企業が成長・発展し続けるために、自社で活躍してくれる優秀な人材は不可欠です。
優秀な人材を採用するために大切なことは、“自社にとっての優秀人材とはどのような人材か?”をしっかりと定義することです。そこにはビジネスパーソンとして共通する素養もありますし、自社独自の要素もあります。
記事では、自社で活躍できる優秀人材を定義する方法、選考での見極め方や、優秀な人材の確保に有効な採用手法をお伝えします。「企業の発展に貢献してくれる人材を採用したい」とお考えであれば、ぜひ参考にしてください。
<目次>
- 優秀な人材をどう定義するのか?優秀人材の特徴と共通点
- 自社にとって優秀な人材を詳しく定義することからスタートする
- 採用選考で優秀な人材を見極める4つのポイント
- 優秀人材を確保するための3つの採用手法
- 優秀な人材が集まる企業の特徴
- まとめ
優秀な人材をどう定義するのか?優秀人材の特徴と共通点
「優秀な人材」は採用活動等の中でよく登場する言葉ですが、非常に抽象的なイメージです。採用活動をおこなううえでは、「優秀な人材」という抽象的な言葉の意味を具体化する必要があります。まずは優秀な人材に多く見られる特徴や共通点を確認してみましょう。
優秀な人材の定義は企業ごとに異なる
優秀な人材とは、自社において優れたパフォーマンスを上げている人のことです。当たり前のことですが、企業によって仕事内容も進め方も異なりますので、優秀な人材という概念には、すべての企業に共通するような一律の定義はないと言えます。「自社にとっての優秀な人材とはどのような人材なのか」を定義する必要があるのです。
優秀な人材の定義
そのうえで優秀な人材を定義するならば、以下の条件を満たすことが最低基準だと言えるでしょう。
- 自社の経営理念やビジョンに共感してくれている
- 自社の社風や価値観に近い感覚を持っている
- 組織における自分の役割を理解している
優秀な人材は、自社の経営理念や将来のビジョンをしっかりと把握し、組織に馴染み、どのような役割を求められているのかを理解していることが最低条件です。
上記のようなものよりも、業績への貢献が重要ではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、上記を満たさずに業績を上げている人は、中長期的にはじつは組織を壊す原因になります。もちろん、業績への貢献は優秀人材としての必須事項です。しかし、短期と中長期、両方の視点で考えて、「会社の未来に貢献してくれる」人材を考えると、上記が最低条件になってくるのです。
そのうえで、「業績に貢献する」「成果を上げる」ために、「良好な人間関係を築ける」「業務を円滑に進められる」「業務の遂行に必要なスキル・資格を保有している」等のスキルを持っているのが優秀な人材だと言えるでしょう。
優秀な人材に見られる共通点
優秀な人材の定義は企業によって異なりますが、一般論としては、成果を上げられる人材の多くが以下のような共通点を持っています。
- 達成意欲が高い
- ゴールから逆算して考える習慣がある
- 行動が早い、フットワークが軽い
- 新しいことに挑戦する
- 自分の失敗を振り返る習慣や周囲から学ぶ習慣がある
このような特性を持つ人材を確保すれば、自社でも活躍できる可能性が高いと考えられます。自社にとっての優秀な人材を定義する際には、これらの共通点も参考にしてみてください。
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自社にとって優秀な人材を詳しく定義することからスタートする
前のブロックでは、一般論としての「優秀人材」の定義や共通点について考えました。ここでは「自社にとっての優秀な人材」を定義する方法をもう一段詳しく解説します。
自社にとって優秀なのは現在活躍している社員
当たり前の話ですが、「自社にとって優秀な人材」とは、自社で活躍している人材、つまり「いま活躍している社員」です。従って、自社にマッチした優秀人材を採用したいのであれば、いま自社で活躍している社員を分析することからスタートすると良いでしょう。
優秀な社員を事業・職種ごとに分析する
自社で活躍している優秀な社員には、どのような特徴が見られるでしょうか。同じ組織の中でも、事業や職種によって優秀さの定義は異なってくるかもしれません。事業ごと・職種ごとに、活躍している社員を分析してみましょう。全社で共通する点、事業や職種によって異なる点が見えてくるでしょう。
なお、「いま活躍している社員」を考えるときには、単に業績だけではなく、仕事の仕方や将来性といった定性的な部分を併せて考えることをおすすめします。例えば、「業績は上げているけど、周囲に悪影響を及ぼしている社員」を考えてしまうと、優秀な人材の要素がズレてしまいます。
優秀な人材の分析ポイント
優秀な人材を分析する際に注目したいのは、次のようなポイントです。
- 持っている知識やスキル
- 行動特性
- 地頭
- 持っている価値観や特性
下に行くほど根源的な要素、上に行くほど後から学習して身につけられる要素です。知識やスキルの習得、行動特性を発揮するためには、地頭の良さや適した価値観・特性が必要となります。従って、優秀な人材を採用するためには、地頭や価値観、特性のレベルで「優秀さ」を定義することが大切です。とくに新卒等のポテンシャル層や若手人材の採用ほど、地頭や価値観・特性を重視すべきです。
