中途採用した社員がすぐ辞める!?離職率を下げて、中途採用を成功させるポイント

2020/08/07

“即戦力”であることを期待されがちな中途採用人材ですが、能力を十分に発揮できずに早期退職してしまうケースも珍しくありません。早期退職してしまう理由としては、採用のミスマッチや選考での見極めが適切にできていなかった場合もありますが、受け入れ態勢に問題がある場合も多々あります。

 

記事では、「中途採用人材がすぐに辞めてしまう」問題を解消し、「中途入社の人材に活躍してもらうためのポイント」を解説します。適切な対策を取ることで、早期離職を防ぎ、早期戦力化することができますので、ぜひ参考にしてください。

<目次>

中途採用の離職率の平均は?

中途採用の人材は必ずしも期待通りに活躍してくれるとは限りません。それどころか、即戦力と期待されながらも、なかなか力を発揮することができず、結局早期退職してしまうケースも多々あります。

 

離職率を下げる解決策に入る前に、実際にどれぐらいの離職率が平均的なのか、中小企業庁が発表しているデータに基づいて確認します。

 

 

中途採用の離職率は約30%

中途採用人材の3年以内での離職率は、30%を超えます。「採用した中途人材のうち、10人に3人は3年以内に退職してしまっている」ということです。

 

3年で3割という数字は、極端に高い数字とはいえないかもしれません。また、じつは会社規模が小さくなるにつれて、新卒採用よりも中途採用の方が定着率は高い、というのも興味深い点です。

 

ただし、ある程度即戦力を期待して採用した中途人材のうち、3割が辞めてしまうとなると、やはり企業としては困った課題であることは間違いありません。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/h27/html/b2_2_2_2.html

 

 

離職はコストの上昇に繋がる

中途採用した人材が離職してしまうと、再びコストと工数をかけて採用をおこなう必要があります。とくに、新卒採用は将来の成長を見越して、多少余裕を持った採用をおこなうことも多いのですが、中途採用は「今欲しい人材」を採用していますので、離職が発生してしまうと、人手不足が生じやすいでしょう。

 

また、中途採用の離職が続くと、悪影響は直接的な費用と手間だけではありません。

 

第一に、採用自体の難易度が上がってしまいます。新卒採用では、既に定着率の公表が義務付けられていますが、現在、それが中途採用にも拡大されつつあります。また、今の時代、応募者は必ずネット上の口コミを確認します。意図せぬ早期離職は、ネット上のネガティブな口コミを増やすことにも繋がりかねません。

 

第二に、既存社員のモチベーションへの悪影響も見過ごせません。退職の発生は職場の雰囲気にネガティブな影響を及ぼします。それは採用した人事もそうですし、受け入れた部門のメンバーもそうです。また、早期離職が続くと、現場が育成にかける意欲も落ちてきて、ますます定着や戦力化へのハードルが上がることになります。

 

このように、早期離職が続くことは、採用自体の難易度を上げる、社員のモチベーションを下げる、入社した人材を育成する風土が損なわれると、経営上大きな悪影響を及ぼしますので、早急な改善が必要です。

 

離職率が高い職場に共通する「中途採用=即戦力」のカン違い

離職率が高い職場においてありがちな勘違いが、「中途採用の人材は即戦力である」という認識です。勘違いと書くと、「中途は即戦力。それが当たり前じゃないのか?」と意外に思う方もいるかもしれません。

 

確かに中途採用の人材は、社会人経験があったり、場合によって同職種や同業の経験があったりすることも多いでしょう。そうであれば、商品・サービス知識、仕事の流れ等を身に付けば、即戦力になるのではないかと思いがちです。

 

「中途採用社員=即戦力ではない」理由と、中途採用人材を戦力化するための考え方は、離職率を改善するうえでもポイントになる部分です。

 

 

中途採用社員=即戦力ではない

社会人経験があり、時には同業・同職種等の経験を持つ中途人材であっても、新しい会社でそのまま「即戦力」となるわけではありません。

 

なぜなら、組織には、それぞれ独自の価値観や暗黙知があり、中途採用人材が力を発揮するためには新しい会社に馴染むことが必要となります。組織に馴染み、価値観や暗黙知を理解しないと、持っている力を発揮することは難しいのです。

 

組織に新たに加入する人材が、組織に馴染むプロセスを「組織社会化」といいます。組織社会化で理解する必要があるものは、組織の理念やビジョン、歴史や沿革、価値観、意思決定プロセス、組織内の役割分担やメンバー、ルールや暗黙知、不文律、社内用語等があり多岐にわたります。

