内定式の開催は、内定者を確実な入社につなげるため、有効な手段の一つです。本稿では、内定式の時期や時間、当日の主な内容と準備スケジュールを解説します。
内定式の担当者が注意しておきたいポイントにも触れていますので参考にしてください。
<目次>
内定式の重要性
内定式は、内定者の入社意欲を高めるための重要な内定者フォローの機会です。採用活動は選考を行い、内定者を決定した後も終わりません。
内定者決定後は企業にとって、内定者の辞退を防ぐために気の抜けない時期が続きます。内定の承諾をしてくれた人材が、確実に入社してくれるよう、配慮の行き届く時間を提供していきましょう。
内定式はいつ実施するのが適切なのか
まず、内定式の時期と開始時刻や長さについて説明します。企業ごとに自由に設定できるものですが、内定者の都合と合わせる必要もあるため、一般的な条件で計画する企業が多いようです。
時期
その年の採用目標人数が達成されている場合、多くの企業が10月1日か2日に内定式を開催しています。もしくは、10月の第一月曜日と決めているところもあるようです。
ただし、採用活動が難航して思うような人材が集められていなかったり(内定を出していない)、内定辞退者が多かったりすれば、時期が先送りされることもあります。
まだ選考が続いている可能性が高いからです。
内定式は、内定者同士が知り合う良い機会ですし、何度も開催できるものでもありません。自社の採用状況を見て、入社予定者ができるだけ多く参加できる状況で行うのが適切です。
開始時間と長さ
開始時間については、遠方に住む内定者への配慮が求められます。企業によって異なりますが、午前中の9時、10時開始のところが多いようです。
この場合は、内定式の式典後に昼食を兼ねた懇親会に合わせることもできます。午後から、研修やレクリエーションなどを組む企業も多いようです。
午前中に大掛かりな準備が必要となる企業などは、午後1時開始というケースもあります。また、式典は1時間程度で終わるのが一般的のようです。
式典だけで2時間以上になると、出席者を疲れさせてしまうかもしれません。
内定式の主な内容
内定式の式典を含め、内定式の日の主な内容を説明します。
- 会社側の挨拶
- 内定書授与・内定受諾書受理
- 内定者の挨拶
- 事業や勤務内容の説明・確認
- 社員も交えた交流会など
会社側の挨拶
式典では、トップの社長をはじめ、役員や人事部長などが挨拶をします。いずれの場合も、企業理念やビジョン、人材への期待感などを盛り込み、魅力あるメッセージを伝えましょう。
内定書授与・内定受諾書受理
企業から内定書を授与し、内定者から内定受諾書(承諾書)を受け取ります。式典では、内定書の授与は代表者だけになることも多いです。
また、時間短縮のために、当日前に内定書を送付し、署名・捺印した内定受諾書を持参させる企業もあります。
内定者の挨拶
内定者が自己紹介をします。式典での挨拶であれば、代表者一名に依頼するケースが多いです。
人数が少なければ、全員に一言ずつ自己紹介してもらうようにしてもいいでしょう。挨拶をしてもらう場合は、当日前に伝えておくと親切です。
事業や勤務内容の説明・確認
式典とは別に、事業や勤務内容について詳しく説明する時間を設けることをおすすめします。質問を受け付けることで、入社前の再確認、問題解決、不安解消につながるはずです。
社員も交えた交流会など
せっかく内定者に集まってもらう機会ですから、社内の社員との交流する時間を作ってはいかがでしょうか。
少しの時間でも一緒に働く社員と顔を合わせて知り合っておけば、入社に対する不安も低減されます。
話のできる場を設けてもいいですし、昼食や軽食を兼ねるのもおすすめです。できるだけ多くの人と、密な話ができるのが理想です。
自社のアピールにつながる適切な社員を選んで、出席(協力)してもらいましょう。
内定式当日までの企画・準備スケジュール
では、内定式の当日前の準備スケジュールを確認しましょう。当日の本番は、やることがたくさんあります。内定式当日の負担を減らし、スムーズに進行させるためにも準備を徹底しておきましょう。
- 内定式の目的の明確化
- 日程と場所の決定
- 内定式の内容を企画・手配
- 内定者・社内関係者に連絡
内定式の目的の明確化
一般的な内定式の流れは参考になりますが、大切なことは、自社が内定式を行う目的を認識した上で開催することです。例えば、ある企業は「入社意欲を高めること」を目的とするでしょう。
ほかの企業は「企業理念の浸透」を目的に掲げるかもしれません。そのほか、既存社員との交流、内定ブルーの払拭なども考えられます。
内定式の結果には、そのすべてを求められるかもしれません。しかし、目的をピンポイントに絞ることで、当日に何をどのようにすべきかが定まりやすくなります。
内定式当日の効果を最大化させるためにも、社内で話し合い、目的を明確化しておきましょう。
日程と場所の決定
内定式を開催する日時や場所は、内定者に配慮して決定しましょう。前記したように、内定式は、10月初期に開催されるのが一般的です。この時期に予定を見積もっている内定者もいるかもしれません。
内定式の内容を企画・手配
内定式の目的に合うよう当日の企画とスケジュールを組みます。企画やスケジュールに合わせて、必要な手配をします。
場所やレイアウト、プロジェクターやスクリーンの準備、スタッフの確保、ケータリングなど外部業者への依頼が必要となることもあるでしょう。
社内でうまく連携できるように、入念にすり合わせておくことが大切です。
内定者・社内関係者に連絡
どの時期の開催になったとしても、できるだけ早めの伝達が求められます。早めに周知して出欠確認ができれば、その後の準備も進めやすくなるはずです。
また、遠方から出向いてくれる内定者がいる可能性もありますので、スケジュールは内定者の状況を把握しながら取り決めていきましょう。
そして内定者だけでなく、出席する社長や役員、管理職にも周知します。
内定式を成功させるための注意点
内定式を計画・実施するにあたって、担当者が注意しておきたいポイントを説明します。
- その日程に参加しない内定者への配慮する
- 内定者に悪い印象を与えないようにする
- 急な変更のときの対処も準備しておく
その日程に参加しない内定者への配慮する
内定式を開催するとき、当日にどうしても参加できない内定者もいます。また、内定式のあとに採用が決定する人材が出てくる可能性もあるでしょう。
内定式に出席した人と、そうでない人には精神的に大きな差が出る可能性があります。
再度内定式を行うことが難しい場合は、その差に配慮して、最大限のフォローをすることが大切です。差を埋めるための対策を取っていきましょう。
内定者に悪い印象を与えないようにする
内定式を行っても、辞退が発生する可能性はゼロではありません。内定式の印象で、辞退を決める内定者もいるかもしれません。
内定式を開催することが、内定者にとってプラスの印象を残せるような企画が求められます。自社の目的は何か、自社の内定者が求めるものは何かを十分に考慮した内容で進めていきましょう。
急な変更のときの対処も準備しておく
内定式当日に、台風や地震といった災害が発生する可能性もあります。発生を想定して、直前の対処の手順を組み立てておくと安心です。
このようなときの企業側の対処の仕方も、内定者の印象を左右する要素となります。万が一の事態が発生しても、速やかな決断と連絡ができるよう準備しておきましょう。
内定式をいつ行うかは自社と内定者の状況を合わせて考えましょう
内定式の開催について、事前準備や当日のスケジュール、その決め方などをお伝えしました。主役となる内定者の都合や自社の採用状況を加味しながら、適切なスケジュールで実施することが大切です。
魅力のある時間を提供し、入社意欲を高め、確実な入社につなげていってください。