外国人雇用の注意点やメリット・採用方法・手続きを紹介

更新:2023/01/31

作成:2022/11/02

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

外国人雇用の注意点やメリット・採用方法・手続きを紹介

 少子化が進む中で、日本の労働人口減少が確実に進んでいます。

 しかし、少子化が進む一方で、大学進学率が上昇し続けていることで、じつは大卒人数は過去30年間で20万人近く増加、直近10年間はほぼ横ばいとなっており、多くの企業はまだ少子化の影響を感じていないかもしれません。

 しかし、大学進学率の上昇も頭打ちになりつつあり、今後は大卒人数も一気に減少し始め、多くの企業が今以上の採用難に悩まされることになります。

 その中で注目されているのが外国人雇用です。

 将来を見越して、今のうちから外国人雇用を進める、もしくは外国人雇用に関する正しい知識とノウハウを備えておくことは非常に大切です。

 本記事では、外国人雇用が進んでいる近年の動向や背景を踏まえた上で、外国人雇用のメリットとデメリット、外国人を採用するに際しての注意点、及び具体的な募集方法と手続きについてわかりやすく紹介します。

<目次>

外国人雇用の動向

 まず近年の外国人雇用の動向を紹介します。

日本における外国人雇用の現状

 厚生労働省が令和3年10月に発表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、国内の外国人労働者の数は約173万人で、届出の義務化以降、毎年“過去最高”を更新し続けています。

 外国人を雇用する事業所数は 285,080 カ所で前年より 17,837 カ所増加し、こちらも届出が義務化されて以降、最高値を更新しています。

 国籍別にみるとベトナムが最多の 453,344 人(外国人労働者数全体の 26.2%)。

 次いで中国 397,084人(同 23.0%)、フィリピン 191,083 人(同 11.1%)の順となっています。

外国人雇用に積極的な業界

 産業別の割合を見ると「製造業」が゙ 27.0%を占め、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が 16.3%、「卸売業、小売業」が 13.3%、「宿泊業、飲食サービス業」が11.8%となっています。

 また、事業所の規模では「30 人未満」の事業所が最も多く、外国人労働者を雇用する事業所数全体の 61.1%、外国人労働者数の 35.9%を小規模な事業所が担っています。

 この数字からは飲食店や小売店、店舗型ビジネス、中小製造業など、以前から採用難だった業種や企業群で外国人雇用が進んでいることが伺えます。

外国人雇用が進む背景

 少子化に伴い、生産年齢人口が急激に減少しています。

 冒頭で紹介した通り、大学進学率の上昇により、大卒人口はさほど変わっていませんが、その分急激に減少してきたのが中卒や高卒の若年者層です。

 そのため、これまで中卒・高卒の労働者が多かった分野で外国人雇用が進んでいます。

 そしていよいよ2022年頃から大学進学率が頭打ちとなり、大卒人口の急激な減少もスタートします。

 従って今後10~20年間で見ると、これまで以上に外国人雇用が進むことはほぼ確実といえるでしょう。

外国人雇用のメリット

 外国人の雇用には次のようなメリットがあります。

外国人雇用のメリット①若く優秀な人材を確保できる

 少子高齢化が進み若い人材の獲得が難しくなっているなか、外国人労働者の雇用促進は人材不足の解消につながります。

 将来を見越して、今のうちに外国人雇用や採用のノウハウを蓄積しておくことは非常に有効です。

 今まで大卒が多かった分野でいうと、比較的言語の壁が少ないITエンジニアなどの職種で外国人労働者を採用する企業も増えています。

外国人雇用のメリット②海外進出時の即戦力となる

 外国人労働者を雇用することによりビジネスで対応できる言語が多様化するため、販路の拡大が期待できます。

 また、海外進出時に言葉だけではなくその国の文化を熟知した人材がいれば、情報収集やマーケティングを行う際に力強い味方になってくれるでしょう。

 また、今後は国内で働く外国人労働者が増えるに連れて、その人たち向け国内市場も形成されていくでしょう。

外国人雇用のメリット③組織の活性化につながる

 異なる文化や環境で育った外国人労働者を雇用することによって、日本人にはない発想を取り入れることができ、イノベーションが生まれやすくなります。

 新鮮な視点や意見を取り入れることは社内の活性化にもつながり、課題点の改善や新たなチャレンジに結びつく可能性があります。

 また、外国人労働者に仕事を教えることは、既存の社員にとっても自分の仕事を改めて見直す良い機会となるでしょう。

外国人雇用のメリット④助成金獲得の可能性がある

 外国人の雇用拡大は日本にとっては国策であり、外国人雇用に対して一定の要件を満たしている場合、助成金を受け取ることができます。

 例えば人材確保等支援助成金では、「外国人労働者就労環境整備助成コース」が設けられており、翻訳機器の導入費用や社内に多言語の標識を設置するための費用など、外国人が働きやすい環境を整備するためにかかる費用が助成されます。