 

従って、組織社会化をスムーズに進めるためには、中途採用人材の適応力だけではなく、企業側の受け入れ態勢が必要になります。感覚としては、組織社会化のプロセスをある程度進めるためには入社後3か月間、本当に馴染むためには入社後1年間が必要と感じます。

 

従って、「中途採用人材=即戦力」という考えてしまい、組織社会化のプロセスを促進していない会社は、じつは中途人材の戦力化を阻害し、早期離職の要因を作っているともいえます。

 

 

中途人材は入社後半年以内が要注意!

中途人材の3年以内の離職率は30%を超えるというデータを紹介しましたが、採用企業がとくに注意すべき期間は入社後半年間です。

 

入社後半年間に、中途人材が何らかの結果(売上実績等)を残せない場合、離職リスクが高まります。半年間、結果を出せないと、中途採用人材は「期待に応えられていない」と感じ、周囲からのプレッシャーを強く感じてしまうためです。

 

とくに、上司や同僚から「即戦力なのだから、そろそろ実績を出してほしい」「実績で貢献できないなら辞めてもよい」といった態度を示された場合、プレッシャーは非常に強いものとなり、早期離職を後押しすることになります。

 

もちろん、早期に成果を出すことは、会社と本人の双方が望む共通のゴールです。従って、成果から逆算して、努力、また支援することは非常に重要です。結果を出す責任は人材本人が負うものですが、会社としても結果を出しやすいように適切な教育計画や成長ステップで支援したり、中途人材が感じているプレッシャーに対して理解を示したりする姿勢が大切です。

 

ミスマッチ離職を減らす4つのポイント

中途採用人材の早期離職は、「採用の段階でミスマッチが生じていた」というケースも見受けられます。この章では、採用時のミスマッチが原因で生じる離職を防ぐためのポイントを4つ紹介します。

 

  1. 必要な人材イメージや働き方を現場とすり合わせる
  2. 求職者に対して適切な情報発信をする
  3. 面接での見極め力を高める
  4. 選考手法を工夫する

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

 

ポイント1.必要な人材イメージや働き方を現場とすり合わせる

採用のミスマッチでよくある失敗例として、採用担当者が、現場の求めている人材像をイメージできていない場合があります。とくにスキル面、能力面での採用基準だけしかすり合わされておらず、価値観や働き方に関する情報がすり合わされていないとミスマッチが生じやすくなります。

 

 

ポイント2.求職者に対して適切な情報発信をする

ミスマッチが起こるもう一つのポイントは、採用を成功させるために、見栄えのよい情報しか発信していない場合です。中小企業の場合には、そもそも情報発信量が少なく、転職者が十分に入社後の働き方をイメージできていない場合もあります。

 

「入社後のギャップ」は離職を生み出す要因です。応募者にしっかりと、入社後の働き方について情報提供していきましょう。

 

とくにポテンシャル層や業界未経験者の場合には、仕事のやりがいだけでなく、大変な部分や地道な努力が必要な部分を発信する。また、経験者の場合には、さきほど紹介した組織社会化の要素となる価値観や暗黙知、意思決定プロセス等、働き方に関する情報をしっかりと提供することが重要です。

 

 

ポイント3.面接での見極め力を高める

面接の際に、求職者の能力や特性を的確に見抜く力も必要です。通常、求職者は面接時に「自分をよく見せたい」という心理が働きます。

 

とくに、コミュニケーション能力が高かったり、自分自身をうまくアピールすることに長けていたりする人材の場合、面接での言葉をそのまま信用すると、採用後のミスマッチの原因になってしまうこともあります。

 

また、経験者の場合、職務経歴書に記載された実績や数値で能力を推測することになりますが、必ずしも実績や数値が求職者本人の実力により作られたものとは限りません。

 

このようなミスマッチを防ぐためには、STAR面接等の手法を用いた構造化面接をおこない、求職者の能力や特性をしっかりと把握することが必要です。

 

STAR面接とは、求職者の経験を確認する際に、状況(Situation)→課題(Task)→行動(Action)→結果(Result)という4つの視点で、客観的な事実、主観的な事実を深掘りすることで、求職者の能力や行動傾向、価値基準を把握する面接手法です。

 

 

