若手社員のモチベーションを高め続け、組織に貢献できる社員を育てるコツ

2020/10/05

仕事をするうえで、「モチベーション」は大事なキーワードの一つであることは言うまでもありません。経営者や管理職の方であれば、「モチベーションとか関係なく、パフォーマンスをあげるのがプロだ」と思いたくなる気持ちもありますが、実際には仕事の内外で生じるさまざまな感情などが、仕事への集中力やパフォーマンスに影響を及ぼすのも事実です。

 

記事では、入社2~5年程度の若手社員にフォーカスして、モチベーションが下がってしまう3つの要因とモチベーションを高めるためのポイントを解説します。

<目次>

若手社員のモチベーションがなぜ下がるのか?

モチベーションという言葉にもさまざまな意味合いがありますが、本記事では心理学的な「動機」ではなく、もう少し漠然として「仕事へのやる気・意欲」といった意味合いでのモチベーションについて解説していきます。まず、若手社員のモチベーションはなぜ下がってしまうのでしょうか。

 

ある程度仕事を覚えて、「さあ、これから大きな成果をあげていける」という入社2~5年目ぐらい若手社員のモチベーションが下がってしまっているケースは多く見られます。大きく3つ挙げられます。

 

1.ルーティン業務への飽き

2.承認不足

3.成長実感の不足

 

一つずつ、見ていきましょう。

 

 

若手社員のモチベーションが下がる要因1:ルーティン業務への飽き

1つ目は、自分の仕事を「ルーティン業務」と捉えて、飽きている、将来の展望が見えなくなっているパターンです。

 

「新入社員で配属され、最初に仕事を任された時には、責任感と希望に充ち溢れていたが、入社して日が経つうちに、同じようなことしかやっておらず、代わり映えのしない日々になっている。毎日、会社に来て同じことを同じように行なって、時間がきたら帰る」という状態です。この繰り返しで、モチベーションが下がることは当たり前でしょう。

 

実際にどこまで仕事がルーティン業務なのか?という側面はありますが、本人が「同じことの繰り返し」「次のステップが分からない」「期待されていることが分からない」と認識してしまっていると、モチベーションを高く維持することは難しいでしょう。

 

 

若手社員のモチベーションが下がる要因2:承認不足

2つ目の要因は、「承認不足」です。

 

「入社以来、いろいろなことを学び、仕事もできるようになってきているはずなのに、褒められたり、『できるようになったね』『成長したね』といった声掛けをされたりすることは年々少なくなっている。新入社員の頃は褒められることもあったが、ここ数年は皆無。それどころか、やって当たり前という空気が流れている」という状態です。これもやはりモチベーションが下がりがちです。

 

「何も分からなかった1年目ではないのだから、何でもかんでも褒められるものじゃない」と思う方もいるかもしれません。しかし、今の20代はSNS文化の中で育っており、「いいね」など他人からの評価や承認に、昔以上に敏感になっています。

 

仕事は、能力や実力があがれば、それに応じて目標や仕事の難易度もあがります。従って、ある意味では常に「目標に対して精一杯」の状態が続きます。その中で、今の若手社員は自己肯定感が低い傾向もあり、他人からの承認を通じて成長実感や居場所への安心感等を得られないと、モチベーションが下がる傾向が強くなっています。

 

 

若手社員のモチベーションが下がる要因3:成長実感の不足

最後に挙がるのが、「成長実感のなさ」です。

 

成長実感のなさは、1つ目2つ目の理由ともリンクしてくるものです。本人が仕事をルーティン業務として捉えていれば、その中で成長実感を得ることは難しいでしょう。また、目標は常に上がっていく中で、他人からの承認がないことも成長実感の得にくさに拍車をかけます。

 

そうすると「この会社にいても成長できないのではないか?」と疑問を持ち、転職を考え始めるようになります。これに拍車をかけるのが、他社に努める友人やWEB上の記事などです。友人と久しぶりに顔を合わせて、仕事の様子等を話す機会があり、その中に自分より大きな仕事を任せられている人や活躍している人もいます。また、今の時代は、WEB上には、「入社1年目で活躍して…」「入社3年目で抜擢されて…」という記事が無数にあります。

 

活躍する友人やWEB上の記事など、いわば、「隣の芝生」を見れば、羨む気持ちが湧いてくるものです。良い方向に働けば「自分も頑張ろう」という意欲に繋がりますが、悪い方に影響すると、「この会社にいても意味がない」という思い込みに拍車をかけて、さらにモチベーションは下がっていきます。

 

 

時代変化とモチベーション低下の要因

ここまでに紹介した「ルーティン業務」「承認不足」「成長実感のなさ」が若手社員のモチベーションが下がる大きな要因です。

 

