新卒採用のメリットとデメリットは?中途採用や若手採用との違いを徹底紹介

2020/07/15

企業を活性化し、継続的に活動していくためには、新卒採用が不可欠です。しかし、少子高齢化が進み、多くの企業で労働力が不足している現在社会において、優秀な新卒を獲得するにはしっかりとポイントを押さえた採用活動が重要になります。

 

採用成功の要点を押さえ、戦略的に新卒採用をおこなうためには、新卒採用のメリット・デメリットの両面を知ることが大切です。記事では、新卒採用のメリット・デメリットを、中途採用やその他の採用方法と比較しながら解説します。

<目次>

新卒採用のメリットは?中途採用との違いから見える5つのポイント

企業が新卒採用をおこなう際、そのメリットはどのような点にあるのでしょうか。ここでは、主な新卒採用のメリットを5つ紹介します。

 

 

初めての就職なので企業への思い入れが深く、コミットメントが期待できる

新卒社員にとって初めての就職先はとても思い入れが強いものです。また、中途採用の社員とは異なり、他の企業文化や特色に染まっていません。従って、新卒社員は自社の文化や価値観を浸透させやすいというメリットがあります。さらに、企業への愛社精神を育てることにより、結果に対する責任感や意欲が生まれ、定着率の向上も期待できます。

 

 

中途採用よりも優秀層の採用がおこないやすい

新卒採用は、中途採用と比べて、これからの伸びしろに期待するポテンシャル採用といえます。しっかりと育成することができれば、5年後や10年後には自社の中核を担ってくれる人材へ成長してくれます。

 

転職市場においては、“今の会社で活躍する人材”は、当然その会社で優遇されていますので、あまり市場に出てきません。しかし、新卒採用はほぼすべての学生が一斉に就職活動をおこないますので、知名度のない中小企業やベンチャー採用でも、中途採用と比べると優秀な人材を採用しやすいという特徴があります。

 

 

一度にまとまった人数を採用できる

日本の新卒採用は、短期間に数十万人の学生が一斉に就職活動をおこないます。従って、効率的にまとまった人数を採用することが可能です。つまり、自社の中長期的な事業計画や成長戦略に基づいて、必要な人員を一度に確保することが可能です。

 

 

研修を実施しやすく、育成コストを抑えられる

中途採用の場合は、入社時期も一人ひとりの経験もバラバラです。従って、一斉に研修をおこなって、業務を覚えてもらうことが困難です。入社時期が違ううえに、業界経験者もいれば、職種未経験も混じる中では、個別対応で育成することが殆どです。

 

それに対して、同じ時期にビジネス経験のない人材が一斉に入社する新卒採用では、ビジネスマナー研修、商品研修、基礎研修、実務研修、OJTと順を追って一斉研修をおこなうことが可能です。結果的に、研修・育成を効率的・低コストで実施できます。

 

 

「同期」の存在により、新卒同士が切磋琢磨すると共に社内が活性化する

新卒採用は、中小企業においても2名以上を採用することがおすすめです。1人のみ採用する場合と比べると、定着率が変わってきます。複数採用をおこなうと、「同期」ができることで、支えあいが生じると共に、競争心理が働き、社内を活性化させることができます。

 

とくに新卒の「同期」は、配属後も交流を持ちますので、部門間のコミュニケーションを活性化させることにも繋がります。また、若年層の社員が一度に増えることにより、社内の平均年齢を若返らせる効果もあります。とくに平均年齢の高い企業や、年齢分布に偏りが見られる企業は、新卒採用により年齢構成の健全化を図ることができます。

新卒採用のデメリットと注意点は?

