採用の質を落とさずにコストを削減する方法とポイントとは

更新:2023/01/23

作成:2022/12/10

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

採用の質を落とさずにコストを削減する方法とポイントとは

人事が採用活動をしているなかで、上層部から採用コストの削減プレッシャーがかかることはよくあることです。

経営陣として削れるのであれば、採用コストを削りたい、費用対効果をより高めたいと考えるのは自然なことです。

記事では、採用コストの基礎知識と新卒採用・中途採用にかかるコスト相場などを確認します。

そのうえで、採用コストの経費削減に関する考え方、採用の質を落とさずに採用コストを削減する7つの考え方とアイデアを紹介します。

<目次>

採用コストの基礎知識

電卓と書類、ノートパソコン
まずは採用コストの基礎知識として、採用コストの概要と新卒採用・中途採用にかかる相場を確認しましょう。

採用コストとは?

採用コストとは、採用活動全体でかかった総費用です。具体的には、内部コストと外部コストに分類できます。

内部コストとは、採用活動で使われる社内リソースのことです。内部コストで最も大きな割合を占めるのが、採用担当者などの人件費です。

現場のリーダーなどが説明会に登壇したり面接官を担当したりする場合も内部コストが発生することになります。

また、採用担当者が大学訪問や合同企業説明会に行くときの交通費や宿泊費、リファラル採用で人材を紹介してくれた既存社員に払う報酬も、一般的には内部コストに含まれます。

一方で外部コストは、直接的に社外への支払いが生じる採用コストです。具体的には、以下のような費用が外部コストに該当します。

  • 求人サイトへの広告費
  • 人材紹介やダイレクトリクルーティングサービスの成功報酬
  • 合同企業説明会への参加費用
  • 採用動画の制作費用
  • 適性検査の実施費用
  • 採用イベント会場のレンタル費用 など

内部コストと外部コストに該当するものを整理すると、以下のようになります。

内部コスト
(社内で生じる採用コスト)
外部コスト
(社外に直接支払う採用コスト)
・採用担当者の人件費
・面接や説明会に登壇する社員の人件費
・採用担当者の交通費や宿泊費
・求職者への交通費
・リファラル採用の報酬 など
・求人サイトへの広告費
・人材紹介やダイレクトリクルーティングサービスの成功報酬
・合同企業説明会への参加費用
・採用動画の制作費用
・適性検査の実施費用
・採用イベント会場のレンタル費用 など

新卒採用にかかるコスト

リクルートの就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用(20年卒)1人あたりの平均コストは93.6 万円です。

93.6万円という数字は、2018年度71.5万円と比べると、かなり上昇している状況です。

出典:就職白書 2020(リクルート みらいワークス研究所)

中途採用にかかるコスト

同じリクルートの就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年度の中途採用では、1人あたりの平均が103.3 万円です。

こちらも2018年度の83.0万円と比べると、かなり高騰している状況です。

出典:就職白書 2020(リクルート みらいワークス研究所)

現状の採用コストを把握する方法

採用コストの削減を考えるうえでは、まず現状の採用コストを把握する必要があります。

採用コストを把握する作業の際は、外部コストだけでなく、概算で良いので内部コストを算定することも大切です。

特に人件費は、大きな金額となってきます。内部コストを考えずに外部コストだけで採用コストや採用単価を考えると、判断を誤ることもありますので注意が必要です。

採用コストを算出できたら、採用単価も出します。採用単価は、1人採用するのにかかった費用のことです。

前章でご紹介した1人あたりのコストが採用単価になります。採用単価の計算式は、以下のとおりです。

採用単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

採用コストの経費削減に関する考え方

採用コストは費用です。しかし、採用コストには、投資の側面も強いという特徴があります。

そのため、採用単価を落とすことよりも採用の質を向上させることで、費用(投資)対効果を改善できるケースも多々あります。

費用(投資)対効果を考えるうえで大切なのは、入社後のパフォーマンスです。

たとえば、営業職の採用において、優秀な営業と平均レベルの営業でどれぐらい年間成果(売上)が変わるでしょうか。

業界によりますが、粗利で数百万から数千万変わることもあるでしょう。

そうすると、採用単価60万円で凡庸な営業パーソンを採用するよりも、単価120万円かけてでも、優秀な営業パーソンを採用したほうが、売上へのインパクトは大きくなるわけです。