 その他雇用調整助成金、キャリアアップ助成金、トライアル雇用助成金、業務改善助成金なども、一定要件を満たせば利用可能となります。

外国人雇用のデメリット・注意点

 外国人雇用には数々のメリットがある一方、デメリット・注意点もいくつかあります。

デメリット・注意点①コミュニケーションの問題

 同じ言語を話す者同士でも、相手の指示が十分に理解できなかったりするなど、コミュニケーションのミスが生じることは多々あります。

 まして言葉を十分理解できない外国人との間であれば、なおさらトラブルが発生するリスクは高いと言えるでしょう。

 外国人を雇用する際は、自社が求める水準の言語能力を備えているかを十分確認する一方、自社の社員についても、外国人にわかりやすく教えられる力を持つかどうかを、事前に把握、また、強化していくことが大切です。

デメリット・注意点②文化や風習の違い

 日本では良いとされている行いが、海外では悪い行いと捉えられる可能性がありますし、その逆もまた然りです。

 日本は地政学的な経緯もあって、比較的単一的な価値観で社会が形成されてきました。

 この数十年で海外人材との接触が増えてきたとは言え、仕事に対する価値観の違いや文化的な風習の差異などは、外国人労働者を雇用・マネジメントする上で大きなハードルとなります。

 外国人労働者を雇用する際には、相手の習慣や文化に関わる情報を社内で共有し、文化の違いを正しく理解した上で相手を尊重して対応する姿勢が求められます。

 一方で、その上で日本のビジネス文化に馴染んでもらうように指導も必要です。

 異なる価値観に対する相互理解をどのように深めていくかも大切です。

 すべてを日本や自社の慣習に染めるようなアプローチは難しく、日本のビジネススタイルと自社の価値観を教えると同時に、相手の価値観を理解して受け入れる姿勢が必要となるでしょう。

デメリット・注意点③雇用手続が煩雑

 外国人労働者を雇用する場合、日本人とは募集、雇用の手続きの方法などが大きく異なります。

 採用する相手が置かれている状況によって手続きも変わってくるため、受け入れに際してはそれ相応の知識が必要です。

 最も大きな違いとしては、外国人労働者を雇用するに当たっては、就労資格と就労ビザが必要です。

 取得にかかる期間は申請の流れによって多少変わりますが、およそ1〜3ヶ月程度かかります。

 職種や業種によっては取得できない可能性もありますので、事前の確認が必要となります。

 外国人労働者の雇用が初めての場合は、雇用に際して必要な書類集めや採用後の手続き、労務管理などに手間取るケースも少なくないでしょう。

外国人採用におけるプロセス上の注意点

 外国人の雇用に当たっては、次のような点にも注意を払う必要があります。

①求人募集の労働条件と実際の労働条件を同一にする

 契約文化に馴染んでいる外国人は、雇用条件と実態が違った場合の判断が日本人に比べて厳しい面があります。

 そのため入社して条件が違った場合、せっかく外国人を雇用しても早期退職につながってしまうこともあります。

 そのため、賃金はもちろん福利厚生なども含めて、求人募集の条件と実際の労働条件に相違がないよう十分な注意が必要です。

②外国人雇用ならではの法律や届出に注意する

 外国人雇用には日本人雇用にはない手続きや届出などがあり、うっかり忘れてしまった場合、企業に罰金が科されるようなケースもあります。

 外国人雇用を行う前に、どの在留資格を持つ外国人なら任せたい業務で雇用できるかなどを、事前に調べておくことが重要です。

③同一労働同一賃金・最低賃金は順守する

 外国人だからといって不当に賃金を下げることはNGです。同一労働同一賃金の原則を守ることが大切です。

 もちろん最低賃金等が守られていない場合は違法となり、不足分を払わねばならなくなります。

 とくに給与水準が日本人より低い場合は在留資格が取得できないことがあります。

 入管では企業内で同じ業務を行う日本人の給与水準も確認しますので、外国人の待遇が不平等にならないよう注意が必要です。

④入社後もフォローを行う

 採用した外国人に定着してもらうには、入社後のフォローが重要となります。

 文化や言語の違いによるすれ違いが起きやすいため、日本語と日本文化の研修や、些細なことでも相談できる仕組みがあると安心して働いてもらえます。

 また、在留資格の更新なども本人任せにせず、企業で把握しておくのがベストです。

 期限切れになると不法滞在となり、不法就労助長罪として企業が罰せられる可能性もあるので注意が必要です。

外国人採用における募集方法

 次に、外国人を採用する際の募集方法について見ていきます。

①求人メディアの利用

 求人広告などメディアの利用は最もメジャーな方法です。

 通常の求人メディアの他にも、外国人労働者向けの求人メディアもありますし、国内の外国人労働者向けのポータルサイトや外国語の新聞・雑誌などからも募集することができます。

