採用を成功させるためのKPI設定と運用のポイントは?【事例と改善方法】

2020/08/07

採用を成功させるためのKPI設定と

採用活動は、採用規模が大きくなるほど、数値によるマネジメントが成功させるためのポイントになります。事業活動と同じようにKPIを設定して、数値を基にPDCAサイクルを回しています。

 

採用活動におけるKPIは、母集団から内定承諾までの「数」、また各採用ステップ間を繋ぐ「ステップ率」、そして、集めた/採用した人材の「質」、3つの視点で考えていきます。記事では、採用活動におけるKPIの考え方をはじめ、採用活動における主なKPI、「質」の測り方や改善手法までをご紹介します。

 

<目次>

採用を成功させるKPI設定の考え方

採用競争が激しくなり、また採用手法の多様化も進む中で、欲しい人材を確実に採用していくためには、採用を「マーケティングと営業活動」として捉えて、事業活動を同じようにKPIを用いた「数値によるマネジメント」が不可欠になります。

 

 

採用におけるKPIとは?

ご存知の方も多いと思いますが、KPIは「Key Performance Indicator」の略語で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」です。簡単にいうと、目的達成までのプロセスから考えて「達成に向けて肝になる指標」のことです。営業活動であれば、「提案金額」「提案件数」「商談件数」「問い合わせ数」等がKPIになります。

 

採用活動のゴールは、「目標人数の採用」です。目標達成に向けて、さまざまなプロセスがありますが、その中でも肝になる指標がKPIです。KPIは2~3個程度設定するのが適切です。後ほど採用活動において、どのような数値や指標をチェックすべきかご紹介しますが、時期によって変更しても構わないので、しっかりとKPIを設定して、数値によるマネジメントをおこないましょう。

 

KPIは、ゴールを達成するために「ミニゴール」です。例えば、採用活動を開始する時点で、ゴールとなる採用目標人数を追いかけても、何をすればよいか分かりません。しかし、KPIとして、「○月の時点で説明会の参加者が○名」ろいう指標を設定することで、採用活動の進捗が順調か、追加で施策を打つ必要があるか、いま何をすればいいか等が明確になります。

 

また、後から振り返る際にも、KPIが設定されていることで、「採用目標15名に対して12名だった」原因が、母集団形成の問題なのか、途中離脱を出してしまったことなのか、十分な魅了付けができていなかったことなのか等が明確になり、PDCAの運用に繋がります。

 

なお、採用活動では、「内定を出すのは自社の採用基準をクリアした人だけ」という前提がありますので、採用の目標人数自体が「質」の要素を含んでいます。ただ、企業によっては、より細かくPDCAを回したり、採用活動をレベルアップさせたりするために、「とくに採りたいレベルの人がどれだけいたか」「母集団の質はどうだったのか」等に対して、「質を計るKPI」を設定することもあります。

 

 

KGIを達成するためにKPIが存在する

KPIに対して、KGIという指標も存在します。KGIは、「Key Goal Indicator」の略で、日本語に直すと「重要目標達成指標」です。簡単にいうと、「目標達成を計る指標」です。営業活動でいえば、「売上(受注)金額」「売上(受注)件数」等です。

 

採用活動においては、本来のKGIは「入社人数」になりますが、入社人数は実際に入社するまで分かりません。そのため、リアルタイムに追いかけることができる「内定承諾数」を実質的なKGIとするのが一般的です。

 

 

当たり前のことですが、KGIを達成するためにKPIが存在します。従って、KPIを設定する際には、「KGIを達成するためのプロセスを分解するとこうなる。このうち、このプロセスが最も達成の難易度が高い(昨年実績と変更している等)ため、このKPIを達成すれば、KGIを達成できる見込みが高い」と論理的に説明できることが重要です。

採用活動における基本的なKPI

採用活動における基本的なKPI

 

 

採用活動のフロー

ゴール(KGI)である入社人数、内定承諾社数から逆算して、採用プロセスを考えると以下のようなプロセスになります。

 

<一般的な採用活動の流れ(入社までのステップを逆算)>

 

入社

内定承諾

内定

最終選考

二次面接

一次面接

書類選考や適性検査

説明会、インターン

求人への応募

 

