内定辞退の根本的原因と内定承諾率を大幅に増やす3つのポイント

2020/03/31

少子高齢化に伴い労働人口が減少している現在、採用の難易度はどんどん上がっています。また、じつは少子化の中でも過去30年間に渡って対象者が増えてきた(直近10年間は横ばい)新卒採用市場も、ついに22卒からは学生数が減少に転じます。その中で採用活動をしていて、もっとも減らしたいのが「内定辞退」ではないでしょうか。

 

せっかく母集団を集めて選考して内定を出したのに、内定辞退されてしまうと、かけた手間もコストも無駄になってしまいます。本記事では、内定辞退の現状や根本的な原因、内定辞退を防ぐためのポイントについて詳しく解説します。

<目次>

内定辞退率は上昇している?売り手市場による影響の実態と今後の予測

 

若年層が減少している日本の採用市場は、中長期的に売り手市場に向かっています。実際に、景況感の変動や学生の感覚変化と相まって、内定辞退、また内定承諾後の辞退は増える傾向にあります。

 

 

内定辞退の動向

新卒採用の市場においては、Marketing-Robotics株式会社の調査では、20卒の新卒採用で「内定を出した学生の3割以上が辞退した」という会社が全体の約3割になります*1。学生側の調査結果を見ても、株式会社リクルートキャリアの調査では、2019年卒の内定取得者のうち、「内定辞退をしたことがある学生」は65.3%と、全体の約2/3になります*2。

 

中途採用の市場においても、エン・ジャパン株式会社の調査では、以前に比べて「辞退が増えた」と回答した企業が51%のに対して、「辞退が減った」と回答した企業は4%と、内定辞退率の上昇に頭をかかえる企業が多いことが分かります*3。

 

*1出典:【調査】2020年4月入社、昨年より内定辞退者が増えた企業56.8%!内定辞退は大きな課題と捉える採用担当者88.9%

*2出典:【確報版】「2018年9月1日時点 内定状況」就職プロセス調査(2019年卒)

*3出典:辞退の心理 [増補改訂版]

 

 

若年層の減少と今後の採用市場

若年層の労働人口が減少することは、今後も確実です。厚生労働省の人口動態推計で、毎年の出生数で見ると、

 

・1949年(第一次ベビーブーム)  270万人

・1973年(第二次ベビーブーム)  209万人

・2000年             119万人

・2019年             86万人

 

と推移しています。2000年の出生者、つまり、2020年の新卒世代ですら、50歳前後の世代からは約6割、90万人減になっていますが、2019年生まれ、つまり20年後の新卒世代は、さらに30万人ほど減少する計算です。

 

冒頭でもご紹介した通り、驚異的な少子化のなかでも、実は大卒者の人口というのは過去30年間増え続けてきました(直近10年間は横ばい)。出生人口が減少ペース以上に、大学進学率が上昇し続けてきた結果です。しかし、大学進学率がほぼ頭打ちになった結果、22卒からはついに大卒者数は減少に転じます。

 

今後は、ほぼ出生数の減少と近いペースで減少すると予測されており、20年間で約30万人の減少という少子化が、大卒者数にも影響してきます。

 

従って、日本人だけのマーケットで考えるなら、今後の採用市場は、中長期的には景況感に関わらず、売り手市場が加速していきます。内定辞退もますます増えるでしょう。

内定を辞退されてしまう主な原因

応募者が内定を辞退する理由はさまざまですが、辞退されてしまう根本的な原因は「自社の魅力がしっかり伝わっていない」からです。

 

ほとんどの場合、内定辞退は「他社との比較」によって生じます。自社の内定を辞退して、他社の内定を承諾しているわけです。つまり、他社との比較で、相対的に(応募者にとっては)「魅力がない」と判断されてしまったわけです。

 

多くの場合、絶対的な魅力度の差ではなく、「応募者がどう感じたか(応募者にどう感じさせたか)」「応募者にどう伝わったか(応募者にどう伝えたか)」という相対的な問題です。

