モチベーション管理の方法!部下や社員の士気を高めるシステムとは?

2020/03/31

「モチベーション」という言葉は、心理学において「動機」に関する理論として古くから研究されています。ビジネスにおいて「モチベーション」や「動機」の理解が必要な場面は幅広くあります。

 

「自分のモチベーションをコントロールする」というセルフマネジメント、「自社の仕事にフィットする動機を持つ人を採る」という採用、そして、「社員のモチベーション管理」という人のマネジメントなど、組織の生産性や発展を考えるうえで、モチベーションの話は避けて通ることは出来ません。

 

この記事では「モチベーション」をいくつかの側面から見たうえで、組織マネジメントに活かしていく道筋を解説します。

<目次>

モチベーションとは何か?なぜ重要か?

モチベーション(motivation)は、日本語に翻訳すれば「動機」です。学術的には「人が行動を起こす要因」を総称して「動機」と呼びます。例えば、「空腹な状態で、目の前に食べ物があれば、食べたいという欲求が高まり、食べるという行動が起こります」。

 

このように、「人間の行動は動機によって引き起こされる」、逆に言えば、「動機がないと、人は行動を起こさない」ということがモチベーションを理解・活用するポイントです。

 

 

そもそもモチベーションとは?なぜ重要?

モチベーションという言葉の意味は先ほど解説したように、「人間が行動を起こす(起こさない要因」です。ビジネスは「行動する」ことで成果が生まれますので、成果に向けて人/自分を動かすためにモチベーションという概念を正しく知っておくことは非常に重要です。

 

・「動機付けがされている」=「行動する」

=「能力が発揮される、高い集中力で行動する」

 

・「動機付けが低い」=「行動しない」

=「能力が発揮されない、集中せず注意力散漫に行動する」

 

従って、社員一人ひとりのモチベーションが高ければ成果が出やすく、組織の目標達成に繋がることはいうまでもありません。だからこそ、「社員1人1人のモチベーションが高い」「動機付けがされている」状態を作ることが、組織をマネジメントするうえで重要です。

 

 

モチベーションが下がってしまう理由

最近では、モチベーションという単語は本来の「動機」ではなく、「やる気/意欲」という意味合いで使われることも増えてきました。もちろん「動機」と「やる気/意欲」が密接に関係していることはいうまでもありません。

 

しかし、経営陣や上司からすると、『モチベーションが上がらない』という部下の台詞は「言い訳に聞こえて感情を苛立たせる」という場合が多いのではないでしょうか。『ビジネスのプロとして給与をもらっている中で、“やる気”を言い訳にするな。成果に向けてセルフコントロールして、動くのがプロだろ!』と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

 

組織のマネジメント上、重要ではありますが、捉え方や場面によって経営陣や上司の感情を刺激するという厄介な問題を抱えているのが「モチベーション管理」の領域です。

 

ただ、現実的にはビジネスや仕事の中で、

 

・仕事以外の心配事や懸念

・肉体的、精神的な疲労

・仕事の意味付け不足

・ネガティブな思考

・職場の人間関係

 

などの様々な原因で「集中力が低い」「モチベーションが上がらない」状態はありえます。本人も原因を自覚していない場合もあるでしょう。従って、『プロとして成果に向けて動け』というのは正論ではありますが、同時に組織をマネジメントする側としては『成果に向けて行動が起きるように動機付けする』ことが必要です。

 

では、“動機付け”とは何か、どうすれば出来るのか、次章以降で見ていきます。

 

職場のモチベーション管理するために知っておくべき原理原則とは?

人間のモチベーション、動機をめぐる研究の歴史は長く、ビジネスやマネジメントに応用できる知見が数多く存在します。代表的なものをいくつかご紹介します。

 

 

内的動機と外的動機

「動機付け」を行うためには、動機には「本人を外側から刺激されるもの(外的動機)」「本人の内側から発生するもの(内的動機)」があることを知っておく必要があります。

 

外的動機は「報酬」「表彰」「昇格」などが分かりやすい例です。上司からの「頑張ったな!』という承認も外的動機に分類できます。すなわち「“行為の結果や対価として得られる何か”が本人のやる気や意欲を引き出している」という状態です。

 

外的動機はシンプルであり、組織をマネジメントするうえで有効です。

例えば、実力主義の評価制度、目標管理によるマネジメント、業績比例する賞与制度、表彰制度やインセンティブ、コンテストなどは、外的動機を刺激するマネジメントです。また、人間関係、信頼関係を作ったうえで「褒めることで動かす」という行為も、ある種の外的動機によるマネジメントです。

 