職場での人間関係や労働環境の不備(残業が多い等)もモチベーションが下がる要因ですが、ハラスメント防止が進んできたり、働き方改革が浸透してきたりした中で、いわゆる“ブラックな上司や職場環境”によるモチベーション低下は減ってきた感覚があります。

 

今の若者は、子供の頃にリーマンショックや東日本大震災などを見ながら育った世代です。その結果、組織に対するロイヤリティはもともと低くなりがちで、自己成長や貢献、仕事のやりがいなどに重きを置く傾向があります。その結果として、紹介したような「やりがい」や「成長」に関する要因がモチベーション低下に影響する割合が大きくなってきています。

若手社員のやる気を引き出し、モチベーションを高める3つのポイント

若手社員のやる気を引き出してモチベーションを高めるには、以下の3つのポイントを実践しましょう。

 

1.承認欲求を満たす=話を聴く

2.長実感をつくる=小さなチャレンジをさせる

3.仕事の目的・意義を見出してもらい、当事者意識を醸成する

 

それぞれ、解説していきます。

 

 

1. 承認欲求を満たす=話を聴く

マネジメントの中で、「承認欲求を満たす」ということは注目を集めているテーマの一つです。企業でマネジメント研修を行なう機会も多いですが、管理職の参加者からもよく「どうやればいいのか?」と質問をいただくことが増えています。

 

そして、「承認欲求を満たす」というテーマですが、かなりの確率で「承認すること=褒めること」と勘違いされており、「私自身も褒められてこなかったし、未熟なところも多い若手社員をどう褒めればいいか…」という悩みをよく伺います。確かに「褒めること」は、承認するアクションの一つですが、「承認すること=褒めること」ではありません。

 

では、マネジメントするうえで何をしたらいいのでしょうか。一番簡単で、大事なことは、「話を聴く」ことです。「そんなこと?」と思う方もいるかもしれませんが、相手のモチベーションを高められるレベルで、「聴くこと」ができている管理職の方はなかなかいません。

 

とくに対若手社員になると、途中で話をさえぎって自分が話し始めたり、理解したつもりになって相手の話をまともに聞いていなかったりすることも多いでしょう。相手を満足させるコミュニケーションにおいて理想とされる「聴く:話す」のバランスは、「7:3」です。日常の中で若手社員のレビュー等があれば、ぜひ終わった後に「聴く:話す」にバランスを振り返ってみてください。多くの場合、自分が話しすぎていることに気が付きます。

 

承認欲求を満たすうえで、無理に「褒める」必要はありません。「相手の成長」や「できるようになったこと」は、成長実感を与えるうえでも褒めたほうがいいのは確かです。ただ、成長したと思ってもいないのに無理やり褒めても、ほころびが出て、逆にモチベーションを下げる結果になります。

 

「話を聴く」という行為は、相手の存在や意見を認めるメッセージであり、じつは「承認欲求を満たす」ことに繋がります。ぜひ取り組んでみてください。

 

 

 

2. 成長実感をつくる=小さなチャレンジをさせる

「成長実感がない」ことは、今の若手社員にとっては非常に大きな問題です。とくに最近では、若いうちから活躍する人の情報がどんどん耳に入ってきます。その中で、「今の環境でいいのか」「この会社にいて大丈夫なのか」という不安が以前よりも募りやすくなっています。その結果、前向き、優秀な若手ほど、「成長できない環境で不安」「キャリアが築けなくて将来の見通しが立たないかもしれない」と考えると、転職を選択することも少なくありません。

 

この状況を解決するためには、「成長実感をつくる」ことが重要です。成長実感をつくるためには、1つは前のブロックで紹介した通り、「相手の成長を伝える」や「できるようになったこと」を伝えることです。そして、もう1つは「振り返りの機会等を作って、若手社員に自分自身で成長した点を確認させる」ことです。

 

この2つをやるうえで、実際に成長できるように小さなチャレンジをさせることが大事です。もちろん、本当にルーティン業務として、本人がやらなければならない仕事もあると思います。そのうえで仕事の5%~10%ぐらいは、成長を実感できる、チャレンジさせるような仕事をやらせると良いでしょう。

 

チャレンジは必ずしもまったく新しい仕事である必要はありません。今の仕事の中でも、今までよりも広い範囲を任せてみる、改善提案を出してもらうなども、チャレンジの形です。上司からするとチャレンジさせることは、不安も出てきますが、実際に成長させ、モチベーションを高め続けるためにも、小さなチャレンジをどんどんさせることが大事です。

 