 

「勤務地や給与といった条件で負けた」といった待遇面で内定辞退になることもありますが、応募者は条件を把握したうえで求人に応募している、また条件を知った時点で選考辞退しなかったということは、「条件としては許容範囲には入っていた。ただ、他社と比べて、条件面のビハインドをひっくり返すほどの魅力は感じなかった」わけです。

 

他社との比較ではなく、「内定式に参加してみたら思っていたのと違った」「内定後にネット上で会社の評判を見てヤバいと思った」「内定後にアルバイトしてみて違うと感じた」といったケースもありますが、まずは自社の魅力をしっかりと伝えることを徹底すれば、内定辞退率を低減できるでしょう。

内定辞退を防ぐカギは、応募者とのコミュニケーションと魅了付け

 

内定辞退を防止するためには、自社の魅力をしっかりと伝える「魅了付け」の徹底が重要です。ここでいう「魅了付け」は、自社の魅力を一方的に発信すればいい、ということではありません。もちろん求人原稿や説明会、選考過程を通じて、自社の魅力を発信することは重要です。しかし、内定辞退を防ぐためには、「1人1人の応募者に魅力が伝わる」ことが重要です。「魅力の発信と何が違うのか?」も含めて、魅了付けを行う上での3つのポイントを紹介します。

 

 

応募者への理解を深め、信頼関係を築く

魅力付けを行うで、まず重要なのが「応募者が求める価値や懸念点、会社選びの基準」を理解することです。応募者への理解を深めることで、「応募者にとっての魅力」が明確になり、自社の魅力をより効果的に伝えることができます。応募者の理解には採用ペルソナの作成が効果的ですので、以下の記事も参考になるでしょう。

 

 

ただ、採用ペルソナは万能ではありません。実際に応募してくる応募者は一人ひとり価値観や状況が異なります。従って、初期段階では「ペルソナ人材にとって、うちの会社の魅力は○○」と絞って発信することになりますが、実際に魅了付けを行う過程では、応募者一人ひとりをきちんと理解することが必要です。

 

『田中さん(仮)が会社選びで重視しているのは○○○と○○○。表面的には言わないが、他の応募先などの話を聞くと、○○の条件と○○○は気にしている。会社選びの軸で、うちの会社はこの点とこの点が一致していると感じている』といった具合です。これは一方的に『うちの会社への志望動機は?』という面接をしていても分かりません。「応募者を理解する」という姿勢が重要です。

 

なお、応募者を理解する姿勢を持ち、信頼関係を築くことは、魅了付けを実践するステップでも重要です。また、信頼関係が築けていれば、万が一内定辞退が起きてしまった際も本音の理由を教えてもらうことができ、今後の辞退者を減らしていくための貴重な情報が得られるでしょう。

 

 

志望度をスコアリングして、競合への勝利シナリオをつくる

就職・転職活動では複数の企業に応募するのが一般的です。そのため、自社の応募者についても、「複数の企業に応募している」、そして、「自社で内定を出す人は他社でも内定を獲得する」という前提で魅了付けを行う必要があります。つまり、競合(採用の競合は事業上の競合、すなわち同業他社だけとは限りません)と比較されているという前提で、競合に勝利するためのシナリオを作ります。

 

競合への勝利シナリオをつくる上では、以下の情報を知っておくことが大切です。これらの情報は応募者との信頼関係がないと教えてもらえないため、勝利シナリオを作るうえでも信頼関係が重要なポイントです。

 

  • 競合の選考状況はどうなっているか?
  • どんなスケジュールで選考が進むか?
  • 自社と競合に対する志望度は?(志望度を100点満点で点数化してもらうと効果的)
  • 競合のどこに魅力を感じているのか?
  • 競合のどこに懸念点があるのか?

