アルバイト採用を成功させるには?募集・面接・定着のポイントを紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/01/07

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

アルバイト採用を成功させるには?募集・面接・定着のポイントを紹介

少子高齢化を背景に、国内におけるアルバイトの採用難はますます拍車がかかっている状況です。

 

厳しい採用環境の中でアルバイト採用を成功させるためには、何に注力し、どんなことに取り組めば良いのでしょうか?

 

本記事では、アルバイト採用市場の現状、大まかな採用の流れ、アルバイト採用を成功させるためのポイントをお伝えします。

<目次>

アルバイト採用市場の現状と採用の流れ

最初にアルバイト採用市場の現状と採用の大まかな流れを紹介します。

 

コロナ禍とアルバイト採用市場の現状

2020年に発生した新型コロナウイルス禍は、アルバイト採用市場にも大きな影響を与えました。
緊急事態宣言の発令で外出や店舗営業が抑制されたことで、飲食業やアミューズメント業などのサービス業界は大きな痛手を受けました。

 

厚生労働省が調査した求人動向を見ても、新型コロナウイルス後の有効求人倍率が大きく落ち込んでいることが分かります。

 

*厚生労働省 一般職業紹介状況「求人、求職及び求人倍率の推移」

 

しかし、2022年4月に国のまん延防止等重点措置が緩和されたことで、現在ではサービス業界の求人は完全に回復基調にあります。

 

ジョブズリサーチセンターが企業の採用担当者を対象に行った調査によると、「採用を増やす」と答えた企業が15.6%と「採用を減らす・中止する」の7.3%に比べて多く、全体では「採用数増加・維持」が80%超を超える結果となりました。

 

*ジョブズリサーチセンターレポート「アルバイトの採用計画」2022年3月より

 

上記のように、新型コロナウイルス禍で有効求人倍率が一時的に落ち込んだものの、現在の求人案件数はコロナ前水準に戻ってきています。

 

したがって、現在のアルバイト採用市場はコロナ以前と変わらない激戦区といえます。

 

アルバイト採用の大まかな流れ

続いて、アルバイト採用の大まかな流れを解説します。

 

1.求人内容を決める
アルバイトの応募者は、求人内容を見て「応募するか、しないか」を検討します。そのため、アルバイトの採用では、最初に求人内容を決める必要があります。

 

時給などの条件や勤務体系・勤務時間を明確にしておくようにしましょう。また、求人媒体を使って募集する場合は、媒体に掲載する原稿の用意も必要です。

 

2.募集方法を決める
求人内容が固まったら、次はアルバイトを募集する方法を決定します。募集方法は、フリーペーパーや求人サイトなど様々です。

 

それぞれの方法の詳細は次章で解説します。

 

3.採用可否を判断する方法を決める
面接や適性検査など、応募者の採用可否を判断する方法を決めます。面接は限られた時間で行うので、あらかじめ質問する項目を整理しておくことが大切です。

 

また知識や経験が求められる仕事の場合は、試験方法も考えておきましょう。

 

4.採用面接・試験を行う
応募者と日程を調整して、採用面接・採用試験を行います。面接では志望動機や意欲などを確認すると同時に、応募者からの質問にも丁寧に回答することが重要です。

 

採用面接では、面接官の態度で応募者の志望度が大きく変わります。清潔感のある服装を心がけ、リラックスできる雰囲気を作るようにしましょう。

 

5.選考を行う
書類内容や面接での受け答えを基に、選考を進めていきます。

 

アルバイトの求職者は、すぐにでも収入を得たいというケースが多いので、選考はスピーディーに進める必要があります。

 

6.選考結果を伝える
採用する/しないに関わらず、選考結果が出たら速やかに連絡します。

 

採用連絡の際に、単に面接合格の結果だけを伝えると、「誰でもいいからすぐに来て欲しい」といった印象を与えてしまう可能性があります。
ですから採用理由も一緒に伝えることがポイントです。