このように、採用コストの削減を考えるときには、単純な見た目上の費用を削るという発想ではなく、費用対効果で考えることが重要です。

ただし、もちろん無駄を削る、同じコストでより優秀な人を採用する、浮かせたコストで新しい手を試すといったことはとても大切です。

採用コストを削減する7つのアイデア

人差し指を掲げる女性
採用コストを抑える・費用対効果を高めようとする場合には、以下7つの考え方やアイデアが参考になるかもしれません。

なお、当たり前の施策、基本となる部分から順番に紹介していきますのでご了承ください。

ミスマッチの防止

大前提として、採用した人材が自社の価値観や仕事のやり方などとミスマッチだった場合、モチベーションの低下から早期の即戦力化ができなかったり、中途の場合は若手に悪影響をおよぼしたり、早期離職をしやすくなります。

また、せっかく採用した人材が早く辞めてしまえば、採用・教育コストはすべて無駄になり、追加の費用も発生するでしょう。

したがって、ミスマッチによる早期退職や入社後の滞留人材の発生を防ぐことは基本になります。

ミスマッチを防ぐには、採用活動で以下のポイントを押さえる必要があります。

  • 経営陣や現場を巻き込んで採用ターゲットや採用基準を作成する
  • 選考プロセスに現場を巻き込む
  • 面接力を強化する
  • 組織の未整備な側面や仕事の大変な部分もきちんと発信する
  • 自社の情報発信を増やす など


内定辞退者の削減

企業が出した内定通知を承諾したにも関わらず、入社までに内定辞退する人材がいると、採用活動のやり直しが生じますし、採用コストの無駄も生じがちです。

内定辞退者を削減するには、先述のミスマッチのところで紹介したポイントと併せて、内定後の接触頻度を高く保つことを基本として、以下の施策を実施することが有効です。

  • 内定ブルーを解消するための定期的な情報発信
  • SNSやWeb会議を使った定期的な双方向コミュニケーション
  • 内定者同士のコミュニケーション機会と人間関係の醸成
  • 内定者イベントや交流会・座談会による魅力の再訴求
  • 内定者研修や座談会を通じた入社後イメージの強化 など


オンライン採用の導入

近年では、コロナ禍によって、Web会議ツールなどを活用した企業説明会や面接などを行なう「オンライン採用」が導入しやすくなりました。

企業説明会や面接をオンラインで行なうと、以下のようなコストを削減しやすくなります。

  • 面接官が地方の面接会場に行くための交通費・宿泊費
  • 企業説明会の準備費・会場費
  • 求職者の地元から自社までの交通費 など

HRドクターを運営する株式会社ジェイックの調査結果では、企業説明会や一次面接は6割前後が「オンラインでの実施」、そして、最終面接は7割近くが「対面での実施」となっており、ハイブリッド採用が浸透していることが伺えます。

オンライン採用は母集団形成も容易になるため、うまく取り入れることで母集団形成の外部コストを削減できる可能性もあるでしょう。


無駄な内部コスト(削減経費)の見直し

内部コストに無駄がないかをチェックし、可能であれば以下のように見直してみましょう。

  • 関西で説明会を実施するときの宿泊費 ⇒ 午後開始に変更、日帰り出張にする
  • 東北地方から面接に来る学生10人の交通費 ⇒ 人事担当者2名が仙台に出向くorオンラインに方法を変更
  • 合同企業説明会に3人の社員が行っている ⇒ 小規模会場のものは2人に変更 など

