リフレクションとは?成長を加速させる振り返りの効果や実践方法を解説

2021/03/01

仕事する女性

リフレクションは、自らの体験を成長へとつながるための振り返りの技術です。

仕事での体験を成長につなげるためには「振り返り」が大事なことは昔から良く知られています。振り返りを行なうために日報や日誌を導入している企業も多くあります。しかし、「その日あった出来事」を書くだけになっており、“成長につながる振り返り”ができていない組織も見られます。

記事では、リフレクションの概念や実施するメリット、具体的な実践方法を詳しく解説します。

<目次>

リフレクションとは?

リフレクションとは、「業務から離れてデータや事実に基づいて自分の経験を振り返る」ことです。リフレクションを実践する目的は、自らの経験を客観的に振り返って、経験をスキルやマインドの成長につなげることです。

 

リフレクション(reflection)という単語は、直訳すれば「反射」という意味です。例えば、水面に風景が反射したり、鏡に光景が反射したりするように、自分の経験をありのまま、客観的に振り返ることがリフレクションの大切なポイントです。

 

 

リフレクションと反省、日誌や日報との違い

「リフレクション」の特徴は、同じように過去を振り返る「反省」、「業務的な日誌や日報」と比べるとよりイメージしやすいでしょう。

 

まず、「反省」とは、「自身の失敗を認めて改めるための振り返り」を指します。一般的に使われる場合には「責任を感じる」といったニュアンスを含むかもしれません。

 

一方で、リフレクションの対象は失敗だけに限りません。成功したことも失敗したことも、同じようにリフレクションの対象です。成功したことであれば再現性を持たせるため、失敗したことであれば改善するためにリフレクションを行ないます。また、リフレクションの場合、客観的に振り返ることがポイントです。したがって、“責任”といった概念からは少し距離をおいて振り返るイメージです。

 

また、通常の「業務的な日誌や日報」は、良かったことも悪かったことも事実を書き連ねる、という点ではリフレクションの対象と客観性に近い点があるかもしれません。ただし、通常の業務日誌や日報は“記録”や“報告”の意味合いが強くなります。

 

リフレクションは、経験を成長につなげるためのものであり、目的が異なります。リフレクションでは個人の成長につなげるため、“事実”に関しては“外部で起こった事実”はもちろん、“自分の内側で起こった事実:感情や思考”まで踏み込んで振り返ります。この点が、通常の業務日誌や日報とは大きく異なります。

 

なお、リフレクションは、上司や外部がファシリテートしながら行なうこともありますが、基本的には当事者が自ら主体的に行なうものです。主体性の発揮という点で、上司や先輩が主体となって行なう「フィードバック」とも大きく異なる概念です。

 

リフレクションがもたらす効果

ミーティング風景

リフレクションが組織内で習慣化されると、個人の成長が加速するとともに、組織の人材育成力も確実に向上します。

 

 

学ぶ力(ラーニング力)が向上する

多くの企業で人材育成が思うように進まない要因の一つに、「知識の学習→職場での実践→知恵への昇華」というサイクルがうまく回っていないことがあります。

 

ビジネスパーソンが最も多くの体験をするのは「職場での実践」です。失敗や成功があり、顧客の声があり、生きた学びがあります。しかし、職場で体験しただけでは、体験は個人の成長にはつながりません。

 

多くの企業が“研修を実施して職場で実践させる”ことはしていても、職場での体験を成長へとつなげる仕組みを組織的に整備できている会社はあまりありません。体験を成長へとつなげるためのサイクルとして、コルブの「経験学習モデル」が有名ですが、リフレクションも同じように、体験を成長へとつなげるための仕組みです。

 

組織内にリフレクションが習慣化されると、社員が日々の業務を通じて成長するようになります。また、研修で新しい知識をインプットしたときにも、職場での実践から成長までのサイクルが動くことで、研修効果も高まります。

 

 

社員の強みを引き出しやすくなる

リフレクションには、自分の強みに気付く効果もあります。特に成果を上げられたことや成功体験の振り返りが強みの発見に効果的です。

 

結果を出せたとき、「今月は達成できた!」や「うまくいった!」でリフレクションせずに終わった場合、成功体験が単発で終わってしまう可能性も高くなります。しかし、リフレクションで成功体験を振り返ることで、成功要因を明確にして再現性を高めたり、成功を生み出した自分の強みに気付いたりすることができます。

 

特に日常業務からいったん離れて成功要因や強みを言語化することは、「何が自分の強みで、どうすれば発揮できるか?」の自覚を強めて、次の成功を生む武器や自信になっていきます。

 