一方で、地頭や価値観等は、なかなか客観的な評価が難しい部分もあります。初めは言葉で書き出したうえで、適性検査の結果等を用いて、採用時に使える、再現性のある定義にすることがポイントです。
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採用選考で優秀な人材を見極める4つのポイント
自社にとっての優秀な人材が定義できたら、次は採用選考の段階で、目の前の応募者がその定義に当てはまるかを見極めなければなりません。選考において優秀な人材を見極めるための4つのポイントをご紹介します。
ポイント1:面接で生じがちな先入観や思い込みを排除する
面接での選考では、どうしても面接官の主観が入ってしまいがちです。それをできる限り避けるためには、面接で生じ得る心理的なフィルターを知っておくことが重要になります。面接の現場で起こりやすい現象を以下に挙げますので、面接を担当する方は把握しておくと良いでしょう。
- 初頭効果:第一印象で候補者を判断してしまう
- ハロー効果:目立つポイントだけで全体の価値を決めてしまう
- 類似性効果:自分と似ている候補者を高く評価してしまう
- 確証バイアス:自分に都合の良い情報だけを集めてしまう
- アンカリング効果:最初の候補者が基準となってしまい、その後の判断に影響が出る
- 観察者バイアス:候補者の悪い面ばかりを見てしまう
ポイント2:面接者の準備状況をチェックする
面接に臨むにあたって候補者がどんな準備をしてきたかは必ずチェックしましょう
- 事前資料に目を通しているか?
- 企業のホームページ等の情報に詳しく目を通しているか?
- 質問を想定し答えを用意しているか?
上記のような行動は、仕事における普段の習慣が出てきます。面接への準備以外にも、候補者の日常における習慣を把握していくと、候補者の行動特性が見えてきます。
ポイント3:STAR面接で候補者の特性を深堀りする
面接では、「STAR法」と呼ばれる構造面接の手法を使うことで、候補者の行動特性や価値観を把握していくことがおすすめです。職務経歴書等に書かれる実績は、必ずしも候補者自身の能力によるものとは限らず、再現性がありません。
STAR面接は、候補者のエピソードを深掘りして、行動特性や価値観を見抜く手法です。行動特性や価値観こそが、入社後の再現性があるものになります。見栄えのする実績や表面的なコミュニケーションだけではなく、しっかりと候補者の内面を把握しましょう。
<STAR面接の基本的な質問>
- S(Situation) :どのような状況だったのか?
- T(Task) :何が課題だったのか、どんな責任があったのか?
- A(Action) :どういう行動を取ったか?どんな意思決定をなぜしたのか?
- R(Result) :結果はどうだったのか?何を学んだのか?
上記4つに関して、客観的な情報・主観的な情報をしっかりと質問していくことで、候補者の行動パターンや価値基準、能力が見えてきます。STAR面接は、優秀な人材を見極めるうえで、非常に重要なポイントです。
ポイント4:NGにしがちな「もったいない」ポイントを知る
面接において本来の力が発揮できなかったために採用見送りとなってしまいがちな「もったいないポイント」があります。以下のような特徴を持つ候補者は、面接で力を発揮できない傾向にあります。
- 緊張しがちな人
- 自己アピールが苦手な人
- 将来の夢が語れない人(中・長期的な目標を立ててゴールに向けて頑張るタイプは夢やビジョンを語ることが得意ですが、短期目標や状態目標にモチベーションが働くタイプの人は将来の夢を語ることが苦手です。
もちろん面接でのパフォーマンスは、能力を判断する重要な要素です。ただし、“自社における優秀な人材の定義”において、即興でのパフォーマンス力が必ずしも重要な要素とは限りません。
コミュニケーションのパフォーマンスが低いと、候補者全体の能力が低いように捉えてしまいがちなことも心理的なバイアスの一つです。“自社における優秀な人材の定義”とどれだけ一致するかが重要です。その視点を忘れないように選考をおこないましょう。
優秀人材を確保するための3つの採用手法
従来の採用手法は大手求人媒体で募集するのが一般的でした。しかし、採用手法の多様化によって、求人媒体で優秀な人材を採用することは徐々に困難になりつつあります。
新卒採用では、採用の早期化や新卒紹介やダイレクトリクルーティングの普及等が主な要因です。また、中途採用は、もともと「優秀な人材は現在の企業で活躍して高く評価されているため、優秀者層は転職市場になかなか出てこない」という課題があります。この課題に副業やフリーランス等の働き方の多様化、SNSを通じて個人のネットワークが広がっていることが拍車をかけています。
ここでは、優秀人材を確保するために有効な、求人サイト以外の採用手法を3つご紹介します。自社のニーズに合わせて導入を検討してみてください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、求職者からの応募を待つのではなく、企業側から求職者にアプローチする「攻め」の採用手法です。
