スローガンにはメンバーの士気を高め、目標達成を促す効果があります。こうした効果を狙ってスローガンを設定している企業も多いことでしょう。しかし、せっかくスローガンを作っても、メンバーに受け入れられていなかったり浸透していなかったりするケースも少なくありません。
本記事では、スローガンがなぜ重要なのか、また、スローガン作成の参考例や設定のポイント、スローガンを定着させて目標達成につなげるコツを解説します。
<目次>
- 目標達成につながるスローガンの重要性
- 目標達成のためのスローガン例
- やる気を高め盛り上がるスローガンを設定する5つのポイント
- 目標達成のためのスローガンを定着させるコツ
- 「目標のスローガン例」でよくある質問
- まとめ
目標達成につながるスローガンの重要性
スローガン(slogan)とは、組織や団体の理念、活動の目的などを簡潔に言い表したもので、日本語では「標語」とも表されます。
企業でよく目にするスローガンは、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)、ブランドなどをわかりやすく言語化したものです。MVVやブランドを簡潔な言葉にすることで、チームが目指すべき方向や、チームメンバーの各々が大切にすべきものが社員に伝わりやすくなります。
スローガンが社内に浸透し、メンバー各々の指針として定着すれば、「何のために仕事をするのか」「何を大切にするのか」を自覚しやすくなり、個人のモチベーションアップにつながります。加えて、スローガンをメンバー間で共有することは、チームプレイの連帯感も生むでしょう。
例えば、営業など企業の業績に直結するような職種は、数字に一喜一憂しがちで、精神的な負荷がかかりやすいポジションです。
しかし、営業チームに適切なスローガンが浸透していれば、数字だけに囚われず「なぜ営業をするのか」にフォーカスし、成績が上がらないときにも広い視野で営業方法を見直すことができるでしょう。それは結果的に、営業担当一人ひとりの精神的負荷を軽減することにつながるはずです。
スローガンは、迷ったり行き詰まったりしたときに、チームが進むべき方向を再確認させてくれるものでもあります。
各メンバー、各チームが同じ方向を向いて進むことは、組織で目標達成するために大切な条件です。行動や意思決定に直結するバリューをスローガンとして言語化することは、チーム全体、ひいては企業全体での目標達成に効果的です。
目標達成のためのスローガン例
本章では、目標達成とモチベーションアップに寄与するスローガン事例を5つご紹介します。「スローガンのイメージが湧かない」「効果的なスローガンのアイデアがほしい」という場合に、ぜひ参考にしてください。
一心不乱
一つのことに集中し、他のことには目もくれない様子を表した四文字熟語。目標達成が難しそうに思われるとき、人はどうしても目の前のタスクから逃げたくなってしまうものです。
そのようなときに「一心不乱」の姿勢を指針にできれば、困難に立ち向かう行動を取ることができるでしょう。組織やチームへの貢献に集中するという意味だけでなく、チームの心を一つにして目標を達成するという意味を込めることもできます。
商品とサービス、そして真心を提供する
目標達成のために数字や効率を重視しすぎると、つい丁寧さが疎かになってしまいがちです。しかし長い目で見れば、丁寧な対応こそが目標達成への近道でもあります。
上記はどのようなときにも真心を忘れないように設定されたスローガンです。顧客はもちろん、チームのメンバーや同僚に対しても真心を持って接することで、さらに目標を達成しやすくなるでしょう。
顧客満足度を追求する営業活動
営業活動はどうしても業績を追う活動になりがちです。数字を追うことは大事ですが、営業活動の根本にあるのは顧客満足度であり、顧客満足度を追求すれば数字はあとからついてくるものです。
その考え方を示したのが、こちらのスローガンです。懸命に営業活動に取り組むなかで、目先の数字や成果しか見えなくなってしまったときに、目標達成の意味や営業活動の根本を再確認させてくれるフレーズです。
目標達成はすぐそばに!
チームや組織のモチベーションを維持・向上させるスローガンの一例です。
どのようなプロジェクトでも、目標達成までの道のりは決して楽ではありません。苦難が続けば「目標達成など不可能だ」と思い込み、あと少しというところで諦めてしまったり、モチベーションが落ちてしまったりするメンバーも多いものです。
しかし、どのようなときもモチベーションを高めて工夫を重ねることで、目標に近づくことはできるはず。「目標達成と未達成は紙一重であること」を思い出させ、「自分たちなら目標達成できるはずだ」という自信を持たせて、モチベーションを高める効果があるスローガンです。
It’s Show Time!