動機のもう1種類である内的動機は、本人の自発的な興味や関心であり、「行為それ自体が目的になっている」ものをいいます。少し分かりづらいかも知れませんが「仕事にやりがいや面白さを見出す」「評価されようがされまいが、それをやることが楽しい」という状態が内的動機です。

 

内的動機は、本人の主体性を引き出しますし、制限もありますので、非常に有効ですが、その名の通り“外から刺激することが難しい”側面があります。

 

このように人間の行動を起こす「動機」にも、内的なものと外的なものがあることを知っておくと、モチベーション管理するうえでも複数の手、また、短期的な施策と中長期での施策などを組み合わせて行っていくことが出来るでしょう。他にも「動機」の分類方法について後ほど紹介していきますので、ぜひ複数のモチベーション管理を組み合わせて、生産性高い組織作りに取り組んでいってください。

 

 

モチベーション管理における外的動機付けのメリットとデメリット

外的動機の良い点は、シンプルであり、コントロールが簡単だという点です。

外的動機付けの方法には、先ほど紹介したような人事制度や評価制度、インセンティブやキャンペーン、表彰などがあります。外的動機で提供する対価も、金銭だけでなく、名誉、承認欲求、権限など、様々なものがあります。

 

何を提供することが良いかも、後述するいくつかの動機の理論を知っておくと組み合わせることが出来るでしょう。

 

一方、外的動機のデメリットは対価以上のパフォーマンスが期待できないことです。下記に具体的な例を挙げてみます。

 

・対価が得られることが決まった

 

Ex)「月間10件獲得したら5万円」のキャンペーン

⇒10件達成したら、11件目をやる動機付けはされない

⇒むしろ、11件目は翌月に回したい

 

・対価が得られない(得られないであろう)ことが決まった

 

Ex)「月間10件獲得したら5万円」のキャンペーン

⇒15日時点で3件である

⇒これ以上頑張ろうとは思わない

 

また、外的動機は「対価」という刺激で人を動かすので、依存性が生じやすくなります。

 

・対価が得られないなら頑張ろうとは思わない

 

Ex)「月間10件獲得したら5万円」のキャンペーン

⇒キャンペーン期間が終わったら、やる気が落ちる

 

・同じ対価だと刺激が減っていく

 

Ex)「月間10件獲得したら5万円」のキャンペーン

⇒徐々に“5万円”だと動かなくなり、7万円、10万円…とインフレが起こる

 

デメリットがあるから外的動機付けは避けた方がいい、ということではありません。

例えば、ある上場企業では「利益目標を達成した場合、目標から上積みされた分の経常利益は50%を賞与として社員に還元する」制度を取り入れています。制度を取り入れた結果、社員一人ひとりが経費削減や生産性UP、部門間協力などの行動を起こし、組織の生産性も社員の平均年収もグングン上げることが出来たという事実があります。

 

外的動機付けは強力である反面、注意すべき点がありますので、ぜひうまく活用してください。

 

 

マネジメントにおける内的動機付けのメリット・デメリット

内的動機は、外から与えられたものではなく、社員一人ひとりの中で生じるものですので、持続しやすい、制限がない、費用もかからないといった素晴らしい特徴があります。一方で、外から与えることが出来ないからこそ、直接的にはコントロールできない、マネジメントが難しい側面があります。

 

内的動機には、仕事のやりがい、成長実感、目標達成といったものがあげられます。内的動機の中でも、「目標達成することに喜びを感じる」達成動機などは、後天的に変えることは難しいですので、採用段階でしっかりと把握して選考することが重要です。

 

一方で、「仕事のやりがい」や「成長実感」などは、社員教育やマネジメントを通じて「考える機会を作る」「見出すサポート」「気づく機会を作る」ことが出来ます。社員一人ひとりに内的動機付けがされている組織は、社員が自走しますので非常に強くなります。外的刺激と合わせて、ぜひ取り組んでください。

 

 

マズローの欲求5段階説

人間の欲求を5つに分類したマズローの欲求5段階説はご存知の方が多いでしょう。マズローの欲求5段階説はモチベーション管理を考えるうえでは、知っておくと有効です。

 

マズローの欲求5段階説は、人間の欲求を5つに分類します。

 

「自己実現」  …自分の能力や可能性を発揮したい

「承認」      …他者から感謝や尊重されて、自信を得たい

「所属」      …どこかに所属し、良好な人間関係を持ちたい(社会的欲求)

「安全」      …身体的・経済的に安定・安全でいたい

「生理的欲求」…食事、睡眠、呼吸など、生物としての生存本能を満たしたい

 

