採用戦略を立てて採用を成功させる!効果的な採用戦略を立案するポイントは?

2020/03/31

採用活動は、活動自体が売り上げや利益をもたらすわけではなく、短期的にはコストセンターです。しかし、採油活動で良い人材を確保できるかで、事業計画の実現や3年・5年・10年の企業成長が左右されることも事実です。中堅中小企業の採用活動は「大手企業よりも求人倍率が高い」という根本的課題がありますので、難易度は高くなります。

 

場当たり的なアプローチではなく、一貫した採用戦略を持ち、また中長期的に採用力を高めていくための取り組みが求められます。本記事では、効果的な採用戦略がもたらすメリットと採用戦略の立案方法、立案のポイントと注意点を解説します。

<目次>

効果的な採用戦略がもたらす3つのメリット

採用戦略は端的には「どんな人をどうやって採るか?」です。採用戦略の上流には「企業の成長ステージや事業特性に基づいた採用ターゲットの設定方針」「評価制度や働き方などの人事戦略との一致」「ミッション・ビジョン・バリューと紐づく採用の基本メッセージ」などがあります。

 

また採用戦略の下流では、「採用したい人物像(採用ペルソナ)の設定」「設定したペルソナに合致した採用メッセージの考案」などがあり、「採用媒体の選定」「採用プロセスの設定」「求人原稿の制作」などの採用実務へと繋がっていきます。

 

採用活動は、主となって進行する人事部門、戦略のすり合わせを行ったり最終面接で登場してもらったりする経営陣、面接や面談に入る現場のマネージャー層やリクルーター、場合によっては採用コンサルタントや求人広告代理店のスタッフまで多数の人が関与します。

 

求職者に対しても、求人原稿、採用ホームページ、説明会、面接・面談、内定者研修など、多くのタッチポイントがあります。その中で一貫したメッセージを発するためにも上流工程をしっかり設計して、明確な方向性に沿って実務を進めることが重要です。採用戦略を明確にすることで採用活動にもたらされるメリットは、整理すると次の3つです。

 

 

1. 本当に欲しい人材の獲得に繋がる

採用戦略を上流工程から落とし込んでいく中で、1つ重要なプロセスは採用ペルソナの設定です。採用ペルソナの設定は、事業戦略や人事戦略と、採用媒体の選定や採用原稿の作成など実務との結節点とも言えるでしょう。採用基準の羅列である採用ターゲットに、価値観やキャリアビジョン、会社選びの基準や行動特性などを肉付けしていくことで具体的な人物像「採用ペルソナ」を設定します。

 

採用ペルソナの存在は、「何が採用ペルソナにとっての魅力なの?」(魅力の抽出)、「採用ペルソナはどんな就職活動をしているのか?」(媒体選定)、「どの魅力を前面に押し出すか?」(採用メッセージの作成)など、採用実務を進めるうえでの判断基準となります。

 

採用ペルソナの設定は採用ターゲットに向けてより具体的、訴求力のあるメッセージを発信することに繋がります。逆に、採用ペルソナが曖昧な状態で発信される採用メッセージは、市場全体の雑多なニーズに迎合したありきたりな発信となってしまいます。

 

 

2. 選考基準が明確になる

採用戦略の上流工程で、組織ステージや事業特性、評価制度や働き方などの人事戦略、ミッション・ビジョン・バリューを取り上げることは、採用すべき人材の要件、逆に、採用すべきでない人材の要件を明らかにすることに繋がります。

 

採用すべきでない人材の要件は見落とされがちですが重要です。採用戦略と紐づけずに採用基準を作っていくと、「能力」要件が中心となってしまい、自社の価値観、事業特性からくる働き方、人事戦略と合わない人材を採用してしまう場合があります。GEで使われていた人事評価である9ブロックは非常に有名ですが、「自社の価値観・社風と合わない有能人材」ほど組織を破壊するものはありません。

 

また、採用すべき人材の要件、特に定性面:特性や動機が明確になることは、選考基準や面接の質問内容をブラッシュアップすることに繋がります。採用人数が多い場合には、面接官も複数になりますので、選考基準や質問内容を標準化することは重要です。また、採用数によっては企業内で「内定合格レベル」と「幹部候補」を区分けすることもあるでしょう。