なお、「チャレンジ」を成長実感に繋げるためには、チャレンジさせる理由/させない理由をきちんと伝えることも大切です。ブロックの冒頭で述べた「相手の成長を伝える」とリンクしますが、「この仕事がきちんとできるようになったから、次はこれを任せる」「この能力は十分についてきたから、ちょっとチャレンジだけど、これを任せようと思う」「この仕事のこの水準でできるようになったら、この仕事を任せようと思う」と、チャレンジさせる理由/させない理由をきちんと伝えることを意識しましょう。

 

 

3. 仕事の目的・意義を見出してもらい、当事者意識を醸成する

最後のポイントは、「仕事に目的や意義を見出してもらう」ということです。

 

入社した当初、新入社員の頃はできないことだらけですので、「目の前の仕事をできるようになる」だけで精一杯です。しかし、仕事に慣れてきて、“仕事がルーティン業務に見えてきやすい“、入社数年目のタイミングで、仕事の目的や意義を見出すことが大切です。

 

ここでの仕事の目的や意義は、仕事の全体像ではなく、より大きな「自分にとってこの仕事をする意味」です。人それぞれ価値観や考え方がありますので、同じ仕事でも人によって「自分の市場価値を高める」「行きたいキャリアに繋がる」「顧客に貢献できる」「昇進への手がかりになる」「人から喜ばれることが嬉しい」など、見出す意味は違うでしょう。それぞれの人の価値観や仕事に対する考えを尊重することが大事です。

 

大きなレベルで、自分にとっての仕事の目的や意義が見出るようになると、「なんのために今の仕事をしているのか」が明確になり、仕事に対して当事者意識を持てるようになります。じつは、「当事者意識を持つこと以上にモチベーションが上がることはない」と言っても過言ではありません。

 

なぜなら、仕事に対する当事者意識は、内発的動機に繋がっているからです。「与えられたからやる」、「やると他人から褒められる」のではなく、「自分にとってこういう意味があるから」やるという内発的動機は、高いモチベーションを長く維持し続けることに繋がります。

 

若手の教育で「モチベーション」と同時に高めるべき「視座」

若手の教育において、「モチベーション」を高めることと同時に、高めたほうがいいことが「仕事に対する視座」です。視座は「ビジネスの全体像」「時間軸」などを俯瞰する感覚です。

 

若手が仕事を覚えて成果をあげ始めた時は、より大きな仕事を任せたり、主体的にいろいろと提案して取り組んでもらったりするタイミングです。しかし、その時に視座が高まっていないと、どうしてもレベルが低い考えや発言になり、仕事を任せたり提案を通したりすることができず、本人にも会社にも望ましい結果になりません。

 

視座を高めるために、最も良いのは上司の視点を理解することです。上司や会社の思考プロセスや判断基準を伝えて理解してもらいましょう。視座が上がってくると、判断がずれなくなりますし、成果もあがりやすくなります。また、見える範囲が広がることで、仕事の意義や目的、キャリアステップを見出しやすくなり、モチベーションも高まりやすくなるでしょう。

おわりに

記事の冒頭でも紹介した通り、経営者や管理職の方であれば、「モチベーションとか関係なく、パフォーマンスをあげるのがプロだ」と思いたくなる気持ちもあるでしょう。ただ、実際にモチベーションがパフォーマンスに影響する以上、「組織の成果をあげる」ためには、メンバーのモチベーションを高める取り組みをしたほうが良いでしょう。

 

とくに経験の浅い若手社員ほど、自分のモチベーションを自分でコントロールする技術を持っていないことも多いでしょう。若手のモチベーションが下がる要因は、主には「ルーティン業務への飽き」「承認不足」「成長実感の不足」です。ぜひ、聴くことで承認欲求を満たしたり、小さなチャレンジをさせたり、仕事の意義・目的を見出すサポートをしたりするなどの試みを通じて、若手社員がモチベーション高く働く組織をつくってください。

 

 

著者情報

田村 寛

田村 寛(たむら かん) 株式会社ジェイック 講師

田村 寛

大手学習塾へ新卒で入社。教室長としてマネジメント業務を担当。生徒数を108名→181名まで2年間で増やす。その後、薬学部出身という縁で、ドラッグストアに入社。入社1年半で役員へ昇格し、利益率の改善を行う。ジェイック入社後は、教育融合型の採用支援サービス「就職カレッジ®」講師として年間約1,000名以上の若手教育を携わる。その後、大阪支店長に就任。リーマンショック真っただ中において、就任2年目で業績のV字回復を実現。その後、東京に戻り、教育事業部へ異動。研修講師として多くの企業の人材開発支援にあたっている。 『7つの習慣®』担当インストラクター、『原田メソッド』認定パートナー

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