新入社員たちが無事に入社した後も、フォローは大切です。本章では新入社員の入社後に、早期離職を防いて定着・活躍を促進するうえで大切なフォローのポイントを3つ紹介します。
ポイント① 配属後のフロー体制を整備する
新卒の場合、入社から現場に配属されるまでの間は、主に人事担当者が新入社員のフォローにあたることが多いでしょう。人事担当者が採用業務も兼ねている場合、自分が採用した新人には強い思い入れがあり、なんとか定着・活躍させたいと思っているものです。そうした思いから、新入社員には小まめに声をかけたり相談に乗ったりするなど、新入社員のフォローをしっかりとすることが大半です。
しかし、新入社員が現場に配属されると、採用に関わっていない、関わっていたとしても部分的である現場メンバーは、入社した新人への思い入れが薄かったり、日々の業務が忙しくて新人をみる余裕がなかったりすることはよくあります。
結果として、現場への配属を境にして、新人へのフォローがグッと希薄になる、ということが多くの会社で起こっています。現場に配属されて、リアルな業務に携わり始めるタイミングは、入社前に想像していなかった泥臭さや大変さに出会うタイミングでもあります。
リアリティショックが生じやすいタイミングでフォローが手薄になるというのは、退職リスクを高めます。従って、現場配属後のフォローこそ、より意識的に仕組みをつくることが大切です。
配属後にOJT(=実務を経験しながら仕事を覚えてもらう)で新人教育を行う会社は多いですが、OJTにおいて業務そのものの指導だけでなく、感情面や人間関係のフォローまで一人の上司や先輩社員に任せてしまうケースを比較的よく見ます。
じつは、すべての指導を一人の上司や先輩社員に任せることは早期退職のリスクを高めます。業務面だけでなく感情面や人間関係のフォローまでしっかりとできる人はなかなかいませんし、一人の上司や先輩社員に任せてしまうと、上司や先輩社員と新人との人間関係がうまくいかなかった場合に逃げ場がなくなります。
おススメなのは、複数でフォローを分担することです。例えば、
- OJTの指導担当:実務面を指導してフォローする
- 指導担当の上司:中長期のキャリアプランや仕事の意味づけを通じてモチベーションをフォローする
- 人事部門:日報の確認や定期的な面談を通じて、人間関係や働き方をフォローする
- ブラザー/シスター:雑談を通じて職場に馴染むことをフォローする
といった形で、配属先部門の責任者とも打ち合わせて、職場全体でフォローできる体制を敷くことがおススメです。
ポイント② 入社後に新入社員がつまずきやすい点に先手を打つ
新入社員が入社後、つまずきがちなことがいくつかあります。例えば、
- 基本業務 ⇒ルーティンに飽きる、“成長していない”と焦る
- 報連相 ⇒上手くできない、躊躇してしまう
- 人間関係 ⇒周囲と良好な関係を築けない、上司やOJT指導者とうまくいかない
- 業務過多 ⇒やることが増えてパニックになる、心身のバランスが崩れる
- 成果 ⇒成果がなかなか出ない、自信が持てない
などです。他にも、「納期に遅れがち」「小さなミスが多い」など、新入社員が躓きやすいポイントは少なくありません。
しかし、つまずきやすいポイントが事前にわかっているのであれば、対策を打つことができます。入社後の研修で、新人自身に「どんなことが起こりがちか?」を伝えて、心構えや対策を考えてもらうことも有効です。
また、つまずいたと感じた時に気軽に相談できる人がいれば、安心して業務に取り組むことができます。業務フローや人間関係、忙しくなりやすい時期など、新人がつまずきやすいポイントを上司や先輩社員の間で共有しておき、何かあった時はすぐフォローできる体制を作っておくことも良いでしょう。
ポイント3 定期的に個人面談を実施して、リアリティショックをすぐにキャッチする
冒頭でお伝えした通り、入社後のギャップ(リアリティショック)こそが早期離職の原因です。どんなところにギャップを感じるかは人それぞれです。同じ給料や勤務時間、仕事内容だったとしても、入社前に想像していた内容や本人の性格によって、捉え方は異なり、反応の仕方も様々です。
従って、新入社員がギャップを感じているかどうかは、本人から直接、話を聴く中で把握する必要があります。毎日話を聴くことは難しいですが、1週間に1回ぐらいは、OJT指導者や上司等と個別に対話する時間を設けた方がよいでしょう。「何曜日の何時からは、面談の時間」などと決めておくと、時間が確保されるので継続的に実施しやすくなります。
ついこの間まで学生だった新人たちは、ライフスタイルが一変することになり、ストレスが溜まりがちです。仕事をしたことがない彼らの想像と現実がズレることもやむを得ない部分があります。一人ひとりの様子をしっかりと把握して、退職しそうな情報があれば即フォローできる体制を作っておきましょう。