【新卒採用の成功事例】中小企業、ベンチャー企業がマネすべきポイントを徹底解説

2020/03/31

【新卒採用の成功事例】中小企業、ベンチャー企業がマネできるポイントを解説

知名度のない中小企業、少数精鋭で事業に取り組むベンチャー企業では、「社員一人ひとりが組織に与える影響が大きいからこそ優秀な人材を採りたい」ニーズがある一方で、「知名度がなく大手中堅企業に採用競争で負けやすい」という現実があります。だからこそ、採用方法の工夫が重要です。

 

本記事では、様々な工夫で新卒採用を成功させている中小企業、ベンチャー企業の事例と「マネすべき」ポイントを解説します。新卒採用の成功事例を取り上げていますが、考え方は第二新卒や中途採用にも生かせるものですので、第二新卒・中途採用を考えている方もぜひご覧ください。

<目次>

中小企業、ベンチャー企業が新卒採用に苦戦する3つの理由

まず中小企業、ベンチャー企業は新卒採用に苦戦する理由を簡単に確認しておきます。「自社の場合、どの要因で苦戦しているのだろうか」という目線でご覧ください。そのうえで、後ほどご紹介する成功事例をご覧いただくと、自社に取り込むべきノウハウが見えてくるでしょう。

 

 

母集団を集められない

多くの中小企業、ベンチャー企業は、“採用の母集団が集まらない”ことに悩んでいます。「優秀な人材が来ない」という以前の問題です。中小企業、ベンチャー企業は大手企業に比べて、ネームバリューで劣ります。しかし、ターゲット学生に自社の存在を知ってもらわなければ、応募してくれることはありません。

 

大企業であれば、多額の費用を使って学生に働きかけることもできるかもしれませんが、“費用”で勝負する方法は、中小企業、ベンチャー企業にとって難しいことがほとんどです。ターゲット学生に知ってもらう独自のPRを考えるなど、採用の「質」を上げていく必要があります。

 

 

内定承諾してくれない

自社で採用したいと思う応募者は、ほぼ確実に他社でも内定を獲得します。従って、採用の質で妥協したくないのであれば、複数企業の中から“選ばれる”必要があります。「最も魅力的だ」と感じてもらえなければ、内定を辞退されてしまいます。内定承諾を獲得するためには、採用プロセスを通じて、大企業も含めた他企業を上回るよう魅力をしっかりと伝え、関係性を構築する必要があります。

 

 

会社の魅力をうまく伝えられない

中小ベンチャー企業の場合、採用ノウハウが十分に蓄積されていないために、「自社の魅力をうまく伝えられない」こともよく見受けられます。ノウハウ不足が前述した「母集団を集められない」「内定承諾してくれない」原因でもあります。採用で重要な魅力発信は、「採用ターゲットにどう興味を持ってもらうか」「選考プロセス内でどう魅力を伝えるか」の2点です。ご紹介する成功事例は、2点のどちらか、または両方に、しっかりと工夫がなされています。

中小企業、ベンチャー企業が実践する新卒採用の成功事例

新卒採用を成功させる中小企業、ベンチャー企業

 

それでは、中小企業、ベンチャー企業における新卒採用の成功事例を見ていきましょう。いずれもユニークな選考を行っている企業です。採用は、大きく以下の3つの要素に分けて捉えることができます。

 

  •  母集団形成

ターゲット学生と「接点を持つ」ために求人広告を通じて興味付ける

 

  •  魅了付け

「内定を出した時に承諾してくれる」状態まで説明会や選考を通じて魅了付ける

 

  •  適切な選考

ミスマッチを防ぎ「入社後に活躍する人材を見抜く」

 

ユニークな選考は、それだけで「口コミになりやすい」「柔軟な思考をしている企業」という母集団形成における“興味付け”の要素になります。一方で、ユニークさだけにとらわれて、本質を見失うことにも注意が必要です。他社のユニークな事例を、自社にそのまま取り入れてもうまくいきません。

 