 

入社後の活躍を予測するうえでは、現時点の能力だけではなく、性格特性や動機が重要です。採用戦略を定めて採用基準へ落とし込むことは、選考初期で幹部候補を見抜き、的確に口説く動きを実現することにも繋がります。

 

 

3. 採用戦術が明確になる

組織ステージや事業特性、評価制度や働き方などの人事戦略、ミッション・ビジョン・バリューと紐づいて採用ターゲットや採用ペルソナが設定されていることは、採用戦術を策定していくうえでもエネルギーを与えます。採用ペルソナのブロックでも述べた通り、採用戦術を決定していく判断基準となり、ブレや迷いを減らします。

 

また、採用実務は膨大なオペレーションであり、応募者一人ひとりとのコミュニケーションです。その中では、常に採用競合との競争があり、採用の目標人数という数値のプレッシャーが存在します。その中で、自分たちの発するメッセージや媒体選定が一貫した方針に基づき、自社の未来を担う人材にアプローチしているのだという自信は採用担当者に勇気をもたらすことでしょう。

採用戦略を成功させる3つのポイント

採用戦略の立案に際して、意識しておくべきポイントは以下の3点です。

 

 

組織の成長ステージ、事業特性、人事戦略、ミッション・ビジョンと一貫性を持たせる

採用戦略の上流工程で重要なことは「誰を採るか?」の設定です。必要な人材は短期スパンで事業計画に基づいて集計されるものですが、同時に組織の成長ステージ、事業特性に基づいて中長期で必要な人材像を思考することが必要です。また「誰を採るか」は「採用した人材をどう処遇するか(待遇だけでなく働き方等も含めて)」という人事戦略と一致していないと、入社後の離職やモチベーション低下を生むことになります。

 

 

採用広報、採用選考のKPIを踏まえて、課題や強みを整理する

採用広報や採用選考などの一連の採用活動に関して、自社がどのような課題を抱えており、どのような強みを有しているのかを整理しておきましょう。こうした課題や強みの整理にあたっては、活動におけるKPI(目標達成に重要なプロセス指標)を設定することが大切です。KPIの達成度合いを定期的にチェックし、充足している点・不足している点を見定めるようにしましょう。

 

 

PDCAを回し続ける

採用戦略や採用計画は立案・実行して終わりではなく、振り返りを行うことが大事です。事前の戦略・計画があるからこそ、戦略・計画と実績を照らし合わせて、スムーズに振り返りが出来ます。PDCAを動かし、うまくいったこと/うまくいかなかったことを確認して、ブラッシュアップを重ねていきましょう。

採用戦略を立案する具体的な5ステップ

採用戦略の立案はいくつかのステップに分かれ、以下のような流れで作り上げていきます。

 

 

1.採用したいターゲット像を明確にする

採用戦略の立案にあたって、まず行うことは採用ターゲットを明確にすることです。一般に採用計画は「職種、採用基準、採用数」などの要員計画がライン部門から上がってきたり、経営陣とすり合わせて新卒の採用数を決めたりするところから動き始めることが多いでしょう。

 

このとき、採用戦略で大事なことは、組織の成長ステージや事業特性、採用背景を踏まえて採用ターゲットを肉付けしていくことです。例えば、インターネットサービスの立ち上げ期であれば採用する人材は「少数精鋭のエンジニアやプロダクトデザイナー」になるでしょうし、クラウドサービスの拡販期であれば「少数のマーケターと大勢の無形サービスを提案できる営業職」でしょう。

 

安定期に入っている事業であれば「尖った人材よりも仕組みを動かせる、仕組みの中で周囲と競える人材」かも知れません。成長ステージと事業特性に応じて、採用ターゲットは変わります(採用職種が1つでも中に複数の採用ターゲットが存在することもあるでしょう)。

 

