KPIマネジメントとは?結果につながるKPIの設定手順と運用のポイント

2020/12/25

個人が評価され、組織が生き残るためには、目標達成力を高めることが不可欠です。目標達成力を高めるうえで、非常に有効な方法が「KPIマネジメント」です。

KPIマネジメントは、目標達成に至るまでのプロセスを先行管理する手法であり、「マネジメントの基本」といっても過言ではありません。記事では、結果につながるKPIの設定手順やKPIツリーの作成方法、KPIの運用ポイントを解説していきます。

<目次>

KPIマネジメントとは?

KPIマネジメントとは、その名の通りKPIを活用したマネジメントです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略であり、日本語では、「重要経営指標」「重要業績指標」等と翻訳されます。漢字だと分かりづらい表現ですが、「成果/業績のカギとなる指標」を指します。

 

KPIについては後の章で詳しく解説しますが、KPIマネジメントは、「結果」ではなく「結果を出すための指標(プロセス)」をマネジメントすることが特徴です。

 

基本的には、PDCAを回しながら以下のマネジメントを行なっていきます。

 

・組織の成果目標に基づいたKPI目標を設定

・KPI目標を指標として業務を遂行

・最終成果の検証と振り返り、KPIの見直し

 

KPIマネジメントでは、「最終的な業績や成果を達成するための先行指標」をマネジメントします。そのため状況をいち早く把握して、問題解決の手を打っていく先行管理が可能となり、安定した目標達成が可能となります。

 

なお、KPIマネジメントに関連する概念として「MBO」と「OKR」があります。KPIマネジメントと対になって活用されることも多いので、セットで解説します。

 

<MBOとは?>

MBOは「Management By Objectives and Self Control」の略語で、日本語では「目標管理制度」という意味になります。

 

マネジメントで有名なピーター・ドラッカーが提唱した概念としても知られており、日本では評価制度と連携して取り入れられていることが大半です。評価制度と連携させるため、組織業績等への貢献目標と、個人としての成長目標、2つの軸で3~5個程度の目標を設定することが大半です。

 

業績側の目標管理において、最終的な業績や成果指標だけではなく、先行指標を設定することで、MBOとKPIマネジメントを連動させることが可能になります。

 

<OKRとは?>

「Objectives and Key Results」の略語で、日本語では「目標と主要な結果」という意味になります。OKRはMBOと同じような組織における目標設定の概念ですが、MBOと違う点として、人事や評価制度とは連携させないことが一般的です。

 

OKRにおけるObjectvies、すなわち目標は、MBOのような業績目標等ではなく、組織を鼓舞するようなチャレンジングなものであり、必ずしも定量的な指標(数字など)ではありません。そして、Key Resultsは目標を達成するためのいくつかのプロセス指標が設定されます。

 

例えば、ネットサービス等の場合には、Objectvesに「自分たちのサービスをこう使われていて、ユーザーにこんな影響を与えている」といった短期ビジョンが入り、そのためのKey Resultsにも業績ではなく、会員登録したユーザーの利用率や会員登録数などが入る場合もあります。

 

Objectivesがチャレンジングである以上、Key Resultsも60~70%程度の達成率で着地することが一般的であり、それぐらいのチャレンジングさで設定することが重要と考えられています。

 

OKRは必ずしも短期的な売上や利益ではなく、「組織のビジョンや優先事項に対して、メンバーを鼓舞して活動の方向性を一致させるもの」という意味合いが強いのです。

 

OKRにおいても、設定したKey ResultsがKPIであることも多いですし、Key Resultsを達成するための活動を実施するうえではKPIマネジメントのやり方が役に立ちます。

 

KPIマネジメントに関する基礎用語

KPIマネジメントを行なううえで登場する基本的な用語を4つ解説します。

 

 

KGI

KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」といいます。企業や事業の最終的なゴールとなる目標のことで、一般的には売上額や利益額などであることが多くなります。

 

KPIが目標達成するまでの中間指標であるのに対し、KGIは最終目標(ゴール)です。マネジメントを考えるうえでは、まずKGIを設定し、設定したKGIを分解して、KPIを設定するという順番になります。