ポイント4.選考手法を工夫する

日本の採用選考は、「面接」に非常に大きなウェイトが置かれています。しかし、入社後の活躍予測をするうえで必ずしも面接だけがベストな手法ではありません。とくに、構造化されていないフリートーク形式の面接は、精度が低いという研究結果もあります。

 

従って、面接だけでなく、適性検査やワークサンプリング等の選考手法を組み合わせることも、ミスマッチを減らすことに効果的です。

 

ワークサンプリングとは、「実際に採用した場合に担当する仕事に取り組んでもらい、仕事の進め方や取り組み方を評価する」手法です。こう書くと、面接で実施することはなかなか難しいように感じるかもしれません。

 

しかし、営業であれば簡単に説明したうえでロールプレイングをやってもらう、事務職であればパソコン操作等をおこなってもらう等、工夫すればやりようはいくらでもあります。実際の仕事に取り組んでもらうことから、入社後のギャップを防止することができます。

中途採用からの離職率を減らすのに有効な32の施策

採用人材の離職率を減らすために、現場で利用できる32の施策をご紹介します。32の施策は、HRドクターを運営するジェイックが実際におこなっている施策です(一部は新入社員向けの施策も含まれます)。

 

一つひとつは当たり前のこと、既に自社でおこなっていることもあると思います。ただし、細かいことでもあるので、なかなかすべてを実施している会社は少ないでしょう。取り入れられそうであれば、ぜひ一つでも二つでも取り入れてください。

 

(入社前にできること)

01.入社が決まったら社員全員に告知する

02.面接した管理職が、人間的な側面や評価ポイントを紹介する

03.経営者や直属の上司が新人へ直筆の手紙(歓迎メッセージ)を書く

04.備品の準備を漏れなくおこなう

05.入社日には机拭きや整理整頓をおこなっておき、歓迎ムードを演出

06.名刺と名刺入れを入社日までに準備

 

(入社日や入社直後)

07.社員の起立&拍手で歓迎ムードを演出

08.初日のランチは誰が同席するか決めておく

09.入社ガイダンスでは必ず組織図を見せる

10.他部署のマネージャー、幹部からのレクチャーで会社理解を深める

11.歓迎会は必ず開催する

 

(入社後のビジネスの指導方法)

12.自社の仕事の進め方を伝える時間を作る

13.予定を詰め込まない穴あきスケジュールを作成し、自主性を促す

15.商品説明、企業理念、自社の仕事の進め方、顧客事例は座学(Off-JT)で研修を実施

16.自社の価値観を伝える課題図書を設定する

17.雑用を依頼する際には意図や全体像、学んでほしいことを伝える

18.会社紹介のロールプレイングで愛社精神を育てる

19.エンゲージメントの高い社員へのインタビューをセッティングする

20.二人一組のペア制で研修効果を高める

21.ブラザー・シスター制度でケアする

22.日報の徹底

 

(入社後2か月内におこなうべき研修)

23.(チームで)お客様に出会う喜びを味わう

24.会社で働く目的を忘れないようにする

25.新人の「働く動機」を押さえる

26.時間管理と報連相のタイミングを根気よく指導する

27.部門配属後にもOff-JTをおこなう

28.振り返り研修を実施する

29.上司が手紙を書く(現状への評価と期待)

 

(補足:採用時のポイント)

30.採用基準を明確化する

31.内定を出すタイミングで握手をして全員で拍手をする

32.内定時には評価ポイントを簡潔に伝える

 

これら一つ一つの項目について詳しく知りたい方は、詳しくまとめたPDF資料があります。無料でダウンロード可能ですので、ぜひダウンロードしてご覧ください。

中途採用からの離職率を下げることに効果的なオンボーディングとは?

中途採用人材が戦力として活躍するためには、新しい会社に馴染むための組織社会化が必要であることは前述した通りです。組織社会化は中途採用の離職率を低減させることにも大きく影響します。この章では、組織社会化のプロセスをスムーズにするオンボーディングについて紹介します。

 

 

オンボーディングとは?