新卒採用などは繁忙期と閑散期のギャップも激しくなるため、採用代行の活用や一時的な非正規雇用を使って、正規雇用者の内部コストを削減することも有効です。

また、採用管理ツールを導入して、自動化・効率化することもひとつです。

求人媒体の見直し・価格交渉

母集団形成に関して安易に費用を削ると採用の質や成果に悪影響が生じやすくなります。

そのため、採用コストの削減で思いつくのは、求人媒体や人材紹介会社などへの価格交渉ですが、まずは、これ以外のコスト削減を優先したほうがよいでしょう。

ただし、きちんとチャネル毎の母集団状況、最終選考や内定者人数、単価などはきちんと効果検証して、費用対効果が悪い媒体を見直すことはもちろん重要事項です。

なお、求人媒体の場合には、人材紹介会社と違って価格交渉しても成果への影響は少ないでしょう。したがって、価格交渉もコスト削減するうえで有効な手のひとつです。

人材紹介会社への価格交渉

人材紹介を使っている場合、紹介会社との価格交渉もコスト削減のひとつになります。ただし、人材紹介会社に価格交渉をする場合は、求人媒体以上に注意が必要となります。

人材紹介会社では、売上達成を目標に各担当者が仕事をしています。

したがって、以下のA社とB社で同条件の求人があった場合、料率の低いB社の紹介は行なわれにくくなってしまうでしょう。

  • A社:価格交渉なし、成功報酬は理論年収の35%
  • B社:価格交渉あり、成功報酬は理論年収の25%

人材紹介会社に取り組みメリットがある大量採用や内定が出やすい求人であれば、低い料率でも紹介してもらえる可能性は十分あります。

一方で、内定が出やすいわけではない場合は、価格交渉すると紹介されづらくなるかもしれません。

低コストな採用手法の導入

中長期的には以下のような低コストで優秀人材を採用できる手法を確立していくことが非常に大切です。

  • リファラル採用
  • SNS採用
  • アルムナイ採用
  • オウンドメディアリクルーティング など

SNS採用やオウンドメディアリクルーティングの場合、採用活動の効果につながるまでに、最低でも2年程度の時間はかかるでしょう。

また、自社の卒業生の再雇用であるアルムナイ採用や、縁故採用の現代版であるリファラル採用は、人材との縁やタイミング次第であるため、計画的な採用を実施しにくい側面があります。

そのため、これらの施策を短期的なコスト削減施策として取り組むことは難しい側面があり、まずは、ここまで紹介してきた経費削減のポイントをきちんと実践することがお勧めです。

しかし、上記のような採用施策がある程度安定してコンスタントに成果が生まれてくると、低コストで採用品質を維持、むしろ高めることにつながります。

したがって、中長期的な目線を持って取り組むことが大切です。



まとめ

採用コストは、採用活動にかかる総費用を指します。

採用コストには、採用で使われる社内リソース、特に人件費などを指す「内部コスト」と、社外への直接的な支払いが生じる「外部コスト」に分かれます。

内部コストが意外と見落とされがちですが、大きな金額となりますので、採用コストを考える際には注意が必要です。

質を維持したうえで採用コストを削減するには、以下のような考え方やアイディアがあります。

  • ミスマッチの防止
  • 内定辞退者の削減
  • オンライン採用の導入
  • 無駄な内部コスト(削減経費)の見直し
  • 求人媒体の見直し・価格交渉
  • 人材紹介会社への価格交渉

ただし、採用コストには、投資の側面もあります。そのため、採用コストの削減をするときには、見た目上の費用を無暗に削るのではなく、費用対効果で考えていくことが大切です。

また、中長期的には、リファラル採用、アルムナイ採用、SNS採用、オウンドメディアリクルーティングといった低コストで質の高い人材を採用できる手法を確立していくことが何より大切です。


著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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