 

<KGIの例>

  • 売上額
  • 利益額
  • 成長率

 

 

KSF

KSFは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「主要成功要因」と呼ばれます。「成功するための要因」ですので、考え方としてはKPIに近いものです。成功、つまり、「目標の達成や成長などを実現するうえで何が大切か?」がKSFです。

 

KPIと違って必ずしも数値化できない定性的な要素も含んできます。「事業が成長したり、顧客に選ばれたりするために何が大事か?」というKSFを考え、KSFを「指標としてどうマネジメントするか?」とKPIマネジメントに落とし込むというイメージです。

 

<KSFの例>

  • 自社しか提供できない差別化されたサービス
  • 登録したお客さんの使い勝手
  • アップグレードしたらより良いサービスが受けられそうという期待感の醸成
  • お客さんへの認知度
  • 有料利用した顧客のリピート率

 

 

KPI

繰り返しになりますが、KPIは「Key Performance Indicator」の略語で、「重要経営指標」「重要業績指標」と翻訳され、「成果/業績のカギとなる指標」を指します。

 

<KPIの例>

  • 新規商談数
  • リピート率
  • 問い合わせ数
  • 顧客単価
  • 問い合わせからの商談化率

 

 

KAI

KAIは「Key Action Indicator」の略称で、日本語では「重要活動評価指標」と翻訳されます。

 

KPIは最終ゴールを達成する過程を示すものですが、基本的には「途中結果」を示す指標となります。そこで、KPIを達成するために自分たちがコントロールできる「活動」の指標となるのがKAIです。

 

<KAIの例>

  • 新規顧客への架電件数
  • 重点顧客との接触率
  • 資料請求への5分以内対応率
  • 改善施策の実行数
  • 顧客へのインタビュー件数

 

KAIはKPIと明確に区分されずに運用される場合もありますが、KPIとKAIの違いを意識しておくと、KPIマネジメントをより効果的に運用できます。

 

結果につながるKPIの設定手順

KPIマネジメントを実践する場合、まずはKPIの設定が非常に重要です。

 

KPIを設定する際には、

  • KGIを分解する
  • KSFを考えて、指標化する

という2つのアプローチが可能です。

 

一般的には、①の方法(KGIの分解)で設定することが大半です。KGIを分解するほうが抜け漏れを生じにくく、また、KPI達成がKGIの達成に直結するように設定できるでしょう。

 

ただ、①の方法は短期的な目線になりやすい側面もあり、①を行なったうえで、②の方法(KSFの考察と指標化)で、中期的な成長や成果に向けての抜け漏れがないかを確認することがおすすめです。

 

 

KPIツリーの作成方法

「KPIツリー」とは、KGIをKPIに分解していくロジックツリーのことです。KGIを頂点において、そこから四則演算で計算できる形を原則としてKPIに分解していきます。

 

<KPIツリーのイメージ>

KPIツリーの作成は、上記のように一番左にKGI、そこから右側に四則演算でKPI、また、KAIへと分解していきます。

 

分解の例)

利益

売上 - 費用

 

売上

新規顧客売上 + 既存顧客売上

 

新規顧客売上

→ 新規顧客 受注件数 × 受注単価

 

新規顧客 受注件数

→ 新規案件数 × 受注率

 

新規案件数

→ 新規商談数 × 案件化率

 

成功するKPIマネジメントの運用ポイント

目標達成に有効なKPIマネジメントですが、効果的に運用するためにはいくつかのポイントがあります。

 

 

KPIを絞り込む

効果的なKPIマネジメントを行なうためには、字のごとく、最終目標を達成するための「Key」となる指標に絞り込むことが重要です。組織内でマネジメントしていけるKPIは多くても三つが適切です。

 

これを超えると、KPIを動かすためのマネジメントが十分に出来ず、結果的に「KPIでマネジメントしている」のではなく、「KPIを見ているだけ」になってしまいがちです。従って、KPIは本当に重要な指標、また注力する必要がある指標に絞り込みましょう。

 

