MBOとは?目標管理制度で効果をあげるためのポイントと目標設定のコツ

2020/12/10

MBOとは?目標管理制度で効果をあげるためのポイントと目標設定のコツ

MBO(目標による管理)は、ドラッカーの考えをベースにした目標管理制度です。日本でも広く浸透している目標管理制度ですが、本質を理解せずに運用すると、人事評価のために運用される“形だけの目標管理制度”になりがちです。

 

記事では、ドラッカーがMBOに込めた本来の意図も紹介したうえで、目標管理制度で効果をあげるためのポイント、目標設定のコツ等を解説します。

<目次>

MBO(目標による管理)とは?

MBOは「Management by Objectives」の略語であり、日本では多くの場合「目標管理」と翻訳されます。

 

「目標管理」という言葉から、「MBO=目標を管理する手法」という認識を持っている方も多いかもしれません。実際、ビジネスの現場ではそうした使われ方も多く見受けられます。

 

しかし、その認識は、部分的な見方でしかありません。「目標管理シートに目標を記入させて提出させればいい」「人事評価の管理ツールである」というのは、MBOの本質ではありません。まずは、MBOの提唱者であるドラッカーが、MBOに込めた意図を確認していきましょう。

 

 

MBOの本質、ドラッカーがMBOに込めた意味は?

ビジネスの世界で、MBOは「Management by Objectives」として広く浸透していますが、ドラッカーは正確には「Management by Objectives and Self Control」と述べています。この「Self Control」の部分こそが、MBOを運用する多くの組織で抜け落ちがちな重要な概念です。

 

ドラッカーが提唱したMBOは、2つの本質があります。

 

  1. 社員の主体性を引き出し、セルフマネジメントを促進する
  2. 目標によって個人の力を組織のゴールに集約する

 

本質の1つ目は、個々のゴールを明確にすることで、社員が主体性を発揮して動ける組織にしていくことです。

 

そして、2つ目は、組織の経営方針や事業計画の実現から逆算して、部門・チーム・個人の目標に落とし込むことで、メンバー一人ひとりの発揮する力を組織の目標達成のために集約していくことです。

 

これが、MBOの本質です。従って、MBOが単なる“目標管理”や“人事評価をおこなうためのツール”になり、メンバーの主体性を奪っていたら、MBOの本質とは真逆のマネジメントをしてしまっていることになります。

 

 

MBOとOKRとの共通点と違い

MBOと似た概念に、OKR(Objectives and Key Results)があります。OKRは、google等で導入されていることで一躍有名となり、多くのベンチャー企業等で取り入れられるようになりました。日本語では「目標と主要な結果」と表され、目標を達成するためのプロセスを可視化し、チームで共有するフレームワークです。

 

MBOとOKRは、運用や目標設定のやり方に異なるプロセスや考え方がありますが、組織の計画・目標を達成させるためのフレームワークであり、目標によってマネジメントを加速させる、社員を自走させるという思想は共通です。

 

MBOとOKRの最も大きな違いとしては、MBOは業績・人事評価と連動して使われることが多いですが、OKRはそれらの評価プロセスとは連動させず、より純粋に組織の大きな目標達成に向けて、メンバーを加速させるためのツールであるという点にあるでしょう。

 

MBO(目標による管理)のメリットとデメリット

5つのメリットと5つのデメリット

MBOはいくつものメリットがある一方で、運用方法を誤るとさまざまな弊害が生じます。

 

 

メリット

MBOが持つ最大のメリットは、目標を設定することによって、

 

組織の理念・ビジョン > 組織の計画 > 部門の計画 > 個人の計画

 

に一貫性がもたらされ、各個人のパワーが組織のゴールに集約されることです。MBOが適切に運用されれば、「各個人が目標を達成することで、組織の計画が達成される」という環境が構築できます。

 

MBOのメリットは、それだけにとどまりません。

 

各個人が担う責任や追うべきゴールが明確になるため、社員の達成意欲や主体性を引き出せます。

 

また、「ゴールから逆算する」「ゴールにフォーカスする」等の目標達成志向や目標達成能力の向上につながるでしょう。さらに、業績評価・人事評価等の評価プロセスと連動させられるのもMBOのメリットです。

 

 

デメリット

MBO自体にデメリットが存在するわけではないのですが、MBOの運用を誤ると、さまざまな弊害が起きてしまいます。

 

まず、「自分の目標さえ達成すれば良い」という個人主義が蔓延し、チームワーク意識が低下するリスクです。

 

また、MBOが評価制度のためのツールになってしまうと、MBOの管理・運用が、管理職の負担を増やすだけになってしまう場合もあります

 

 

さらに、同じように形だけの運用になると、状況変化により「数ヵ月前に立てた目標が意味をなさくなり、現実のマネジメントとリンクしていない」といった状況が起こることもあるでしょう。

 

MBOにおける目標設定と運用のポイント

ペンを回しながら真剣な表情をしている男性

MBOをうまく運用していくためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。MBOを運用するうえでの重要な5つのポイントを紹介します。

 

 

1. 目標設定は大きなところからはじめる

組織目標の達成に向けて個人の力を集約するのがMBOです。

 

従って、まず組織目標や事業計画が定まらなければ、部門目標や個人目標を決めることはできません。MBOの導入にあたっては、はじめに最も大きな目標を設定し、そこから順番に、より小さな単位の目標設定へと進んでいく流れを作りましょう。

