前章でお伝えしたように、中小企業が採用で苦戦しやすい理由は複数あり、単体の努力では如何ともしがたい部分もあります。こうした状況も踏まえて、中小企業が採用で苦戦しない、成功するためにはどんなことが必要になるのでしょうか。本章では、中小企業が採用で苦戦しないために大切となるポイントを5つ解説します。
ポイント①自社のイチ押しポイントを作る
知名度の低い中小企業は、単に求人広告を出しただけでは競合の求人に埋もれてしまい、期待する成果にはなかなかつながりにくいでしょう。中小企業の採用活動でまず大事になるのは、「自社のイチ押しポイント」を作ることです。
イチ押しポイントを作る上では、今いる社員に「何がきっかけで入社したのか?」をヒアリングすることがおすすめです。ヒアリングしていくと、例えば、以下に挙げたような、給与や待遇面以外での入社のきっかけがいくつも出てくることでしょう。
・働き方の自由度の高さに魅力を感じた
・これからの社会に必要とされているサービスに感動した
・事業部長の掲げているビジョンに共感した
・社長の器の大きさ、人間性に惚れた
給与などの待遇や条件面は、中小企業が大手企業に太刀打ちすることは難しいかも知れません。しかし、上記の例のように、自社ならではの魅力を探して、イチ押しポイントを見出すことが大切です。
なお、イチ押しポイントを考える際は、「他社に絶対にない」「独自の」という視点に拘りすぎない方がいいでしょう。それよりも「何が我が社の売りか?」「どこに魅力を感じて入社してくれた人が活躍しているか?」ということを軸に考えてみましょう。
ポイント②採用ペルソナを作成する
中小企業が採用を成功させるためには、採用ペルソナを明確にすることも重要です。採用ペルソナとは、自社が採用したい人(採用ターゲット)に、価値観や個性、キャリア観、転職理由といったものを肉付けして、架空の人物像にしたものです。
採用ペルソナを明確にすることで、以下のような効果が期待できます。
・どんな魅力を、どう表現すればいいかが考えやすくなる。
・採用媒体や採用手法を、より効果的に検討できるようになる。
・応募者とのマッチング精度が高まり、ミスマッチによる離職率を減らせる。
採用ペルソナを作成にする際は、「どんな人に来て欲しいのか」という人材像を、あらためて再検討することが大切です。HRドクターでは採用ペルソナの作り方について、分かりやすく解説した記事を用意していますので、ご興味あればご覧ください。
ポイント③経営者が採用活動に主体的に関わる
経営者の顔が見える、経営者と近い距離で仕事ができることは、中小企業ならではの強みです。この強みを存分に活用するためには、採用活動に、経営者に主体的に関わってもらうことが重要です。
合同説明会や質疑応答、選考面接などで、社長や役員陣が積極的に参加することで、求職者が経営陣と直接話す機会が生まれ、企業の魅力や展望を力強く伝えることができます。結果として採用力は向上するでしょう。
中小企業で、一番の熱量とビジョンを持って事業に取り組んでいるのは経営者です。だからこそ、中小企業ではトップが採用活動に主体的に関わり、積極的な姿勢を示すことが、来て欲しい人材を惹き付ける一番の説得材料になります。
経営者には、採用イベントや面接などに参加してもらうとともに、採用媒体においても積極的に発信をしてもらうようにしましょう。
ポイント④露出を増やす
前章でお伝えしたように、中小企業は知名度では、なかなか大手企業には勝てないでしょう。しかし、その中でも自社の露出を増やしていく工夫を地道に積み重ねることは大切です。採用サイトの作成、SNSでの情報発信、プレスリリースや業界紙で取り上げもらうなど、多くのお金をかけなくても露出を増やす方法は色々あります。
何がきっかけになって応募につながるかは分かりません。また、何かしらの求人チャネルで自社の存在を知った求職者が社名で検索した時、どんな情報に触れられるかは非常に大切です。
また、「若手のITエンジニアを採用したい」など、ターゲットが明確であれば、技術系のブログやエンジニアのコミュニティサイトなどで自社の技術力や開発ノウハウを共有する、積極的にリファラル紹介の依頼やカジュアル面談を実施するといったことも効果的です。
こうした取り組みは、一朝一夕で知名度や採用力に寄与するわけではありませんが、予算をあまりかけずにできるので、地道に継続し続けることが大切です。
ポイント⑤採用手法を柔軟に切り替える
採用活動を進めるに当たり、現在取り組んでいる手法では期待する結果が得られていない場合には、他の手法に切り替えることも重要です。
たとえば、来て欲しい人材のエントリーが集まらないのであれば、指定した条件でピックアップした人材を直接スカウトできる「ダイレクトリクルーティング」を検討しても良いでしょう。
他にも「人材紹介」や「リファラル採用」など、目的やターゲットに応じて様々な採用手法があります。来て欲しい人材を集める上で、今取り組んでいる方法が本当に効果的かどうか、十分吟味した上で、柔軟に切り替えていくようにしましょう。
ポイント⑥メッセージを工夫する
様々な手段を利用して露出を増やしていく、また、採用方法も柔軟に切り替えて最適なものを利用することが大切ですが、同時に発信するメッセージの工夫も重要です。
採用媒体に掲載する求人情報は、求人広告と呼ばれます。目的は、求職者の関心を引き、まずは読んでもらう、そして、応募してもらうことです。事実をしっかりと掲載することはもちろん重要ですが、広告として人々を惹きつける必要があります。
とくに知名度の点で不利な中小企業がありきたりなメッセージを掲載してしまうと、条件面だけで大手企業と比較され、応募が集まらないことも起こりがちです。
メッセージを作成するときには、ポイント②で作成したペルソナがどのような点に関心を持つかを考え、ペルソナが魅力に感じるようにメッセージを作成することが大切です。さらに、ポイント①で作成したイチ押しポイントをメッセージにしっかりと含めましょう。タイトルや見出し、キャッチコピーなどでもイチ押しポイントを含めるのが大事です。
求職者がついつい見てしまい、応募したくなるようなメッセージを作成しましょう。
ポイント⑦会社全体で採用に取り組む
中小企業が採用を成功させるためには、会社全体で採用に取り組むことも重要です。
採用活動の計画や企画をするのは人事や採用担当者になるでしょう。しかし、経営陣にも協力してもらい、経営陣はもちろん全社員に採用活動に協力してもらう。自分たちが欲しい人材は自分たちで採用しにいくという文化をつくることが大切です。
経営者が説明会や選考に関わるのと同じように、現場のエースや管理職が採用活動に協力してくれることで、よりリアルな情報、また、温度感のある魅力、そして、求職者が知りたがっている情報を発信することができます。
また、情報発信する上でもリファラル採用やSNS活用などは発信する人が増えれば、その分強力なものとなります。たとえば、数十人の社員が自分のSNSで「●●職で中途採用しています」と発信すれば、多くの人の目に触れるでしょう。