マズローの欲求5段階説をモチベーション管理に活用する際のポイントは「下位の欲求が満たされないと、上位の欲求を満たすことには動機付けされない」とされている点です。つまり、「モチベーション管理したい相手が、いまどこのステージにいるか?」が重要になります。

 

欲求はどんどん上位に上がっていくだけでなく、現実世界では下位に下がることもあります。例えば、「同僚と口論をした(所属の欲求不足)」「顧客からクレーム受けた(承認の欲求不足)」といったこともありますし、「妻とうまくいっていない(所属の欲求)」「家族がリストラにあった(安全の欲求不足)」といったプライベートの原因もありえます。

 

「職場の人間関係がうまくいっていない(所属の欲求が満たされていない)」状態で、「褒める(承認の欲求を満たす)」マネジメントや「仕事のやりがいを見出す(自己実現の刺激)」研修をしても効果は半減してしまいます。従って、相手がいまどのステージにいるか?(どの欲求が満たされていないか?)を考えながらマネジメントしてくことがモチベーション管理上のポイントです。

上司やマネージャーは、部下の「モチベーション」にどう付き合うべきか?

繰り返しになりますが、社員1人1人のモチベーションが高い状態が、組織が成果を上げるうえで重要なことは間違いありません。しかし、経営陣や上司の立場からは『モチベーションが上がらない』という部下の台詞は感情を苛立たせるものでもあります。

 

大前提として、その苛立ちは正しい部分があります。仕事は「成果」に対して評価されるものであり、ビジネスのプロである社員一人ひとりが、「成果」に向けて行動することに責任を持つべきでしょう。しかし、同時に、人間は感情の生き物であり、「行動」が感情やモチベーションという定量化できないものに左右されることも事実です。

 

従って、「組織の成果」にコミットする経営陣や管理職は、「組織の成果を上げる」、すなわち「成果に向けて、行動の質を高め、量を最大化する」ために、環境整備を行い、モチベーション管理をする必要があります。

 

モチベーション管理とは、部下のわがままに付き合うことでも、部下のご機嫌を取ることでもありません。

モチベーション管理のゴールは「職場の一人ひとりが成果に向けて行動の質を高め、量を最大化する」ことであり、そのための“環境整備”がモチベーション管理です。

 

各種研究の結果として、「モチベーションとは何か?」「人はどういう風に意思決定するのか?」はかなりの割合が明らかになっています。従って、「5S活動」や「PDCA」と同じように、「モチベーション管理」も、原理原則に則って、企業の仕組みとして整備したり、管理職の行動として習慣化したりすることが重要です。

モチベーション管理する5つの手法!重要なのは習慣化とシステム化

 

モチベーション管理は、習慣化やシステム化を中心として、いくつかの施策の組み合わせて考えていくことが有効です。

 

仕事での目標を明確化させる

まずは目標を明確にすることで、目標の存在を動機付けの要因とすることが出来ます。目標は人事評価などを結び付けることで外的な動機付けに出来ますし、また、良い目標設定を出来ると、目標自体が達成動機を刺激したり、内的動機付けに繋がったりします。

 

仕事における目標設定をしている企業は多いですが、“動機付け”まで考えて目標設定を行っている企業は少ないように思います。動機付けに向けて目標設定するうえで重要なことは、「SMART」な目標設定です。SMARTは以下5つの頭文字です。ぜひSMARTな目標設定を行う文化を作りましょう。

 

Specific        :誰が読んでも分かる、明確で具体的な表現やゴール設定

Measurable    :目標の達成度が、本人と周囲が共有できる、計測できる

Achievable     :希望や願望ではなく、達成可能な範囲である

Related                     :上位の目標や目的に紐付くものである

Time-bound             :いつまでに達成するかが決められている

 

動機付けを意識した目標設定の場合には、本人と一緒に決めることが非常に重要です。また、“Related”が重要です。目標が会社や部門の目標と繋がっていることはもちろん、個人のキャリアや成長、評価にどう繋がっているかを丁寧に落とし込みましょう。

 

 

モチベーションが低い要因を特定する

モチベーションの低下には、様々な原因があります。ご紹介したようなマズローの欲求5段階説、また、マクレランドの動機理論(達成動機、権力動機、親和動機、安全動機)を知っておくと、メンバーとコミュニケーションを取りながら、なぜ動機付けされていないかの原因を特定しやすくなります。

 

原因を特定できたからといって、必ずしも原因を解消できるわけではありません。しかし、マネジメント手法、コミュニケーション、本人とのすり合わせを通じて、解決できることも多々あるでしょう。

 

 

感謝を伝える、褒める文化を作る

社内で相互に感謝を伝えたり、褒め合う文化を形成したりすることはモチベーション管理に効果的です。感謝を伝えたり、褒めたりすることは、マズローの欲求5段階説にいう「所属の欲求」「承認の欲求」を満たすことに繋がります。

