外国人雇用の際に使える助成金|使える助成金の種類と必要要件を紹介

更新:2023/01/20

作成:2022/12/28

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

外国人雇用の際に使える助成金|使える助成金の種類と必要要件を紹介

外国人を雇用して研修・教育を実施したり、就労環境の整備や待遇改善を行なったりする場合、厚生労働省などが用意する助成金を活用できる可能性があります。

記事では、外国人雇用で使える以下4つの助成金に関して、目的・必要要件・支給額・申請方法などの概要を紹介します。

  • 人材確保等支援助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 人材開発支援助成金
  • キャリアアップ助成金

なお、助成金の制度は、年度で変更されることもあります。

最新情報は、必ず管轄官庁のホームページなどで確認ください(本記事の情報は、2022年12月時点のものです)。

<目次>

人材確保等支援助成金

外国人雇用をする場合、人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースが使える可能性があります。

助成金の目的

人材確保等支援助成金の概要には、以下の目的が記載されています。

  • 外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。
    この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行ない、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成するものです。

出典:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

必要要件

人材確保等支援助成金の主な要件は、以下の3つです。

ただし、他の細かな要件もあるため、申請時には、必ず事業所所在地のある労働局・ハローワーク・申請窓口に確認してください。

  • 【1】外国人労働者を雇用している事業主であること
  • 【2】認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1および2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること
  • 1.雇用労務責任者の選任
  • 2.就業規則等の社内規程の多言語化
  • 3.苦情・相談体制の整備
  • 4.一時帰国のための休暇制度の整備
  • 5.社内マニュアル・標識類等の多言語化
  • 【3】就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること

支給額

人材確保等支援助成金の場合、受給要件をすべて満たした場合に、支給対象経費の合計額に助成率を乗じた以下の額が支給される仕組みです。

  • 生産性要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限額57万円)
  • 生産性要件を満たす場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)

生産性要件とは、助成金を申請する事業所において、生産性要件算定シートを用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、助成の割増が行なわれる仕組みです。

なお、経費助成は、事業主から外部の機関または専門家など(以下「外部機関等」という)に対して、支払いが完了した以下のものが支給対象になります。

  • 1.通訳費(外部機関等に委託をするものに限る)
  • 2.翻訳機器導入費(事業主が購入した雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限り、10万円を上限とする)
  • 3.翻訳料(外部機関等に委託をするものに限り、社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
  • 4.弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限り、顧問料等は含まない)
  • 5.社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)

出典:労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます
出典:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

申請方法

人材確保等支援助成金の支給を受けるときには、評価時の離職率算定期間の末日の翌日から2ヵ月以内に申請書とその他の必要書類を、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。

なお、必要書類はかなりの数になりますので、以下資料の18ページにあるチェックリストを活用するとよいでしょう。

出典:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック(令和4年4月1日現在)

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、職業経験不足などから就職が困難な求職者などを試行的に雇用する事業者向けの助成金です。

助成金の目的

厚生労働省のサイトには、トライアル雇用助成金の概要として以下の目的が書かれています。

  • 職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するもので、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

※職業紹介事業者とは、以下のうち、本奨励金に係る取扱いを行なうにあたり、厚生労働省職業安定局長および人材開発統括官の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出し、雇用関係助成金に係る取扱いを行なう旨を示す標識の交付を受け、これを事業所内に掲げる事業者を指します。

  • 厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者
  • 届出を行なった無料職業紹介事業者
  • 無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)

必要要件

職業経験、技能、知識などから安定的な就職が困難な求職者を雇い入れる場合であれば、外国人雇用でもトライアル雇用助成金が利用可能です。

ただし、以下のような受給要件をクリアする必要があります。

    • 1.対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または、職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という)の職業紹介の日(以下「紹介日」という)において、次のイ~ニのいずれにも該当しない者であること。
    • イ)安定した職業に就いている者
    • ロ)自ら事業を営んでいる者または役員に就いている者であって、1週間あたりの実働時間が30時間以上の者
    • ハ)学校に在籍している者(在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く)
    • ニ)トライアル雇用期間中の者

 

    • 2.次のイ~ホのいずれかに該当する者
    • イ)紹介日前2年以内に、2回以上離職または転職を繰り返している者
    • ロ)紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
    • ハ)妊娠、出産または育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない)が1年を超えているもの
    • ニ)紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
    • ホ)紹介日において就職支援にあたって特別の配慮を有する次のa~iまでのいずれかに該当する者
    •  a.生活保護受給者
    •  b.母子家庭の母等
    •  c.父子家庭の父
    •  d.日雇労働者
    •  e.季節労働者
    •  f.中国残留邦人等永住帰国者
    •  g.ホームレス
    •  h.住居喪失不安定就労者
    •  i.生活困窮者

 

  • 3.ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 4.原則3ヵ月のトライアル雇用をすること
  • 5.1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること

出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

支給額

原則は、支給対象者1人につき月額4万円の支給です。ただし、対象者が母子家庭の母など、または、父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円になります。

本人の責めに帰すべき理由による解雇や自己都合の退職、死亡、事業継続が難しいときなどは、定められた計算式で月額を算出することになります。

厚生労働省の以下の情報を確認しましょう。

出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

申請方法

トライアル雇用助成金は、ハローワークなどが促進するトライアル雇用制度のなかにある助成金制度です。

トライアル雇用助成金を利用する場合、まずはトライアル雇用求人から求職者を雇い入れる必要があります。手続きの基本的な流れは、以下のとおりです。

  • 1.ハローワークに「トライアル雇用求人」を提出する
  • 2.求職者を採用した場合、原則3ヵ月間の有期雇用で雇い入れる
  • 3.トライアル雇用の開始日から2週間以内に、トライアル雇用実施計画書と労働条件が確認できる書類(雇用契約書など)をハローワークに提出する