 

7.書類など必要な手続きを進める
採用の旨を伝え承諾を得られたら、応募者から就業手続きに必要な書類を受け取ります。

 

アルバイトが初めての人や高校生などの場合は、何を用意していいか分からないこともあります。必要な書類の種類や用意する方法も丁寧に伝えておくと安心です。

 

8.職場での受け入れとその後のフォロー
採用が決まれば、終わりではありません。早く馴染んでもらい、長く働いてもらうためにも、職場での受け入れと就業後のフォローが非常に大切です。

 

受け入れやアフターフォローの具体的なポイントは、記事の最後の章で解説します。

1.アルバイト募集のポイント

本章では、アルバイト採用における「募集」「選考」「定着」の1番目、アルバイト募集のポイントを解説します。

 

求職者は何を決め手に応募するのか?

アルバイト募集で最初に押さえるポイントは、「求職者は何を決め手に応募するのか?」です。

 

アルバイトでは、正規社員の募集と違って、「時給」や「家から近いかどうか」「制服がおしゃれ」などが応募理由となるケースが多いです。
しかし、決め手はそれだけではありません。

 

例えば、若者を採用したい場合であれば、「仲間と楽しく働けるか」「しっかり教育してくれるか」なども重要な決め手になります。

 

来て欲しい人材が、何を魅力に感じるのかを入念に考えて求人内容を作ることが大切です。

 

いま働いているアルバイトのスタッフにも応募したきっかけを訊いてみるとよいでしょう。

 

なおアルバイト募集に際しては、最低限以下の項目は決めておくようにしましょう。

  • 1.勤務地・勤務場所
  • 2.時給、交通費の支給有無
  • 3.職種、業務内容
  • 4.シフト(勤務時間帯)
  • 5.最低勤務時間(例:週3日、1日3時間以上勤務できる人~)

 

主なアルバイト募集方法

アルバイト募集には様々な方法があり、どの方法で募集するかによって応募する人材の層、応募数も大きく変わります。

 

以下では、主なアルバイトの募集方法とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

1.新聞の折り込みチラシ、ポスティング

  • メリット:地域のユーザーに届きやすく、新聞の購読層、特にシニア層や主婦層の募集で効果的です。
  • デメリット:一人暮らしの若者など、新聞購読者が少ない層の募集には不向きです

2.インターネットの求人サイト

  • メリット:アナログ媒体に比べ多くの情報量を掲載でき、画像や動画で職場の雰囲気を魅力的に伝えられます。
  • デメリット:掲載には費用がかかります。また、プランによっては応募が集まらなくても費用がかかる場合などもあるため、事前に慎重に確認する必要があります。

3.アルバイト情報誌・フリーペーパー

  • メリット:駅やコンビニなど、地域の人が日常で目する場所に置かれているため、地域密着型の募集で効果を発揮します。また、紙面ということで一覧性があるので、求職者の目に留まりやすいこともメリットです。
  • デメリット:紙媒体故にインターネットと比べると掲載できる情報量が限られます。また、発行後の内容修正はできない点もデメリットです。

4.ハローワーク

  • メリット:無料で募集できるため、採用予算が限られている場合でも求人を出せます。また、ハローワークは地域ごとに管轄エリアが決まっているので、地域を絞った求人の場合も効果的です。
  • デメリット:掲載できる情報量が限られます。そのため、自社の魅力を十分に伝えきれなかったり、採用ターゲットと異なる応募が来たり、などの可能性があります。

5.自社の採用ページ

  • メリット:求人サイトでは伝えきれない自社の魅力を思う存分PRすることができます。特に採用ページを訪れて、採用情報を直接確認しに来る求職者には、効果的にアピールできます。
  • デメリット:採用ページを作るには手間や工数がかかります。また、採用ページは見てもらわないと効果が出ませんので、見てもらえているのか、採用ページに誘導する導線があるかが大切です。