 

セルフリーダーシップが向上する

セルフリーダーシップは、自分自身にリーダーシップを発揮して意思決定していく力です。しかし、ビジネスにおける意思決定では「答え」は分からないことが大半です。従って、必要なのは「正解がわからない意思決定」をできるようにすることです。

 

リフレクションを通じて成功の再現性を見出したり、自らの強みや価値観・ありたい姿、また失敗パターンを見出したりすることで、正解がわからないなかでも意思や仮説を持って意思決定をしていくセルフリーダーシップが向上します。

 

リフレクションを効果的にする3つのポイント

効果的なリフレクションをするためには、3つのポイントを押さえることが重要です。

 

 

主体性と客観性

リフレクションを効果的にするためには「主体性」と「客観性」が重要です。まず、リフレクションは自分の成長につなげるために主体的に取り組まないと効果があがりません。何のためにリフレクションをするのか、しっかりと説明して意味付けしましょう。

 

また、リフレクションに大事なのは客観性です。起こった事実、自分の言動、また、自分の内側で起こった感情や思考を客観的に振り返ることが大事です。「メタ認知」とも言われる技術です。導入時は、上司やファシリテーター、またはフォーマットなどでメタ認知を引き出すための適切な問いを提供してあげることが効果的なリフレクションにつながります。

 

 

経験学習モデル

効果的なリフレクションを行なううえでは、コルブの経験学習モデルを知っておくとよいでしょう。コルブの経験学習モデルは、自分の経験を学びへとつなげるプロセスを分かりやすく説明したモデルです。

 

<コルブの経験学習モデル>コルブの経験学習モデル

 

  • ① 経験 :具体的な体験をする
  • ② 省察 :体験の内容を振り返る(気付きを得る)
  • ③ 概念化 :次の機会に活かせるように概念化/抽象化する(学びに変える)
  • ④ 試行 :実際に試してみる

 

リフレクションは、コルブの経験学習モデルにおける省察から概念化、深く振り返って学びに変えるプロセスに相当します。全体像をつかんでもらうことで、何のためにリフレクションをするのか、主体性や目的意識が発揮されやすくなります。

 

 

感情や価値観への踏み込み

効果的なリフレクションを行なうためには、起こった事実や自分の言動だけでなく、自分の内面や価値観まで踏み込むことが大切です。

 

例えば、「サポート対応の電話が一方的だ」とお客様から指摘を受けた、という「体験」があったとします。リフレクションをするうえでは、まずは「何があったのか?」「自分はどのような言動をしていたのか?」、事実を振り返ります。

 

すると、「お客様との会話より自分が一方的に説明している時間が長かった」、「求められていない話まで一気に喋ってしまった」といった事実や自分の言動が見つかります。そこからもう一段、「なぜこうした対応をしたのだろうか?」と言動した自分の感情や価値観といった内面に踏み込みます。

 

踏み込むことで、例えば以下のような自分の感情や価値観が見つかるかもしれません。

 

  • お客様に突っ込まれたら、自分の未熟さを指摘されたような気がして怖い
  • だから、完璧に説明することが大事だと思っている
  • サポートの電話は、かけてくるお客様自体の機嫌が悪く怒っていることもある
  • そのため、自分が責められている感覚を受けてしまう
  • だから、あまり会話をしたくない

 

感情や価値観に踏み込むことで、「ここから何が学べるだろうか?」「どのような気付きがあるだろうか?」と考えたとき、より深い気付きに繋がります。

 

例えば、以下のような気付きかもしれません。

 

  • じつは「自分」が責められているわけではない
  • お客様も困っているからこそ、機嫌が悪かったり不安が怒りになったりする
  • 適切にサポートするためにはお客様の状況や操作を詳しく聞いたほうがいい

 

最後に、気付きを次に生かせる思考や言動の仮説(概念化)としてまとめます。

 

  • まずはお客様の話に耳を傾ける
  • はじめの3分間は、お客様の状況理解に徹する

 

自分の内面に踏み込んだことで、上記の仮説を実行するときに生じる感情、例えば、「怒ってるな…あまり喋りたくない」という気持ちを自覚(メタ認知)して、理性で「私に怒っているわけじゃないので、まずは状況理解に徹しよう」とセルフコントロールしやすくなります。

 

リフレクションの実践方法と注意点

指をさすビジネスウーマン

人材育成にリフレクションを取り入れるときには、以下のポイントを押さえて実践・フォローを行なっていくとよいでしょう。

 

 

日常レベルのリフレクション

日常の業務レベルのリフレクションは、以下の流れで進めていきます。

 

