マネジメント研修の内容を解説!受講させる目的や実施のポイント

更新:2022/04/30

作成:2022/04/30

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

マネジメント研修の内容を解説!受講させる目的や実施のポイント

 現場におけるマネジメントの中核を担い、また価値創出の要を担うマネジメントの能力向上は組織にとって欠かせないものであり、能力向上の手段としてマネジメント研修を実施している企業が殆どです。

 ただし、マネジメント研修の内容は、研修の目的や受講者によっても大きく変わります。新任マネージャーとすでにマネジメントを経験している既存マネージャーでは、受講してもらう研修を変える必要があります。

 本記事では、マネジメント研修を社員に受講させる目的や実施のポイント等をわかりやすく解説しています。

<目次>

マネジメント研修とは

 最初にマネジメント研修の目的を簡単に確認しておきます。

マネジメント研修を社員に受講させる目的

 マネジメント研修の目的は、企業規模や成長フェーズ、社員の育成方針によって変わりますが、ほとんどは下記を目的とされています。

<マネジメント研修の目的>

1)マネージャーのマネジメントスキルを向上させ、組織やチームの目標を達成させること
2)将来の幹部候補を育成し、事業を拡大すること
3)企業のミッション、ビジョン、バリューをリーダー層に浸透させ、組織風土を醸成すること

マネジメント研修で身に付く知識やスキル

 次に、マネジメント研修を受講させることで社員が身に付く知識やスキルを確認していきます。一般的にマネジメント研修で学習する内容は下記のものです。

マネジメントの役割と責任

 マネジメントの役割とは、チームを管理・運営して目標達成へと導くことであり、チームでの成果創出に対して責任を担うことになります。

 「目標達成できないのは、メンバーのせいだ」など、成果創出に関する役割を誤解しているマネージャーでは、マネージャーとしての役割を果たすことは難しいでしょう。マネジメント研修を受講させることで、マネジメントの役割と責任を確認し、マネージャーとしての自覚を持たせます。

マネジメントの原理原則

 マネジメントで成果をあげるための “原理原則”を理解しておくことが、安定して成果を上げるためには大切です。

 マネジメントの原理原則は、例えば下記のようなものです。

<マネジメントの原理原則>
  • 意思決定とリーダーシップ
  • 人間性を土台とした信頼関係
  • 目標達成に向けたテクニカルスキルの必要性

 研修で社員がマネジメントの本質を理解し、実際の現場で実行してもらうことが重要です。

マネジメントの具体的なスキル

 マネジメントで成果を出し続けるためには、役割認識やマインドセットだけでなく、より実践的なマネジメントスキルが必要です。

<具体的なマネジメントスキル>
  • ロジカルシンキングを土台にした目標設定とPDCA
  • メンバーの主体性を引き出すコーチングやファシリテーション
  • 人材育成に関する計画立案や指導実務

 マネジメント研修で、具体的なスキルを習得してもらい、職場での実践的なマネジメントに活かしてもらうことが大切です。

マネジメントするうえでの注意点

 具体的なスキルとともに、マネジメントの失敗しやすいポイント、陥りがちな罠なども事前に知っておくことで、失敗を避けることができるでしょう。

<マネジメントするうえでの注意点>
  • 人間関係を気にするあまり必要な指導や叱責ができない
  • 結果追及と人間関係、どちらかに偏り過ぎてしまう
  • メンバーのモチベーションを落としてしまう
  • 人材育成が疎かになる
  • ハラスメントやコンプライアンス

マネジメント研修の対象者と研修の目的・内容

 次に、マネジメント研修の対象者とそれぞれの対象者に対する実施の目的や内容を簡単に解説します。

新任マネージャー

 プレイヤーとマネージャーは役割や責任が異なります。前章が紹介したような「組織の成果に責任を持つ」意識への切り替えができないと、「プレイヤーとしては良かったけど、マネージャーに上げたら責任感がない。リーダーの役割をわかっていない」ということが生じがちです。

 プレイヤーとマネージャーでは役割が変われば、求められるスキルも異なってきます。「プレイヤーとマネージャーで役割と必要なスキルが変わる」という認識を持ってもらうためにも、新任マネージャー向けのマネジメント研修は必ず実施することがおすすめです。

 内容としては、前章で解説したマネジメントの役割や責任、原理原則、具体的なスキル、注意すべきポイントなどにあります。

既存マネージャー

 既存マネージャーであれば、一定の役割意識やスキルは備わっていることが多いでしょう。しかし、そのなかで期待するような成果を上げられない、また、成長が滞留することがあります。この場合、マネジメント研修を通じて、再教育・パワーアップが必要となります。