採用ターゲットを明確化した後に、採用ターゲットにマッチする人事戦略や制度があるかのすり合わせも重要です。例えば、「安定志向の組織風土を変えてくれるようなベンチャー志向を持った人材を採りたい」という話を新卒・中途問わず頂くことがあります。基本的に採用だkで組織風土を変えることは困難です。

 

人事戦略や制度を変えないまま、現状の組織風土・働き方から乖離する価値観や志向の人を採用すると、高い確率で早期退職します。組織風土を変えたいのであれば、人事戦略や制度で組織風土を変えながら、採用側でも刺激剤となる人物を採っていくことが現実解です。

 

 

2.採用ペルソナを作成する

採用ターゲット像が明確になったら、次に行うことは採用ペルソナの設定です。採用したい人材の人物像を詳細に想定していきます。採用ペルソナは、能力や経歴面などの採用基準を中心に設定された採用ターゲットに、価値観、キャリア志向、行動特性など「人」としての側面を肉付けしたものです。

 

採用ペルソナは必ずしも一つになるわけではありません。採用ターゲットが複数パターンあるのであれば、ペルソナも複数設定することは十分あり得ます。その場合にも、ペルソナ一つひとつに具体的な人物像を設定していきましょう。

 

採用ペルソナの意義や作り方は、以下の記事で詳細に説明していますのでご覧ください。

 

 

 

3.採用ターゲット(採用ペルソナ)のニーズを理解する

採用ペルソナが設定できたら、求職者のニーズを整理していきましょう。「(中途であれば)なぜ転職するのか?」「転職理由の本音は?」「どんな基準で入社先を選んでいるのか?」「応募先を決める段階での選び方は?」「内定承諾するかを決めるときの検討要素は?」など、求職者が就職先に求めていることを整理しましょう。

 

重要なのは、求職者の幅広いニーズに迎合することではなく、設定した採用ターゲットとペルソナにとってのニーズを突き詰めていくことです。求職者のニーズをはき違える、表面上のニーズしか理解できないと効果的な採用戦略にはなりません。

 

 

4.自社の魅力を抽出する

整理した求職者のニーズを踏まえて、発信していくべき自社の魅力を抽出しましょう。ここでも重要なことは、設定したペルソナ、整理したニーズに対しての魅力の抽出することです。ペルソナの設定やニーズの整理が不十分だと、抽出されたニーズもありきたりで曖昧なものになってしまいます。

 

魅力の抽出においては、自社のミッション・ビジョン・バリューとの紐づけも確認しましょう。ミッション・ビジョン・バリューに掲げている世界観と矛盾はないか?一貫性を持っているかがチェックポイントです。

 

 

5.採用競合をリサーチする

自社で採用したい人はほぼ確実に他社でも内定を獲得します。採用で競合する企業は同業他社が入ることは多いですが、必ずしも同業他社だけとは限りません。採用戦略・採用計画がうまく機能しているようであれば、「採用ペルソナが似ている企業」が競合になってきます。

 

採用競合は採用活動の中でどんなメッセージを発信しているかをリサーチしましょう。採用競合の求人広告や採用ホームページをチェックしているという方は意外に少ないです。自社の採用力も踏まえて、採用競合に勝つための基本シナリオを考えましょう。「採用競合に勝てる魅力・独自の魅力」を前面に押し出しつつ、採用競合が打ち出している魅力に惨敗しないように対抗メッセージを準備しておくことが重要です。

 

まとめ

採用戦略は、採用媒体の設定や採用原稿の制作、選考プロセスと言った具体的な採用実務の上位概念です。採用戦略の上流工程では、「組織の成長ステージや事業特性を踏まえた採用ターゲットの設定」「人事戦略や制度との整合性」「ミッション・ビジョン・バリューと採用メッセージの一貫性」などを確認する必要があります。

 

採用戦略を踏まえたうえで採用ペルソナの設定と魅力の抽出が行われ、「どんな人をどうやって(どんなメッセージを発信して)採るか?」の方針が決まります。これにより採用活動が広く浅いものではなく、採用ターゲットに向けた効率的なアプローチとなります。自社の魅力や強みを余すことなく活かしていくためにも、一貫した採用戦略のもとに採用活動を進めていきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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