業績につながるサーバントリーダーシップとは?10の特性と実践のポイント

2020/09/11

従来のような指揮命令・コントロールするリーダーシップと真逆の「サーバントリーダーシップ」というリーダー像があります。サーバントリーダーシップは、「支援型リーダーシップ」とも呼ばれ、組織の生産性向上や業績アップに効果的だとされています。

 

サーバントリーダーシップはメンバーの生産性向上や組織の業績アップにつながります。記事では、サーバントリーダーシップが持つ10個の特性と実践のポイントを解説していきます。新しいリーダーのあり方に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

<目次>

サーバントリーダーシップとは?

そもそもサーバントリーダーシップとはどのようなもので、従来のリーダーシップと何が違うのか、基本的な事項を解説します。

 

 

サーバントリーダーシップの特徴

「サーバント=使用人、召使い」という語を冠していることからもわかるとおり、サーバントリーダーシップとは、「リーダーとはメンバーに奉仕するものである」という考えに基づくリーダーのあり方です。

 

“奉仕する”といわれると違和感があるかもしれませんが、サーバントリーダーシップにおいて、「リーダー」はそれぞれのメンバーが持っている力を最大限に発揮できるようにサポート(支援)する役割を担います。そのため、サーバントリーダーシップは「支援型リーダーシップ」ともいわれます。

 

スターバックスの取締役として同社を世界的企業へと成長させたハワード・ビーハー氏は、「すべての人に尽くす人間こそが最も有能なリーダーである」と述べており、これこそが、サーバントリーダーシップの考え方であるといえるでしょう。

 

 

支配型リーダーシップと支援型リーダーシップの違い

サーバントリーダーシップ・支援型リーダーシップの対局に置かれるのが、「支配型リーダーシップ」です。支配型リーダーシップでは、リーダーが部下に指示や命令をすることにより、成果を目指します。

 

強い意志と卓越した能力でチームを引っ張るリーダー像は、支配型リーダーシップにおけるリーダーのあり方です。これに対して支援型リーダーシップは、部下の能力や強みをうまく引き出し、チームの成果につなげていきます。支配型がピラミッドだとしたら、支援型は逆ピラミッドのような構造です。

 

サーバントリーダーシップの中では、各メンバーは、上司の指示を受けて義務感で動くのではなく、自分の意志で主体的な行動を取ることが可能になります。

 

 

サーバントリーダーシップが注目される背景

サーバントリーダーシップは、もともとアメリカで生まれた考え方です。サーバントリーダーシップが日本でも注目されるようになった背景には働き方の変化があります。

 

まず技術の進化に伴って、単純労働はどんどん機械やITに置き換えられ、人間には機械やITには生み出せないホスピタリティや創造的なアイデアが求められるようになっています。それに伴って、リーダーが経験や知識に基づいて指示・命令して、メンバーが実行すれば成果が出ていた時代から、メンバー一人ひとりが考えることが必要な時代となってきました。

 

同時に、これまで終身雇用や大家族主義といった中に存在していた企業と従業員、リーダーとメンバーとの間に生じていた精神的な“上下関係”も崩壊しつつあります。90年代の不景気やリーマンショック等で行なわれたリストラ等により、「企業は社員の一生を守ってくれるわけではない」という価値観が当たり前になりました。その中で転職も当たり前になり、フリーランスや兼業・副業といった働き方が生まれ、組織内においても、プロジェクト型の働き方等が増えてきました。

 

結果として、リーダーが上下関係、また個人の力でチームをコントロールするのではなく、メンバーそれぞれの能力や意志を活かすことでチームとしての成果を目指すサーバントリーダーシップの考え方が注目されるようになっています。

 

 

サーバントリーダーシップで期待される効果

サーバントリーダーシップには、いくつかの効果が期待できます。まずリーダーが一人ひとりの声に耳を傾けるスタイルは、メンバーのモチベーションを向上させます。高いモチベーションは、業務効率や生産性の向上に寄与するでしょう。

 

また、メンバーの自主性が尊重される環境で、上司と部下との信頼関係はより強固なものとなります。そうした信頼関係のもとでは、立場を超えたディスカッションが活発になり、優れたアイデアが生まれ、結果として組織全体の生産性も向上します。

 

サーバントリーダーシップを提唱したロバート・K・グリーンリーフ氏の著作は、日本語にも翻訳されています。サーバントリーダーシップを詳しく知りたい方は、以下の書籍から深く学ぶのもおすすめです。

 

 

サーバントリーダーシップで求められる10の特性

サーバントリーダーには、10の特性があるといわれています。それぞれの特性を確認してみましょう。

 

1.傾聴
人の話にしっかりと耳を傾け、相手が本当に伝えたいことを聞き出し、リーダーとしてどうすれば役に立てるかを考えます。

 

2.共感
相手の立場に立って物事を考えます。誰しも完璧ではないということを理解し、相手のことを受け入れて、気持ちを理解します。

 

3.癒し
メンバーが失敗して落ち込んでいる時には心の傷を癒し、本質的な力を回復させます。組織として、個々の欠けている部分や弱みを、各メンバーの強みを活かして互いに補い合えるようにします。

 

4.気付き
物事を敏感に、かつありのままに感じ取り、本質を見ます。それによって自分自身にも相手にも気付きを与えます。

 