 既存マネージャー向けのマネジメント研修は、生じている課題に応じて内容が異なりますが、大きく分けると以下の2つです。

①不足しているスキルを集中的に鍛える
 ⇒例えば、PDCAやKPIマネジメント、また、ファシリテーションとコーチングなど、不足しているスキルを短期集中で学ぶ内容です。

②意識変革、マンネリ感の打破
 ⇒スキル面よりも成長の滞留などでマインド面の変革に重きが置かれる場合には、体験型のワークショップ、またリフレクション研修などの内容が多くなります。

マネジメント研修の実施方法や種類

 ここまでマネジメント研修の概要や重要性を解説してきました。次にマネジメント研修の具体的な実施方法や、実施の種類を紹介します。

Off-JT(社内研修)

 社内でのOff-JTは、自社の社員を集めて実施する形で行なわれる研修です。自社の社員が講師となって実施する場合と、社外から講師を招いて実施する場合の2パターンがあります。

 自社の社員が講師を務めるメリットは、自社の業務に直結した内容、自社の社風などを踏まえての注意ポイントなど、実務的な内容を教えられることです。一方で、マネジメントの意識と型を教えるには、プレイヤー層向けの研修やスキルと研修と比べて講師に求められる難易度が高くなり、社内に適当な講師がいない場合もあるでしょう。

 逆に、外部講師に依頼する場合は、業務への直結というメリットはなくなる一方で、理解しやすいフレームワークや設計された研修内容など、プロ講師としての効果性を期待できることがメリットです。

 また、中堅中小企業で普段から顔を見知った人が講師をする場合、和やかな雰囲気は作りやすい一方で、緊張感を持った場は作りづらい傾向もあります。従って、既存マネージャー向けのマインド面の研修などは外部講師が向いている場合が多いでしょう。

Off-JT(社外研修)

 社外のOff-JTは、社員を派遣して研修を受講してもらう手法です。さまざまな業界、業種のマネジメント層と交流ができるので、新たなマネジメントの知識や、取り組みを学ぶことができます。

 また、マネジメント研修の場合、多くの中堅中小企業では社内研修を実施するほど対象者がいないということもよくあります。その場合、1名から派遣できる社外研修(公開型のマネジメント研修)が利用しやすい選択肢となるでしょう。

OJT

 OJTは、実務を通じて学んでいく学習方法です。マネジメントスキルは、現場での経験を通じて鍛えられていくものですので、その意味で、マネジメント研修におけるOJTは不可欠といえます。

 ただし、意識の切り替えや新たなスキル習得は、OJTだけで身に付けることは困難で、Off-JTを通じてフレームワークや知識をインプットしたうえで、実践のフォローとしてOJTを組み合わせることが効果的です。

 とくに既存マネージャー向けのスキル研修等では、例えば、PDCAとKPIマネジメントに関するOff-JTを実施したうえで、毎週のマネジメント会議に講師もオブザーブしてフィードバックする、といった形での組み合わせが効果的です。

マネジメント研修を実施する際の注意点と対策

 次に、マネジメント研修を実施する際の注意点と対策を解説します。

“研修を受ける”ことが目的になってしまう

 「企業や上司に言われたから」と研修の受講が目的になってしまうと、研修の効果は発揮されにくいものです。

 従って、研修受講する前に、受講するマネージャーに対して

  • 企業からの期待
  • 成長テーマ
  • 研修を通じて得られるもの

 等を伝えて、受講への動機付けを行うことが大切です。

“振り返りや実践”につながらない

 研修を受講しても、振り返りをしなければすぐに忘れてしまいます。研修を受講した社員が振り返りの時間を設定できるような仕組みを整えましょう。

 また、研修内容は実践しなければ効果が上がることはありません。したがって、研修を設計する、選ぶうえでは、“研修で学ぶ⇒実践内容に落とし込む⇒実践する⇒振り返る”というサイクルを組み込む、組み込まれたものを選ぶことが大切です。

マネジメント研修を効果的にする“4:2:4の原則”

 研修効果を最大化する“4:2:4の原則”は、社員研修の分野では有名な原則です。自社で研修設計する場合も、外部研修を選ぶ場合も、4:2:4の原則を把握して、設計・選定することが大切です。

“4:2:4の原則”

 “4:2:4の原則”は、研修等において、研修前・研修・研修後という3つの要素が行動変容に与える要素の割合を示したものです。

 4:2:4の原則によれば、研修後に期待される行動変容に対して、影響を及ぼすウェイトは、研修前が4割、研修が2割、研修後が4割となっています。つまり、研修の効果性を高めるためには、じつは研修前後の取り組みや対応こそが非常に重要となります。