日本語に訳すと「さぁ、ここが腕の見せどころだ!」という意味合い。
チームの士気を高めたり、前向きなチャレンジを生み出したりすることにつながるスローガンです。プレッシャーのかかる場面では「ミスをしたくない」「穏当に済ませたい」という気持ちになりがちですが、そういうときほど「自分たちの力を発揮するぞ」というポジティブな姿勢が大切です。
商談の前や苦しいときなどに、気持ちを高める“ペップトーク”として非常に有効なスローガンだといえるでしょう。
やる気を高め盛り上がるスローガンを設定する5つのポイント
先ほどご紹介したような事例も参考にしながら、ぜひ実際にスローガンを作ってみてください。目標達成やモチベーションアップにつながるスローガンには、いくつかの共通点があります。
ここでは、目標達成に寄与する効果的なスローガン設定のために押さえておきたい、5つのポイントをご紹介します。
目標を明確にする
スローガンによって目標を達成しやすくするには、そもそも達成したい目標が明確になっている必要があります。
チーム全体の目標が明らかになっていることはもちろん、チームメンバー個々が自分の目標を具体的に把握できており、「達成したい」と本気で思っていることが必要です。スローガンは、目標が明確な状態で初めて高い効果を発揮します。
もしも目標があいまいな場合は、わかりやすく具体的なものに改めましょう。また、目標はあるがメンバーの達成意欲があまりにも低い場合は、チーム内の信頼構築や目標の意味付けから始めるべきかもしれません。
メッセージ性を強くする
スローガンには「メンバーのモチベーションを高める」「日々の取り組みでつい忘れがちなことを再確認できる」「迷ったときの行動指針となる」など、さまざまな効果があります。
設定するスローガンでどういった効果を生み出したいのか、どういったメッセージを込めたいのかを明確にしましょう。そのうえで、メッセージがうまく伝わる表現を考えていきます。
覚えやすくキャッチーな言葉を選ぶ
スローガンは、浸透しなければ意味がありません。
いくらすばらしい意味のスローガンを作っても、メンバーが覚えられなければスローガンの効果は発揮されません。メンバー全員が覚えられる短くて明快なスローガンにしましょう。難しい言葉よりもキャッチーな言葉を選ぶと浸透しやすくなります。
また、スローガンではリズムの良い言葉を選ぶことも大切です。実際に声に出して、「響きが良い」「口ずさみやすい」と感じられるスローガンを設定するのがおススメです。
メンバーが受け入れやすい内容にする
どんなに覚えやすいスローガンだとしても、メンバーに受け入れてもらわなければ目標達成や浸透にはつながりません。特に影響力の大きいメンバーや組織の中核になるメンバーが共感して、口にしなければ浸透は実現しないでしょう。
よくある失敗は「現場感覚とかけ離れたスローガンにしてしまった」「スローガンを押し付ける形になってしまった」というものです。失敗を避けるために、スローガン作成にあたって現場の声を聞いて、スローガンに反映させることもよいでしょう。
強制的な表現は使わない
スローガンが目標達成につながるのは、メンバーの内発的動機付けを刺激するからです。先ほど述べたことと重なりますが、「上からスローガンを押し付けられた」とメンバーが感じてしまうと、モチベーション向上効果は薄れてしまいます。
したがって、スローガンは“私”や“われわれ”が主語になるような、主体的な表現で設定しましょう。外からメンバーを動かしたり、行動を強制したりするような表現には要注意です。
目標達成のためのスローガンを定着させるコツ
最後に、作成したスローガンを社内で定着させるためのコツを3つご紹介します。
企業内で浸透させる
先述のとおり、スローガンは覚えてもらわなければ意味がありません。企業内で浸透させるために、なんらかの工夫をする必要があります。例えば、社内ポスターや社員手帳にスローガンを記載するのも方法の一つです。ほかに、朝礼でスローガンを読み上げるのも効果的でしょう。
経営陣がスローガンを実践する
スローガンの浸透には、経営層やリーダーの言動が大きく影響します。社員を引っ張る立場にある人がスローガンにそむいた行動をすると、メンバーもスローガンを守ろうとは思えなくなります。
誰よりもまず経営層やリーダーが、スローガンに沿った働き方・考え方を示すことが大切です。経営陣がスローガンを口にすることも重要でしょう。
部署内のスローガンを作成する
企業スローガンとは別に、部署やチームのスローガンを作成することも効果的です。人は「自分が作ったもの」に愛着を持ちます。部署やチームといった身近な組織のスローガンを、部署内・チーム内のメンバーで作成してみると浸透しやすくなります。
部署やチームで“自分たちのスローガン”を作ること自体がモチベーションアップにつながり、また企業全体のスローガン浸透にもつながるでしょう。
「目標のスローガン例」でよくある質問
Q.「スローガンの例は?」
「ココロも満タンに」-コスモ石油
参考 コスモ石油
「まだ、ここにない、出会い」-リクルートホールディングス
参考 リクルートホールディングス
「水と生きる」-サントリー
参考 サントリー
Q.「スローガンの書き方は?」
スローガンを作成するときのポイントですが、
- 目標を明確にする
- メッセージを盛り込む
- キャッチーで馴染みやすい言葉を選定する
- 社員やメンバーが受け入れられる内容にする
- 強制的な表現や言葉は使わない
Q.「スローガンの目的は?」
会社/チームの目指すべき方向性や達成したい目標、大切にしたい価値観を言葉にすることで、社員やメンバーのモチベーションが上がります。
まとめ
スローガンは組織や団体の理念、活動の目的などを簡潔に言い表したもので、企業ではミッション・ビジョン・バリュー、ブランドなどをわかりやすく言語化したスローガンがよく見られます。
スローガンは目指すべき方向性や大切にすべき価値観を再確認させてくれるほか、社員のモチベーションアップにも効果的です。組織の目標達成力を高めるためには、ここ一番のときや苦しいとき、迷ったときに、判断や行動の基準となるようなスローガンを組織に浸透させておくのが効果的です。
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