 

褒めるというと、“甘やかす”“基準を下げる”、といったイメージで反発される方もいますが、褒めるうえで「絶対的な基準」を下げる必要はありません。相手の進歩や成長を褒めたり、「(全体としてはまだ基準以下だけど)ここは良く出来た」というように一部を褒めたりすることを意識してみてください。

 

また、「やって当たり前」だと思い込んでしまっていることを見過ごさないようにするだけで感謝を伝えることもいくらでも出来ます。経営陣や管理職が率先して、感謝を伝える、褒めることはモチベーション管理上、極めて有効ですので、ぜひ取り組んでみてください。

 

 

部下の意見に耳を傾ける

自分の考えを発言できる環境があったり、自分の提案が受け入れられたりことは、「承認欲求」を満たしたり、「自己実現」へと繋がります。とくに「自分の考えたことを実行して、成果が出る」経験は、承認・自己実現の欲求を満たすことに強く繋がります。相手の考えを引き出したり、会議の中で意見を出し合って計画を作ったりするようなコーチングやファシリテーションのスキルを管理職が持つことも重要です。

 

 

アファメーションを習慣化する

アファメーションとは、自分の理想やポジティブな未来を思い描き、それを言語化して宣言することです。アファメーションの場合、目標そのものが本人の内的な動機付けに繋がることもあり、実現へのモチベーションを大きく向上させる効果があります。

 

アファメーションと言うと、職場で気軽に取り入れることが難しそうですが、例えば、会議の冒頭で「今日の会議で自分は何を実現するか?」を考えて宣言してもらう、朝礼で「私は今日1日で何を達成してどんな感情で仕事を終えるか?」を発表してもらう、といったこともアファメーションの一種です。

 

モチベーション管理の導入事例

実際にモチベーション管理を導入し、成功を収めている事例をいくつか紹介します。導入する際の参考にしてください。

 

 

感謝や褒める文化を作る

株式会社カヤックの「スマイル給」、リッツカールトンホテルの「ファーストクラス・カード」などは、社員同士の相互承認を促進させることによるモチベーション管理の事例です。

 

スマイル給は「毎月社員同士で、相手の良いところを見つけ、気の利いた言葉にして贈ると、相手の給与明細に印字される」という制度です。また、リッツカールトンホテルのファーストクラス・カードは「自分の仕事を手伝ってくれたスタッフに感謝の気持ちを伝えるカードを送る」仕組みです。どちらも感謝や承認を伝え合うことを組織に組み込む仕掛けです。

 

 

自分の意見を発表・提案する

オリエンタルランドの「I have idea」は自分の意見を提案する制度、また、サトーの「3行日報」は全社員が仕事の中で気づいた発見や提案を、日報として会社に提出する仕組みです。こういった自分の意見を発表したり、提案する制度を作ったりすることは、承認や自己実現の欲求を満たすことに繋がります。

 

サトーの3行日報は別の記事でも詳しく紹介していますので、ご興味あればご覧ください

「学ぶ文化を作る」の記事

 

 

目標で動機付ける

目標管理に関する取り組みで有名なのは、Googleの「OKR」です。目標設定自体に「自己実現」の要素を刺激する仕組みがあったり、「承認の欲求」や「所属の欲求」を満たすWin-sessionという仕組みが組み込まれていたりと、非常に奥深いシステムです。ご興味あれば、ぜひ詳しく調べてみてください。

 

これらの制度はゲーム感覚で楽しめるようにしたり、人事考課や賞与などの外的動機を紐付けたりといった様々なバリエーションも可能です。様々な仕組みは、管理職の能力に依存したり、管理が煩雑だったりすることもありましたが、最近ではITツールと組み合わせることで、運用しやすくなっている部分もあります。

まとめ

モチベーション管理を効果的に行うコツは、「動機付け」に関する基礎的な理論を踏まえながら、習慣化やシステム化などの施策と組み合わせて取り入れていくことです。とりわけ外的動機を「刺激」として使いながらも、中長期的には社員がより上位の欲求に目覚め、「内的動機を働かせている」状態を目指すのが重要です。

 

もちろん社員一人ひとりとコミュニケーションを取る管理職や経営陣がキーマンであることは間違いありません。しかし、管理職や経営陣のコミュニケーションだけに依存するのではなく、組織としてモチベーション管理に取り組んでいくことで、安定した状態が実現しやすくなるでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック 取締役 HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。 7つの習慣R認定担当インストラクター、原田メソッド認定パートナー、EQPI認定アナリスト等

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