新卒採用にかかるコストはどれくらい?採用単価の平均や予算管理のポイントは?

2020/07/15

新卒採用は、まとまった人数を効率的に確保できる、中途採用よりも優秀層にアプローチしやすい、会社へのロイヤリティが高い等の特徴があることから、中長期的な事業成長や幹部候補の確保には不可欠です。

 

一方で、効率的とはいえ、一定のコストと工数が発生するのも事実です。記事では、新卒採用コストや管理方法の基本的な考え方をご紹介します。コスト削減を意識しすぎることのリスクも解説しますので、優秀な新卒を獲得したいとお考えの採用担当者や経営者の方はぜひ参考にしてください。

<目次>

新卒採用のコストは「費用」と「工数」で管理する

採用予算を管理するには、採用コストを適切に区分して捉えることが効果的です。採用コストは大きく分けて「外部コスト」と「内部コスト」があります。そして内部コストは、さらに「費用に換算するもの」と「工数に換算するもの」で区分することができます。

 

また、コスト管理、生産性の向上を考えるうえでは、目的別に分類することも非常に重要です。それぞれの区分を確認しておきましょう。

 

 

新卒採用にかかる外部コスト

「外部コスト」は、採用活動のため外部に支払う費用です。外部コストにあたる項目には、次のようなものがあります。

 

  • 求人広告の広告費
  • 人材紹介会社に支払う成功報酬
  • 採用ホームページの制作・改修費
  • パンフレットの印刷・製本費
  • イベントの会場費・ブース設置費
  • ノベルティグッズの制作費

 

 

内部コストとは

「内部コスト」とは、採用業務に関わる社内業務にかかる費用です。内部コストにあたる項目には、次のようなものがあります。

 

  • 採用担当者の人件費
  • 面接官の面接工数(人件費換算)
  • 応募者に支給する交通費
  • 内定者研修や懇親会等の費用
  • リファラル採用におけるインセンティブ

 

内部コストは、さらに「費用で換算するもの」と「工数に換算するもの」に分けることができます。費用で換算するものは、交通費等です。一方で、工数で換算するものには、採用担当者、面接官等の人的工数です。もちろん、人的工数もコストに換算することが可能ですが、採用活動の実施に関わらず変わらない固定費用であるため、費用として意識されにくい側面があります。

 

一般的に社員の人的工数は、高単価です。アウトソーシングやツール費用を削るために、社員の人的工数を投下していると本末転倒であり、機会損失を生んでいる可能性もありますので、注意が必要です。

 

 

目的別の区分

上記のような外部費用・内部費用という区分以外に、使用目的によって区分しておくことも非常に重要です。以下の区分で分類すると良いでしょう

 

・母集団形成(1)・・・学生と接触するための直接的な費用

Ex)媒体費用、紹介費用、リファラル採用の費用等

・母集団形成(2)・・・学生と接触するための間接的な費用

Ex)説明会の会場費、旅費交通費、採用HPや採用案内の制作費等

・選考(1)・・・適切な選考をおこなうための直接的な費用

Ex)適性検査費用等

・選考(2)・・・選考をおこなうための間接的な費用

Ex)選考会場の費用、学生に支給する旅費交通費等

・内定後・・・内定者研修や内定者の懇親会等、内定後に発生する費用

・その他・・・採用管理ツール等

・人件費・・・社員、面接官、採用のための一時雇用の人件費、アウトソーシング費用

 

可能であれば、人件費も各プロセスに振り分けられるとベストです。目的別に分類することで、「同じ結果を出せるなら効率化すべきもの」「投資として、費用対効果の悪いものは削ったうえで、予算の確保、新規チャレンジすべきもの」等が見えてきます。

新卒の採用コスト、平均単価は53.4万円!?

マイナビが発表した調査によれば、2018年卒の入社予定者1人あたりの採用費は53.4万円となっています。過去数年のデータを見ても、大体上下5万円ぐらいの範囲であり、新卒採用における1人あたりの平均単価は45~55万円ぐらいだといえるでしょう。

 

出典:2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

 

ただし、この数字は主に外部コストを対象として試算されたものであり、人件費等の内部コストが考慮されていないことに注意が必要です。社員の人件費は、採用活動においてかなりのウエイトを占めます。その人件費が含まれていない「50万円/人」の数字だけを参考にして新卒採用の予算を設定するのはおすすめしません。

 

内部コストは、使用する採用チャネルによっても大きく変わります。例えば、合同企業説明会に参加する場合には、ブース装飾の準備、説明会への参加、終了後の学生フォロー等、工数としての内部コストが見た目以上にかかります。一方、人材紹介による採用であれば、内部コストがほとんどかからず、面接の工数のみで済みます。

 

従って、採用単価の目標を定める際には、内部コストが比較的少なくて済む採用チャネルであれば、平均単価よりも高めの単価目標を、逆に内部工数が多く発生する採用チャネルであれば低めの単価目標を設定することがおすすめです。

