「今までで、一番きつかった研修」
皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。
前号に続きまして、ジェイックの
マネージャー合宿についてご紹介したいと思います。
前号をお読みでない方は、まずは、こちらからお読みください。
⇒ https://www.hr-doctor.com/news/management/chiken-mail/news-3140
さて、スタート地点近くまで戻ってきた時点で、1時間が経過していました。
ここで、お昼ご飯を食べようということになり、
リュックの中にあった、おにぎり弁当を取り出します。
もう、14:30になっていましたので、お腹がぺこぺこでした。
食事を済ませ、再度気合を入れなおして、全員が沢を上りだします。
しばらく進むと、5メートルほどの高さの堰堤(えんてい)が出てきました。
そこには、等間隔にこぶが作られたロープが掛けられています。
要は、これを登れということです。(命綱は付けます。)
トップバッターとして、運動神経の良い、元気な若手が登っていきました。
ところが、足元の堰堤の壁が滑って上手く登っていけないのです。
腕の力を使って登ろうとしますが、
上から滝の水がばしゃばしゃかかり、なかなか上手く登れません。
そうこうするうちに何とか、ひとり目が登りました。
17人が相当な時間を掛けて、この堰堤を登っていきました。
何とか、無事全員がクリヤーをしました。女性も3名含まれています。
また、しばらく行くと、先ほどよりも高い堰堤がでてきました。
今度は、ロープもありません。
ただ、先ほどの堰堤はコンクリートの打ちっ放しだったのですが、
今度の堰堤は、石で組まれています。
この石が組まれている隙間に手と足を入れて登っていくのです。
みんな、先ほどの堰堤よりも苦労をしていました。
それでも、何とか、全員が登りきりました。
全員が2つ目の堰堤を登りきってから、
さらに進むとゴールを見つけることができました。
ゴールは、・・・・でした。
(次に受ける方がいるかもしれませんので、伏せさせていただきます。)
それを全員でつかんで、記念写真を撮りました。
みんなやりきった感があるのか、大きな歓声をあげています。
でも、どんな表情をしているのかは、全く分かりません。
このとき、17:30過ぎ。もうあたりは真っ暗でした。
11月の沢ですから当たり前ですよね。
お付き合いいただいた猟友会の方が、
「こんなに遅くなっちゃ危ないよ!」と仰っていました。
ゴールしてから、急いで山道に戻り、バスが待っている場所まで戻りました。
私も時計を持っていませんのでしたので、それぞれの堰堤を登りきるのに
どれくらい時間が掛かったのかは、分かっていません。
(切のよいところで、N先生に質問して、時刻を把握していました。)
この沢登りに同行して、前回、自分が参加したときには
気付かなかったことにいくつか気付きました。
1)沢は、水の音が激しいため、声がほとんど通らない。
従って、チームのコミュニケーションは、
よほど意識して、工夫してとらないと、成り立たない。
⇒ほとんど、コミュニケーションのない状態で進んでいく。
兎に角、前に進むのが目的になる。
2)冷たい水の中を歩き、さらには堰堤を登るときに
ずぶ濡れになるので、がたがた震えるくらい寒くなる。
また、肉体的にしんどいメンバーも多くなってくる。
⇒最初は、他者のことに気を配っていたメンバーも、
自分のことで精一杯になってくる。
当初は、リュックも交代しながら持っていたが、
後半は同じ人が背負い続けていた。
3)堰堤を登るときには、一人ひとり登るので、
下に待っているメンバーも登りきったメンバーも待ち時間が長くある。
⇒待っているときに、登っているメンバーに
ずっと声を掛けて応援している者もいれば、全く別のことをしたり、
数人で集まって関係ないことを話しているメンバーもでてくる。
そして、登りきったという声が掛かると、
それまでは、全く観ていなかったのに、
「ナイスファイト!」と声を掛け、拍手する。
正直、沢登りは上手くできているなと感じました。
実際の仕事でおきる状況と、ほぼ同じような環境がでてきます。
そこで、どう振舞うのかも、
多分、仕事のときとほとんど一緒なのだと思いました。
・情報が足りないと思ったときに、自分からコミュニケーションを
取りに動くのか?それとも、与えられるのを待つのか?
・仕事で自分にゆとりがないときに、周りにどう接しているのか?
・会社や事業部が新しく行おうとしていることに、
積極的に参画しているか?それとも、我関せずなのか?
・賞賛するときに、気持ちのこもった賞賛をしているのか?
さて、研修の続きですが、このあとバスで研修会場に戻りました。
19時前に到着。19:30に研修室に集まって、
沢登りでどんなことをしたのかを振り返り、
上手くいったことは何か、上手くいかなかったことは何か、
それらはなぜかを検討しました。
その後、22時過ぎから「強い組織とは」というテーマで
ディスカッションを行いました。
そして、このディスカッションを一旦終了したのが、夜中の2:30頃。
そこから、さらに一人ひとりが
自分の過去・現在・未来をあらわす情報を模造紙に書き出しました。
この作成時間が、30分。
そして、屋外に出て、焚き火を囲みながら、
模造紙を使って一人ひとりが自分のことを語りました。
語るだけはなく、メンバーから質問もしましたので、
だいたい一人10分から15分掛かりました。
最後のメンバーの発表が終わったのが、朝6時前・・・。
時間的に大変でしたが、軽くお酒も入れながら行いましたので、
みんなから色んな質問がでて、参加者同士がより深く知り合うこと、
理解しあうことができたと思います。
翌日は、9時半スタート。
私は、いろいろやることがあり、睡眠時間は30分でした。
2日目は、「強い組織とは」の続きを行いました。
前日、キーワードをポストイットに書き出したのですが、
その数が多くて、収集がつかなくなっていました。
途中、チームワークについて気付きを得られるゲームを
2つ実施しました。
(2つ共、面白いゲームでしたが、詳細はご容赦下さい。)
そんな刺激も受けた上で、
参加者全員が納得した、「強い組織」の定義と
それに向けたアクションプランが、模造紙に書きあがりました。
この時点で、18:30。
これが、この研修の最終アウトプットです。
あとでこの研修の参加者の感想を聞いて、
ちょっと驚いたのですが、この最終アウトプットに対する
メンバーの腹落ち感・納得感が、とても強いのです。
議論に参加していない私には、生まれていない感覚でした。
きっと、沢登りをして肉体的にくたくたで、
しかも睡眠不足の中で、意識朦朧となりながら、
みんなで議論して作り上げたものなので、
特別なものになっているんだろうと、感じました。
ここまで、時間を掛けてやったのは、N先生も初めてだそうです。
客観的にみると、「強い組織とは」のディスカッションに、
N先生が関わって議論を整理していけば、
もっと早く終了することはできたと思いますが、
それではきっと納得感が薄くなっただろうと思います。
最後に、この研修を通じて
弊社のマネージャー陣が誇らしいと思ったことは、
「つらい」「しんどい」「もう、やめよう」
「このへんでいいんじゃないの」というような、
弱音を吐いたり、妥協しようとするメンバーがひとりもいなかったことです。
17名みんな、頑張ってくれました。
19時過ぎには研修を終了して、バスに乗って一路新宿へ。
途中ちょっと渋滞がありましたが、22:30過ぎには新宿に到着しました。
私は、これまで研修を受けることも、
実施することも数多く経験がありましたが、肉体的には一番きつい研修でした。