ただし、実務上は「KPIとしては注力しないが、異常がないか定期的にチェックする指標」も必要です。区分して考えることがおすすめです。

 

 

KPIはリアルタイムに把握する(リアルタイムに把握できる指標をKPIにする)

KPIマネジメントにおいては、KPIおよび必要な数字をリアルタイムに把握できることが前提になります。当たり前のことですが、リアルタイムに把握できない指標を基にしても、効果的なマネジメントは出来ません。

 

例えば、KPIが「商談件数」だったとして、「前週の商談件数を各営業が取りまとめて報告するのが翌週の火曜日、それをチームごとに取りまとめて報告されるのが翌週の木曜日」というスピード感だとしたら、どうでしょうか。

 

KPI(商談件数)を把握して、前週の結果を基に指示するのはほぼ1週間遅れです。これでは効果的なKPIマネジメントを行なうことは困難です。

 

KPIはなるべくリアルタイムに把握できる状態にしましょう。計測に手間と時間がかかるものもKPIとして不適切です。顧客管理システムや営業支援システムを活用し、KPIを自動的に測定できるのが理想です。

 

 

指標は複数の切り口でチェックする

指標は、日次や週次、個人別、週次や月次のトレンドなど、いくつかの切り口で確認しましょう。

 

日次や個人別のような細かな単位に目を向けることで、早め早めに軌道修正することが可能になります。同時に、週次や月次のトレンドを確認することで、例えば、ステップ率が落ちている、徐々に新規商談件数が落ちているといった状況に気付くことが可能になります。

 

とくに次のブロックで紹介する「率」の異常に気付くうえでは、トレンドをチェックすることが不可欠です。瞬間的な数字だけでなく、トレンドにも敏感になることがKPIマネジメントを効果的に行なううえで重要です。

 

 

「量」と「質」のマネジメントを両立させる

KPIツリーを使って、KGIを分解していくと、多くの場合、「数×率」で分解していくことになります。例えば、“受注件数=見込件数×受注率”といった分解です。

 

先行管理するうえで「率」、例えば、“見込からの受注率”等は、対象期間が終わらないと集計できない、場合によっては対象期間が終わっても時間軸のズレ等が生じる、短期間で変化させることが難しいといった特徴があります。

 

従って、KPIマネジメントでは、多くの場合、「数」、すなわち「量」をマネジメントすることが多くなります。ただし、この時に「率」、すなわち「質」のマネジメントが抜け落ちると問題です。

 

例えば、営業部門でKPIマネジメントを行なう際、多くの場合KPIとして、「案件数」や「見込数」が出てきます。従って、KPIマネジメントは案件数や見込数等の「量」を追うことになります。

 

ただし、実際に「各案件を受注できるか」をマネジメントするうえで大事になってくるのは案件や見込の「質」です。

案件や見込の「量」

各案件や見込の「質」

・案件数は足りているのか?

・新規で十分な案件創出できているか?

・キーマンを押さえられているか?

・予算は確認できているか?

・競合状況は?

・稟議プロセスは把握しているか?

・決済納期を共有できているか? など

PIマネジメントを行なううえでは、「量」に意識がいきがちです。しかし、とくに重要なKPIは、「質」のマネジメントも両立させることが非常に重要です。

 

下記は採用計画でのKPIマネジメントに関する記事ですが、事業活動におけるKPIマネジメントを考えるうえでも参考になる内容です。ぜひご覧ください。

まとめ

KPIマネジメントは「結果を出すためのプロセス」を先行管理することで、目標達成を実現させていく手法です。非常にシンプルな考え方であり、マネジメントの基本となる考え方ですが、効果的に行なうためにはいくつかのポイントがあります。

 

<KPIマネジメントを効果的に行なうためのポイント>

・KPIを絞り込む

・KPIはリアルタイムに把握する(リアルタイムに把握できる指標をKPIにする)

・KPIは計画対比、日次や週次、個人別、月次のトレンド等、複数の切り口でチェックする

・とくに重要なKPIは「量」と「質」のマネジメントを両立させる

 

記事を参考に、KPIマネジメントの精度をブラッシュアップさせてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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