従って、採用活動の基本的なKPIは、上記のプロセス指標から導き出されます。なお、採用活動、とくに新卒採用は時期によって主となるプロセス(母集団形成、選考、承諾獲得等)が変わりますので、時期に応じて異なるKPIを設定することも1つのやり方です。

 

 

採用活動の進捗を計る指標

上記の採用フローを、すべて「数字」で表現すると、以下のように分解できます。

(選考フローのパターン等も想定して若干数値の重複等があることはご了承ください)

 

・入社人数 = 内定承諾数 × 入社率(1-承諾後辞退率)

・内定承諾数 = 内定数 × 内定承諾率

・内定数 = 最終面接のセット人数 × 参加率 × 通過率

・最終面接のセット人数 =二次面接の通過者数 × 最終面接のセット率

 

~中略~

 

・一次面接のセット人数 = 書類選考の通過者数 × 一次面接のセット率

・書類選考の通過者数 = 書類選考の応募者数 × 通過率

・適性検査の通過者数 = 適性検査の案内数 × 受検率 × 通過率

 

・書類選考の応募者数/適性検査の案内数 = 説明会の参加者数 × 選考応募率

・説明会(インターン)の参加者数 = 説明会の申込者数 × 参加率

・説明会の申込者数 = 求人のエントリー数 × 説明会の申込率

 

上記はかなり細かな分解をしていますが、実際にはここまで細かく把握する必要はない場合もあるでしょう。しかし、これらの数値をリアルタイムで把握できるようにすることが、採用活動を数値でマネジメントするうえでの理想形です。

 

現実的には、ここまで多くの指標を計画、マネジメントすることは困難です。従って、採用計画時点では、10個程度の指標に関して目標数値と目標数値を達成するための施策を設定。そして、2~3個のKPIをリアルタイムで確認しながら、週単位でPDCAを回すことになります。

 

 

採用活動における主なKPI

採用人数や状況によって、重点的にウォッチした方がいいKPIは変わりますが、一般的には以下のようなKPIを設定する企業が多いでしょう。

 

・最終面接のセット人数

・一次面接のセット人数

・選考への応募人数

・説明会やインターンへの参加人数(申込人数)

・エントリー人数

 

一般的にリアルタイムでウォッチするKPIは「数」の指標が中心になることが多いでしょう。「率」に関する指標は大きく変動させることが難しい部分もあり、週次で計画とズレていないか、異常値が発生していないか等を確認することが大半です。

採用における「質」に関するKPI

採用活動の基本ゴールは「目標人数の採用」であり、「内定を出す=採用基準を上回っている」という前提があります。従って、「内定者数」自体が「質」の要素を含んでいるわけですが、会社によっては、目標に応じて、また、PDCAの精度を上げるために、「質」に関するKPIを設定することもあります。

 

 

採用活動における「質」をどう測るか?

採用活動における「質」を計る指標は大きくは2種類に分かれます。

 

- とくに採用したい優秀層の数

⇒例えば、面接通過者や内定者のうち、「評価A以上の人材数」「上位校出身者」等

 

- 母集団の質

⇒(選考初期におこなう)適性検査におけるA評価比率、一次面接の通過率等

 

ある程度、「数」と「率」に関するKPIの運用が軌道にのり、採用の生産性を上げていく、採用の質を高めていく際には、「質」に関する指標を設定することが有効です。

採用に強い企業がおこなうKPI運用と改善のポイント

前を向いて横一列に並んでいるビジネスパーソンたち

採用を成功させるためには、KPIを設定するだけではなく、KPIを運用して、PDCAを回すことが大切です。採用に強い企業が実現しているKPI運用のポイントをご紹介します。

 

 

すべての数値をリアルタイムで把握している

KPIの運用方法は企業によってさまざまで、採用管理ツールを使っている場合もあれば、Excelで管理している場合もあるでしょう。適切なツールは採用人数等によって異なりますが、いずれの場合も採用が強い企業では、採用に関する数値は一元かつリアルタイムで管理されています。数値をリアルタイムで把握できる管理レベル、また、しっかりとプロセス数値の達成を追いかけている証です。

