リファラル採用で起こりうる5つのトラブル|対策と成功のポイントを解説

更新:2023/02/02

作成:2022/12/07

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

リファラル採用で起こりうる5つのトラブル|対策と成功のポイントを解説

 リファラル採用には数多くのメリットがある一方で、気を付けて運用しないとトラブルに発展する恐れがあります。

 しかし、事前に起こりうるトラブルを把握しておけば、未然に防ぐための対策が取れるようになるはずです。

 本記事では、リファラル採用において起こりうるトラブルと対策について解説します。

 トラブルを未然に防げれば、優秀な人材をスムーズに獲得できるようになるので、リファラル採用を検討であれば、ぜひご一読ください。

<目次>

リファラル採用とは?特徴とメリット

 リファラル採用とは、自社社員の知人や友人を紹介してもらう採用方法です。リファラル採用には以下のようなメリットがあります。

  • 採用コストの削減につながる
  • 転職潜在層へアプローチできる
  • ミスマッチを防げる
  • 高スキルの人材を獲得できる

 リファラル採用を上手く進められれば、コストを削減したうえで、高スペックの人材を獲得できるようになるでしょう。

 一方で、リファラル採用で選考・入社する人は「社員の知り合い」であるが故にトラブルに発展するリスクも潜んでいることは、事前に理解して、配慮する必要があります。

リファラル採用で起こり得るトラブル5選

 リファラル採用で起こりうるトラブルは、以下の5つです。

  1. 選考でNGになった際の人間関係
  2. 紹介者よりも高待遇で採用する
  3. 既存社員からのネガティブ感情
  4. 採用者の早期離職やトラブル
  5. 報酬が法律に抵触してしまう

 順番に見ていきましょう。

1.選考でNGになった際の人間関係

 候補者が選考で不採用となった場合、紹介者との関係が気まずくなる場合があります。

 リファラル採用は、いわゆる「コネ入社」と違って、リファラルだからといって採用基準が変わるものではありません。

 従って、紹介された人でも不採用になるケースは普通に生じます。

 不採用になったとき、社員の知り合いであるがゆえに、応募者が紹介者に不満を持つ可能性もありますし、応募者が紹介者に気まずい思いをする可能性もあります。

 従って、選考の開始時から応募者・紹介者に念押しをしておく、不採用になった場合には通常以上に丁寧にフォローをすることが必要です。

2.紹介者よりも高待遇で採用する

 候補者を好待遇で採用した場合、紹介者が自身の待遇に不満を抱えてしまうことも考えられます。

 中途採用の場合、当然、高スキル・高実績の候補者は好待遇で迎え入れます。

 場合によっては、既定の給与テーブルとは少し異なる待遇を提示する場合もあるでしょう。

 従って、候補者が紹介者よりも高スキル・高実績の場合、待遇面で上回ることは十分に起こり得ます。

 待遇をお互いに共有することは少ないですが、同年次だったりする場合には注意が必要です。

3.既存社員からのネガティブ感情

 「リファラル採用≒コネ採用」と考える社員がいると、採用者に対してネガティブな感情を持つ人が出てくるケースもあります。

 「選考基準が緩くなっている」といったイメージになれば、当然、あまり良い印象にはなりません。

 リファラル採用を実施する際は、コネ入社とはまったくの別物であることを、周知徹底しましょう。

4.採用者の早期離職やトラブル

 リファラル採用は他の方法に比べるとミスマッチが少ないですが、それでも早期離職してしまう可能性はゼロではありません。

 ミスマッチで早期離職すると、選考での不採用時と同じく、採用者と紹介者の関係性が気まずくなってしまうことが考えられます。

 また、採用者が紹介者に「聞いていた話と違う」と不満を持つ、また、紹介者が「面子をつぶされた」と思う、また、紹介者が周囲の社員に対して肩身の狭い思いをする可能性もあります。

 会社としては、とくに3つ目のケース、紹介者が周囲に対して気まずい思いをすることがないように配慮が必要です。

 なお、リファラル採用に報酬制度を設けている場合は、早期離職時に報酬を支給するか否か、既に支給した報酬をどうするかが議論になる場合もあるでしょう。

 報酬制度を取り入れる場合、早期離職の可能性も考えて、対応を決めておきましょう。

5.報酬が法律に抵触してしまう

 リファラル採用に報酬制度を取り入れている場合は、導入時に法律に抵触しないように配慮が必要です。

 いわゆる人材紹介会社が実施する「(有料)職業紹介」は許認可が必要な業務であり、職業紹介の報酬だと見られないように注意が必要です。

リファラル採用におけるトラブルを防ぐ基本

 リファラル採用はトラブルが起こる可能性はある採用方法ですが、事前に把握しておけば問題なく対策を取れます。

 リファラル採用のトラブルを防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 採用基準を変えない
  2. 紹介者報酬をきちんと設定する
  3. 選考プロセスに配慮する
  4. 不採用時に紹介者・候補者をフォローする