5.説得
自身の権限によって服従させるのではなく、相手の同意を得たうえで、納得を促しながら話を進めます。

 

6.概念化
個人やチームのビジョンを明確に示して、メンバーに伝えます。

 

7.先見力、予見力
現状を俯瞰し、過去の事例とも照らし合わせながら、未来に起こる出来事を予測します。

 

8.執事
相手よりも一歩引いた立ち位置で、自分の利益よりも相手が利益を得ることを喜びとします。

 

9.人々の成長に関わる
メンバーの可能性や価値に気付き、それぞれの成長を促すことに積極的に関わります。

 

10.コミュニティ作り
メンバーに対する愛情と癒しにあふれ、それぞれが大きく成長できる協力的なコミュニティを作ります。

 

サーバントリーダーシップで生じがちな誤りと問題点

サーバントリーダーシップを実践しようとするに、陥りやすい誤りがいくつかあります。成果につながるリーダーシップを発揮するためにも、陥りがちな誤りや問題点を把握しておきましょう。

 

 

部下の言いなりはNG

サーバントリーダーシップは、メンバーの機嫌をうかがったり、言いなりになったりすることではありません。組織としての目標を達成するためにリーダーはメンバーを支援して、メンバーの能力を最大限引き出すのです。

 

メンバーの意見に迎合したり、メンバーの代わりに自分がすべてのトラブルを引き受けたり、メンバーの欠点に目をつぶったりするのは、組織の目標達成とメンバーの成長に関心がないのと同じです。サーバントリーダーシップは、「優しいだけのリーダー」ではありません。

 

 

メンバーの主体性が高くないとうまく機能しない

チームの中に、受け身で主体性があまりないメンバーが多い場合には、サーバントリーダーシップはうまく機能しないでしょう。サーバントリーダーシップがうまく機能するには、メンバー一人ひとりが高い主体性を持ち、組織としての目標達成にコミットしている状態が必要です。

 

メンバーの主体性を引き出し、組織としての目標にエンゲージメントさせることもリーダーの仕事ではありますが、一方で、相手の成長ステージや状態によっては、支配型リーダーシップが適しているケースがあることを知っておきましょう。

 

 

組織としての決断に時間がかかる

サーバントリーダーシップは、従来の支配型リーダーシップのようなトップダウン形式ではなく、対話型のリーダーシップです。そのため、組織の方向性をまとめるまでに時間がかかるという欠点もあります。

 

しっかりと対話して決めるからこそ、チーム一人ひとりが納得して方向性にコミットするというメリットの裏返しでもありますが、時間がかかるというデメリットもあらかじめ把握して、状況に応じて発揮するリーダーシップを選択できると有効でしょう。

サーバントリーダーシップを効果的に機能させる3つの考え方

前章ではサーバントリーダーシップの実践に際して生じがちな誤りや問題点を紹介しました。この章では、サーバントリーダーシップを効果的に機能させるための3つの考え方をご紹介します。

 

 

シチュエーショナルリーダーシップの考え方

サーバントリーダーシップが持つ「傾聴」「共感」「癒し」「気付き」「説得」「概念化」「先見力・予見力」「執事」「人々の成長に関わる」「コミュニティ作り」という10の特性は、リーダーにとって磨くべき要素であることは間違いありません。

 

メンバーの習熟度や状況、また時間軸やテーマに応じて、支配型リーダーシップとサーバントリーダーシップ(支援型リーダーシップ)を使い分けていくことで、より効果的なリーダーシップを発揮できると考えることがおすすめです。

 

 

ミッションやビジョン、バリューによる方向性と基準の統一

サーバントリーダーシップで生じがちな「決断の遅れ」を補完する方法のひとつは、ミッションやビジョン、バリューの浸透です。ミッションやビジョン、バリューを明確にして、浸透させることで、意思決定の基準が統一されます。

 

対話しながら決めるうえでも、意見をもらったうえでリーガーが意思決定するという場合でも、大きな方向性と意思決定の基準を統一することで、短時間で納得感を得やすくなるでしょう。

 

 

ルールによる意思決定

サーバントリーダーシップの考え方を取り入れ、優秀な人材の活性化に力を入れているサイバーエージェントでは社員からの意見や提案を重視しています。新規事業の創出においても、社員たちが互いのアイデアを競い合える独自の提案制度を設けています。また、内定者や入社1年目の新人を子会社の社長に抜擢して経営を任せる等、可能性にも挑戦させています。

 

一方で、会社のルールとして、新規事業では、「四半期連続で減収減益になったら撤退もしくは事業責任者の交代」とルールを明確化することで、メンバーの提案を尊重し可能性に任せられる環境を作っています。

 

このように「ルールがあるからこそ、その中では自由に任せる」という考え方も、サーバントリーダーシップを有効に機能させる参考になるでしょう。

まとめ

技術の進化や働き方の多様化に伴って、支配型リーダーシップに代わるリーダーのあり方として注目されているのがサーバントリーダーシップです。

 

サーバントリーダーシップは、実践するうえでの落とし穴や問題点もありますが、メンバーの強みや可能性を引き出すうえでは非常に有効なリーダーシップのあり方です。記事がサーバントリーダーシップの考え方を取り入れる参考になれば幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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