前ブロックでは、新卒採用のメリットを紹介しましたが、新卒採用は決して完璧なものではありません。新卒採用のデメリットや注意点を知ったうえで、若手採用や中途採用をどう組み合わせていくかを検討しましょう。

 

 

即戦力として望めない

まず、新卒社員は即戦力としては期待できません。社会に出て働くこと自体が初めてですので、商品知識やビジネススキルはもちろんビジネスマナー等、社会人の「常識」から研修を実施しなければなりません。

 

近年では、個人情報保護に関する研修や、SNSをはじめとしたインターネットリテラシーの教育もトラブル防止のために重要です。新卒社員を戦力化するためには、研修・育成の体制も含めて、中長期的な育成視点を持つことが不可欠です。

 

 

採用活動から入社までの期間が長い

2つ目のデメリットは、採用活動から入社までの期間が長くかかってしまうことです。採用活動のスタート時期にもよりますが、一般的に採用活動開始から入社までは1年以上、インターンシップからの早期採用に取り組むと2年近くになります。

 

従って、直近で人材が欲しいという要望に応えることはできず、あくまで中長期での成長計画に基づいての活動になります。また、変化の激しい時代において、1年先、2年先の経営状況を読むことは困難です。採用計画を決めたときの外部環境や経営状況と、実際に入社するときに外部環境や経営状況が変わってしまうこともあり得ます。

 

 

入社後に現実とギャップが生じた際に、モチベーションダウンや離職が生じやすい

新卒社員は、社会に出て仕事をしたことがありませんので、社会人として働くことに対して、ある種の“夢”や“幻想”を持って入社してきます。また、優秀な人材であるほど、自己成長への憧れや企業理念の共感が強いモチベーションとなります。

 

これは新卒採用の良い部分であると同時に、入社後の現実で大きなギャップを感じてしまう要因でもあります。イメージと現実のギャップが大きいと、モチベーション低下や離職を招きやすくなります。

 

採用時に「きれいごと」だけを伝えて、「大変さ」を伝えきれないと入社後のギャップが大きくなりがちです。魅了付けと同時に、選考の後半や内定時には「覚悟」を持ってもらうための仕事の大変さもしっかりと伝えていきましょう。また、入社前にコミュニケーションを積極的に取り、新卒社員が企業を具体的にイメージできるようにすることも効果的です。

 

 

「プロパー(生え抜き)」と「中途」との対比構造が生まれやすい

新卒社員と中途社員が混在する場合には、「プロパー(生え抜き)」と「中途」との対比構造が生まれやすくなります。プロパーと中途には、当然どちらにもメリット・デメリットがあります。

 

(プロパーのメリット)

  • 自社の理念やビジョンを深く知っている、共感度も強い
  • 社内の人間関係や組織に詳しい

 

(プロパーのデメリット)

  • 知識や仕事の進め方等に偏りが見られることがある
  • 自社のやり方しか知らないため、視野が狭くなっていることがある

 

(中途のメリット)

  • 他社の企業風土やビジョンも知っているため視野が広く、客観的なスタンスでの判断が可能
  • 前職での経験や人間関係を活かせる

 

(中途のデメリット)

  • 帰属意識やロイヤリティが低いケースがある
  • 自社のビジョンに合わないケースがある

 

これらの特徴をうまくミックスすれば組織の成長に繋がりますが、対比構造が生まれてしまうと両者が反発しあってしまいます。人事政策の中で、健全に両者の溝を埋めていくことが求められます。

新卒採用を若手採用・中途採用・業務委託・有期雇用を比較してみる

新卒採用のメリットをより深く理解するために、他の人材確保の手法と比較してみましょう。若手採用、中途採用、業務委託、有期雇用という人材確保の4つの手法と比較して、特徴、メリット、デメリットを解説します。

 

新卒採用以外の手法との違いを知っておくことで、どのように組み合わせて、事業の成長、組織作りを描いていくかがイメージしやすくなるでしょう。

 

 

若手採用との比較

(概要)

ここでいう「若手採用」は、主に「未経験者の中途採用」を指しています。正社員未経験の既卒者やフリーター、異業種からの第二新卒採用等です。近年は人材不足の状況から、若手採用を積極的に推し進める企業が増えています。

 

(若手採用のメリット)

