がない、やり取りに時間がかかるなどレスポンスの悪い担当者は、事の重要性を理解しておらず良い仕事も期待できないでしょう。
・しっかりと自社の問題点やニーズをヒアリングしてくれるか?
求人広告で効果を出すには、職種や給与、勤務時間などの基本情報のみならず、募集の背景、入社希望時期、人物・スキル両面での求める人材像など、様々な付加情報が必要です。ヒアリング時間が短く内容も薄い担当者には注意しましょう。
ポイント⑤掲載前後のフォローはどうか
求人広告代理店の良し悪しは、広告掲載後に顕著に表れます。掲載後に不都合があるようなら、次回は他の代理店を利用することも可能なので、一つの判断材料にするとよいでしょう。
・掲載中や掲載後に効果確認の連絡はあるか?
求人広告は効果を出すことが目的なので、質の高い代理店であれば掲載中や掲載終了直後に効果確認の連絡があるはずです。掲載後に何も連絡がない場合は、別の代理店を検討した方が良いかもしれません。
・効果が思わしくなかった場合にも再提案はあるか?
一度の求人広告掲載で目的を達する場合もあれば、そうはいかないこともあります。本気で採用成功を考えてくれる営業担当なら、効果が思わしくない場合は早急に別のプランを再提案してくれるでしょう。
もし効果が思わしくない場合でも連絡や再提案がなければ、別の代理店を検討する方が良いでしょう。
・効果の良し悪しに関わらず振り返りはあるか?
求人広告や人材採用に詳しい営業担当であれば、案件の終わり=関係の終わりではなく、次回に向けて改善点や新たな提案を出してくれます。案件が終了した途端に連絡が途絶えてしまう代理店は、あまり頼りにできないかもしれません。
まとめ
求人広告代理店と直販にはそれぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。どこに依頼をするかを決める重要なポイントは、自社の採用ニーズにどれほど寄り添い、きめ細かくサポートしてくれるかどうかにあります。
今回の記事を参考に、どのような成果を出したいのか、求人広告を出す目的とゴールを明確にした上で、最適と思われる企業を慎重に選定しましょう。