高い離職率を下げる!人が辞めない企業づくりは「退職理由の分析」から

2020/03/31

高い離職率を下げる!人が辞めない会社づくりは「退職理由の分析」から

「いろいろ工夫しているものの、離職率が下がらない」とお悩みではありませんか。時間とコストをかけて採用したのにも関わらず早期退職となってしまうと、様々な問題が生じます。

 

この記事では、高い離職率によって発生する問題や、離職率が高くなってしまう原因、離職率を下げるために実施できる対策をご紹介します。離職率の高さに悩んでいる経営者、人事の方はぜひ参考にしてみてください。

<目次>

離職率が高いことで起こる問題

なぜ離職率の高さは経営上の問題なのかを意識したことはあるでしょうか。離職率の高さが原因で起こりうる問題や高い離職率を放置することのリスクを整理します。

 

 

発生するコスト

採用費用、研修投資や教育に関わる先輩や上司の人件費、支払う給与や社会保険費用などを合算すると、入社後3ヵ月経過した時点でどんなに少なくとも100万円、教育手法や採用方法によっては300万円近くになるでしょう。新入社員が入社後3ヵ月で退職してしまった場合、コストはすべて無駄になってしまいます。

 

 

採用の難易度アップと評判の低下

国の方針により、ハローワークへの求人出稿、大学への求人、主要な新卒ナビサイトなどでは退職状況の公開が求められており、離職率の高い企業は求職者から避けられます。
中途採用で求人広告を使ったり人材紹介を使ったりする場合でも、OpenWorkや転職会議などの「口コミサイト」の利用率はどんどん高まっています。したがって、ネガティブな原因で辞める退職者を作ると、「良い人材を採用できない」「採用単価が高くなる」という悪循環が加速されます。
また、口コミ等は金融機関や取引先にもチェックされる可能性もあり、離職率の高さは企業の評判を落とすことにつながります。

 

 

既存社員のモチベーション低下

離職率の高さは既存社員のモチベーションにも影響を与えます。人が減れば業務負荷が増えることになりますし、新たな新人を一から教育する負担も重くのしかかります。「どうせまた辞めてしまうかもしれない」という気持ちになれば新人の教育に対するモチベーションは湧きませんし、経営に対する不満も大きくなっていきます。

 

改めて整理しましたが、離職率の高さは経営上の大きな問題を生み出しますので、手を打つことは必須です。組織には適度な人材の新陳代謝も必要ですので、「離職率ゼロ」が理想というわけではありません。組織のステージに応じて活躍できる社員像は変わりますので、離職率ゼロの状態は組織が停滞しているという可能性もあります。

 

また、独立やキャリアアップを目指して退職する社員が一定いることは、優秀層を採用できている証しともいえます。離職率ゼロを目指す必要はありませんが、離職率の高さでお悩みであれば、すぐに手を打ちましょう。

離職率が高い原因、社員が退職を考える理由とは?

離職率が高い原因と社員が退職を考える理由

 

離職の理由は人によってさまざまですが、以下のいずれかが満たされなくなって離職するケースが大半です。離職率の低減を考える場合には、どの項目に該当する退職が多いのかをチェックしてみましょう。

 

 

人間関係の悪化

上司や部下、同僚など、職場を取り巻く人間関係が上手くいかないことは主要な離職原因の一つです。職場で多くの時間を過ごすからこそ、職場の人間関係、とくに上司との関係性は社員のモチベーションを左右します。「社員は企業を去るのではなく、上司を去る」という言葉もあるぐらいです。退職者が特定の部門で多いようであれば要注意です。

 

また職場ではさまざまなハラスメントが存在しており、なかにはイジメに近い場合もあります。職場でハラスメントを受けた経験がある人は全体の38%という調査結果もあり、経営陣や人事が知らないところで離職につながっているケースもあるかもしれません。

 

 

キャリアへの不満/不安

仕事をしていて「やりがいや達成感が感じられない」「成長実感がない」「将来が見えない」というのも、離職の大きな原因となっています。「新入社員だから」という理由で簡単な仕事しか任されなかったり、いくら仕事を頑張っても正しく評価されなかったりすればモチベーションの低下や将来のキャリアに対する不安が生じて離職に繋がります。日系HRがおこなった調査では、全体の35%がキャリアをより高められる環境を求めて転職しています。

 

 

給与への不満

「自分のおこなっている仕事や、積んできたキャリアに見合う給与がもらえていない」と感じている場合、離職する可能性は高くなります。
転職者に聞いた退社理由においても常に上位に入っているのが給与への不満です。内閣府のデータでも、給料への不満で離職する割合は20.7%あり、大きなウェイトを占めていることがわかります。給料への不満は「絶対的な金額」への不満であるケースと、「社内での評価」への不満があるケースがありますので、切り分けて整理するのがいいでしょう。