ご紹介する事例のそれぞれを、「どのようなターゲット学生に向けた施策か?」「どのような効果を得られる施策か?(母集団形成/魅了付け/適切な選考)」「自社のターゲット学生で同じ効果を得るためにはどうしたらいいか?」を考えながらご覧ください。考えやすいように解説を加えながら紹介します。

 

 

三幸製菓の「日本一短いエントリーシート」

菓子メーカーの三幸製菓が、2016年卒の採用で始めた方法です。Web上にエントリーフォームが用意されており、まず「おせんべいは好き?」「ニイガタで働ける?」という2つの質問が表示され、学生は「Yes」か「No」を選択します。両方に「Yes」と回答した学生には「あなたの連絡先(メールアドレス)を、心を込めて入力してください」と表示され、メールアドレスを打ち込んで送信するだけで、“エントリーシート”の提出が終了します。

 

「新潟」という採用に不利な立地であり、同じ新潟県内では亀田製菓という業界トップ企業と正面から競合するのが三幸製菓の新卒採用です。その中で、母集団を増やすために「応募のハードルを下げる」ということに振り切った施策です。まずは応募してもらい、選考を通じて志望動機をあげていくという採用戦略の王道に則った施策です。

 

 

カヤックの「経歴詐称エントリー」「いちゲー採用」

「経歴詐称エントリー」は、Webサービスを中心に企画事業に取り組むカヤックで、2013年から2016年にかけて実施された採用方法です。「ウソをつくのも才能のひとつ」という考えのもと、エイプリルフールの4月1日に限定して、“ウソのエントリーシート”をもとに書類選考を行いました。また2017年3月からは、ゲームのうまさで内定を出す「いちゲー採用」が導入されました。ゲーム開発にも取り組む企業として、ゲームに捧げた情熱や時間を評価するという試みです。

 

カヤックは他にもユニークな選考を連発して、母集団形成や魅了付けを行っていることで有名です。ニュース性のある企画を連発すること自体が「企画会社」としてのブランディングになり、また、ゲームや企画に興味を持つ人材へのメッセージになっています。さらに多くの企画が「面白法人」という経営理念の訴求にもなっており、採用上手な会社として注目されています。

 

 

アソブロックの「コンビ採用」

企画・プロデュース事業を行うアソブロックは、2人1組でしか採用しないというルールの「コンビ採用」を導入。必ず2人1組でエントリーし、必ず2人1組で内定を出すという仕組みです。

 

アソブロックも「じゃんけん採用」「総選挙採用」などの目新しい採用をしていることで有名ですが、カヤックのような“企画会社”であるという背景を考えると納得できます。また「コンビ採用」は単に面白いだけではありません。「事業領域が広く、10数人のベンチャーで、一番年齢の近い先輩とは6つも年が離れてしまう」というアソブロックの環境で、「複数名を採用する」という考え方は非常に合理的です。

 

中小企業の若手採用において「1人採用よりも2人採用の方が、定着率が高い」ことは実証データがあります。さらに、「同じ会社に行こう!」と誘って意思決定できるだけの関係性であれば、入社後も支えあう/教えあう/切磋琢磨してくれることは想像に難しくありません。

 

 

株式会社ぱど「ジャンケン選考」

株式会社ぱどでは、会社説明会でジャンケン大会を実施し、一番になった人はいきなり役員面接に進めるという「ジャンケン選考」を導入しています。「株式会社ぱど」は地域密着型のフリーペーパーを事業としている会社であり、新卒で採用する主な職種は広告販売の営業職です。「運が良い人」を採用したいという理由付けと共に、フットワークの軽い営業向きの人材が興味を持ちそうな施策にもなっていることがポイントです。

 

 

チームラボ「卒制・卒論採用」

チームラボで実施されているのは、卒業制作や卒業論文など自分が作った「もの」や「実績」を提出し、エントリーシートなしで選考するという方法です。今でこそチームラボは「デジタルアート」の印象が強いですが、もともと東大・東工大の大学院生らが立ち上げたテクノロジーベンチャーです。

 

卒制・卒論採用もデザイナーやエンジニア等のプロフェッショナル向けの採用制度です。「就活を頑張る学生」よりも、「大学での活動に全力を注いでいる学生」、一種のギークやアーティストに向けたメッセージとして、とても理にかなっています。

