中途採用にかかる費用はどのぐらい?平均金額とコスト削減のポイントを紹介

2020/06/22

中途採用にかかる費用はどのぐらい?平均金額とコスト削減のポイントを紹介

中途採用にかかる費用は、労働人口の減少に伴って増加傾向にあります。“優秀な人材とそうではない人材の入社後のパフォーマンス差”、また“採れないと意味がない”ということを考えると、採用費は単に削ればいいというものではありません。重要なことは自社に必要な人材を適切な価格で確保することです。

 

そのためには、採用費用の相場は知っておく必要がありますし、また、費用を抑えるためのポイントも知っておくと良いでしょう。記事では、中途採用の現状や日本企業における平均的な採用コスト、費用を抑えるためのポイント等を解説します。

<目次>

中途採用にかかる費用の内訳と傾向

中途採用にかかるコストについて考える際には、まず日本企業でどのように中途採用がおこなわれているかという現状も確認しておきましょう。

 

株式会社マイナビの「中途採用状況調査2020年版」によると、2019年の中途採用では、61.2%の企業が自社の設定した採用目標に達することができていないという状況になっています。また、これを踏まえて、2020年の中途採用では、46.6%の企業が経験の有無にこだわらず積極採用をおこなう意向を示しています。

 

そして、近年注目されている「リファラル採用(社員の人脈採用)」「アルムナイ採用(出戻り採用)」といった新たな採用手法の実施率は、ともに6割を超えていることが分かっています。

 

2020年4月、新型コロナウイルス禍の影響で、求人倍率は大きく変動しています。中途採用は、とりわけ景況感に敏感に反応しやすい特徴がありますので、20年4月の求人倍率、また求人件数は一気に減少しました。

 

ただし、景況感の変動に関わらず、中長期的に見れば、景況感の変動以上のスピードで、日本の少子化傾向が加速することは明確です。その中で、多くの企業が優秀な人材を確保するために、選考基準を変えたり、新たな採用手法を取り入れたりするといった取り組みをおこなっていることが分かります。

 

 

中途採用にかかる費用の内訳

中途採用にかかるコストは、内部費用と外部費用の2つにわかれます。「内部費用」とは、採用業務をおこなううえでかかる費用であり、最大の費用は採用担当者の人件費です。そして、「外部費用」は広告掲載や適性検査費用等の外部サービスを利用するうえで支払う費用となります。

 

具体的には、以下のようなものです。

 

【内部費用の例】
  • 担当者の人件費
  • 面接官の工数
  • 「地方説明会の開催」等で発生した採用担当者の交通費
  • 応募者へ支給した交通費
  • リファラル採用で発生した社員へのインセンティブ

 

【外部費用の例】
  • 求人広告費
  • 転職エージェントへの手数料
  • 会社説明会等の会場費
  • 採用パンフレット等の制作費用

 

採用費用を見るうえでは、意外と外部費用だけが注目されがちですが、担当者や面接官の人件費(工数)を計算してみると、意外と大きな金額になりますので注意が必要です。また、内部費用と外部費用ではなく、「母集団形成費用(候補者と会うための費用)」と「それ以外」で分類してみることも1つのやり方です。

 

現在、少子化の結果として、多くの業種で人手不足が生じており、人材確保の難易度は確実に上がっています。その結果として、企業が中途採用に使っている費用は上昇傾向にあります。2020年3月~5月は新型コロナウイルスの影響で中途採用が抑制され、求人倍率も低下しています。

 

その結果として、一時的に中途採用の難易度は下がっています。しかし、当面、少子化傾向が改善されることはありませんので、少なくとも出生人口が見えている20数年後まで、採用難易度は上がっていく一方でしょう。

中途採用の平均費用、単価はいくら?

中途採用の平均費用と単価

 

自社の採用コストを考えるうえでは、中途採用にかかるコストの相場観を知っておくことも重要です。ここでは、先ほども少しご紹介した「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」等を参考にしながら、採用費用の実情を見ていきたいと思います。

 

 

企業における中途採用年間費用の平均

まず、企業が中途採用費用として、どれぐらいの予算を使っているのかという「中途採用予算の総額」を確認したいと思います。

 

2019年の企業全体における中途採用費用は、予算が平均831.9万円、実績は平均674.1万円となっています。予算ベースで比較すると、平均金額が最も高い業種は「金融・保険」、次いで「IT・通信・インターネット」と「不動産・建設・設備」が続いています。

 

これらの業種は規模が大きな会社が多く、専門職やエンジニア採用等、採用難易度が高い職種の採用が多いことも、採用費用の増加に影響を与えているでしょう。マイナビでは総額の他に、人材紹介、求人広告、合同説明会といったチャネル別の予算と実績データも公開しています。

 