 1つずつ解説します。

1.採用基準を変えない

 大前提として、リファラル採用を実施する際には、他の採用方法と同一の選考基準で実施することが大切です。

 選考プロセスを変えることは問題ありませんが、「社員の紹介だから」と採用基準を緩めてしまうと、他社員からの不満に繋がってしまいます。

 また、採用基準が同一である旨を社員に周知することも重要です。

 きちんと周知しておくことで、他の社員が「私たちは厳しい選考をくぐり抜けたのに、あの人はコネ入社でしょ…」とおかしな不満を持つことを予防できます。

2.紹介者報酬をきちんと設定する

 リファラル採用では、紹介を促進するために報酬を設定することも一般的です。

 前述した通り、報酬を導入する際は、職業安定法に抵触しないようにポイントを押さえておきましょう。

 抵触するとみられるリスクを避けるためには、

  • 1)賃金・給与として支払う(支払えるように就業規則に反映する)
  • 2)月次給与などと比較して妥当な金額に収める(高額にし過ぎない)

 ことが必要です。

 紹介者報酬については別記事で詳しく解説しますので、報酬制度を検討する際は、こちらを確認ください。

3.選考プロセスに配慮する

 リファラル採用の場合、候補者ははじめから高い志望動機で応募してくるわけではありません。

 「知人に紹介されたから行ってみようか」ぐらいの気持ちであることも多いでしょう。

 前述の通り、選考でNGになる、早期離職になるといったことがあると、人間関係のトラブルが生じる可能性もあります。

 そのため、選考前にカジュアル面談やミートアップなどを通して、企業のことを知ってもらう機会を設けることが有効です。

 カジュアル面談などでお互いにある程度すり合わせた上で「ほかの採用方法と同じ基準で選考に入らせてもらう」旨を、きちんと告知して選考に進んでいくと上記のようなリスクを低減できます。

4.不採用時に紹介者・候補者をフォローする

 仮に候補者を不採用とした場合、当人はもちろん紹介者へのフォローをしっかり行いましょう。

 紹介者と候補者、もしくは紹介者と会社の関係性が悪化しないように配慮が必要です。

 不採用によるトラブルを未然に防ぐために、選考前の時点で「選考基準は明確に決められているから不採用になることはある」旨を伝えましょう。

 その上で、不採用にした際には不採用理由を明確に伝えるなどして、本人が納得、また悪印象を持たないように注意しましょう。

 企業によっては不採用になった候補者をフォローするために、会食の場を設けているケースもあります。

 紹介者と候補者の双方が不満にならないように、会社側が施策を用意しておくと、社員もリファラル採用に協力しやすいでしょう。

リファラル採用を成功させる4つのポイント

 リファラル採用は生じがちなトラブルをきちんと予防しておけば、企業にとってメリットが大きな採用手法です。

 リファラル採用を成功させるためには、以下のようポイントを押さえるとよいでしょう。

  1. 社員への周知を徹底&継続する
  2. 初回ハードルを下げる
  3. 中長期的に取り組む
  4. 「いい職場」をつくる

 順番に見ていきましょう。

1.社員への周知を徹底&継続する

 リファラル採用を実施していることを継続的に社員へ周知するようにしましょう。リファラル採用は社員の協力がないと応募者が集まりません。

 そのため、社員への周知を徹底して紹介意欲を高める必要があります。

 ただ単に「社員募集中」と告知するだけでなく、現在オープンになっているポジションを共有したり、リファラル採用の成功事例を紹介したりすると効果的です。

 継続的に周知することで、社員から「会社も本気で取り組んでいる」ことが伝わり、協力的になってくれます。

 リファラル採用は、社員が該当する人と接点を持ったとき、「そういえば、紹介してみようか…」と思ってもらう、また、「この求人、あの人だったら合うかもしれないな…」と思い浮かべてもらうことが大切です。

