「配置・異動とキャリア支援施策に関する実態調査」の分析結果を発表(リクルートマネジメントソリューションズ)

更新:2026/06/04

作成:2026/05/27

配置・異動とキャリア支援施策に関する実態調査サムネ

近年、企業で従業員のキャリア自律を促進する動きは加速しています。一方で、事業環境の変化、DX/AI活用に伴って企業ニーズに基づく人員配置の必要性もあり、組織主導の人員配置・異動と個人のキャリア自律をどう両立するかは悩ましいテーマとなっています。今回、企業の人材育成や組織開発を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズから「配置・異動とキャリア支援施策に関する実態調査」の結果が発表されました。

 

以下、リクルートマネジメントソリューションズの調査結果リリースを転載いたします。ご興味あれば元レポートも併せてぜひご覧ください(記事末尾に元レポートへのリンク等ございます)。

 

<目次>

配置・異動における課題は「中期的な要員計画」と「適材適所の実現」が中心

配置・異動における課題として最も多かったのは、「1.経営・事業戦略に沿った中期的な要員計画の策定が難しい」(43.0%)であり、次いで「2.職務要件や人材の能力・適性に関する情報が不足しており、適材適所の配置が難しい」(41.2%)が続いた。

 

また、「6.本人の意向や事情を尊重する必要が高まり、適時適切な配置が難しい」(37.9%)も上位に挙げられており、組織ニーズと個人意向の調整に難しさを感じる企業が多い。

 

⇒変化に応じた柔軟な配置・異動が求められる中で、戦略的な人員配置と個人のキャリア志向を両立させることが、多くの企業にとって課題となっている状況がうかがえる。

 

図表1:配置・異動に関する課題

 

図表1:配置・異動に関する課題

 

約7割が個人のキャリア自律と組織主導の人事施策の両立に難しさを実感

自律的・主体的なキャリア形成の尊重と組織主導の人事施策の両立について、約7割が「難しい」と回答しており、多くの企業が課題として認識している。

 

両立が困難な理由として、組織都合の優先や短期業績中心の評価、経営層の理解不足といった「組織要因」と、従業員のキャリア観や希望との間に生じるズレが、両立を難しくしている要因として挙げられた。

 

一方、両立が難しくない状況として、「施策を通じて両立している」「そもそもコンフリクトするものではない」という2つの捉え方が確認された。十分な対話とすり合わせなど施策実施により両立しているケースや、キャリア自律を組織と整合したものと定義しているケース、組織主導が前提のためコンフリクトは生じていないケースがうかがえた。

 

⇒背景には、従来のように組織都合を優先した配置・異動だけでなく、近年は従業員の希望やキャリア意向を尊重する必要性が高まっていることがある。両立に関する認識は多様であり、その背景には、組織がキャリア自律をどのように捉え、どの程度期待しているかという違いがあると考えられる。

 

図表2:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立の難しさ

 

図表2:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立の難しさ

 

図表3:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立困難の理由<そう思う>

 

※図表2(両立が難しい)の回答が1-3(そう思う)選択者の自由記述より抜粋
「自律的・主体的なキャリア形成の尊重と、組織主導の人事施策の推進の両立は難しい」とお答えになった方に伺います。人事として、具体的にどのような点で難しさを感じていますか。

 

図表3:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立困難の理由<そう思う>

 

図表4:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立困難の理由<そう思わない>

 

※※図表2(両立が難しい)の回答が4-6(そう思わない)選択者の自由記述より抜粋
「自律的・主体的なキャリア形成の尊重と、組織主導の人事施策の推進の両立は難しくない」とお答えになった方に伺います。そのようにお答えになった理由について、お教えください。また、両立するために行っている施策や工夫があれば、教えてください。

 

図表4:キャリア自律尊重と組織主導人事施策の両立困難の理由<そう思わない>

 

約9割の企業が従業員のキャリア自律を期待

従業員に対する「自律的・主体的なキャリア形成」への期待について、約9割の企業が「期待している」と回答しており、多くの企業がキャリア自律の必要性を認識している。

 

企業が従業員に期待する内容としては、「1.自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(48.7%)が上位に挙げられた。

 

一方で、「10.自分に合った働き方を主体的に選択すること」(16.9%)はそれほど多く選ばれなかった。弊社で以前実施した個人調査「若手・中堅社員の自律的・主体的なキャリア形成に関する意識調査」(2021)では半数弱(48.5%)が働き方の主体的選択をキャリア自律の内容として挙げていた。

 

⇒単純な比較はできないが、企業と従業員のあいだでキャリア自律の捉え方に違いがあることがうかがえる。

 

図表5:従業員へのキャリア自律の期待

 

図表5:従業員へのキャリア自律の期待

 

図表6:会社が従業員に求めているキャリア自律の内容

 

図表6:会社が従業員に求めているキャリア自律の内容

 