ダイレクトリクルーティングサービスに登録している求職者を、自社の条件で検索して、匿名プロフィール等を見たうえで、ターゲット人材にスカウトメッセージを送ります。人材側が、返信やエントリーすると、個人情報が公開される仕組みです。
相手の匿名プロフィール等を見たうえで、スカウトメッセージを送りますので、当然、書類選考の段階で「会ってみたい」「内定候補になり得る」人材だけに絞られています。従って、選考のステップ率は高く、採用の生産性を高めることができます。また、中途採用の場合には、求人サイト等には登録していない転職の潜在層が登録していることも多く、在職中の優秀人材にアプローチできる可能性があります。
リファラル採用
リファラル採用は、既存社員からの紹介で人材を集める方法です。自社で実際に働いており、かつ相手のことも知っている既存社員がマッチングしてくれますので、ダイレクトリクルーティング以上にマッチング精度が高くなります。
とくに、言葉にしにくい特性や価値観、ミッションやビジョンへの共感度等、定性的な部分のマッチング精度が高くなるため、定着率も高くなります。リファラル採用も、転職市場に出ていない優秀な人材にアプローチできる採用手法です。
人材紹介
人材紹介とは、求める人物像やスキルを人材紹介会社に伝え、条件を満たす人材を紹介してもらう方法です。採用力に自信がない場合や、採用に工数をかけられない場合におすすめの方法です。人材紹介も「自分のキャリアを客観的に評価してもらいたい」というニーズ等で、転職の潜在層が登録していることも多く、求人サイトよりも上位層の採用をおこないやすいでしょう。
なお、人材紹介の一類型に「ヘッドハンティング」があります。ヘッドハンティングは、ピンポイントに「この企業のマネージャークラス」「この人」と絞り込んで採用をおこなうものです。条件を満たす人材が限られるため、かなりの長期間に及ぶことが多く、人材紹介会社に払う報酬も「手付金+年収の50〜100%」等の高額になります。
ただし、後継者の採用、CXOクラスの採用、トップエンジニア層の採用等ではよく使われる方法です。引き抜き元の企業との関係が悪化するリスクはあるものの、成功すれば優れた業績を残している人材を採用できます。
優秀な人材が集まる企業の特徴
ここまで優秀な人材の見極め方や接触するための方法を紹介してきました。ここで重要なことは、「優秀な人材はどの企業からも引く手あまたである」ということです。従って、優秀な人材を採用するためには、自社を「優秀な人材から選ばれる会社にする」必要があります。
「鶏が先か、卵が先か」という議論に近いものはありますが、優秀な人材を採用するためには、優秀人材を探すことや見極めることと同時に、自社をいい会社にしていくことが非常に重要なことです。優秀な人材に選ばれるいい会社とはどんな会社でしょうか。共通するポイントを紹介します。
経営理念やビジョンが確立され、社員に共有されている
優秀な人材ほど、仕事を選ぶうえでは、「何のために働くのか」という意義や意味、やりがいを重視する傾向が強くなります。従って、「会社が何のために存在するのか」「事業にどんな社会的意義があるのか」「何を成し遂げたいのか」といったミッションやビジョンは非常に重要です。
能力を活かし伸ばせるフィールドがある
優秀な人材は、「何のために働くのか」と同じように、自らのキャリアを真剣に考えています。いままで培ってきた力を活かせるフィールドやポジション、また上司や経営陣の器量を見ています。どんなフィールドやキャリアの道筋を示せるかは重要な要素です。
インナーブランディングに成功している
とくにリファラル採用をおこなう際には、自社の社員がミッションやビジョンに共感して、自社で働くことに誇りを持っていることが大前提です。経営理念やビジョンの浸透ともリンクしますが、「働きがいのある職場」を作るためのインナーブランディングは非常に有効です。既存社員が自社の理念や事業に高い価値を感じていれば、リファラル採用も成功しやすく、社員との座談会等でも、候補者の入社意欲を高めることができます。
まとめ
優秀な人材とは、「自社で活躍できる人材」のことであり、その定義は企業ごとに異なります。ただし、優れた人材の多くに共通してみられる項目も存在していますので、自社にとっての優秀な人材を定義する際に参考にしてください。
優秀な人材を見極めるためには、表面的な実績や面接パフォーマンスではなく、再現性のある行動特性や性格特性、地頭等を見ることが重要です。とくに新卒や第二新卒等のポテンシャル層ほど、構造面接等の手法を使って、候補者の内面を深掘りしていきましょう。
また、求人媒体上にはあまりいない優秀な人材を採用するために適した採用手法もいくつかあります。自社を「優秀な人材から選ばれる会社にする」取り組みと同時に、新たな採用手法等も試して、自社の将来を担ってくれる優秀な人材を採用しましょう。
なお、自社にとっての優秀な人材を獲得する方法をさらに詳しく知りたい方は、下記の資料もご覧ください。
関連ノウハウ資料を
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活躍人財を採用する!採用基準のグローバルトレンド...
採用の目的は、“自社で活躍する人財”を確保することです。では、「自社で活躍する可能性を、どうやって見抜くのか」。これこそが悩みどころです。 採用基準のグローバルトレンドは、体力や頭の良さ、コンピテンシー(行動特性・...