 社員の紹介意欲を引き出すために、工夫を凝らしながら継続的に周知しましょう。

2.初回ハードルを下げる

 リファラル採用の候補者は、初対面時点では応募意欲が低い傾向にあります。

 前述の通り、「知り合いに勧められたし、まぁ行ってみようか…」ぐらいだと思っておいたほうがいいでしょう。

 従って、企業側がいきなり大上段で「選考です」と入っていくと、候補者は身構えてしまいますし、温度感もかみ合わなくなります。

 紹介したもらっての初回接触は、カジュアル面談やランチミーティングなどがおススメです。

 そして、相手に興味を持ってもらう、また、企業側としても採用候補になりそうだと判断したうえで、「○○さんと話してみて、うちの会社合うと思うので、選考に進んでみませんか?」と“選考”ステップに進むことを明確にして意思確認するとよいでしょう。

3.中長期的に取り組む

 継続的な社員の呼びかけが必要であることからも分かる通り、リファラル採用は中長期的に取り組まないと成果に結びつきにくい施策です。

 リファラル採用を始めたてのうちは、応募者が集まりにくいものです。また、他の採用方法と違って計画的に進めにくい施策でもあります。

 そのため、始めてすぐに「応募者が集まらないから」という理由で止めてしまうのは、非常にもったいないことです。

 中長期的な目線を持ちながら応募者を増やす方法を考え、実行してみてください。

4.「いい職場」をつくる

 リファラル採用を成功させる大前提は、社員が「知人や友人にうちの会社を紹介したい」「私の勤め先はいい職場だ」と思っていることです。

 いい職場を作るためには、まず自社でどんな人に働いてほしいのか、どんな価値観の職場にしたいのかを明確にしましょう。

 そして、自社が「働いて欲しいと思う人にとって、いい職場」になるように職場整備に取り組んでいきましょう。

リファラル採用の成功事例

 リファラル採用を成功させるポイントはいくつかありますが、それでもイメージが湧かない人は多いのではないでしょうか。

 そこで、リファラル採用を成功させた事例を3つ紹介します。

  1. freee株式会社
  2. 株式会社ビズリーチ
  3. 株式会社SmartHR

 トラブルを起こさないための工夫もしっかりされているため、ぜひ参考にしてみてください。

1.freee株式会社

 クラウド会計ソフトで有名なfreee株式会社では、紹介する意欲を促すためにリファラル採用に必要な数値を全社員に共有しています。

 freee社では、採用した人材の20%程度がリファラル採用を占めるそうです。

 freee社では、気軽に初会接点を持ちやすいように、オフィスに来た人に対して社内ラウンジの弁当が無料で支給する=ランチを一緒に食べるところから始めるといった仕組みも取っています。

 また、紹介作業を簡潔に行えるようにリファラル採用ツールを導入していることも、freee社が成功している要因と言えます。

2.株式会社ビズリーチ

 ダイレクトリクルーティング「ビズリーチ」を提供している株式会社ビズリーチは、創業当初からリファラル採用を積極的に進めている企業の1つです。

 実際に採用者の3~4割程度がリファラル採用で獲得した人材だそうです。

 ビズリーチ社は社員のリファラル採用をしっかりフォローできるように、リファラル採用専任の担当者がいます。

 社員のやる気を促すために紹介者が多い人には表彰の場を設けたり、ディナーをプレゼントしたりして、成功事例を共有したり紹介意欲を高めたりしています。

3.株式会社SmartHR

 株式会社SmartHRでは、リファラル採用時に紹介者に報酬を支給するだけでなく、候補者との食事代などは経費として精算できる制度を整えています。

 こちらも、採用者の25%程度をリファラル採用が占めているといいます。

 また、SmartHR社では、候補者が不採用となった場合は会社負担で会食に行ける「ごめんねごはん」制度という仕組みを設けています。

 紹介者とのトラブルを未然に防ぐ面白い制度です。

まとめ

 リファラル採用は低コストで優良な人材を獲得できる可能性がある採用方法です。

 しかし、「社員の知り合い」を紹介してもらうからこそ、不採用時や早期離職時にトラブルが起こりやすかったり、他の社員から「コネ入社」としてみられたりするトラブルのリスクがあります。

 事前にきちんと告知したり、選考ステップを配慮したりすることで、リファラル採用におけるトラブルを未然に防ぎましょう。

 その上で、社員への継続的な告知や報酬制度の導入、紹介ハードルの解除などをして、リファラル採用をぜひ成功させましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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