  1. 体験したことを思い出す(成功・失敗の双方が対象)
  2. 成功や失敗の過程、状況、自分の言動を客観的に振り返る
  3. 自分の言動の背景にある感情や価値観を振り返る
  4. もう一度やるならどうするか?を考える

 

日誌や日報に項目を盛り込んだり、新人や若手であれば、手短な対話をしたりしていくと進めやすいでしょう。また、週1回や月1回、30分~1時間の時間をかけて実施するといった形での実施も有効です。

 

 

上司によるリフレクション支援のポイント

リフレクションはフィードバックやアドバイスではありませんので、本人が主体的に振り返り気付きを得ることが大切です。したがって、リフレクション支援のポイントは、いかに「適切な問い」を投げかけるかです。

 

相手のリフレクション技術が低いうちは、コーチングやファシリテーションをイメージしながら、質問によってリフレクションを支援することが有効です。「日常レベルのリフレクション」で解説したものと同じ流れを、対話しながら進めていきます。

 

リフレクションの対話は、本人が振り返るためのサポートです。支援する側はアドバイスや口を挟まずに、頷きや相手の言葉を反復する(バックトラッキング)ことを通じて、安心で喋りやすい場を作りましょう。

 

 

成長実感やキャリアステップを考えるためのリフレクション研修

仕事の現場から離れたOff-JTで定期的に振り返りを実施することもおすすめです。特に新人や若手に関しては、新人研修の終了時点、入社1年、入社2年、入社3年などの節目となるタイミングでの実施が非常に効果的です。

 

節目となるタイミングでの実施は、「成長実感の獲得」をテーマとするとよいでしょう。リフレクションも「成果」や「成長」などのポジティブな側面に重きをおいて振り返りを実施することがポイントです。そのうえで、今後の目標やキャリアプラン、成長目標の設定などを行なうことで、モチベーション向上や離職防止の効果を期待できます。

 

 

殻を破り、自己革新を生み出すリフレクション研修

中堅社員やマネージャー、幹部層などの場合、職務について3~5年が経過すると、仕事に対するマンネリ感や惰性が生じやすくなります。人は無意識に自分が設定している限界や常識のなかで行動してしまう傾向があり、マンネリ感や惰性の発生というのは、ある種やむを得ない部分もあります。

 

人材研修に、殻を破り自己革新を生み出すためのリフレクション研修を取り入れることは、マンネリ感や惰性の解消につながる効果があります。殻を破るためのリフレクション研修は、360度評価などをもとにして、しっかりと時間をかけて内省します。自分の無意識や価値観に踏み込んで、甘えや弱み・強みや価値観を自覚して、次のステージへ成長するために何をどうしていくかを決意していく内容です。

 

重要になるのは、自分ときちんと向き合うために、日常からしっかり離れることです。また、殻を破るようなリフレクションを実施するには、深く内面に踏み込み、自分の弱さや妥協、醜い感情に向き合ったりする必要があります。

 

内面に深く踏み込むときには拒否反応や目をそむけたくなる気持ちも働きます。自己革新型のリフレクション研修は、ファシリテーターの力量が必要となりますので、社内に該当者がいない場合は、外部に依頼することがおすすめです。

まとめ

リフレクションは、水面や鏡に風景や光景を映し出すように、自分の体験を客観的に振り返り、気付きや学び、成長へとつなげる手法です。

 

リフレクションは成功体験と失敗体験、双方が対象となります。体験を完了させて次の失敗を回避する、また、成功プロセスや自分の強みを自覚することで成功に再現性を持たせることができます。

 

したがって、リフレクションの習慣が社員に浸透すると、日々の業務が自己成長の場となるので、個人の成長スピードやモチベーション・セルフリーダーシップの向上に高い効果があります。

 

効果的なリフレクションを行なうためには、主体性と客観性、経験学習モデルの把握、感情や価値観に踏み込むことが大切です。日誌や日報などにリフレクションの流れや問いを組み込むことも効果的ですし、初めのうちは上司が支援する形もよいでしょう。

 

リフレクションを研修という形で実施することで、新人や若手は成長実感の獲得やモチベーションアップ、中堅層やマネージャー・幹部陣のマンネリ感や惰性の打破をすることもできます。

 

リフレクションは仕事での体験を成長につなげるために、非常に有用な技術です。記事で紹介した流れやポイントを参考に、ぜひ個人や組織の習慣となるように取り組んでください。

 

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著者情報

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

HRドクター 編集長

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等 twitterはコチラ。ぜひご覧ください。 古庄拓/ジェイック取締役 https://twitter.com/tfurusyo

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