 

 

ワークライフバランスの偏り

近年重視されるようになってきたのが、ワークライフバランスです。とりわけ女性はワークライフバランスを男性のおよそ2倍重視するというデータもあります。「働き方改革」などの影響もあり、「残業」に対する考え方もこの10年で一変しています。10年前の感覚で勤怠管理を行っていると離職原因になっている可能性は高いでしょう。

 

 

入社前後でのGAP

「提示されていた条件と違う」「想像していた仕事内容と違う」「予想以上に高度な業務で自分の能力では難しい」といったGAPが大きさは高い離職率の原因になります。

 

とくに、この数年で新卒社員の感覚は10年前と大きく変わっており、“石の上にも3年”“桃栗三年柿八年”といった我慢する感覚、下積みで経験を溜めた後にやりたい仕事が出来るという感覚は変わってきています。過去とは異なる価値観や感性にすべてを合わせる必要はありませんが、企業が予想もしていなかった部分でGAPが発生して離職につながる恐れもあります。

 

入社前後のGAP解消について詳しくは以下の記事をご確認ください。

離職率を下げるための対策【退職理由を分析する重要性】

離職率を下げる対策を考えるためにまず大切なのは、退職理由を把握することです。退職理由にこそ、問題点が潜んでいますので、退職理由から逆算して対策を考えることで、離職率の低下を実現できます。

 

 

「本当の退職理由」を知る

退職理由を知るうえで、最も大切なのは「本音で話してもらうこと」です。問題解決のためには、建前の退職理由を聞いても意味がありません。しかし、一般的な退職アンケートや退職面談で「本音」が語られることはほとんどありません。

 

「もう退職する」という段階で波風を立てたくないと思うのが普通ですので、仮に退職理由が「上司との人間関係」でも「経営方針に納得いかない」だとしても、「家族/実家の都合で」や「キャリアを考えたときに挑戦したいことがあって」など穏便な理由が語られがちです。本当の退職理由を知るためには、人間関係に詳しい人事などと信頼関係を作っておくことや、マネジメントしている上司の肌感覚なども重要です。

 

退職面談の中で本音を知るためのアプローチのポイントを3つご紹介します。

 

 

ポイント1. 理由なく引き止めない

反射的にやってしまいがちなのが、「辞めないで欲しい」と引き止めてしまうことです。社員が退職を申し出てきたときには、それなりに覚悟を決めていたり、近年では既に転職先や入社日まで決まっていたりすることが大半です。

 

何の理由もなく引き止められると不快感や苛立ちを与えてしまったり、「引き留める企業と辞めたい社員」という構造に陥ってしまったりして、対立関係になりがちです。対立構造になってしまうと、本音を引き出すことは至難の業です。

 

退職の申し出があった際には、まず相手の意見を聞くことに徹しましょう。

 

 

ポイント2. 本当のことを教えて欲しいとハッキリお願いする

退職の時点で波風を立てるのは避けたいと思う心理で、「家庭の事情で」などの穏便な理由を述べて退職しようとする社員も多いです。本当なのか建前なのか判断できない場合には、単刀直入に「企業として改善していくために、本当の理由があれば教えて欲しい」と思い切って聞くのも一つの手段です。

 

 

ポイント3. 本音を言うことのリスクを取り除く

『本音を言うことで何か問題が起こるのではないか』。そのような不安があるからこそ、本音を言わずに退職していく社員が大半です。その場合、感情的な反応はしない、秘密厳守、トラブル・不利益になることはしないなどの約束をきちんとすることが重要です。

 

 

偏りの分析離職者に偏りがないかも離職率を下げるためには必要な分析です。

以下のような項目で離職者を分類し、偏りがないかを確認しておきましょう。
  • 部署
  • 職種
  • 階層
  • 性別
  • 年齢層
  • 入社からの経過年数
  • 新卒採用/中途採用
上記の項目に振り分けてみて、例えば特定の部署にだけ離職者が多いようなら、業務内容や職場環境、人間関係に問題がある可能性が考えられます。また、特定の職種やタイミングでやりがいが感じづらい、キャリアの展望が見えづらいといったケースもあります。
早期離職が多いようであれば、採用のやり方や受け入れ体制に問題があるでしょう。離職者分析に加えて、組織調査/社員調査などをおこなって、どの分野で満足度が高いか、どの分野が離職要因になっていそうかを分析することも有効です。

退職理由別の具体的な対策

退職理由の把握

 

退職理由の把握は、本質的な対策を行ううえで最も重要です。ただ、ある程度の時間もかかりますので中期的な施策になります。以下では、退職理由別の一般的な対策をご紹介します。理由の把握と並行して、仮説に応じて早期に手を打っていくとよいでしょう。

 

 

