「難しいけど、頑張れば絶対できる」
こんにちは。ジェイックの知見寺でございます。
6 月27日のメルマガで「自己効力感」について書きました。
清宮監督のセミナーの感想を書いた回です。
読んでいない方もいらっしゃると思いますので、再掲いたします。
<↓6 月27日のメルマガ 追伸部分はここからです↓>
清宮監督との会話で意外なことをお聞きしました。
「早稲田大学のラグビー部員の4分の3は『自己効力感』が低いんですよ。
これが低いと、ここ一番の場面でミスをしたりするんですよね。」
私は、早稲田大学のラグビー部員であれば、ほとんどの人が自信満々で
どちらかというと自信過剰気味の方ばかりではと思っていましたので、
本当に意外でした。
※自己効力感とは、「自己に対する有能感・信頼感」のことです。
スポーツだけでなく、ビジネス界でも、これが高い方は、活躍します。
なぜなら、自己効力感の高い方は、積極的に課題に取り組み、葛藤的な
状況に長期に堪えることができるという行動特性があるからです。
<↑6 月27日のメルマガ 追伸部分はここまでです↑>
「自己効力感」という言葉は、まだあまり一般的ではないと思いますが、
教育心理学の分野やスポーツ心理学の分野では、「キーワード」になっています。
「自己効力感」は、簡単に言うと「難しいけど、頑張れば絶対できる」と、
心底思っていることです。
こう思っている社員であれば、当然成果を上げてくれますよね。
既にいろいろな研究がされているのですが、この「自己効力感」を
向上させる方法がいくつかあるようです。
主なものは、次の3つです。
1. 自分の成功体験(心理学用語では、制御体験と言います。)
⇒ 日々の仕事で、「成功した!」と感じさせることです。
仕事は小さなことでも良いそうです。そのためには、成功する確率の
高そうな仕事を渡して、支援して、成功した結果をきちんと評価して
あげることです。
弊社ではこれを、「成功体験を設計する」と呼んでいます。
2. 他人の成功体験に共鳴する(心理学用語では、代理体験と言います。)
⇒ 近い年齢で近い実力だと思っている社員の成功事例を共有する場を作ります。
朝礼や会議の場で、その成果を上げた社員に事例発表をしてもらうのです。
一言で言うと、「あいつにできるなら、俺にだってできるはず」と感じさせること
です。
3. 他人から「成功する」と言われる(心理学用語では、言語的説得と言います。)
⇒ 周りの人が「○○君なら、必ずできるよ。」と励ましの声をたくさんかけて
あげることです。これは、上司だけでなく、先輩も後輩も周りにいるメンバーが
同じように声をかけます。
「みんなが言うんだから、そうなのかもしれない」と思わせるのです。
しかし、往々にして上司の方々は、部下の仕事の手際の悪さに、
つい口を挟んで指示をしてしまいます。
すると、部下は、「あ~あ、俺ってダメだな。」と思ってしまうのです。
上司には、そのつもりがなくても、「どうだ俺はすごいだろ。君はまだまだだね。」
と、部下に上司のすごさを伝えることで終わってしまいます。
上司によっては、部下の課題を取り上げて、ちゃちゃっと解決してしまう方もいます。
よく言われていますが、部下が抱えている問題は部下に解決をさせないと、
なかなか成長していきません。
同じような意味で、よく、社長様から、
「うちの社員は、全く考えないんだよ。もっと、自分から物事を考えて行動
するようになる、研修とかないですか?」
と質問されることがあります。
ところが、社員の方に話を伺ったり、社長様と社員のやり取りをみていると、
明らかに社長様が社員に考えることを求めていないんですよね。
(少なくとも、社員は考えることを求められていると感じられないやり取りなのです。)
例えば、こんなことです。
・ すぐに社長様が結論を出してしまう
・ 社員の意見を、社長様が即座に否定してしまう
・ 一度決めたことが、社長様の意見でころころ変わる
こうなると、社員は考えるよりも、社長様の言うことを待って、その通りに動こう
とします。
今回の「自己効力感」を与える働きかけが、
皆様の部下指導に少しでもご参考になれば幸いです。