  • 第二新卒の場合は、正社員経験を有しており、新卒よりは戦力化が早い
  • 社会人経験が浅いため、指導しやすく、自社の組織風土に馴染みやすい
  • 基本的にすぐに入社してくれるため、今すぐの人材確保ができる

 

(若手採用のデメリット)

  • 新卒ほどは会社へのロイヤリティを作りづらい
  • 転職への抵抗が弱い可能性があり、離職しやすい
  • 優秀な人材はなかなか市場に出てこない

 

 

中途採用との比較

(概要)

ここでいう「中途採用」は、一定の仕事経験を持った即戦力採用のイメージです。同業同職種の場合もあるでしょうし、異業界からの転職もあるでしょう。中途採用は、欲しい人材を今すぐピンポイントで採用できる半面で、採用や受け入れの難しさもあります。

 

(メリット)

  • 自社の文化、仕事の進め方、サービスに慣れる時間は必要だが、戦力化が早い
  • 他社での経験や人脈を持ち込んで、自社をより良くしてくれる
  • 自社に不足する人材をピンポイントで採用できる
  • 基本的にはすぐ入社してくれる

 

(デメリット)

  • 他社での経験が「常識」となり、自社の文化や仕事の進め方と衝突する可能性がある
  • 会社に対するロイヤリティ形成が難しい
  • 今の会社で活躍している人材はなかなか転職市場に出てこない
  • 待遇面が自社の給与テーブルと合わない場合に対応が難しい

 

 

業務委託との比較

(概要)

業務委託とは、フリーランスやプロ派遣等、特定の分野におけるスキルや経験を持った人材にプロジェクト単位で仕事の依頼をすることです。例えば、ホームページを作成する際にはフリーランスのウェブデザイナーにウェブデザインを依頼する、といったケースです。

 

最近では、“副業”の加速もあり、総務、経理、広報、マーケティング、事業開発等、さまざまな分野で人材確保が可能です。

 

(メリット)

  • スキルが高く、即戦力になる
  • 自社にないノウハウを手に入れられる
  • プロジェクト単位での依頼なので、必要な期間、工数で人材を確保できる

 

(デメリット)

・あくまで契約関係なので、愛社精神やビジョンの共有は期待しにくい

・依頼してみるまで、品質やレベルが確認できないケースがある

・マネジメントスキルがないと、適切な指示ができず持て余すことがある

 

 

有期雇用との比較

(概要)

ここでいう有期雇用は、アルバイトやパート、派遣社員等を指します。

 

(メリット)

  • 繁閑に合わせて、強化したいスポットに人材を確保できる
  • 採用のミスマッチが生じてしまった際、雇用期間満了と同時に労働契約を満了することができる(マッチした人材は、継続も可能)
  • 募集開始から入社までの期間が短い

 

(デメリット)

  • 人材にもよるが、新卒社員に比べ意欲や責任感が低いケースが多い

人の入れ替わりが定期的に発生して、中長期的な人材育成には向かない

新卒採用を成功させるために押さえておくべき4つのポイント

中小企業が新卒採用を成功させるうえで、必ず押さえておきたい4つのポイントがあります。それぞれどんなものがあるのか確認してみましょう。

 

 

求める人物像の明文化

最初におこなうべきことが、求める人物像の明文化です。求める人材像を明文化するためには、どのような新卒人材が欲しいのかイメージを固めることからスタートします。現在活躍している社員のタイプや、現在社内にいないタイプ等、どのようなタイプの人材が力を発揮してくれそうかを明確にイメージします。

 

また、採用基準の言語化だけでなく、性格や価値観、所属するコミュニティ、就職/転職活動のやり方も含めた「ペルソナ」を設定するところまで踏み込みましょう。ペルソナを設定することで、次におこなう自社の魅力抽出、また、どの採用チャネルを使って、どんなメッセージを発信するかも、明確になります。

 

 

魅了付け要素の抽出

求める人物像が定まったら、次におこなうべきことは、魅了付け要素の抽出です。欲しい人材に自社を選んでもらうためには、魅了付けが重要です。魅了付け要素を抽出するうえで重要なのは、「求める人物の視点」で考えることです。これを怠ると、一般的な魅力要素を羅列しただけのものになってしまいます。