「給与」

同業他社や年齢の絶対値と比べて絶対的に給与が低い場合には、給与自体の見直しが必要です。しかし、一般的には「仕事の大変さに比べて見合わない」「評価されていない、認められていない」「大切に扱われていない」など、絶対額ではなく、感情面の問題であることが多くあります。

 

したがって、絶対的な給与を底上げするということではなく、企業としてのメッセージを発信することで解決するケースも多く、例えば、以下のような方法が考えられます。

 

  • 仕事やポジションの負荷、重要性に応じた「〇〇手当」「昼食手当」
  • 社員の困りごと、ちょっとした不満を解決するような福利厚生
  • 貢献者に対する表彰制度やインセンティ
また「働き方」の改革も大きな効果を生むやり方です。例えば、
  • リモートワークやフレックスタイム、1時間単位での有給利用
  • 働き方改革を通じた残業の減少や計画有給を使った有給消化率の改善
  • 兼業や副業の承認

 

ワークライフバランスや働き方の多様性、自由度への敏感さは、20~30代前半層と30代後半以上の年齢層で、価値観が大きく異なります。ライフステージ(結婚・出産、子育て、介護etc)に応じた働き方ができるようにする、ワークライフバランスを充実できるようにする取り組みは、給与を上げずとも社員の満足度を改善できる可能性があります。

 

根本的には労働生産性が上がらなければ、社員の絶対的な給与を上げることはできません。生産性向上に向けた業務プロセスの見直しやITツールの導入、仕事の意義ややりがいを感じられるようにする取り組みを通じたエンゲージメントの向上なども視野に入れるべきでしょう。

 

 

「人間関係」

特定の人間が原因になっているか、企業の雰囲気や上下関係といったものが原因かで対策はまったく異なります。ハラスメントに関しては、10年前と社会規範がまったく変わり、個人の受け止め方も変わっています。

 

とくに、昔の感覚で『これぐらいは普通』と思っているようなタイプがいる場合、社内基準に準じて明確に処分や教育する意思決定を行わないと再発する可能性が高いでしょう。また、部門間でギスギスしているなど、上下関係が厳しく若手がモノを言えないなどの場合には、マネジメント層のチームビルディングや組織の共通言語を作るなど、教育研修で「変わるきっかけ」を作ることも有効な打ち手になります。

 

 

「労働環境」

給与と同じように「本当に労働環境が厳しい」場合と、「大変さに対して待遇が見合わない」「評価されていない」と感じている場合に分けられます。前述の通り、昨今は労働時間に関する感覚が過去とは変わっています。

 

24時間営業/年末年始の営業が当たり前だった大手飲食や小売チェーンなども、営業時間を変えるほどの変化です。労働環境が厳しい場合には、本気で働き方改革を考える必要があるでしょう。無駄な会議の削減、業務プロセスの見直し、ITツールの導入、権限移譲、過剰サービスの中止などを検討しましょう。

 

離職による生産性低下や採用コストを考えれば、中期的に見合うことが多いでしょう。

 

また、「大変さに対して待遇が見合わない」「評価されていない」と社員が感じている場合には、不満を言っている層がどういう層かを確認して検討しましょう。

 

例えば、「給与や人事制度が年功序列型になっており、成果を上げている若手が退職しがち」ということであれば、評価制度や昇格制度を見直すべきでしょう。また、給与の段落でも述べたような貢献度の大きな仕事や負荷の大きさに応じた手当やインセンティブ、資格取得の補助・資格手当なども有効です。「頑張れば認めてもらえる」「自分のスキルアップを企業が応援してくれる」と社員が思える環境にすることが重要です。

 

ただし、解決策を金銭だけでおこなおうとすると、雰囲気がギスギスしてきます。企業として「社員の働きに感謝している」「社員の貢献を見ている」「社員一人ひとりの人生を考えている」といったメッセージをどう発信するか、金銭的報酬、精神的報酬、権限移譲や制度などを織り交ぜて施策を考えることが重要です。

まとめ

離職率の高さは、経営に大きな悪影響を与えます。費用負担、社内への悪影響もさることながら、社会的な規範も変わってきています。組織として継続的に成長するために、離職率を適正水準へ下げる努力が必要です。

 

今回ご紹介した「本当の退職理由の把握」や「偏りの分析」「対策」は、離職率の低下施策であると同時に、今働いている社員のやりがい、モチベーションUPにも有用な施策です。社員が「長く働きたい」と思える企業は、社内の雰囲気も良く業績も向上する傾向にあります。高い離職率を改善して、より魅力的で利益も上がる企業を目指していきましょう。

著者情報

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

HRドクター 編集長

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等 twitterはコチラ。ぜひご覧ください。 古庄拓/ジェイック取締役 https://twitter.com/tfurusyo

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