6.求人検索エンジン

  • メリット:インターネット上に掲載されている様々な求人情報を検索できるサービスで、Indeedなどが代表的です。求人サイトと違い、無料で求人情報を掲載できる場合がほとんどです。
  • デメリット:よく検索されるキーワードを盛り込んで求人を作成するなど、効果を出すにはノウハウが求められます。また、競合が多いキーワードになると有料プランを使わないと応募数は見込めません。

2.採用面接のポイント

アルバイト採用の2番目のステップ、採用面接のポイントを解説します。

 

アルバイトの採用面接の特徴

アルバイトの採用面接は、新卒や中途採用の面接と異なる部分があります。
たとえば、新卒・中途採用面接では、まず書類選考を行い、その後複数回の面接を経て採用可否を判断するケースが一般的です。

 

しかし、アルバイト面接の場合、面接当日に書類を持参してもらい、1度の面接で合否を出すことが殆どです。

 

なぜなら、アルバイトを募集する場合「現場の人手不足を早急に埋める」ことが求められているため、選考を迅速に進める必要があるからです。

 

求職者も、すぐにでも収入を得たいというケースが多く、選考を含めて実際に出勤するまでの期間をスピーディーにすることは、双方のメリットになります。

 

採用面接で面接官が心得るポイント

アルバイト面接の面接官にとって大切なポイントは、求職者から「選んでもらう」という意識で臨むことです。

 

面接官は、求職者が応募企業で初めて会う相手です。また、アルバイトの場合、正社員求人への応募者ほど志望動機が固まっていないケースも多いでしょう。

 

もし面接官が「こちらが選考する」という意識でいれば、求職者は「ここで働くのはしんどそうだな・・・」と感じて、面接後に辞退を申し出ることになってしまうかもしれません。

 

面接では誠実で懇切丁寧な対応を心掛け、応募者のどんな質問に対してもしっかり解答するようにしましょう。

 

採用面接で聞くべき質問

面接で応募者を見極める質問のポイントを、3つお伝えします。

 

1つ目は、仕事に対する意欲や姿勢を確認する質問です。
正社員採用と比べると、アルバイトに応募するきっかけは「近い」「時給がいい」「仕事内容が面白そう」といった場合も多いでしょう。

 

しかし、質問をきっかけに、どんなことに興味を持っているのか、何を得意としているのか、仕事にやりがいを持って働けそうかなど、仕事への関心や姿勢を聞き出すことができます。

 

「この仕事に応募した理由を教えてください」「どんな基準で仕事を探していますか?」などを聞くと良いでしょう。

 

2つ目は、採用後のミスマッチを回避するための質問です。
応募者は条件等を把握した上で面接に来ているケースが殆どですが、職場の雰囲気や希望する働き方との相性が一致していない可能性もあります。

 

「シフトに入れない曜日や時間帯はありますか?」「週に何日間、働きたいですか?」など、細かい部分もしっかり聞くようにしましょう。

 

面接の段階で確認しておくことで、採用が決まってから条件が折り合わないといった事態を未然に防ぐことができます。

 

3つ目は、長く働いてくれそうかどうか?を見極める質問です。
「以前と同じような理由で辞めてしまわないかどうか」、「高いモチベーションで続けられそうかどうか」を質問で確認していきましょう。

 

具体的には、「以前のバイトを辞めた理由は何ですか?」「仕事でやってみたいことや目標はありますか?」などと聞くと良いでしょう。

3.アルバイトを定着させるためのポイント

アルバイト採用の最後のステップ、アルバイトを定着させるためのポイントを解説します。

 

アルバイトの定着率の現状

記事をご覧の皆さんの中にも、学生時代にアルバイトをした経験をお持ちの方も多いかもしれません。

 

正社員と比べると、アルバイトの入れ替わりは激しいイメージがあります。

 