 

例えば、成長意欲に強い学生にとっては、「若いうちから幅広い仕事を任せてもらえる」「市場価値が高まる」「成果を上げれば年齢に関わらず平等に評価してもらえる」といったことが強い魅力です。一方で、その魅力は「まじめで堅実なタイプ」にはあまり刺さらない魅了付け要素かもしれません。

 

同時に、魅了付け要素を考えるうえでは、「動機付け要因」と「衛生要因」の視点を持ちましょう。例えば、先ほどの自己成長の要素は、“あればあるほど学生を魅了付けできる”動機付け要因です。

 

一方で、“ないと不安になる”のが衛生要因です。例えば、女性であれば、産休や育休の活用状況は、動機付け要因にもなると同時に衛生要因です。近年では、ワークライフバランスや勤怠管理等も、衛生要因でしょう。中途採用であれば、前職を基準とした待遇面も衛生要因になるでしょう。採用における衛生要因に関する情報は、魅了付け要素とは別に書き出して確認しておくことをおすすめします。

 

 

企業全体での協力体制

新卒採用は、企業全体で採用活動に臨むことが大切です。とくに中堅中小企業やベンチャー企業においては、経営陣や現場のエース社員等の協力を得られることが、優秀な人材を確保するためには必須です。

 

応募者にとってロールモデルとなるようなエース社員、また、経営理念やビジョンを最もアツく語れる経営陣の存在が、知名度や規模感のビハインドをひっくり返す手段になります。また、現場社員が関わらないと、現場で必要な人材を見落としてしまったり、学生に対して魅力を伝えきれなかったりするリスクもあります。

 

経営陣の協力を得て、営業部門や研究部門、製造部門等さまざまな部署の社員に依頼して、学生に接してもらう機会を創出するようにしましょう。

 

 

活動時期の検討

採用活動時期をいつスタートするのかによって、説明会や面接に集まる学生の層が変わります。従って、採用したい人材の層から逆算して活動時期を検討することが大切です。

 

・優秀層と接触したい

早期(大学3年生の夏頃)のアプローチが効果的です。ただし、知名度の高い企業との競合になるリスクがあることや採用活動が長期間にわたってしまうこと等、自社のキャパシティと併せて考える必要があります。

 

・接触層のレベルを上げたい

大学3年生の1~2月頃が理想的です。就職への意欲が比較的高く、計画的に活動をおこなっている層との接触が可能です。ただし、1月下旬には大学の期末試験がありますので、この時期だけは学生が集まりにくくなります。

 

・最も一般的な活動開始時期

採用活動が解禁になる3月1日が最も一般的な活動開始時期です。大手採用媒体での説明会募集が解禁となり、中間層の学生が一斉に動き始めます。最も効率的に採用活動ができる時期ですが、学生のスケジュールを奪い合うような側面も出てきますので、スピーディーな対応が不可欠です。

 

・大手企業の採用が落ち着いてから動く

ゴールデンウィーク明け~6月で大手企業の採用活動が落ち着いてきます。上位層は諦めることになりますが、内定辞退の割合が下がるため、中小企業にとっては効率よく採用活動をおこなうことができるともいえます。

まとめ

新卒採用は、知名度や規模に関わらず、優秀な人材を確保するチャンスがあり、また、企業へのエンゲージメント(忠誠心や帰属意識等)も高くなりやすく、自社のビジョンに沿った人材育成がしやすいという特徴があります。従って、中長期的な視野に立って、将来の幹部候補や経営者目線に立てる人材を求める際に効果的です。

 

一方で、採用活動から入社までの期間も長く、入社後も長い育成期間が必要です。若手採用、中途採用、業務委託、有期雇用等、その他の採用手法のメリット・デメリットを把握して、適切に組み合わせていきましょう。

 

新卒採用のノウハウに関しては、以下の資料もご覧いただくと参考になるでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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