 

 

株式会社サイバー・バズ「インフルエンサー採用」

株式会社サイバー・バズでは、新卒採用の応募資格として「Instagram、Facebook、Twitter、YouTube、いずれかのSNSで直近1ヶ月以内の1投稿に300以上の“いいね!”がついている方」という項目を設けています。

 

サイバー・バズは、社名の通り、InstagramやTwitterなどのSNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーを使って、「バズ(口コミ)を起こす」インターネットプロモーションの会社です。したがって、「自らSNSを運用して多くのフォロワーを持つ」ということは、「企画者・運用者として自社サービスを理解している」ということです。つまり、ユニークな採用でありながら、ある種即戦力に近いターゲット学生を集めることに繋がっています。

 

 

株式会社メルカリ「スクショ採用」

メルカリの「スクショ採用」とは、学生が持つスマートフォンの“ホーム画面のスクリーンショット”で1次選考を行うという選考方法です。履歴書の提出はなく、スクリーンショットのみで選考を行います。

 

スマートフォンをフル活用して事業を伸ばしているメルカリらしい採用です。スマートフォンでどんなアプリを使っているかを見れば、求職者の志向性やインターネットリテラシーも見えてきます。サイバー・バズのインフルエンサー採用と同じく、ユニークでありながら、「自社サービスのターゲット層」への理解度が高い学生を選べる選考になっています。

 

 

サーチフィールドの「不採用採用」

他社で不採用となった学生をターゲットとした採用企画です。1次面接では「自分が不採用になった原因・振り返りのプレゼンテーションしてもらう」という「不採用採用」らしい採用プロセスも特徴があります。

 

不採用採用は、“失敗からの再チャレンジを受け入れてくれる企業”という印象付けを行える採用制度です。サーチフィールドが不採用採用を始めたのは、主要企業の採用活動が終息した10月であり、その中でどう目立つかを考えた施策と言えるでしょう。当然、10月の段階で採用活動を行っている学生の大半は、採用活動で落ちた経験があるでしょう。

 

その中で、「自分の不採用になった原因に向き合い、プレゼンテーションの材料にできる」学生に向けたメッセージであり、“目立つ”と同時に、じつはターゲット学生を“絞り込んでいる”施策です。

 

 

スターティア株式会社「麻雀採用」

情報機器販売を手掛けるスターティア株式会社では、会社説明会・懇親会と同時に麻雀大会を開催しました。麻雀大会で1位を獲得すれば、いきなり最終面接に進めるという仕組みです。麻雀大会には、スターティアの人事も参加し、麻雀卓を囲んで学生とコミュニケーションを行います。

 

麻雀採用は話題性を作ると同時に、麻雀を通じて、ロジカルな思考、瞬時の判断力、勝負強さを見るという選考です。麻雀をすることで普通に面接するよりも長時間にわたって、その人のパーソナリティ、周囲とのコミュニケーションを見ることができます。また、スターティアの事業は中小企業向けのIT・通信・OA機器などの販売です。従って、経営者や役員向けの提案営業職が採用職種です。雀荘に通っているような、物おじせず機転の利く“こなれた学生”が採用ターゲットになるからこその選考手法です。

 

 

ビースタイルの「飲み会・ランチ選考」

ビースタイルでは面接を廃止し、その代わりに、飲み会やランチなど学生と社員とが交流できる場を設けました。飲み会・ランチ選考を導入した最初の年には、内定辞退率0%を達成しています。近年、飲み会やランチ選考は、多くの企業で採り入れられつつある手法です。

 

飲み会やランチというフランクな場を設定することで、60分のかしこまった面接の中では見えない、学生の「素」を見ることができます。効果としては、スターティアの麻雀採用に近いものがあるかも知れません。同時に、多くの社員と接点を作ることで、自社の社風を見せると同時に魅了付けに繋げる意図もあるでしょう。

 

 

株式会社じげん「長期インターン制度」

インターネットベンチャーの株式会社じげんでは、長期インターンを通じた選考活動を行っています。選考手法として最も精度が高いとして検証されているのは「面接」でも、「適性検査」でもなく、「ワークサンプリング(入社後にやる仕事を実際に試してもらう)」であることが実証されています。

