なぜ「管理職になりたくない社員」が増えているのか
まず、なぜ管理職を敬遠する社員が増えているのか、背景を整理します。
プレイヤー業務を兼ねる管理職が常態化している
産業能率大学総合研究所「上場企業の課長に関する実態調査(第5回)」[1]では、98.5%の課長がプレイヤー業務とマネジメント業務を兼務しており、業務全体に占めるプレイヤー業務の割合は加重平均で49.1%にのぼることが分かっています。同大学が2021年に実施した第6回調査[2]では、兼務している課長の割合は99.5%まで上昇しており、管理職になった後も、プレイヤーとしての業務量がほとんど減らない実態が、複数年にわたって確認されています。
同大学が2023年に実施した第7回調査[3]でも、目標達成へのコミットメントは46.7%と高い一方、「人事諸施策に満足している」と回答した課長は25.0%にとどまっており、管理職を支える会社側の体制が、当の課長たちの実感としては追いついておらず、管理職がプレイヤー業務を抱えながら個人毎の努力で管理職業務に向き合っている様子が伺えます。
責任と権限のアンバランスが管理職の魅力を低下させている
第5回調査では、「マネジャーとして期待に応えるために十分な権限を与えられていると思わない」と回答した課長が37.4%にのぼりました。株式会社識学「管理職に関する調査」(2023年)[4]でも、管理職として十分な権限があると感じているのは54.7%にとどまり、半数近くが権限不足を感じながら責任を負っている状態です。責任だけが重くなり、それに見合う権限や裁量が伴わない状態は、管理職というポジションそのものの魅力を下げる要因になっています。
若手の価値観の変化だけでは説明できない
管理職離れの理由を「今の若手は責任を負いたがらないから」と説明する声もありますが、実態の一部しか捉えていません。産業能率大学総合研究所「2025年度新入社員の会社生活調査(第36回)」[5]では、「仕事はそこそこ大変だが、成長を実感できる環境」を望む新入社員が58.8%と、「仕事はそこそこ楽で、成長の機会も少しはある環境」を望む30.6%を大きく上回っています。負荷や責任そのものを避けたいわけではなく、負荷に見合う成長や納得感を求めているという結果です。
管理職離れの背景には、世代間の価値観の違いだけではなく、企業を取り巻く環境の変化や組織運営上の課題が存在しています。まずはこうした管理職を取り巻く現状を正確に捉えることが、対策を考える前提になります。