トライアル雇用の仕組み
出典:トライアル雇用(厚生労働省)

トライアル雇用の仕組みなどは、以下の記事を参考にしましょう。

人材開発支援助成金

正規雇用で受け入れた外国人労働者に対して、教育訓練などを行なう場合、人材開発支援助成金を申請できる場合があります。

助成金の目的

厚生労働省のサイトでは、人材開発支援助成金の概要のなかで、以下の目的を記載しています。

  • 雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識および技能を修得させるための職業訓練等を計画に沿って実施したり、教育訓練休暇制度を適用した事業主等に対して助成したりする制度

なお、人材開発支援助成金には、以下8つのコースがあります。

  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 特別育成訓練コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース

出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コース)

必要要件

人材開発支援助成金の申請要件は、コースによって異なります。要件に該当すれば、外国人雇用でも利用可能です。

たとえば、一般訓練コースの場合、特定訓練コース以外で、職務に関連した専門的な知識および技能の修得をさせるための職業訓練などを事業主もしくは事業主団体等が実施する場合に助成できます。

一般訓練コースの訓練対象者と基本要件は、以下のとおりです。

  • 【訓練対象者】申請事業主または申請事業主団体等の構成事業主における被保険者
  • 【基本要件】「OFF‐JTにより実施される訓練であること(事業内訓練または事業外訓練)」と「実訓練時間数が20時間以上であること」

事業主は、以下などの9つもの受給要件をすべて満たす必要があります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく年間職業能力開発計画(訓練様式第3‐1号)を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること など

一方で支給対象の労働者も、以下4つの要件をすべて満たすことが必要です。

  • 助成金を受けようとする事業所または事業主団体等が実施する訓練等を受講させる事業主の事業所において、被保険者であること
  • 訓練実施期間中において、被保険者であること
  • 訓練実施計画届時に提出した「訓練別の対象者一覧」(訓練様式第4号)に記載のある被保険者であること
  • 訓練を受講した時間数が、実訓練時間数の8割以上であること

出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)

支給額

事業主がOFF‐JTを実施した場合、事業内訓練では、「部外の講師への謝金・手当」や「施設・設備の借上費」などが支給対象の経費となります。

コースごとの助成額・助成率は以下のとおりです(括弧内は、中小企業以外の助成額・助成率です。一般訓練コースの場合、額・率の差はありません)。

助成額・助成率
出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)

申請方法

人材確保支援助成金の手続きは、以下のとおり少し複雑です。

人材確保支援助成金の手続きフロー
出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)

各ステップの注意点などは、厚生労働省の資料を参考にしましょう。

キャリアアップ助成金

外国人労働者を非正規で雇い入れた企業が、労働者のキャリアアップのための施策を実施する場合、キャリアアップ助成金を使える可能性があります。

助成金の目的

厚生労働省のサイトでは、キャリアアップ助成金の目的を以下のように紹介しています。

  • 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するもの

キャリアアップ助成金には、以下7つのコースがあります。

キャリアアップ助成金のコース
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省)

必要要件

キャリアアップ助成金を受給するには、「支給対象事業主の共通要件」と「該当する各コースの支給対象事業主の要件」の両方をクリアする必要があります。

要件をクリアすれば、外国人雇用でも利用可能です。

全コース共通の支給対象事業主の要件は、以下のとおりになります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であって、以下の(1)に該当しない事業主であること
  • 1.「キャリアアップ計画書」の内容(実施するコース)に講じる措置として記載していないにもかかわらず、取組実施日の前日までに「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出していない事業主であること
  • 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主であること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

なお、全コース共通要件にも、細かな注意点があります。申請時は、必ず厚生労働省の資料をチェックしましょう。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

支給額

キャリアアップ助成金の支給額は、コースによって異なります。

たとえば、すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成する「賃金規定等改定コース」の場合、対象労働者の人数などによって、以下のように支給額が変わってきます。

キャリアアップ助成金の支給額
出典:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

申請方法

キャリアアップ助成金の場合も、以下のように、受給までに多くの手続きが必要となります。詳細は、厚生労働省の最新資料を確認しましょう。

キャリアアップ助成金の受給までの流れ
出典:キャリアアップ助成金のご案内(厚生労働省)

まとめ

電卓を打つ様子
記事では、外国人雇用でも使える以下4つの助成金における概要を紹介しました。

  • 人材確保等支援助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 人材開発支援助成金
  • キャリアアップ助成金

人材確保支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人雇用を促進するための制度であり、最も使いやすいものです。

また残り3つの助成金も、要件を満たせば外国人雇用でも活用できます。

助成金の場合、コロナ禍対策のようなものは期間限定の特例であったり、年度ごとに要件が変わったりすることもあります。

本格的に助成金の検討・申請をするときには、厚生労働省や中小企業庁など所轄官庁の公式な最新情報をチェックしてください。

なお、今後の日本では、少子化の影響が大卒にもおよび、新卒採用などもどんどん難易度が増していきます。

今のうちに外国人採用、受け入れのノウハウを磨いておくことがおすすめです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

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