 

ドラッカーは「1年間のうち、最後の3ヵ月は9ヵ月の振り返りと翌年の計画に使いなさい」といっています。最後の3ヵ月は年度末の目標達成に向けてドライブをかける期間でもありますが、同時に、しっかりと振り返り、考え抜いて大きなところから計画を作りなさいということです。

 

 

2. 設定する目標は絞り込む

目標を設定していこうとすると、部門や担当領域によっては、さまざまな目標が思いつくでしょう。しかし、MBOの運用を成功させるためには、目標を絞り込むことが重要です。

 

「上位目標の達成に最も貢献する」、また「変化を起こす必要がある」といった視点で、最大でも3つに絞り込みましょう。

 

 

3. SMARTな目標設定

MBOは目標によってマネジメントするわけですので、目標設定が非常に重要です。目標設定における「SMART」の原則を適用すると、適切な目標を設定しやすくなります。「SMART」は、適切な目標に不可欠な5つの要素の頭文字を並べたものです。

 

  • S:Specific(具体的)

目標は、誰が読んでも理解できる、明確な表現で設定しましょう。例えば、「契約件数を増加させる」といった目標ではまだ曖昧です。「何の契約件数を伸ばすのか」「新規なのか既存なのか」「どうやって増やすのか」等を明確にして、なるべく具体的にすることでフォーカスが絞られます。

 

  • M:Measurable(測定可能)

目標の達成度を、本人や上司、第三者が客観的に測定・共有できるように表現しましょう。先ほどの「契約件数を増加させる」であれば、「何件増加させるか」が不可欠です。

 

なるべく「○件」「○%」等、目標の内容は定量化しましょう。間接部門等の場合には、なかなか定量化が難しい場合もありますが、「具体的な5段階評価の基準を設定する」「誰からこういう声をもらう」といった形で、なるべく具体的、達成したか/していないかが明確になるように表現しましょう。

 

  • A:Achievable(達成可能)

理想を高く持つことは大切ですが、現実的に達成が困難な目標を設定しても、適切な計画を立てることができません。それこそ、“絵に描いた餅”で終わってしまいます。

 

評価制度との連携等を考えても、目標達成に現実的に挑戦できる適切な水準で目標を設定しましょう。

 

  • R:Related(上位目標とのリンク)

MBOは「組織の理念・ビジョン > 組織の計画 > 部門の計画 > 個人の計画」という順番で、組織の目標達成に向けて、個人の力を合わせるものです。

 

従って、所属メンバーが個人目標を達成していけば、チームや部門の目標が達成されるようになっている必要があります。「チームや組織目標で掲げられた目標が、ちゃんと分解されているか(抜けているものがないか)」、逆に「各個人の目標が、上位目標の達成に貢献するものか」という2つの視点でチェックしましょう。

 

  • T:Time-bound(明確な期限)

いつまでに達成するかが明確になっていない目標は、行動をドライブさせません。MBOを制度として運用する場合には、必ず目標の設定期間がありますので、期限が曖昧になることはないでしょう。

 

なお、業界や会社にもよりますが、MBOの目標期間は一般的には四半期が適切です。現在のスピード感だと、半期や1年ごとの期限だと、設定した目標が周囲の状況とずれてしまうことになりがちです。

 

 

4. MBOだけを評価制度にしない

社員の評価においては、MBOだけでなくほかの評価制度も取り入れて、総合的に判断を下すことが大切です。

 

例えば、MBOにおいて、目標の難易度をチームや部門を超えて完璧に揃えることは困難です。また、目標達成を後押しする外部変化もあれば、向かい風となる外部変化もあるでしょう。

 

MBOの目標達成率は重要ですが、階層に応じてMBOの結果のみで評価をおこなうのではなく、プロセス評価や実力評価等の要素を加えることが有効です。その場合、階層があがるほど、結果責任のウェイトを高める運用が一般的です。

 

 

5. MBOの考え方を浸透させて、PDCAを回す

MBOの考え方を社内に浸透させることもポイントの一つです。とくに管理職層がMBOの考え方を理解して、また目標設定のコツをちゃんと押さえることが重要です。また、MBOと日常のマネジメントで追いかけているものが一致しているかもPDCAを回す必要があります。

 

まとめ

本来のMBOは単なる「目標管理制度」ではなく、以下のような本質を持つ概念です。

 

  1. 社員の主体性を引き出し、セルフマネジメントを促進する
  2. 目標によって個人の力を組織のゴールに集約する

 

この2つがうまく機能すると、「組織の理念・ビジョン > 組織の計画 > 部門の計画 > 個人の計画」に一貫性がもたらされ、個人の目標が最終的に経営目標の達成に貢献するものになります。

 

MBOにおける目標設定と運用のポイントは以下のとおりです。

 

  • 目標設定は大きなところからはじめる
  • 設定する目標は絞り込む
  • 目標設定における「SMART」の原則を活用する
  • MBOだけを評価制度にしない
  • MBOの考え方を浸透させて、PDCAを回す

 

これらの事項に気をつけて、適切にMBOを運用すれば、社員一人ひとりが自主性を持って組織の目標達成に貢献できるような環境が実現していくでしょう。

著者情報

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

HRドクター 編集長

株式会社ジェイック 取締役 古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等 twitterはコチラ。ぜひご覧ください。 古庄拓/ジェイック取締役 https://twitter.com/tfurusyo

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