 また、最近ではFacebook、LinkedInなど、海外で使われているSNSサービスを利用している企業も増えています。

②公的機関の活用

 ハローワークや外国人雇用サービスセンターなどの公的機関を通して採用する方法もあります。

 これらの機関は、外国人を雇用したい国内企業と、日本で就職を希望する外国人のマッチングを目的としたジョブ・フェア(就職説明会)なども行っています。

 これらは費用がかからずに募集できることが大きな魅力です。

 ハローワークには、無料で外国人労働者の雇用に関する悩みを相談したり、支援を受けたりできる外国人雇用管理アドバイザー制度もあります。

 雇用に関するプロセス上の悩みや注意点などは、出入国在留管理庁が管理し、各自治体にも設置されている出入国在留管理庁や外国人の雇用に詳しい弁護士に相談する方法もあります。

③大学や専門学校へのコンタクト

 外国人留学生を数多く受け入れている専門学校・大学・大学院の就職課に直接コンタクトし、求人を依頼するのも有力な方法の一つです。

 外国人留学生の就職支援は多くの大学にとって悩ましい課題となっており、外国人留学生の人数が多い大学にアプローチすれば、歓迎してもらえる可能性は高いでしょう。

 大学や専門学校からの紹介も、公的機関と同じく費用がかからないのが魅力です。

④外国人専門の人材派遣、紹介会社に依頼

 外国人を採用したい企業と、日本で働きたい外国人のマッチングをサポートしている人材紹介サービスを利用すれば、よりターゲットを絞った採用活動が可能になります。

 費用はかかりますが、採用業務を代行してくれたり、就労ビザの取得部分についてもアドバイスをくれたりするなど、採用担当者の工数を削減できるメリットがあります。

⑤知り合いや自社内の外国人からの紹介

 日本に居住する外国人同士には独自のネットワークやコミュニティーがあり、頻繁に会っていたり、SNSで情報を交換したりすることが多々あります。

 すでに外国人を採用していて、同じ国の出身者の人材を採用したい場合は、いわゆるリファラル採用も有効な方法の一つとなります。

外国人を採用するための手続き

 最後に、外国人を採用するに当たっての具体的な手続きについて、簡単に流れを確認しておきます。

①就労ビザ取得の見込み調査

 外国人雇用する際、就労ビザが取得できなければ、日本で働くことができません。

 そのため、外国人を面接して内定を出す前に、就労ビザの取得見込みを調査する必要があります。

 就労ビザには27種類あり、採用ポジションに該当する在留資格の取得申請を行う必要があります。

 例えばオフィスワーカーとして外国人を雇用する場合、原則として「技術・人文知識・国際業務ビザ」という名称の在留資格を取得する必要があります。

②内定→雇用契約書作成

 雇用契約書は、就労ビザを申請する際に求められる書類の一つなので、就労ビザの申請前に作成しておく必要があります。

 雇用契約書自体の作成方法や必要項目は日本人との雇用契約書と同じですが、できれば雇用する外国人の母国語か、それが難しければ英語でも作成しておくことが望ましいでしょう。

③就労ビザの申請

 雇用契約を取り交わしたら、就労ビザに関する手続きを行います。

 この際、「既に日本にいる外国人の就労ビザを申請する場合」と「海外の外国人を採用して日本に呼ぶ場合」では、ビザ取得の手続きが異なります。

 必要に応じて、外部のサポートをもらうとスムーズに事が運びます。

④就労ビザの審査

 就労ビザの審査は入国管理局で行われますが、審査には通常「1〜3か月」程度かかります。

 また、就労ビザは申請すれば必ず通るという訳でなく、中には審査の結果許可が降りない場合もあるので注意が必要です。

⑤雇用開始

 無事に就労ビザの取得に成功したら、受け入れ準備を整え雇用開始となります。就労を開始した後の社会保険の加入や給与の計算方法は日本人と同じです。

 ただし:

  • 雇用後にハローワークへの届出が必要
  • 就労ビザの更新時期を会社側でも把握しておく

 といった注意点があります。

まとめ

 少子化が進む中で、今後国内における外国人雇用は益々進むものと考えられます。

 とくに大卒人材の少子化が始まる今後数十年では、いままで外国人採用をあまりしていなかった企業も外国人雇用に取り組む必要があるでしょう。

 いまのうちから、着手・検討しておいたほうが良いかもしれません。

 文化的な背景が異なる外国人に十分なパフォーマンスを発揮してもらうためには、労働慣行や生活習慣が全く異なる国で働く難しさに寄り添い、不安を取り除く努力を惜しまないことが大切です。

 そうした誠実な姿勢こそが、国籍に関わらず多様な社員の能力を最大化し、自社の競争力の維持につながっていくでしょう。

 外国人雇用に関しては、就労ビザを始めとして、日本人の採用とは異なる採用プロセス上の注意点も生じてきます。

 記事で紹介した外国人雇用の流れなども参考に、外国人労働者をスムーズに雇用し、安心して働いてもらえる体制づくりについて検討してみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

⼤カテゴリ:

    関連記事

    • HRドクターについて

      HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
    • 運営企業

    • 採用と社員教育のお役立ち資料

    • ジェイックの提供サービス

    pagetop