 

長期インターンを通じて実際に仕事をやってもらえば、これ以上に精度が高い選考方法はありません。同時に、採用したい学生であれば、どんどん裁量を与えて面白い仕事を体験させたり、その中で社員と接点を作り、魅了付けしたりいくことが可能です。言い方に語弊がありますが、“気づいた時には抜けられないアリ地獄”のようなイメージです。

成功事例から学ぶ!ユニークな採用手法を使った新卒採用成功のポイント

ユニークな採用手法を使った新卒採用

 

ユニークな採用手法をいくつもご紹介しましたが、「ユニークさ」は表面的なものであり、内容を紐解いていくと、下記の4つのポイントしっかり押さえたものであることがよく分かります。

 

  • 求める人材像の明確化(ペルソナ作成)
  • ペルソナ学生に関心を持ってもらう(応募をしてもらう)ためのユニークな工夫
  • 「入社したくなる」ための魅力付け
  • 学生の「素」や「能力」を見抜くための適切な選考

 

中小企業、ベンチャー企業で新卒採用を成功させるうえで、特に欠かせないのがペルソナ設定です。「採りたい人に興味を持ってもらう」ことが採用活動のスタートです。採用ペルソナをしっかりと作成して、「採用ペルソナに合致する学生はどこにいるか?」「何に関心を持つか?」「どうすれば採用ペルソナの学生かを判断できるか?」といったことを考えると、自ずと「普通の採用活動」の枠を超えたアイデアが思いつくでしょう。ユニークな採用手法はその結果です。

 

なお、ユニークな採用手法は、メインの採用方法であることは少ないです。ある意味では“目立つ”ための補助施策です。“ユニークな採用手法を行っている”ことを求人広告や採用ホームページで打ち出すことで、「何だろう?」「面白そう」「柔軟な思考をしている会社だな」と興味を持ってもらうきっかけにするのです。

まとめ

中小企業、ベンチャー企業の新卒採用では、「母集団を集められない」「内定承諾してくれない」「企業の魅力をうまく伝えられない」といった課題があります、記事ではユニークな新卒採用を行っている成功企業の事例を紹介しました。表面的な面白さに囚われず、意図を考えていくと、いずれも採用を成功させるための道筋をしっかり踏んでいることが分かります。

 

成功事例で一番多いのは「ターゲット学生に興味を持ってもらう」ための工夫です。ターゲット学生と会わないことには採用の成功はありませんので、非常に王道であると言えます。ターゲット学生に興味を持ってもらう工夫を考えるために重要なことは、採用ペルソナの設定です。

 

採用ターゲットの内面をしっかりと肉付けして、「どこにいるか?」「何に関心を持つか?」をしっかり考えると、「普通の採用活動」の枠を超えたアイデアが思いつくでしょう。

 

ユニークな採用手法はあくまで“目立つ”ための補助施策です。ユニークな採用手法の存在を求人原稿やホームページ上で打ち出すことで、「何だろう?」「面白そう」「柔軟な思考をしている会社だな」と興味を持ってもらうきっかけにするのです。

 

繰り返しになりますが、採用ターゲット(採用ペルソナ)を明確化して、「どこにいるか?」「何に関心を持つか?」を考え抜くことで、「会う」ノウハウ、施策を洗練させましょう。それが採用を成功させるための王道です。

著者情報

稲本 太郎

株式会社ジェイック|新卒事業本部シニアマネージャー

稲本 太郎

新卒で入社してから一貫して、新卒・中途の採用コンサルティング、キャリアカウンセリング、マネジメントを経験。計15年以上に渡って、採用支援の第一線で活躍している、社内でも有数の経験豊富な現役採用コンサルタントでありながら、自社採用の面接官も兼任。新人賞、トップセールス賞、MVT、社長賞、特別賞、ベストプラクティス最多ノミネートなど数々の受賞実績有り。専門は新卒採用および中途採用、とくに採用戦略の設計、ダイレクトりくーてぃんぐ、魅了付け、見極め等。

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