 

 

採用成功に繋がるKPIを正しく把握している

採用に強い企業では、毎年の試行錯誤やPDCAを通じ「どのKPIを達成すれば採用目標を達成できるか」が明確になっています。営業活動でも、「アポイント数の目標は達成したのに、見当違いのアポイントばかりで、目標売上に届かなかった」といったことがあります。採用活動でも同様のことがありますが、採用に強い会社は、目標達成に繋がる「自社の採用活動、今年の採用活動に正しいKPI」をしっかりと押さえています。

 

 

数値の標準値を持っている

「ステップ率」のKPI、例えば、説明会の参加率、内定承諾率等は100%が理想的な数字ですが、現実的には不可能です。採用に強い会社は、採用成功に繋がるKPIを正しく設定することと同様に、実績の数値やトレンドを基に、現実的なステップ率のKPIを把握して、それに基づいて数値計画を組んでいます。それにより、「KPIを達成すれば、KGIを達成できる」と確信して、KPIの運用をおこなっているのです。

 

 

数値計画を細かく持っている

採用競合企業は、標準値を踏まえたうえで、細かく数値計画と施策を設定しています。細かくの意味は2つです。1つ目は、「前年実績と計画数値を変えるうえでは、必ず実現するための施策を準備している」です。「説明会の参加率を5%上げるために、前年まではやっていなかった3日前のリマインドTELをおこなう」といったイメージです。

 

2つ目は、「KPIを時間軸で分解する」ということです。採用が強い企業では、主な指標は月次、その中で力を入れるKPIは週次や日次で目標数値を決めています。「説明会の申込人数は○月○日時点で○人」ということがしっかりと決まっている形です。

 

 

短期間でPDCAを回す

前述の細かな数値計画と対になるのが、短期間でのPDCAです。週次単位で目標人数が決まっているからこそ、「今週末時点で○人目標に対して、いま○人。このままだと、○人で着地していまいGAPが○人生じる。追加で施策を打つことで、来週末には目標人数までキャッチアップする」といった形です。

 

 

KPIが思わしくないときに取れる二の手、三の手をいくつも準備している

採用の強い企業では、週次(日次)でKPIの指標が把握し、進捗が思わしくない場合には、短期間でPDCAを回すと書きました。それだけのサイクルでPDCAをおこなうためには、細かく数値を見ることと同時に、打てる施策を事前にリストアップしておくことも重要になります。例えば、母集団形成であれば、「既存のチャネルでどんな手を打てるか」「何ならすぐに変えられるか」「新規チャネルを増やすならどこが候補か」等を考えておきましょう。

 

 

前後の繋がりを含めて原因を考察する

KPI運用、とくに振り返りにおいては、前後の繋がりを考えることも重要です。例えば、「50%で計画した一次面接通過率が25%だった」としましょう。

 

この場合、数値だけを見ても具体的な原因が分かりづらいですが、一次面接の前にある「書類選考」を含めて考察すれば、「書類選考で絞り込みができていなかったから、一次面接通過率が悪かった」と仮説を立てることができます。このように、前後の繋がりを含めて考察することで、効率的に改善していくことが可能です。

まとめ

採用活動は、「マーケティングと営業」です。従って、事業活動と同じように、数値によるマネジメントをおこなうことが重要です。ゴールとなるKGIを達成するための、KPIを設定して、KPIの達成に向けて短期間でPDCAを回していきます。

 

しっかりとKPIを細かく設定することで、採用活動をおこなう中で、進捗が順調か、どこで問題が生じているか、事実を基にリアルタイムで把握することができます。そして、計画通りに進んでいない原因を考察して、改善策を打っていくのです。

 

記事では、採用活動における主要なKPIや採用に強い企業がおこなっているKPI運用のポイントを紹介しました。数値によるマネジメント、計画と実行、PDCAのサイクルを動かすことで、ノウハウが蓄積され、自社の採用力も高まりますので、ぜひ挑戦してください。

著者情報

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

HRドクター 編集長

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等 twitterはコチラ。ぜひご覧ください。 古庄拓/ジェイック取締役 https://twitter.com/tfurusyo

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