 

また、自社の母集団形成力、そして採用したい人材の層によっても採用コストの相場は変わります。例えば、上位校出身者や理系学生であれば約80~100万円、上位校の中でも幹部候補になりうる超優秀層は約100~120万円が新卒1人あたりの採用コストの相場です。また、不人気業種でも採用単価は上昇しやすく、介護・飲食業界等では1人あたり60~80万円程度のコストがかかるといわれています。

 

逆に、採用する学生の質を最優先にせず、応募者の半数ほどに内定を出すタイプの企業では、単価30万円ほどで新卒を採用していることもあります。このように新卒採用のコストは、各社の方針や求める人材によってそれぞれです。平均金額だけを鵜呑みにせず、自社の戦略に合わせて柔軟に考えましょう。

新卒採用のコストを「削減」する時の落とし穴

 

採用コストは「費用」であると同時に、自社の将来を担う人材を確保する「投資」でもあります。従って、無駄な費用は徹底的に削るべきですが、コスト削減を考える時には、注意すべき点もあります。コスト削減に意識が行き過ぎることで生じるデメリットや注意点を確認します。

 

まず、求めている人材が確保できないことが最大のリスクです。優秀な人材を獲得するには、それなりのコストがかかります。そこで経費削減を優先してしまうと、自社にとって必要な人材を獲得することが難しくなるかもしれません。

 

優秀な学生が採用できないというだけでなく、そもそも想定していた新卒採用数を達成できないという事態も考えられます。その場合、数年後の事業計画に影響を及ぼしてきますので、注意が必要です。

 

また中小企業では、大企業と違って、新卒で採用された社員が、5~10年後には職場の中核人材になるケースもあります。採用コストを削りすぎると、こうしたポテンシャルを持つ人材を採用できない可能性は高まります。

 

新卒採用で削れるコストは、せいぜい1人単価で20〜30万円ほどです。しかし、入社3年後の営業社員におけるトップセールスと平均層、そして下位層では、稼ぐ売上や利益の違いはどのくらい出るでしょうか。入社して10~20年、リーダー、管理職になってきた時のパフォーマンスの違いはどうでしょう。

 

売上や利益は業種によっては数百万円~1千万円を超えることもあるでしょう。また、リーダーや管理職になれば、担う業績責任は数千万から1億円を超えるでしょう。短期的なコスト削減だけで考えると意思決定を誤ります。

 

また、離職率にも考慮が必要です。新卒で就職してから3年以内の離職率は、過去10年近く30%前後を推移しています。しかし、これは大手企業も含めた平均数値であり、30~99人の中小企業においては40%弱、5~29人の小企業においては50%前後となっています。

 

出典:厚労省「新規学卒者の離職状況」

 

多くの企業において、1人前となって自立した行動ができるレベルになるには2~3年程度かかるでしょう。しかし、中小企業においては、3年後には採用した新卒の4~5割が退職してしまっているわけです。

 

社員1人を雇用するのに必要な費用は、給与の2倍前後が一般的ですので、年間600万円程度の費用に加えて、教育費用も生じています。従って、20~30万円の差異である採用単価を抑える前に、まず離職率を改善することのほうが重要です。

 

こうしたことを考えると、「採用単価」という一点のみを見て採用コストを削ることは、決して良い意思決定にならないことが分かります。

 

もちろん採用過程における無駄はできるだけ削ぎ落し、生産性を高めるべきです。しかし、採用に関しては、「1人あたりいくらで採用できたか?」という視点だけではなく、そこに「内部工数を使うことによる人件費や機会損失」「採用できた人材の質」「入社3年後時点での採用単価」等、さまざまな視点を加えたうえで考えてみることをおすすめします。

 

その中で実践できるコスト削減については、

の記事をご覧ください。

まとめ

採用コストは、外部コストと内部コストに分けて考えることができます。また採用の生産性やコスト削減を考えるうえでは、母集団形成や選考プロセスといった目的別で費用を分類することも有効です。

 

一方で、新卒採用のコストは、ただ削減すれば良いというものではありません。重要な部分にしっかりとコストをかけなければ、「必要な人員数が確保できない」「事業の中心を担う人材が育たない」「早期に離職してしまう」等の問題が起こる可能性があります。

 

とくに、「採用した入社人材の質が、3年後5年後10年後に与える影響の違い」「離職が採用費用に与える影響」等は考慮して、入社時点の採用単価だけで意思決定しないほうが良いでしょう。

 

ただし、採用の生産性を高めることはもちろん重要であり、無駄な費用は徹底的に削ぎ落すべきです。従って、費用の効果性はきちんと把握して、定期的に見直しをおこなっていきましょう。

 

過度なコスト削減以外に、中小企業での採用失敗でありがちな原因をまとめた資料を以下で公開しています。ぜひ参考にしてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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