【中途採用における“人材紹介”費用】
  • 予算:平均340.1万円
  • 実績:平均294.5万円

 

【中途採用における“求人広告”費用】
  • 予算:平均221.4万円
  • 実績:平均144.4万円

 

【中途採用における“合同説明会”費用】
  • 予算:平均93.9万円
  • 実績:平均73.4万円

 

こうしてデータを見ると、中途採用でコストが多く使われている採用方法は、人材紹介であることが分かります。中途採用に使う費用総額は、採用人数によって変わってきますので、上記の数字を自社の数字とそのまま比較することに意味はありませんが、参考データとしてご紹介しました。

 

 

中途採用1人あたりの平均費用

続いて中途採用で1人を採用するために企業が使う平均コストですが、「2017年マイナビ企業人材ニーズ調査」では48.3万円/人と報告されています。

 

なお、企業規模や業態によって平均単価にはかなりの差があります。上場と非上場企業を比べると、上場企業は66.1万円/人、非上場企業は46.6万円/人です。社員数で比較してみると、社員1,000人以上の企業は73.6万円/人、社員数300~999人規模の企業は64.4万円/人、300人未満の会社は40.9万円/人となっています。

 

上場企業のほうが非上場企業よりも1人あたりの平均費用が高い、従業員数が多い会社のほうが少ない会社よりも1人あたりの平均費用が高い、というのは驚きの結果かもしれません。

 

これは上場企業・大手企業のほうが採用する人材に求めるレベルが高くなる分、平均費用が高くなっているとも考えられますし、成長企業・優良企業ほど人材確保に対して積極的に投資しているとも考えられます。

中途採用の費用を抑え、効率的に採用する方法

中途採用の費用を抑えて効率的に採用する

 

中途採用のコストは、以下のような工夫で効率的に抑えることも可能です。

 

 

ポイント① ミスマッチ、早期離職を防ぐ

まず大前提となるのが、ミスマッチ、早期離職の防止です。採用した人材が自社に合わなかった、また、うまく受け入れをできなかった等で早期退職してしまった場合、その採用工数も費用もすべて無駄になります。

 

そして、追加で採用活動をおこなうことになった場合には、単純には採用単価は2倍となるわけです。従って、採用費用を抑えることで、まず前提となるのはミスマッチ、早期離職の防止だと言えます。ミスマッチの防止、また早期離職の防止については、下記の資料もご覧いただければと思います。

 

 

 

ポイント② 求人方法の見直し

多くの転職者が登録する大手求人媒体は、たくさんの登録者が登録しており、非常に有用です。しかし、結果に関わらず広告掲載費を支払う大手求人媒体は、応募が多ければ採用単価を落とすことができますが、期待通りの結果にならないと採用単価が跳ね上がるリスクもあります。

 

そのため、採用にかかる費用を抑える、平準化させることを意図して、多くの企業が導入する以下のような採用方法にも目を向けてみましょう。

 

  • リファラル採用
  • アルムナイ採用
  • ダイレクトリクルーティング
  • 人材紹介

 

中途採用で使える採用手法や特徴は、以下の記事もチェックしてみてください。

 

 

ポイント③ 採用力を高める

企業の採用力が低いと、欲しい人材を獲得できるまで、何度も採用活動を繰り返すことになり、コストが嵩みやすくなります。

 

採用力は、

 

  • 母集団形成力
  • 口説く力

 

という2つの掛け合わせです。

 

つまり、ターゲット人材をどれだけ効率的に集められるか、そして、欲しい人材をどれだけ高確度で口説けるかです。採用力は、もちろん知名度やブランドにも左右されますが、採用のノウハウやスキル、

 

また採用担当者の力量で変えられる範囲も大きいです。端的に言えば、母集団形成力は採用担当者のマーケティング力、口説く力は採用担当者の営業力です。口説く力を高めるポイントは以下の記事も参考にしてください。

 

 

 

ポイント④ オンライン採用を活用する

中途採用コストが増大しやすい企業の1つのパターンとして、採用エリアが複数エリアに渡っており、採用担当者の出張旅費・会場費等で費用が膨らんでいる場合があります。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、オンライン採用やWeb面接はすっかり一般に浸透しました。これまで求職者と直接会うことにこだわってきた企業の場合、Web説明会やWeb面接の導入は心理的なハードルがあるかもしれません。しかし、コロナ禍を変革のチャンスと捉えて、ぜひオンライン採用に取り組んで、コストダウンに取り組んでみてください。

 

オンライン採用への取り組みは、コストダウンの効果だけでなく、対面では会いづらい求職者と接触するチャンスも生まれやすくなります。地方や少し遠いエリアに住む求職者はもちろん、在職中の求職者等も移動時間が発生しないオンラインのほうが接触しやすくなります。