<4:2:4の原則における3つの要素と効果性を高めるための施策>

研修前
  • 研修目的の明確化
  • 研修参加者に目的や期待を伝える
  • 参加者に事前の振り返りや準備をしてもらう
研修
  • 学習ピラミッド等を踏まえたプログラム設計
  • 研修内容の分かりやすさと実務とのリンク
  • 自分の仕事へのブリッジングやtodoの設定
研修後
  • 研修で学んだことのアウトプット
  • 実践を促すフォローアップ
  • 継続的な実践のサポート

マネジメントの基礎と原則を学べる書籍3選

 本章ではマネジメント研修から少し外れて、マネジメントの基礎と原則が学べる書籍3冊を紹介します。マネジメントの具体的なスキルというよりは、リーダーとしての責任感や意識、メンバーとの信頼関係を作ったり、根底となる人間性を磨いたりすることに役立つ3冊です。

 マネジメント研修を考えるとき、“スキル”を身に付けさせることに意識がいってしまいがちな部分もありますが、3冊で紹介されるような考え方や意識の部分もぜひ忘れずに盛り込んでください。

『経営者の条件』

 “マネジメントの父”とされているドラッカーによるセルフ・マネジメントの原則が紹介された一冊です。自分自身をマネジメントできていないマネージャーが、メンバーをマネジメントすることは出来ません。マネージャーにとって、成果をあげるために立ち戻るべき“基本”を確認できる書籍です。

『7つの習慣』

 【20世紀に最も影響を与えたビジネス書】として認知されており、ビジネスでもプライベートでも“得たい結果”を手に入れるための原理原則が記載されています。メンバーと信頼関係を作るうえで根底となる人間性の磨き方が身に付きます。

『人を動かす』

 人付き合いの根本原則を実例豊かに説き起こし、時代を超えて読み継がれる不朽の名著です。人間関係の原則が実話や事例を交えてわかりやすく解説されており、コミュニケーションの原則やコミュニケーション力の向上を考えるうえでのバイブルです。“人を動かして成果を上げる”マネジメントにとって、必要不可欠なヒューマンスキルの原則を学べる書籍です。

マネジメント研修を行なっている企業3選

 最後にマネジメント研修を行なっている企業を3社紹介します。どの企業も講師を派遣しての社内研修、1名から派遣できる社外研修(公開コース)、両方を提供していますので、外部の利用を考える際には比較検討すると良いでしょう。

リクルートマネジメントソリューションズ

①研修の特徴
 講師による講義だけではなく、受講者同士で高め合うグループワークなどを通し、学びの効果を最大化させる工夫を取り入れた独自のプログラムが特長です。昨今人気のオンライン研修でも、異業種交流で相互研鑽ができる仕組みを取り入れています。

②こんな企業におすすめ!
「我流のマネジメントばかりで、なかなか成果が出ない」
「プレイングとの両立で管理職の負荷が高まっている」
「テレワークでのメンバー育成が難しい」
など

インソース

①研修の特徴
 マネジメントの肝となる「組織」「業務」「人」の3つの管理ポイントをとらえた研修です。3つの要素を管理するスキルを習得することで、メンバーの力を最大限に引き出し、組織目標を達成できるマネジメントの実現を目指す研修内容です。

②こんな企業におすすめ!
「業種別でマネジメント研修を受講させたい」
「マネジメントの原理原則を押さえて欲しい」
「自社に合わせてカスタマイズできる研修がない」

ジェイック「JAICリーダーカレッジ」

①研修の特徴
 JAICリーダーカレッジでは、継続研修プログラムで、上司・メンバー・同僚からの360度評価や上司面談が組み込まれています。360度診断の結果から自分の強みや成長課題、周囲からの見え方を自覚。また、上司面談等を通じて、行動や意識を変容させる必要性に気付かせる点が大きな特徴です。

 また、継続教育プログラムとして、「必要な考え方やスキル学習する⇒職場で実践する⇒実践の結果を振り返る」という学習サイクルが組み込まれ、効果性の高いプログラムとなっています。

②こんな企業におすすめ!
「次世代リーダーに対して何らかの研修を実施してから昇格させたい」
「プレイヤーからマネージャーの切り替えが上手くいっていない」
「管理職のヒューマンスキルを磨きたい」

まとめ:マネジメント研修で効果的な人材育成を!

 記事では、マネジメント研修の目的やマネジメントの原理原則、研修の効果性を上げる手法等を解説しました。現場の人材をまとめて価値創造の要となるマネージャーは、組織にとって非常に重要なポジションです。

 マネージャーの層が分厚いかどうかで、幹部層が使える時間や新規事業や拠点展開の実現性も変わってきます。記事の内容も参考に、自社に適したマネジメント研修で、マネージャー育成に取り組んでください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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