実際に厚生労働省による就業形態別入職率・離職率の調査を見ると、パート従業員の離職率の高さが顕著に見て取れます。

 

就業形態別入職率・離職率の調査

(参考)厚生労働省 就業形態別入職率・離職率の推移

 

アルバイト定着のポイント(職場受け入れ)

アルバイト採用に至るまでには一定の費用もかかるため、採用後の早期離職は企業にとっても大きな痛手です。

 

適切な打ち手をしっかり打つことで、アルバイトの早期離職は減らすことができます。

 

定着させるための方法として、アルバイトにいち早く職場に馴染んでもらうための、職場受け入れ時のポイントを解説します。

 

アルバイトに始めて入る新人は、職場や仕事内容に多くの不安を抱えています。
従って、最初の受け入れのタイミングで、少しでも不安を取り除き、いち早く職場に馴染んでもらえるような関わり方をすることが肝心です。

 

店舗のリーダーや店長が率先して、以下のような関わり方で歓迎することで、新人の不安も和らぎ、楽しく働けるイメージを持てるようになるでしょう。

  • 初日は、現場にいるスタッフみんなとお互いに「自己紹介」をし合う。
  • 店長など現場の責任者自ら時間を割き、店舗のミッションを伝える。
  • 休憩時に一人にならないよう、ランチに誘うなど声掛けする。

 

アルバイト定着のポイント(就業後)

アルバイトに長く働いてもらうためには、職場に馴染んだ後のフォローも非常に大切です。

 

アルバイトの教育は、正社員と比べるとどうしても場当たり的になりがちです。

 

例えば「先輩の仕事を見て覚える」「マニュアルを渡して読んで貰うだけ」といった教育をしていれば、疎外感を感じて、早期離職にもつながってしまうでしょう。(もちろん、アルバイトの教育体制をしっかり整えている職場もたくさんあります)

 

他に、アルバイトに不満が生じるケースで多いのが、上司となる社員や店長とのコミュニケーション不足です。

 

アルバイトの場合、悩む視点も店長や正社員とは異なり、アルバイトならではの悩みも抱えやすくなります。
意識してコミュニケーションを取る時間を作ったり、声掛けの数を増やしたりして、悩み事を打ち明けやすい雰囲気を作りましょう。

 

店長など責任ある人から、「あなたはこの職場に欠かせない戦力だ」と伝えることも効果的です。

 

業務に慣れた後も、少しずつ責任ある仕事を任せていくと、本人も成長実感を得られます。
アルバイト期間の長さに応じて、任せる仕事や関わり方を変えていくことで、マンネリ化せず、日々新鮮な気持ちで仕事に取り組めるようになるでしょう。

 

アルバイトへの教育体制で有名なのは、スターバックスやマクドナルドなどです。

 

年間に非常に多くのアルバイトを採用し、時間帯責任者などへ育成するなど、アルバイトを育てる仕組みが整っていますので、どんな取り組みや仕掛けがあるかを調べてみてもよいでしょう。
規模が違いますので、そのまま取り入れることは難しいものも多いですが、参考にできる考え方や仕組みはたくさんあります。

まとめ

記事では、アルバイト採用の現状と採用までの流れ、および採用を成功させるポイントをお伝えしました。

 

求人数が新型コロナ前の水準に戻りつつある現在、アルバイトの採用難は今後もますます激しくなることが予想されます。
来て欲しい人を採用するためには、条件や待遇面を上げていくことも重要ですが、それには限界もあります。

 

だからこそ、「自社の魅力で打ち出せる所は他にないか?」「長く働いてもらえる仕組みはできないか」など、「アルバイト募集」「採用面接」「採用後のフォロー」それぞれのステップで、こまめに改善を繰り返していくことが重要になってきます。

 

今回の記事の内容が、来て欲しい人を採用し定着してもらう採用戦略のヒントとして、少しでもお役立ちできれば幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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