 

また、お互いに移動時間がなくなる分、日程調整が容易となり、スピーディーな選考が可能となる点もポイントです。選考のスピードは、それだけで採用力に繋がります。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、コロナ禍の中で、一度も対面の面接をせずに中途採用をおこなって入社した方が既に複数名います。また、新卒採用でも、オンライン化したことで、地方学生はもちろん、海外留学中の学生からも応募があり、選考が進んだりと、母集団が増える効果を感じています。

 

 

ポイント⑤ 助成金を活用する

中途採用コストは、費用の「節約」だけでなく、払った費用を「取り戻すこと」でも下げられます。利用したいのが、国や自治体が独自に用意している以下のような助成金です。

 

  • 中途採用支援助成金
  • トライアル雇用助成金
  • キャリアアップ助成金

 

助成金は、利用できる企業や採用対象、採用方法等に制限があります。助成金を使うために、本来やりたかった採用を歪めてしまっては本末転倒ですが、想定している中途採用の条件が、助成金に当てはまるようであれば、ぜひ利用しましょう。

 

採用コストを抑える際の注意点

中途採用の費用を削ることを考えるうえでは、以下の点には注意する必要があります。

 

 

採用コストで重要なのは「絶対額よりも費用対効果」

採用コストを考えるうえで、非常に大切なのは、「自社が欲しい人材を獲得したうえでコストも抑える」という費用対効果の視点です。採用費用を抑えたとしても採れる人材レベルが落ちてしまっては何の意味もありません。

 

極端な話をすれば、“採用費用50万で年間1,000万の売上を上げる営業”を採用するよりも、“採用費用150万円を使っても年間3,000万売れる営業”を採用したほうが良いのです。また、採用費用を削減しようとするあまり“人材が採れない”という結果になることも最悪の結果です。

 

従って、削れる費用は削るべきですが、同時に「採用コストは“費用”であると同時に未来への“投資”である」ということを認識する必要がありますし、経営陣にも理解してもらう必要があります。

 

 

重要なのは、必要経費と削減経費の見極め

費用対効果の高い中途採用を目指すには、いまの費用を必要経費と削減経費(削れるなら削りたいコスト)に仕分けしてみることもおすすめです。

 

【必要経費】
  • 人事チームの採用力を高めるための人材育成
  • 新たな取り組みへの費用
  • 効果の上がっている求人媒体への広告費
  • 優秀人材が採れるエージェントへの手数料
  • 求職者や内定者フォローの費用

 

【削減経費】
  • 成果の上がらない求人媒体にかかる費用
  • 削れるなら削りたい会場費、交通費、出張旅費
  • 使用頻度の少ないITツール費用
  • 人事の生産性を阻害している要因(機会損失の発生)

 

日ごろから2つの仕訳を意識して、採用活動が終わるたび、また年度のタイミングで無駄な費用を削っていくことが重要です。日ごろから仕訳を考えないまま、いきなり「採用費用をいくら削る」と取り組むと、必要経費を削減してしまい、結果的に採用の費用対効果を下げてしまうことになりかねません。

 

 

外部コストの削減を意識しすぎると失敗するケースも…

採用費用の削減を考える際、外部コストの削減にこだわりすぎると、結果として内部コストの上昇に繋がったり、採用に失敗したりするケースもあります。

 

分かりやすい例を紹介すると、中途採用で採用単価を引き上げる要因になるのが「人材紹介」です。年収の30~35%程度の費用を成果報酬で支払う人材紹介はリスクがない分、単価も高くなりがちです。

 

しかし、採用費用を削ろうと、転職エージェントの利用を見直す場合、利用をやめることで、いままで外部にお願いしていた作業のすべてを内製化することで、ノウハウ不足で欲しい人材が獲得できなくなったり、内部コストが高まったりするリスクがあります。

 

もちろん、人材紹介と並行して、リファラル採用を立ち上げることで、中長期的に採用費用を削ったり、試行錯誤して求人広告で採用できる採用力を身に付けたりしたうえで、人材紹介を削っていくこと等は非常に有効です。

 

外部コストに着目するときには、単純に減らすのではなく、減らすことで内部コストや人事担当者の負担がどうなるかや、採用の目標達成とのバランスを取ることを忘れないようにしてください。

まとめ

採用コストは「費用」であると同時に、企業の未来への「投資」という側面があります。最も重要なことは、費用対効果です。無駄な費用を極限まで削っていくべきですが、費用削減により、優秀な人材が採れなくなったり、採用目標を達成できなくなったりすると本末転倒であり、事業計画にも悪影響を及ぼしかねません。

 

この考え方を人事から経営陣まで共通させたうえで、日ごろから必要費用と削減したい費用を意識して、効率的な採用活動に取り組んでいきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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