キャリア自律支援の目的は「仕事への意欲向上」が最多だが、目的は多様で多岐にわたる

キャリア自律支援の目的として最も多かったのは、「1.従業員のエンゲージメントや仕事への意欲向上」(52.5%)であり、次いで「2.従業員の自律的な学習・挑戦行動の促進」(37.6%)「3.優秀な人材の採用・定着」(36.7%)が続いた。

 

一方で、「4.従業員の変化対応力の向上」(31.9%)「5.組織の柔軟性・変化対応力の向上」(25.7%)も一定数選択されている。

 

⇒キャリア自律支援の目的は実際には多様であることがうかがえる。

 

図表7:キャリア自律支援の目的

 

図表7:キャリア自律支援の目的

 

管理職のキャリア支援は日常業務の延長が中心。中長期的な支援への期待は限定的

管理職に部下のキャリア支援を「1.制度・方針として明確に求めている」(37.0%)のは4割弱。「2.制度・方針として明文化していないが、実態として求めている」(36.1%)を合わせると約7割に達する。

 

最も多かったのは、「1.部下が目の前の仕事にモチベーション高く取り組めるよう支援する」(54.7%)であり、次いで「2.部下が自律的に業務を推進できるよう支援する」(52.2%)が続いた。

 

一方で、キャリアの「中期的支援」の項目はおおむね3割前後、ライフイベント発生時の「ライフキャリア支援」は2割未満にとどまっている。

 

⇒管理職のキャリア支援は、中長期的なキャリア形成やライフキャリア支援というよりも、日常業務を通じた育成の延長として捉えられている場合が多いと考えられる。

 

図表8:管理職による部下のキャリア形成支援の位置づけ

 

図表8:管理職による部下のキャリア形成支援の位置づけ

 

図表9:部下のキャリア形成支援に関して管理職に期待する行動・役割

 

図表9:部下のキャリア形成支援に関して管理職に期待する行動・役割

 

4割が管理職には部下のキャリア支援をする余裕がないと感じている

管理職による部下のキャリア形成支援についての課題として最も多く選ばれていたのは「1.管理職には、キャリア支援に割ける時間的余裕がない」(42.1%)であった。「2.管理職自身がキャリア不安や将来不透明感を抱えている」(34.0%)「3.管理職のキャリア支援に対する問題意識・優先度が低い」(31.6%)が続く。

 

期待役割の不明確さ、配置・異動・挑戦機会への展開の難しさ、管理職に対する支援の不足も課題として認識されている。

 

⇒管理職がキャリア支援の担い手として期待されている一方で、その役割を果たすための環境や支援が十分とはいえない実態も見えてくる。背景にある会社としてのキャリア支援の位置づけとの関係が推察される。

 

図表10:管理職による部下のキャリア形成支援に関する課題

 

図表10:管理職による部下のキャリア形成支援に関する課題

 

戦略的・統合的なキャリア支援は、配置・異動と個人尊重の両立につながる

※本調査では、従業員のキャリア形成支援を戦略的・統合的に推進できている程度を示す指標として「キャリア支援推進度」を設定した。この指標は、キャリア支援の目的の明確化、経営層の理解、人事制度全体における位置づけ、相談活動などを通じた課題の把握と共有、人事や上司から独立した相談機能の存在など、厚生労働省のガイドラインや先行研究を参考に作成した7項目から構成される。

 

キャリア支援推進度・高群は低群に比べて、配置・異動を円滑に機能させるための工夫を行っていた。

 

人事施策の活用度(「制度対象者に一定以上活用されている」割合)にもキャリア支援推進度別に差が見られた。

 

キャリア支援推進度が高いほど、外部環境の変化や事業戦略の方向性に応じて、配置・異動が戦略的に行われていることが確認された。配置や異動において個人の尊重がなされている一方で、組織主導の配置や異動が従業員に当然のものとして受け止められている状況も見てとれた。

 

環境変化や戦略転換に対応できる組織の特徴とされる「HRMの柔軟性」についても、キャリア支援推進度の高さは、現在とは異なる業務への従業員の配置を動機づけ、活躍を促すことと関連していた。

 

⇒戦略的・統合的なキャリア支援と配置・異動の実態とのあいだに一定の関連がうかがえた。戦略的人材配置とキャリア支援を一体として設計・運用することの意義が示唆される。

 

図表11:キャリア支援推進度 項目一覧

 

図表11:キャリア支援推進度 項目一覧

 

図表12:配置・異動を円滑に機能させるための工夫(キャリア支援推進度別)

 

図表12:配置・異動を円滑に機能させるための工夫(キャリア支援推進度別)

 

図表13:人事施策の活用度(キャリア支援推進度別)

 

図表13:人事施策の活用度(キャリア支援推進度別)

 

図表14:配置・異動の実態、HRMの柔軟性(キャリア支援推進度別)

 

図表14:配置・異動の実態、HRMの柔軟性(キャリア支援推進度別)

 

調査概要

調査概要の図

 

参照先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000190.000029286.html

 

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