オンボーディングは、新人が新しい会社に早く馴染めるように環境を整えたり、人間関係構築のサポートをしたりする取り組みです。

 

中途採用の場合、入社後、短いレクチャーの後、配属部門に育成を任せてしまいがちですが、オンボーディングは、「入社人材が活躍するために全社としてサポートするためのプログラム」であることが特徴です。

 

プログラムと書いた通り、一つひとつ細切れの施策ではなく、「入社人材に対して、いつ、誰が、どんな働きかけをするのか」を定めた一連の流れがオンボーディングです。前章で紹介した「離職率を減らすのに有効な32の施策」も、オンボーディングに組み込める一つひとつの施策といえます。

 

イメージとしては、「32の施策について、いつ、誰が責任を持って実行するのか」を定めたものがオンボーディングのプログラムだといえるでしょう。

 

 

オンボーディングの取り組み方

オンボーディングは、

  • 基本プランの作成
  • 実行
  • 見直し

の3ステップで取り組みます。

 

オンボーディングの目的は、中途採用人材が組織に早く馴染み、持っている能力を存分に発揮できる環境を整えることです。とくに、中途人材がプレッシャーを感じやすい入社後半年間の間に、実績が残せるか否かは非常に重要なポイントです。

 

オンボーディングに組み込むべき施策は、

  • 組織社会化

Ex)歓迎会、他部門との接点、組織図の共有、

  • 実績を上げるための育成施策

Ex)OJT指導者による育成計画の作成、適切な目標設定、日誌によるレビュー

  • モチベーションやメンタル面のケア

Ex)メンターやブラザー・シスター制度、上司や人事による1on1

という3つの視点で考えるとよいでしょう。

 

オンボーディングは、趣旨や目的を見失わなければいくらでも具体策は考えられるでしょう。3つの視点で施策を決めて、まずは試して、結果や運営の負荷を見ながら、随時ブラッシュアップしていきましょう。

 

 

オンボーディングによる3つの効果

オンボーディングの導入は3つの効果が期待できます。

 

<新人の定着>

オンボーディングは新人が新しい会社に馴染むためにおこなう施策です。中途人材の場合は、会社に馴染むことで持っている能力を発揮できるようになり、定着と早期戦力化に繋がるでしょう。

 

<受け入れ部署の負担軽減>

オンボーディング施策が実施されていない状態では、すべてが受け入れ部署に丸投げされる状態になります。オンボーディングにより、あらかじめ実施すべきプログラムが決めることで、受け入れ部署やOJT指導者の負荷を減らすことができます。

 

<定着率の安定的な向上>

オンボーディングを実施することで、配属部門や上司の力量だけに依存せずに、受け入れ態勢の質を高めることができます。人材育成の経験、能力、適性によって、個々の受け入れ力はバラつきがあることは避けようがありませんが、オンボーディングを導入することで、会社として定着率を向上させることができます。

 

 

 

離職を防ぐために必要な予兆の察知とケア

一般的に「辞めたい」と退職を申し出てきた時には、既に手が打てない状態になっていることが大半です。従って、社員の離職を防止するためには、社員の「辞めたい」という気持ちが大きくなる前に対処することが大切です。

 

 

離職に繋がる悩み、ストレスの原因となる4つのポイント

離職に繋がる悩みや不安の元となるのは、大きく分類すると4つのテーマに集約されます。

 

(離職に繋がる悩み、ストレスの原因)

  1. 人間関係(とくに上司との人間関係)
  2. 仕事の成果が出ていない
  3. 勤務時間等の働き方
  4. 会社への不満

 

 

4つのポイントに対してとくにケアが必要

4つのポイントに対してケアをすることで、早期退職の大半を防ぐことができます。ただし、関係性や仕組みを構築できていない場合、新人が本当はどのように感じているのかを知ることは難しいものです。

 

そこで、役立つ資料を1点紹介します。採用した若手を定着させるための手法について解説している資料です。とくに若手社員が抱きがちな悩みやその対処法について詳しく解説しているので、ご興味あれば、以下のリンクからダウンロードしてください。

まとめ

中途入社の3年以内離職率は、中小企業での平均値は30%を超えます。人材の離職が続くと、補填するための採用費用や工数だけでなく、採用力の低下、既存社員モチベーションダウン、人材を育成する風土の阻害等、大きな問題が生じます。

 

中途採用人材の離職原因は、入社した本人だけの問題ではありません。採用時のミスマッチ会社の受け入れ態勢が原因であることも多々あります。採用のミスマッチを改善するための施策、また、オンボーディング等の受け入れ施策を実施することで、離職率は確実に改善できます。

 

ご紹介した記事を参考に、ぜひ人材が定着する組織作りに取り組んでください。

 

記事内でもご紹介した人材の定着に役立つ32の施策と退職の予兆を見抜くポイントは以下の資料で詳しくご覧いただけます。



著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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