 

これらを把握したうえで、

 

  • 競合に勝てる魅力ポイントをしっかりと伝える

⇒情報提供、社員と会わせる、職場見学etc

 

  • 競合に負けないためにどうするか?

⇒競合が打ち出しているポイントで自社の情報を提供できることはないか

 

というシナリオを考えて実行していきます。

 

 

自社の魅力をきちんと伝える

応募者と信頼関係を築き、競合への勝利シナリオができたとしても、自社の魅力が伝わっていなければ意味がありません。魅力をきちんと伝えるうえでは、以下の3つがポイントです。

応募者との接触を増やす

面談や懇親会、合宿など、企業と応募者の接点を増やすフォローアップの仕組み作り、自社の魅力を伝えるタッチポイントをつくりましょう。その際、会社の良い面だけを伝えるのではなく、仕事の大変さや未整備の点もしっかりと伝え、応募者に信頼してもらうことも大切です。接触はリアルだけでなく、ネット上で行うことも有効です。最近では、LINEでのコミュニケーションが応募者との接触を増やすうえで最適です。

 

また、応募者とリアルに接触する際に気をつけたいのが、社員の挨拶や態度です。普段から外部の人に明るく接する社風であれば問題ありませんが、意外と出来ていない会社も多くあります。人事や面接官がいくら頑張っても、入口で通りがかった社員の対応で「雰囲気が悪い」「思っていた会社と違う」と思われてしまう可能性もあるので注意しましょう。

 

面接の場を上手に使う

面接は応募者を見極めて合否を決める場ですが、同時に魅了付けするうえでも重要な場です。質問を通じて、応募者の価値観を理解して、一人ひとりに適した魅了付けの情報を提供できるのが面接です。

 

従って、合否を決めるだけではなく、「面接に来る前よりも志望度が上がった状況で帰る」状態をつくるのも面接官の仕事です。採用担当が面接を進める場合には比較的やりやすいですが、現場のマネージャーや経営陣などが面接に入る場合は注意が必要です。場合によっては面接官トレーニングをやることも有効な施策になるでしょう。

 

応募者の理解状況を確認する

自社の情報は、採用担当や会社が思っているほど伝わっていなかったり、誤って理解されていたりすることも少なくありません。例えば、「説明会で話した内容は当然分かっていて欲しい」と思いますが、新卒採用では「自社の説明会に参加した後で、あと10社の説明会に参加している」といったことが普通です。そうすると、説明会で話した内容が曖昧に記憶されていたり、他社と混同されていたりすることは、残念ですが、ごく当たり前に起きます。

 

従って、応募者が自社についてどれぐらい理解しているかを把握することは大切です。とくに応募者が会社選びで重視しているポイントや自社への懸念点、競合との比較ポイントになっている項目に関しては、特にしっかりと確認しましょう。情報提供の不足や誤解で、内定辞退されては、悔やんでも悔やみきれません。

まとめ

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、景況感による変動はあれど、中長期的には採用の売り手市場は加速すると考えられます。その中で、採用を成功させるためには、内定承諾率を高めることが必須です。内定辞退が起こってしまう根本的な原因は「自社の魅力を伝えられていない」ことです。従って、応募者に自社の魅力をしっかりと伝えることを重要です。

 

<魅了付けを行う際のポイント>

  • 応募者への理解を深め、信頼関係を築く
  • 志望度をスコアリングして、競合への勝利シナリオをつくる
  • 自社の魅力をきちんと伝える(接触を増やす、面接の場を上手く使う、応募者の理解状況を確認する)

 

魅了付けをするうえで、最も重要になるのは応募者との信頼関係です。信頼関係が築ければ、応募者の会社選びの軸も分かりますし、競合の状況も教えてくれるでしょう。また、情報提供した内容を信頼してもらったり、質問も出てきやすくなったりします。

 

選考の中で魅了付けが十分に出来ていない場合には、選考プロセスの見直しや、採用のやり方を工夫して、ぜひ内定承諾率を高めてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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